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土木・建設
 
【発明の名称】戸当り
【出願人】
【識別番号】513249323
【氏名又は名称】大久保 道夫
【住所又は居所】千葉県大網白里市南飯塚452―1
【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
【発明者】
【氏名】大久保 道夫
【住所又は居所】千葉県大網白里市南飯塚452−1
【要約】
【課題】簡単な構造で且つ作業性を高めることのできる戸当りを提供する。
【解決手段】本発明の戸当り10は、ドア11に突設される係止部材12と、床13に固定される支持部材17と、係止部材12が係止可能な係止受け部25を有し、係止受け部25に係止部材12が係止する係止姿勢と係止受け部25に係止部材12が係止しない係止解除姿勢との間で軸部23を支点に上下方向に回動可能なように支持部材17に支持される可動部材18と、を備え、可動部材18は、軸部23を挟んで係止受け部25の反対側に形成される操作部26の重量により前記係止姿勢を保持すると共に、操作部26に対するドア11の開放方向側からの押圧操作により回動して前記係止解除姿勢に変位するように設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側を支点に回動可能なドアの開放姿勢を保持するために使用される戸当りであって、
前記ドアに突設される係止部材と、
床に固定される支持部材と、
前記係止部材が係止可能な係止受け部を有し、該係止受け部に前記係止部材が係止する係止姿勢と該係止受け部に該係止部材が係止しない係止解除姿勢との間で軸部を支点に上下方向に回動可能なように前記支持部材に支持される可動部材と、
を備え、該可動部材は、前記軸部を挟んで前記係止受け部の反対側に形成される操作部の重量により前記係止姿勢を保持すると共に、該操作部に対する前記ドアの開放方向側からの押圧操作により回動して前記係止解除姿勢に変位するように設けられていることを特徴とする戸当り。
【請求項2】
前記ドアを開放方向側へ回動すると、前記係止部材が前記係止受け部に当接し、前記可動部材が前記操作部の重量に抗して前記係止解除姿勢側に一旦回動した後、該操作部の重量により前記係止姿勢側に回動し、前記係止部材が前記係止受け部材に係止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の戸当り。
【請求項3】
前記操作部は、前記ドアの壁面に対向するように平板状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の戸当り。
【請求項4】
前記係止姿勢において前記ドアの壁面に当接する緩衝部材を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の戸当り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの開放姿勢を保持するために使用される戸当りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアの開放姿勢を保持するために戸当りが使用されており、この戸当りとしては、フックをドア側の受け具に引っ掛けるように構成したものがよく知られている。しかしながら、このような従来の戸当りを使用する場合、腰を屈めて手でフックを受け具に引っ掛けたり、或いは取り外したりする必要があるため、その作業に手間が掛かっていた。また、フックを受け具に引っ掛けるのを忘れてしまった場合には、ドアが風に煽られて突然大きな音を立てて閉まり、その際に子供等がドアとドア枠との間に指を挟まれたりする危険性があるという問題もあった。
【0003】
このような問題を鑑みて、近年では、様々なタイプの戸当りが提案されている。例えば、特許文献1には、ドアを開放すると、ドア側の係止体の鉤状係止部が床に固定された戸当り本体の上下可動体の凹状係止部に嵌合することによりドアの開放状態が保持される一方、ドアを閉じる時には上下可動体の天面を手や足で押し下げて鉤状係止部と凹状係止部との係止状態を解除させる戸当りが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ドアを開放すると、ドア側の可撓性ストッパーが床に固定された戸当りの本体に係止することによりドアの開放状態が保持される一方、ドアを閉じる時には円弧状に形成された可動体の下部をドアの開放方向の反対側から爪先で押圧してストッパーと戸当りの本体との係止状態を解除させる戸当りが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3156456号公報
【特許文献2】特開平9−256716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の特許文献1に記載の戸当りは、ドアを閉じる場合、上下可動体の天面のうち、凹状係止部に係止している鉤状係止部以外の部分を選択して押し下げる必要があるが、その作業を足で行うことは非常に困難である。したがって、結局、腰を屈めて手で上下可動体を押し下げることになり、作業性が悪いという問題がある。また、上下可動体を上方に付勢するバネや係止体に軸着されるダンパー体等の部品を必要とし、構造が複雑なため、製造に手間やコストが掛かるという問題もある。
【0007】
一方、上記した特許文献2に記載の戸当りは、ドアを閉じる場合、可動体の下部をドアの開放方向の反対側から爪先で押圧する必要があるが、通常、ドアの開放方向の反対側には壁があるため、実際にその押圧動作を爪先で行うのは困難であり、作業性が悪いという問題がある。また、可撓性を有するストッパーを使用する必要があるため、耐久性や動作の信頼性を高めることが難しい。さらに、可動体を円弧状に形成する必要があるため、製造に手間が掛かるという問題や、床面の設置スペースを広く必要とするという問題もある。
【0008】
