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土木・建設
 
【考案の名称】融雪装置
【実用新案権者】
【識別番号】511137194
【氏名又は名称】浦 久義
【住所又は居所】愛知県北名古屋市九之坪南城屋敷17−4
【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
【考案者】
【氏名】浦 久義
【住所又は居所】愛知県北名古屋市九之坪南城屋敷17−4
【要約】(修正有)
【課題】
屋根材と野地板との間に空間が形成される屋根を有した建築物に設置される装置であり、屋根に降り積もった雪を、より確実に除去することができる融雪装置を提供する。
【解決手段】
融雪装置20は、気体の温度を上昇させる熱源21と、熱源21にて温度が上昇した高温気体Ahの流路を形成する流動管30と、流動管30に接続され、高温気体Ahが流入することで屋根4に降り積もった雪を溶かして除去する融雪部50とを備えている。融雪部50とは、屋根材6と野地板8との間の空間52であり、流動管30の吐出口40から吐出された高温気体Ahが、該空間52を流動する。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
屋根材と野地板との間に空間が形成される屋根を有した建築物に設置される融雪装置であって、
気体の温度を上昇させる熱源と、
全体として管状に形成された流動管であって、前記熱源によって温度が上昇した気体である高温気体が、一端に設けられた開口である取込口から取り込まれて流動する流路を形成する流動管と
を備え、
前記流動管は、
前記流動管の取込口とは反対側の端部に設けられた開口である吐出口が、前記屋根材と前記野地板との間の空間に前記高温気体を吐出するように設けられていることを特徴とする融雪装置。
【請求項2】
前記流動管は、
1つの取込口に対し、複数の吐出口が形成されるように枝分かれした形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の融雪装置。
【請求項3】
前記吐出口は、
前記野地板に穿設された挿通孔それぞれに前記流動管の端部が挿通されることで、前記屋根材と前記野地板との間の空間に前記高温気体を吐出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の融雪装置。
【請求項4】
前記挿通孔には、
防水処理が施されていることを特徴とする請求項3に記載の融雪装置。
【請求項5】
前記防水処理は、
樹脂材料によるパテ埋めであることを特徴とする請求項4に記載の融雪装置。
【請求項6】
前記屋根材は、瓦であり、
前記屋根には、複数の桟木が設けられており、
前記挿通孔は、それぞれ
隣接する二つの桟木の間に設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の融雪装置。
【請求項7】
前記流動管には、
気体を送出する送風機が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の融雪装置。
【請求項8】
屋根を有した建築物に設置される融雪装置であって、
気体の温度を上昇させる熱源と、
全体として管状に形成された流動管であって、前記熱源によって温度が上昇した気体である高温気体が、一端に設けられた開口である取込口から取り込まれて流動する流路を形成する流動管と、
前記流動管の取込口が設けられた端とは反対側の端に接続され、前記屋根に接して前記高温気体が流動する内部空間を有する融雪部と
を備えることを特徴とする融雪装置。
【請求項9】
前記融雪部は、
前記屋根の下面に固定されていることを特徴とする請求項8に記載の融雪装置。
【請求項10】
前記融雪部は、
前記屋根の外面の少なくとも一部分を覆うように設けられていることを特徴とする請求項8に記載の融雪装置。
【請求項11】
前記融雪部は、
前記屋根の垂木に沿って、前記屋根の棟から多くとも半分までの範囲を覆うように設けられていることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の融雪装置。
【請求項12】
前記屋根は、トタンを屋根材とした屋根であり、
前記融雪部は、
