閉じる
衣服・履物
 
【発明の名称】健康履物
【出願人】
【識別番号】593201693
【氏名又は名称】松岡 敏彦
【住所又は居所】熊本県芦北郡芦北町計石1278番地
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100092163
【氏名又は名称】穴見 健策
【発明者】
【氏名】松岡 敏彦
【住所又は居所】熊本県芦北郡芦北町計石1278番地
【要約】
【課題】
歩行の際に、つま先に強い作用を及ぼさせて、体全体の筋肉や骨格を動かせて体の健康増進等を図ることができるとともに、構造が簡単で低コストである健康履物を提供する。
【解決手段】
足を載せる底部(12)の上面側に、足指を上方に反らせながら少なくとも1本以上の足指が載るように該足指の付け根が位置する部分からつま先側が段上がりした段上がり部16を設け、歩行に伴って、つま先側への体重移動時ごとに段上がり部16によって反らされた足指Fを強く緊張させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足を載せる底部の上面側に、足指を上方に反らせながら少なくとも1本以上の足指が載るように該足指の付け根が位置する部分からつま先側が段上がりした段上がり部が設けられ、
歩行に伴って、つま先側への体重移動時ごとに段上がり部によって反らされた足指を強く緊張させることを特徴とする健康履物。
【請求項2】
段上がり部は、その段上がり段差の位置が各足指の付け根位置に沿うように湾曲状に設定された請求項1記載の健康履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、足に履いて歩行することにより健康の増進、維持等できる健康履物に関する。
【背景技術】
従来のサンダルは、例えば、足をかけるバンドを略平坦な台に取付けて設けられている。サンダルの台は、履き心地をよくしたり、履きやすくするために足を載せる面が略平坦に設けられている。バンドは、歩行する際に足がサンダルから離脱しにくいように、足指の付け根に近い足の甲の部分を拘束するように設けられている。また、従来の靴の場合も同様に、履き心地や履きやすさをよくするために足を載せる台が略平坦に設けられ、さらに、足が離脱しないようにしつつ、足を保護するために足部全体を包むように設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のサンダルを履いて歩行する際には、足はつま先が平坦な面の上でしかもバンドによって足指の付け根近傍を拘束されているので、足裏基部からつま先に十分に体重を移動させながら歩くことは困難であり、実際には、足指を使うことなく足の基部側のみを利用して歩行している場合が多かった。従って、足指を使うことによる体全体の筋肉や骨格、内臓等への良好な作用を期待できなかった。すなわち、従来のサンダルは履き心地等のみを求めて設計されており、健康への配慮がされておらず、また、体を脆弱化させるものであった。また、従来の靴の場合にも、サンダル同様につま先側が平坦な面であるので、歩行の際には、足の基部側のみしか使わないことが多く、従来のサンダル同様に健康に配慮されたものではなかった。
一方、健康増進のための履物が種々提案されており、例えば、特許文献1には、足載せ面の全面に足裏のつぼを刺激する突起を設けた健康増進履物が開示されている。しかしながら、この特許文献1の健康増進履物では、つぼ刺激による健康増進は図れるが、足載せ面から無数の突起が突出されているだけなので、結局は、従来のサンダル同様に足指に体重をかけて足指を緊張させることがほとんどなく、筋肉や骨格を動かすことによる健康増進を図ることは困難であった。また、この特許文献1の健康増進履物を履いて長時間歩行し続けると、足裏を点状に支えているので、突起からの刺激が痛みとなったり、疲労がたまってしまい、かえって健康を害してしまう恐れがあった。さらに、無数の突起等を設ける必要があるので、製造工程が煩雑となり、コストを高騰させるものであった。
【特許文献1】
特開平9−262105号公報
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、日常生活で装着しながら、つま先に強い作用を及ぼさせて、体全体の筋肉や骨格を動かして体の健康増進、維持等を図ることができるとともに、構造が簡単で低コストである健康履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、足を載せる底部(12)、(22)の上面側に、足指を上方に反らせながら少なくとも1本以上の足指が載るように該足指の付け根が位置する部分からつま先側が段上がりした段上がり部16が設けられ、歩行に伴って、つま先側への体重移動時ごとに段上がり部16によって反らされた足指Fを強く緊張させることを特徴とする健康履物10から構成される。段上がり部16の形状は任意で良く、また、載せる足指の本数は任意で良いが、つま先への体重移動の際は親指側が一番体重がかかるので少なくとも足の親指が段上がり部16上に載るように設定するとよい。