本発明は、上記した各種課題を解決すべくなされたものであり、簡単な構造で且つ作業性を高めることのできる戸当りを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明は、一側を支点に回動可能なドアの開放姿勢を保持するために使用される戸当りであって、前記ドアに突設される係止部材と、床に固定される支持部材と、前記係止部材が係止可能な係止受け部を有し、該係止受け部に前記係止部材が係止する係止姿勢と該係止受け部に該係止部材が係止しない係止解除姿勢との間で軸部を支点に上下方向に回動可能なように前記支持部材に支持される可動部材と、を備え、該可動部材は、前記軸部を挟んで前記係止受け部の反対側に形成される操作部の重量により前記係止姿勢を保持すると共に、該操作部に対する前記ドアの開放方向側からの押圧操作により回動して前記係止解除姿勢に変位するように設けられていることを特徴とする。
【0010】
この特徴により、前記係止部材と前記係止受け部との係止姿勢を解除させる場合、前記操作部を足の爪先でドアの開放方向側から押圧操作することにより簡単に行うことができる。したがって、ドアの閉鎖作業時に、腰を屈める必要がなく、また、前記操作部と壁との間に足を入れる必要もないため、作業性の向上を図ることができると共に、床面の設置スペースの削減を図ることができる。さらにまた、バネ等の付勢部材などの部品を必要とせず、構造の簡素化を図ることができるため、製造の手間の削減化及びコストの低減化を図ることができる。
【0011】
また、本発明に係る戸当りは、前記ドアを開放方向側へ回動すると、前記係止部材が前記係止受け部に当接し、前記可動部材が前記操作部の重量に抗して前記係止解除姿勢側に一旦回動した後、該操作部の重量により前記係止姿勢側に回動し、前記係止部材が前記係止受け部材に係止するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
この特徴により、ドアを開放方向側へ回動させるだけの簡単な操作で前記係止部材を前記係止受け部に係止させることができるため、作業性の向上を図ることができる。
【0013】
また、本発明に係る戸当りにおいて、前記操作部は、前記ドアの壁面に対向するように平板状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
この特徴により、前記操作部を押圧操作し易くなり、前記係止部材の前記係止受け部に対する係止解除操作を簡単に行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る戸当りは、前記係止姿勢において前記ドアの壁面に当接する緩衝部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
この特徴により、ドアの開放時にドアや戸当りに対する衝撃を緩和することができ、戸当りの耐久性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、係止部材と係止受け部との係止姿勢が解除させる場合、腰を屈めることなく、操作部を足の爪先でドアの開放方向側から押圧操作することにより簡単に行うことができるため、作業性の向上を図ることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る戸当りを示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る戸当りの係止部材を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る戸当りの戸当り本体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図3を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る戸当り10について説明する。なお、以下の説明において、前後左右の向きは、便宜上、図1における左側を前方、右側を後方、紙面垂直方向手前側を左方、紙面垂直方向奥側を右方と規定することとする。
【0020】
図1に示されているように、本発明の実施の形態に係る戸当り10は、左右いずれか一方の側部に設けられた吊元(図示省略)を支点に回転可能なドア11の開放姿勢を保持するために使用されるものであり、ドア11側に取り付けられる係止部材12と、床13側に取り付けられる戸当り本体14と、を備えて構成されている。
【0021】
図1及び図2に示されているように、係止部材12は、矩形金属板から成るベース板15と、ベース板15に対して垂直に突設される係止部16と、により構成されており、係止部16は金属製棒状部材をU字状に屈曲することにより形成されている。このように構成することで、係止部材12は、ベース板15をドア11の壁面11aの前記吊元の反対側の下部にビス等により取り付けることにより、係止部16が水平に突出した姿勢で壁面11aに固定されるようになっている。
【0022】
図1及び図3に示されているように、戸当り本体14は、床13に固定される支持部材17と、支持部材17に上下方向に回動可能に支持される可動部材18と、支持部材17に固定されるストッパー部材19と、を備えて構成されている。
【0023】
支持部材17は、金属製であり、壁20から所定距離離間した床13上においてビス等により固定される円板形状の基部21と、基部21の中央部に起立姿勢で形成される略円筒形状の支柱部22と、により構成されている。
【0024】
可動部材18は、金属製であり、支柱部22の上部に側方から水平に取り付けられる軸部23により支持される筒状部24と、筒状部24の前側上端部から前方に向かって水平姿勢で延出して形成される係止受け部25と、軸部23を挟んで係止受け部25の反対側において筒状部24の後側部分から下方に向かって鉛直姿勢で形成される操作部26と、を備えて構成されている。
【0025】
係止受け部25は、金属片により形成されており、その前端部27は上方から後方に折り返すように屈曲した鉤形状を有している。また、係止受け部25の前端部27には、係止部材12の係止部16に対応した高さに、上後方に傾斜又は湾曲するように案内部28が形成されている。
【0026】
操作部26は、所定の重量を有する金属板により形成されており、図3に良く示されているように、正面視において支柱部22の左右両側に押圧面29が広く形成されるような平板形状を成している。
【0027】
ストッパー部材19は、支持部材17の支柱部22の上端から前方に向かって水平姿勢で延出するアーム片30と、アーム片30に支持される緩衝部材31と、を備えて構成されている。
【0028】