前記屋根材を少なくとも1つの面とした多面体に形成されていることを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載の融雪装置。
【請求項13】
前記屋根は、トタン屋根の上にトタンを屋根材とした二重屋根であり、
前記融雪部は、
前記屋根材としての二つのトタンの間に形成された空間が、前記内部空間となるように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の融雪装置。
【請求項14】
前記熱源は、
前記建築物内に設置される暖房機器であることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の融雪装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、融雪装置に関する。
【背景技術】
従来、豪雪地帯では積雪による家屋(建築物)の倒壊を防止するために、当該家屋の屋根に降り積もった雪を除去すること、即ち、雪おろしがなされる。この雪おろしは、家屋の屋根に上った人が、シャベルなどの道具を用いて自身の力によって行うことが一般的であり、滑落などの危険が伴う。
そこで、家屋の屋根に人が上ることなく、屋根に降り積もった雪を安全に除去することを可能とする装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、図15は、特許文献1に記載された装置(以下、従来除雪装置と称す)の構成を示す図である。
この図15に示すように、従来除雪装置150は、除雪部155と、該除雪部155を駆動する駆動部160とを備えている。
除雪部155は、回転軸156と、該回転軸156の径方向に突出した複数の羽157とを有し、回転軸156と羽157とが一体に形成された羽根車である。なお、複数の羽157は、1つの回転軸156に対して複数組設けられている。
また、駆動部160は、屋根Roの上面の両側において、屋根Roの棟Rrから軒Reまでを少なくとも含むように掛け渡されたチェーン161からなり、除雪部155の回転軸156に設けられたギア158を介して、回転軸156を回動自在かつ可動自在に支えている。さらに、駆動部160には、除雪部155を地上にて操作可能とするための操作機構165が連接されている。
つまり、従来除雪装置150では、操作機構165が操作されると、チェーン161が駆動して除雪部155の回転軸156を回転かつ移動させる。すると、回転軸156に従って回転を伴って移動する除雪部155の羽が、屋根Roの上面に積もった雪を崩して屋根の下に落とす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】
実用新案登録第3093902号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、湿雪が降り積もって屋根Roに固着すると、除雪部155の羽157が回転を伴って移動するだけでは、その固着した雪を取り除くことは困難となる。特に、日本に降る雪の大部分が湿雪であることを考慮すると、従来除雪装置150では、屋根Roに降り積もった雪を除雪することが困難であるという問題があった。
そこで、本考案は、屋根に降り積もった雪を、より確実に除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた第一考案は、屋根材と野地板との間に空間が形成される屋根を有した建築物に設置される融雪装置に関する。
その融雪装置は、気体の温度を上昇させる熱源と、全体として管状に形成された流動管とを備えている。ただし、第一考案における流動管は、熱源によって温度が上昇した気体(以下、高温気体とする)が、一端に設けられた開口である取込口から取り込まれて流動する流路を形成するものであり、取込口とは反対側の端部に設けられた開口である吐出口が、屋根材と野地板との間の空間に高温気体を吐出するように設けられている。
つまり、第一考案の融雪装置によれば、熱源にて温められた気体、即ち、高温気体が屋根材と野地板との間の空間に吐出される。この高温気体によって、屋根材の温度が上昇し、雪を溶かすことができる。
したがって、第一考案の融雪装置によれば、例えば、従来除雪装置150に比べて、屋根に降り積もった雪をより確実に除去することができる。