段上がり部16が5本全ての足指が載せるように設けられると筋肉、骨等の動く箇所が多くなるのでより健康に良い。履物本体は、室外用、室内用問わず、靴、サンダル、スリッパ、草履等その他種々の形態のものでも良い。段上がり部16の上面は、一指ごとに指分かれして形成されてもよい、足指の付け根側を高くなるように設定された傾斜面や凹陥面状に設けられてよい。段上がり部16の足載せ面18の足指の付け根側18aからの高さは、低すぎると、つま先側への体重移動が行われにくく、また段上がり部の高さが高すぎると、足指が反りすぎてしまい、つま先への体重移動が行われにくかったり、窮屈に感じたするので着用者の体格等に応じて任意に設定すると良い。例えば、一般成人が着用するものの場合、好適には、5〜6mm程度に設定すると良い。
また、段上がり部16は、その段上がり段差20の位置が各足指F1...F5の付け根位置に沿うように湾曲状に設定されたこととしてもよい。
【発明の効果】
本発明の健康履物は、足を載せる底部の上面側に、足指を上方に反らせながら少なくとも1本以上の足指が載るように該足指の付け根が位置する部分からつま先の方向に向けて段上がりした段上がり部が設けられ、歩行に伴って、つま先側への体重移動時ごとに段上がり部によって反らされた足指を強く緊張させる構成であるから、例えば、日常生活において、足指を確実に使った歩行を行わせ、足指から足部全体の筋肉、骨等を動かすことによって、体全体の筋肉、骨、内臓等へ良好に作用させることができ、健康増進、健康維持を図ることができる。さらに、構造が簡単で、製造コストも低廉である。
また、段上がり部は、その段上がり段差の位置が各足指の付け根位置に沿うように湾曲状に設定された構成とすることにより、5本の各足指がそれぞれ適度な位置から段上がり部に載り上がるような具体的な構成を簡単な構造で実現できるとともに、着用した際に足裏に違和感を感じにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明の健康履物は、日常生活で着用する履物であって、足を載せる底部のつま先側に段上がり部を設けることにより、歩行の際に、つま先側への体重移動時ごとに、指先まで確実に力を及ぼさせて健康増進、健康維持を図る健康履物である。図1ないし図6は本発明の健康履物の第1の実施の形態を示している。本実施形態において、図1ないし図3に示すように、健康履物10は、履物本体がサンダルからなり、足を載せる底部となる足載せ台12と、足載せ台に載せた足をとめるバンド14と、を有し、さらに、この健康履物は、足載せ台12のつま先の位置に対応した位置に形成した段上がり部16を備えている。足載せ台12は、例えば、足Sを載せた際に凹まないようなある程度硬さのあるゴム、合成樹脂等からなり、足S全体が載るように足の外形に大まかに沿った平面視略縦長変形楕円形状で、厚みを持った板状の台から形成されている。足載せ台12の上面側には、足裏本体を載せる足載せ面18が形成されるとともに、足指に対応した位置に段上がり部16が設けられている。足載せ面18は、その上に足を載せた際に足指の付け根が位置する部分18aが略平坦に形成され、その後方の中間位置からかかとを載せる部分18bに向けて徐々に高く傾斜して形成されている。足載せ台12の長手方向の中間位置に、ある程度の横幅をもったバンド14が足載せ台12の幅方向に向けてアーチ状に架設されてその両端側が固定されている。バンド14は、足載せ台12上に足全体を載せた際に、足指の付け根側の足の甲側に配置され、足指の足本体側関節付近を拘束することによって、歩行の際の足の離脱を防止している。なお、足をとめるものはバンドに限らず、例えば、かけひも等の任意の足拘束手段でもよい。
図2に示すように、段上がり部16は、足S全体を足載せ台12に載せた状態で略足指部分のみがやや上方に反るように、足載せ面18の足指の付け根が位置する部分18aからつま先側が段上がりするように設けられている。図4に示すように、段上がり部16は、足指Fを上方に反らせて足指底を足裏本体側よりも高い位置で面に当接させていることにより、かかとを上げて足裏本体からつま先側へ体重移動させた際に、足指の甲側へのより強い背屈を強制しながら足指Fの段上がり部16に向けた強い押圧を積極的に行わせ、段上がり部からの反作用により足指に強い緊張を与える。これにより、該足指からの作用によって体全体の筋肉、骨格及び内臓等が良い効果を及ぼされ、健康増進及び健康維持を図ることができる。