アーム片30は、金属片により形成されており、その前端部32は上方に直角に屈曲している。緩衝部材31は、アーム片30の前端部32の上端に固定されており、合成ゴム製で後方に向かって細径となる略円錐形状を成している。
【0029】
このような構成とすることで、戸当り本体14は、外力を作用させない場合、図1に示されているように、操作部26の重量により、係止受け部25の前端部27がストッパー部材19のアーム片30の下面に当接すると共に、操作部26が支柱部22から離間する姿勢に保持される。
【0030】
次に、図1を参照しつつ、上記した構成を備えた本発明の実施の形態に係る戸当り10の作用について説明する。
【0031】
前記吊元を支点としてドア11を開放方向側(図1中の矢印参照)へ回動すると、係止部材12の係止部16の先端が係止受け部25の前端部27に当接する。この時、係止受け部25の前端部27には案内部28が形成されているため、係止部16の先端はこの案内部28に沿って相対的に摺動し、これにより、可動部材18は操作部26の重量に抗して軸部23を支点として一方向(図1の反時計回り)に回動する。
【0032】
この回動により、係止受け部25の前端部27がストッパー部材19のアーム片30の下面から離間し、この時に係止受け部25の前端部27とストッパー部材19のアーム片30との間に形成される隙間を介して係止部16は係止受け部25に係止する。
【0033】
このように係止部16が係止受け部25に係止すると、可動部材18は操作部26の重量により軸部23を支点として他方向(図1の時計回り)に回動し、係止受け部25の前端部27がストッパー部材19のアーム片30の下面に再び当接し、係止部16と係止受け部25との係止姿勢が保持される。また、この時、操作部26はドア11の壁面11aに対向した姿勢に保持される。
【0034】
一方、ドア11を閉鎖する場合、操作部26の押圧面29を足の爪先でドア11の開放方向側(図1中の矢印参照)から押圧操作する。そうすると、可動部材18が操作部26の重量に抗して軸部23を支点として一方向(図1の反時計回り)に回動し、係止受け部25の前端部27とストッパー部材19のアーム片30の下面との間に隙間が形成される。したがって、この状態でドア11を閉鎖方向側(図1中の矢印の反対側)に回動させると、この隙間を介して係止部16が係止受け部25から離脱し、係止部16と係止受け部25との係止姿勢が解除される。その後、操作部26の押圧面29から足の爪先を離すと、可動部材18は操作部26の重量により元の図1に示す姿勢に戻る。
【0035】
上記したような本発明の実施の形態に係る戸当り10によれば、係止部16と係止受け部25との係止姿勢を解除してドア11を閉鎖する場合、操作部26の押圧面29を足の爪先でドア11の開放方向側から押圧操作することにより簡単に行うことができる。すなわち、ドア11の閉鎖作業時に、腰を屈める必要がなく、また、操作部26と壁20との間に足を入れる必要もないため、作業性の向上を図ることができると共に、床面の設置スペースの削減を図ることができる。さらにまた、バネ等の付勢部材などの部品を必要とせず、構造の簡素化を図ることができるため、製造の手間の削減化及びコストの低減化を図ることができる。
【0036】
さらに、上記したように係止受け部25に係止部16が係止する係止姿勢と係止受け部25に係止部16が係止しない係止解除姿勢との間で可動部材18を回動させる間、いずれも軽量の金属片から形成されている係止受け部25の前端部25とストッパー部材19のアーム片30とが当接するだけで、所定の重量を有する操作部26が支柱部22に接触することがないため、操作音の低減を図ることができると共に、耐久性及び動作の信頼性を高めることができる。
【0037】
なお、上記した本発明の実施の形態の説明では、係止受け部25の前端部25とストッパー部材19のアーム片30とが当接することで、可動部材18の一方向(図1の反時計回り)への回動を規制する構成を採用しているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。すなわち、操作部26を支柱部22に当接させたり、或いは、支柱部22に新たな部材を別途設けたりすることで、可動部材18の一方向(図1の反時計回り)への回動を規制することもできる。また、その際、ストッパー部材19を係止受け部25の下方に取り付けたりする等、ストッパー部材19の取り付け位置は任意に変更可能である。
【0038】
また、上記した本発明の実施の形態の説明では、左右いずれか一方の側部の吊元(図示省略)を支点に回転可能なドア11に戸当り10を使用した場合について説明したが、これは本発明に係る戸当り10をこの場合の使用に限定する趣旨ではない。すなわち、本発明の戸当り10は、上側を支点に回動可能なドア等、一側を支点に回動可能な各種ドアの開放姿勢を保持するために広範に亘って使用することが可能である。
【0039】
また、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る戸当り10における好適な実施の形態を説明しているため、形状や材質等において技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0040】
さらに、上記した本発明の各実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の各実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0041】
10 戸当り
11 ドア
12 係止部材
13 床
17 支持部材
18 可動部材
23 軸部
25 係止受け部
26 操作部
31 緩衝部材
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る戸当りを示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る戸当りの係止部材を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る戸当りの戸当り本体を示す正面図である。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
リーフレット 
 
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