ところで、従来除雪装置150は、雪が降らない夏場などを含めて常時設置されている。このため、従来除雪装置150が設置された建築物は、外観の美しさを損なう、即ち、見栄えが悪いという問題もあった。
【0013】
しかしながら、第一考案の融雪装置であれば、当該融雪装置を構成する部材が屋根の上面に設けられることが無いため、当該融雪装置が設置された建築物の見栄えの良さを維持できる。
さらに、第一考案において、流動管は、1つの取込口に対し、複数の吐出口が形成されるように枝分かれした形状に形成されていても良い(請求項2)。
このような融雪装置によれば、屋根における1つの部分ではなく、屋根におけるより多くの部分に対して、高温気体を吐出することができる。
よって、第一考案の融雪装置によれば、効率良く融雪することができる。
そして、第一考案において、流動管の吐出口は、野地板に穿設された挿通孔それぞれに流動管の端部が挿通されることで、屋根材と野地板との間の空間に高温気体を吐出しても良い(請求項3)。
つまり、第一考案の融雪装置は、野地板に穿設された挿通孔に流動管の端部を挿通することで、建築物に設置可能となる。換言すれば、建築中の建築物に限らず、建築済みの建築物であっても、容易に融雪装置を設置することができる。
また、第一考案において、挿通孔には、防水処理が施されていても良い(請求項4)。
このように、挿通孔に対して防水処理が施されていれば、建築物の内部に水が入り込むことを防止できる。
この防水処理として、樹脂材料によるパテ埋めが行われていても良い(請求項5)。
このような防水処理であれば、当該防水処理を簡易に実施することができる。
ここで言う樹脂材料には、例えば、シリコン樹脂や、ウレタン樹脂などを含むものである。
ところで、屋根材として瓦を用いる(即ち、瓦葺きとする)場合、その瓦は、建築物の屋根に設けられた桟木に瓦の裏面に形成された突起を引っ掛けることで、屋根に設置(固定)される。このとき、桟木と桟木との間には、瓦と野地板との間に空間(即ち、2つの桟木と瓦と野地板とに囲まれた空間)が形成されるため、第一考案における各挿通孔は、それぞれ、隣接する二つの桟木の間に設けることが好ましい(請求項6)。
このように各挿通孔を設ければ、建築物の屋根に対する加工を必要最小限とすることができる。
ただし、第一考案の融雪装置が設置される建築物の屋根は、瓦葺きの屋根に限るものではなく、トタン張りの屋根であっても良い。
なお、第一考案においては、流動管に、気体を送出する送風機が設けられていても良い(請求項7)。
このような融雪装置であれば、屋根材と野地板との間の空間に、高温気体をより確実に送風することができる。
上記目的を達成するためになされた第二考案は、屋根を有した建築物に設置される融雪装置であっても良い。
この第二考案の融雪装置は、熱源と、流動管と、融雪部とを備える(請求項8)。
このうち、熱源は、気体の温度を上昇させる。流動管は、全体として管状に形成されており、熱源によって温度が上昇した気体である高温気体が、一端に設けられた開口である取込口から取り込まれて流動する流路を形成する。そして、融雪部は、流動管の取込口が設けられた端とは反対側の端に接続され、屋根に接して高温気体が流動する内部空間を有する。
このような融雪装置であれば、熱源にて温められた気体、即ち、高温気体が屋根に接して流動する。この高温気体によって、屋根の温度が上昇し、雪を溶かすことができる。
したがって、第二考案の融雪装置によれば、例えば、従来除雪装置150に比べて、屋根に降り積もった雪を、より確実に除去することができる。
そして、第二考案において、融雪部は、屋根の下面に固定されていても良い(請求項9)。なお、ここで言う屋根の下面とは、屋根において、建築物の内部に近い側の面であり、例えば、屋根の野地板において、建築物の内部の側となる(即ち、屋内と接する)面である。
この場合、建築済みの建築物に対して、融雪装置を容易に設置することができる。
さらに、第二考案において、融雪部は、屋根の外面の少なくとも一部分を覆うように設けられていても良い(請求項10)。ここで言う外面とは、屋根において、建築物の外部(即ち、屋外)と接する面である。
このような融雪装置であれば、屋根において雪に触れる部位の温度が、融雪部を屋根の下面に固定した場合に比べて高くなる。したがって、このような融雪装置を建築物に設置すれば、屋根に降り積もった雪を、より確実に溶かすことができる。