本実施形態において、段上がり部16は、図3にも示すように、足載せ面18の足指の付け根が位置する部分18aから立ちあがった段上がり段差20を形成しながら足載せ台12のつま先側略全体が隆起するような一体的な踏み台状に突出されており、5本の足指F1...F5全てを上方に反らせるように段上り状態に載せている。これにより、歩行に伴って、5本の足指を含めた足全体の筋肉、骨等を働かせることができ、体全体へのより良好な作用を期待できる。段上がり部16の上面側は、平坦な面で形成されて、例えば、足載せ面18と同じ材質のゴムや合成樹脂等から形成されており、足指Fからの押圧で大きく凹まないような硬さに設定されている。段上がり部16の足載せ面18からの段上がり段差20の位置は、各足指の付け根位置に沿うように湾曲状に設定されている。これにより、5本の足指がそれぞれ適度な位置から段上がり部16に載り上がるような構成を簡単な構造で実現できるとともに、着用した際に足裏に違和感を感じにくいようにしている。段上がり部16の足載せ面18の足指の付け根が位置する部分18aからの高さは、例えば、5〜6mm程度に設けられており、かかとを上げた際のつま先側の段上がり部16上面の押圧が好適に行われ、かつ、窮屈に感じないように設定されている。段上がり部16は、例えば、足載せ台12の所要位置を段上げして一体的に形成したり、或は、合成ゴム、合成樹脂等で所要形状に成型した板状のものを予めつま先側を平坦に設けておいた足載せ台12に接着等の任意の固定手段で固定して設けられる。いずれにしても、健康履物10は、足を載せる足載せ台12上面側に段上がり部16を設けて、足をとめるバンド14を取付けただけの簡単な構成であるから、簡単に製造でき、コストも低廉である。なお、段上り部は、本実施形態のように5本の足指全てを載せる形態に限らず、例えば、足の親指が配置される部分のみ段上がりさせて形成しても良く、少なくとも1本の足指を上方に反らせながら載せるものであれば良い。
次に、本実施形態に係る健康履物10の作用を説明する。健康履物10を足に履くと、足指Fがその付け根付近から上方に反った状態で段上がり部16の上に配置される。そして、体重をかかと−足裏本体−つま先へと順に移動させながら歩行するのに伴って、つま先側への体重移動ごとに段上り部16によって足指が強く緊張させる。この際、本実施形態では、5本の足指全てが段上がり部16に載るように設けられているので、各足指が段上がり状態での地面側へ強く押圧でき、段上がり部からの反作用による足指の緊張によって、全ての足指骨、全ての中足骨、その他の骨や図示しない筋肉等、略足部全体の各部位が動かされる。例えば、図6に示すように、かかとが上がってつま先側に体重を移動させた状態(図4参照)では、足指Fの段上がり部16への押圧に伴って、中足骨U1...U5が互いの間隙を狭めるように動き、つま先側の支持を解放して、さらに、足裏全体に体重がかかった状態(図5参照)では、足裏本体の足載せ面18への押圧によって中足骨U1...U5が互いの間隙を広げように動き、これらの動きが一足ごとに繰り返される。これにより、日常生活で足指を確実に使った歩行を行わせ、例えば、足指を含めた足部全体の筋肉を動かすことによる筋力アップやダイエット効果、または、血液の循環が良くなって疲労回復や冷え性の緩和、解消等を期待できると同時に、特に足指を含めた足部全体の筋肉、骨等を動かすことによって体全体の筋肉、骨、内臓等へ良好に作用し、体全体の健康増進、健康維持を図ることができる。なお、本実施形態では、健康履物の履物本体はサンダルであったが、それに限らず、例えば、靴、スリッパ、草履等その他種々の形態のものでも良い。
また、図7は、健康履物10aの履物本体の他の実施形態を示しており、図7において、履物本体は靴からなる。図7に示すように、健康履物10は、足を載せる足載せ底部22と、足の甲部側から横側を覆う甲被部24と、甲被部24と履き口を形成しながら一体的に設けられて足のかかと側を覆うかかと被部26と、を有し、さらに、足載せ底部22の内底の足載せ面18のつま先側には、上記実施形態同様に段上がり部16が設けられている。これにより、着用時に、足指を上方に反らせながら段上がり部16の上面に配置させ、歩行に伴って、つま先側への体重移動時ごとに足指を強く緊張させる。従って、上記実施形態同様の作用効果を得ることができる。健康履物10は、靴の形態であるから、足部全体が保護されるとともに、走ったり、坂道や砂利道等の悪路を歩行する際等にも広く適用でき、日常履き用、運動用、労働用、レジャー用等その他広い範囲で利用できる。
以上説明した本発明の健康履物は、上記した実施の形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲の変形も本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る健康履物の斜視図である。
【図2】図1の健康履物の側面説明図である。
【図3】図1の健康履物の平面説明図である。
【図4】歩行時のつま先側へ体重移動した際の作用説明図である。
【図5】歩行時の足裏本体側に体重移動させた際の作用説明図である。
【図6】健康履物を着用した際の骨格の作用例説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る健康履物の斜視図である。
【符号の説明】
10 健康履物
16 段上がり部
20 段上がり段差
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
ページtop へ