一般的に、屋根の上側(即ち、棟に近い側)に降り積もった雪が屋根の下側(即ち、軒に近い側)に向かって崩れ落ちると、その崩れ落ちる雪と共に、屋根の下側に降り積もった雪も屋根の下に落ちることになる。
このため、第二考案における融雪部は、屋根の垂木に沿って、屋根の棟から多くとも半分までの範囲を覆うように設けられていても良い(請求項11)。
このような融雪装置によれば、屋根に降り積もった雪を効率的に屋根から除去できる。
また、屋根を構成する屋根材がトタンである場合、第二考案における融雪部は、屋根材を少なくとも1つの面とした多面体に形成しても良い(請求項12)。
この場合、屋根材を有効活用して、融雪部を設けることができる。
なお、建築物の中には、トタン屋根の上にトタンを屋根材とした二重屋根を有した建築物も存在する。
このような建築物に設置する第二考案の融雪装置においては、屋根材としての二つのトタンの間に形成された空間が内部空間となるように、融雪部を形成しても良い(請求項13)。
つまり、このような融雪装置であれば、トタンを屋根材とした二重屋根においては屋根材の間に形成される空間を有効に利用することができる。
なお、本考案(ここでは、第一考案と第二考案との両方)における熱源は、建築物内に設置される暖房機器であっても良い(請求項14)。
このような融雪装置であれば、暖房機器によって温められた気体を高温気体とすることで、建築物内を暖房すると共に、雪を溶かすことができる。
【考案を実施するための形態】
以下に本考案の実施形態を図面と共に説明する。
[第一実施形態]
図1は、本考案が適用された融雪装置であって、第一実施形態における融雪装置の概略構造を示す説明図である。
本実施形態の融雪装置20は、屋根材6と野地板8との間に空間が形成される屋根4を有した建築物2、即ち、一般的な家屋に設置される装置であり、屋根4に降り積もった雪を除去する装置である。
なお、本実施形態では、融雪装置20が設置される建築物2の屋根材6として、瓦を想定する。すなわち、瓦は、当該屋根4に設けられた桟木10に、瓦の裏面に形成された突起を引っ掛けた上で、締結要素(例えば、ネジや釘など、図示せず)を用いて桟木10(即ち、屋根4)に設置(固定)される。
〈融雪装置全体の構成〉
融雪装置20は、気体の温度を上昇させる熱源21と、熱源21にて温度が上昇した気体(以下、高温気体と称す)Ahの流路を形成する流動管30と、流動管30に接続され、高温気体Ahが流入することで屋根4に降り積もった雪を溶かして除去する融雪部50とを備えている。
このうち、熱源21は、建築物2内(即ち、屋内)に設置された暖房機器、例えば、石油ストーブなどである。本実施形態においては、流動管30も、建築物2内に設置されている。
〈流動管の構成〉
次に、流動管30は、全体として管状に形成された部材であり、高温気体Ahを取り込む開口(以下、取込口とする)38が一端に形成され、当該流動管30の取込口38とは反対側の端部に高温気体Ahを吐出する開口(以下、吐出口とする)40が形成されている。
ただし、流動管30は、1つの取込口38に対して複数の吐出口40が形成されるように、当該流動管30の取込口38から吐出口40に向けて少なくとも1つの分岐部36を有した枝分かれした形状に形成されている。具体的に、本実施形態における流動管30は、建築物2の床面の近傍から当該建築物2の棟の近傍に向けて延伸する主管32と、当該棟の近傍にて主管32から分岐し、棟から軒に向けて野地板8と平行となるように配設される複数の副管34とを有している。
したがって、流動管30の分岐部36には、主管32から副管34へと分岐する第一分岐部36Aと、副管34から吐出口40の各々が形成された端部へと分岐する第二分岐部36Bとが含まれる。
なお、流動管30は、フレキシブルチューブなどによって形成しても良いし、塩化ビニルなどの硬質の管材を繋ぎ合わせることで形成しても良い。また、流動管30には、高温気体Ahを送出する送風機44が接続されている。
そして、流動管30の各吐出口40が形成された端部の各々は、屋根材6と野地板8との間の空間52に吐出口40が位置するように、野地板8に穿設された挿通孔12それぞれに挿通されている。
具体的には、挿通孔12は、例えば、図2に示すように、屋根4の上下方向に沿って2列設けられている。挿通孔12の各々は、流動管30よりも径が大きな円形の孔であり、屋根4に設けられた複数の桟木10のうち、隣接する二つの桟木10それぞれの間に設けられている。なお、本実施形態において、副管34は、それぞれ、挿通孔12が設けられた列に沿うよう屋根4の上下方向に、野地板8の下面に配設されている。
さらに、流動管30が挿通された各挿通孔12には、防水処理が施されている。本実施形態における防水処理とは、具体的には、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂材料を用いてパテ埋めすることである。
本実施形態における融雪部50とは、屋根材6と野地板8との間の空間52であり、流動管30の吐出口40から吐出された高温気体Ahが、該空間52を流動する。
[第一実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の融雪装置20では、熱源21にて温められた気体、即ち、高温気体Ahが流動管30を流動し、吐出口40の各々から屋根材6と野地板8との間の空間52に吐出される。この高温気体Ahによって、屋根材6の温度が上昇し、屋根4に降り積もった雪が溶かされる。
換言すれば、融雪装置20によれば、屋根4に降り積もった雪を溶かすことで、当該雪を取り除くことができ、しかも、屋根4に降り積もった雪が湿雪であっても、確実に除去することができる。
特に、本実施形態の融雪装置20では、流動管30において高温気体Ahを吐出する吐出口40が、屋根4の上下方向に沿って2列設けられていると共に、挿通孔12の各々が、屋根4に設けられた複数の桟木10のうち、隣接する二つの桟木10それぞれの間に設けられている。
よって、融雪装置20によれば、屋根4における1つの部分ではなく、屋根4におけるより多くの部分に対して、高温気体Ahを吐出することができる。この結果、屋根4に降り積もった雪を、効率良く融雪することができる。
さらに、本実施形態の融雪装置20は、野地板8に穿設された挿通孔12に、吐出口40が形成された流動管30の端部を挿通することで、建築物2に設置可能となる。換言すれば、建築中の建築物に限らず、建築済みの建築物であっても、容易に融雪装置20を設置することができる。
しかも、本実施形態では、融雪装置20を建築物2に設置する際には、吐出口40が形成された流動管30の端部を挿通した挿通孔12に対して防水処理を施しているため、建築物2の内部に水が入り込むことを防止できる。
そして、本実施形態では、その防水処理として、樹脂材料によるパテ埋めを実施するため、当該防水処理を簡易に実施することができる。
ところで、従来除雪装置150のように、装置を構成する部材を屋根の上面に常時設置すると、建築物2の外観の美しさを損なう、即ち、見栄えが悪いという問題が生じる。
これに対し、本実施液体の融雪装置20であれば、当該融雪装置20を構成する部材が屋根4の上面に設けられることが無いため、建築物2の見栄えの良さを維持できる。
[第一実施形態の変形例]
以上、本考案の第一実施形態について説明したが、本考案は上記第一実施形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、流動管30の配設状態は、図1に示すものに限るものではなく、流動管30の配設状態は、熱源21にて生成された高温気体Ahを、屋根材6と野地板8との間の空間52へと流動させることが可能であれば、どのような状態でも良い。
ここで、図3〜5は、第一実施形態における流動管30の変形例を示す図であり、流動管30は、具体的には、図3〜図5に示すように構成または配設されていても良い。
すなわち、流動管30は、図3に示すように、建築物2の床面の近傍から当該建築物2の棟Rrの近傍に向けて延伸する主管62と、主管62から野地板8に向けて分岐した第一副管63及び第二副管64と、棟Rrから軒Reに向けて野地板8と平行となるように配設されると共に、第一副管63及び第二副管64に接続される第三副管65とを有していても良い。この図3に示す第三副管65には、吐出口40の各々が形成された流動管30の端部へと分岐する吐出口分岐部37が形成されている。
また、図4は、図3に示す流動管30とは異なる流動管30の変形例を示す図である。
図4に示す流動管30は、主管62と、第一副管63と、野地板8と平行となるように配設されると共に、主管62及び第一副管63に接続される第三副管65とを有している。
つまり、図4に示す流動管30は、図3に示す流動管30から、第二副管64が省略され、第三副管65が主管62と第一副管63とに接続されている。ただし、図4に示す第三副管65には、吐出口40の各々が形成された流動管30の端部へと分岐する吐出口分岐部37が形成されている。
なお、流動管30の主管62には、図4に示すように、高温気体Ahの流量を調整する流量調整機構68が設けられていても良い。
さらに、図5は、図3に示す流動管30及び図4に示す流動管30とは異なる流動管30の変形例を示す図である。
この図5に示す流動管30は、建築物2の床面の近傍から当該建築物2の棟Rrの近傍に向けて延伸する主管62と、主管62から野地板8に向けて分岐した第一副管63及び第二副管64とを有している。
この図5に示す流動管30において、第一副管63は、主管62から野地板8に向けて延伸する第一延伸部71と、屋根4の軒Reと平行となるように、第一延伸部71に直交して接続された第二延伸部72とを有している。また、図5に示す流動管30において、第二副管64は、主管62から野地板8に向けて延伸する第三延伸部73と、野地板8と平行となるように、第三延伸部73に直交して接続された第四延伸部74とを有している。
ただし、図5に示す第二延伸部72及び第四延伸部74には、吐出口40の各々が形成された端部(以下、吐出口延伸部と称す)75へと分岐する吐出口分岐部37が形成されている。なお、図5において、実線で示した円に囲まれた部分は、第二延伸部72及びその第二延伸部72から突出した吐出口延伸部75を拡大した拡大図である。つまり、図5に示す流動管30においては、吐出口40が屋根4の上下方向に沿って一直線上に配置されるように吐出口延伸部75が配設されている。
ここで、図6は、吐出口延伸部75の先端部分(即ち、吐出口延伸部75において、吐出口40に近い部位)を構成する部材を示す図である。
この図6に示すように、吐出口延伸部75の先端部分を構成する部材は、吐出口延伸部75において、吐出口分岐部37から吐出口40に掛けて屈曲する部位を有した管状に形成されたものである。その屈曲する部位における屈曲の角度(以下、屈曲角と称す)αは、例えば、各吐出口40から吐出される高温気体Ahの流量が一定となるように、吐出口延伸部75の各々に対して、吐出口40が設けられる屋根4の位置に応じて規定されれば良い。
ところで、上記第一実施形態における融雪装置20では、建築物2の内部(即ち、屋内)に、少なくとも、熱源21と流動管30とが配置されていたが、熱源21と流動管30との配置位置は、これに限るものではない。例えば、図7に示すように、融雪装置20において、少なくとも、流動管30を構成する主管32が、建築物2の外部、即ち、建築物2の壁Waよりも屋外側に設けられていても良い。
ただし、流動管30を構成する主管32が建築物2の外部に配置されている場合、その主管32に接続される流量調整機構68は、建築物2の壁Waよりも内側、即ち、屋内に配置しても良いし(図7参照)、図8に示すように、建築物2の壁Waよりも外側、即ち、屋外に配置しても良い。また、送風機44も、建築物2の壁Waよりも内側、即ち、屋内に配置しても良いし(図7参照)、図8に示すように、建築物2の壁Waよりも外側、即ち、屋外に配置しても良い。
なお、融雪装置20では、図7や図8に示すように、取込口38から取り込んだ高温気体Ahを建築物2内(即ち、屋内)に排出する開口である噴出口78が、流動管30に設けられていても良い。
ところで、上記第一実施形態では、挿通孔12、ひいては、吐出口40は、屋根4の上下方向に沿って2列設けられていたが、挿通孔12を設ける列数は、これに限るものではなく、例えば、図9に示すように、挿通孔12を、屋根4の上下方向に沿って2列よりも多い列分設けても良い。この場合であっても、各挿通孔12は、屋根4に設けられた複数の桟木10のうち、隣接する二つの桟木10それぞれの間に設けられていることが好ましい。
さらに、挿通孔12を2列よりも多い数の列分設ける場合、図9に示すように、流動管30の副管34それぞれを桟木10と平行に配設した上で、各挿通孔12は、流動管30の副管34における上流側から下流側に沿って、順次設けても良い。
[第二実施形態]
次に、本考案の第二実施形態について説明する。
本実施形態における融雪装置は、第一実施形態の融雪装置20とは、融雪部の構成が異なる。このため、本実施形態では、第一実施形態の融雪装置20と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略し、第一実施形態の融雪装置20とは異なる、融雪部を中心に説明する。
ここで、図10は、第二実施形態の融雪装置を、融雪部周辺を中心に示した図である。
なお、本実施形態では、融雪装置20が設置される建築物2の屋根材6として、トタン板を想定する。このトタン板は、当該屋根4に設けられた野地板8に、締結要素(例えば、ネジや釘など、図示せず)などを用いて固定されている。
〈融雪部の構成〉
本実施形態の融雪部80は、流動管30の取込口38が設けられた端とは反対側の端(即ち、吐出口40が設けられた端)に接続され、高温気体Ahが流動する内部空間を有する。本実施形態においては、1台の融雪装置20に対して複数の融雪部80が備えられている。
ここで、図11は、融雪部80の構成を示した概略図である。
この融雪部80は、底面81と、底面81から立ち上げられた壁面82,83,84,85とを備え、一面が開放された筐体状に形成されている。この融雪部80は、屋根4に設けられた垂木14に沿って、開放された一面を野地板8の下面にて覆うように固定される。つまり、融雪部80は、野地板8を上面とすることで、内部空間を有した多面体(本実施形態では、6面体)に形成される。
この融雪部80を固定する方法は、例えば、ネジや釘などの締結要素を用いて固定する方法などが考えられるが、融雪部80を野地板8に固定可能であれば、どのような方法でも良い。
また、融雪部80の底面81には、流動管30の吐出口40が接続される1つの挿通孔12が設けられている。これにより、流動管30を流動する高温気体Ahが、底面81と壁面82,83,84,85と野地板8とに囲まれた融雪部80の内部空間に流入する。
なお、本実施形態においては、野地板8に少なくとも1つの孔87が穿設されている。よって、融雪部80の内部空間に流入した高温気体Ahは、この孔87を通り屋外へと排出される。
つまり、本実施形態の融雪装置20では、屋根4の下面に、融雪部80が固定されている。
[第二実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の融雪装置20であれば、熱源21にて温められた高温気体Ahが屋根4に接して流動する。この高温気体Ahによって、屋根の温度が上昇し、雪を溶かすことができる。
したがって、本実施形態の融雪装置20であっても、屋根4に降り積もった雪を、より確実に除去することができる。
特に、本実施形態の融雪装置20では、融雪部80を構成する1つの面として、屋根材6を用いている。すなわち、本実施形態の融雪装置20によれば、屋根材を有効活用して、融雪部80を設けることができる。
[第二実施形態の変形例]
以上、本考案の第二実施形態について説明したが、本考案は上記第二実施形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記第二実施形態の融雪装置20では、融雪部80を屋根4の下面に固定していたが、融雪部80を固定する部位は、これに限るものではなく、屋根4の外面であっても良い。この場合、融雪部80は、屋根4の外面を覆うように固定されていることが望ましい。なお、屋根4の外面とは、屋根4において、建築物2の外部(即ち、屋外)と接する面である。
このように、屋根4の外面を覆うように融雪部80を固定する場合、その融雪部80は、図12に示すように、屋根4の垂木に沿って、屋根4の棟Rrから多くとも半分までの範囲を覆うように設けられていることが好ましい。
このように融雪部80を設ければ、屋根4の上側(即ち、棟Rrに近い側)に降り積もった雪が溶けて、屋根4の下側(即ち、軒Reに近い側)に向かって崩れ落ちると、その崩れ落ちる雪と共に、屋根4の下側に降り積もった雪も屋根4の下に落ちることになる。よって、屋根4に降り積もった雪を効率的に屋根4から除去できる。
次に、融雪装置20を設置する建築物2の屋根4として、トタン屋根の上にトタンを屋根材6とした二重屋根を有した建築物2を想定する。
ここで、図13は、二重屋根を有した建築物2に設置する融雪装置20(以下、二重屋根用融雪装置と称す)を、融雪部周辺を中心に示した図である。
この図13に示すように、二重屋根用融雪装置の融雪部90は、建築物2の屋内に近い側に位置する屋根材6Aを底面とし、建築物2の屋外に近い側に位置する屋根材6Bを上面とし、内部空間を有した多面体(本実施形態では、6面体)に形成されている。
ここで、図14は、融雪部90の具体的構成を示す図である。
融雪部90は、図14に示すように、厚みを有した部材であって、屋根材6Aの表面に固定される複数の角材95を備えると共に、底面(即ち、屋根材6A)から立ち上げられた壁面82,83,84,85を備える。つまり、融雪部90の内部空間は、屋根材6Aと屋根材6Bと壁面82,83,84,85とに囲まれた空間であって、角材95によって確保される。
このような二重屋根用融雪装置を設置する建築物2の野地板8には、流動管30の吐出口40が接続される1つの挿通孔12が穿設されており、当該建築物2の屋根材6Aには、少なくとも1つの孔97が穿設されている。よって、吐出口40から吐出された高温気体Ahは、野地板8と屋根材6Aとの間の空間に流入した後、これら孔97を通り、融雪部90の内部空間に流入する。
このような二重屋根用融雪装置であれば、二重屋根を有した建築物2に設置することができ、屋根材6Bに降り積もった雪を確実に除去できる。特に、このような二重屋根用融雪装置であれば、2つの屋根材6A,6Bの間に形成される空間を有効に利用することができる。
さらに、トタン屋根を有した建築物2を二重屋根の建築物2へと改装する際に、二重屋根用融雪装置を設置すれば、当該二重屋根用融雪装置を容易に設置することが可能となる。この場合、角材95は、屋根材6Bを保持するための部材を兼ねても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案が適用された融雪装置であって、第一実施形態における融雪装置の概略構成を示す図である。
【図2】第一実施形態における融雪装置の挿通孔の穿設位置を示す図である。
【図3】第一実施形態の融雪装置における流動管の変形例を示す図である。
【図4】第一実施形態の融雪装置における流動管の変形例を示す図である。
【図5】第一実施形態の融雪装置における流動管の変形例を示す図である。
【図6】吐出口延伸部の先端部分を構成する部材を示す図である。
【図7】第一実施形態の流動管の配置位置に関する変形例を示す図である。
【図8】第一実施形態の流動管の配置位置に関する変形例を示す図である。
【図9】第一実施形態における融雪装置の挿通孔の穿設位置に関する変形例を示す図である。
【図10】第二実施形態の融雪装置を、融雪部周辺を中心に示した図である。
【図11】第二実施形態の融雪装置における融雪部の構成を示した図である。
【図12】第二実施形態の融雪部の変形例を示す図である。
【図13】二重屋根用融雪装置を、融雪部周辺を中心に示した図である。
【図14】二重屋根用融雪装置における融雪部の構成を示した図である。
【図15】従来除雪装置の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
2…建築物 4…屋根 6,6A,6B…屋根材 8…野地板 10…桟木 12…挿通孔 14…垂木 20…融雪装置 21…熱源 30…流動管 32…主管 34…副管 36…分岐部 36A…第一分岐部 36B…第二分岐部 37…吐出口分岐部 38…取込口 40…吐出口 44…送風機 50,80,90…融雪部 52…空間 62…主管 63…第一副管 64…第二副管 65…第三副管 68…流量調整機構 71…第一延伸部 72…第二延伸部 73…第三延伸部 74…第四延伸部 75…吐出口延伸部 78…噴出口 81…底面 82,83,84,85…壁面 87,97…孔 95…角材 Ah…高温気体 Re…軒 Rr…棟 Wa…壁
【図1】
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【図2】
図2
【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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