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衣服・履物
 
【発明の名称】靴紐留め具
【出願人】
【識別番号】303003993
【氏名又は名称】橋浦 顕
【住所又は居所】宮城県名取市閖上二丁目14−41−1
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100095359
【氏名又は名称】須田 篤
【発明者】
【氏名】橋浦 顕
【住所又は居所】宮城県名取市閖上二丁目14−41−1
【要約】
【課題】
固結びしなくても靴紐が緩むのを防止することができ、経済的でかつ靴紐を結ぶのを容易にする靴紐留め具を提供する。
【解決手段】
留め材10と保持部材20とから成る。留め材10は1本の針金から成る。留め材10は、両端部11,12と中間部13と折り返し部14とを有している。両端部11,12は靴紐孔1に挿入可能に並列に配置され、両端先端に係合部を有する。中間部13は間に靴紐を挟んで保持可能に少なくとも二重に巻かれている。保持部材20は靴紐孔1より大きい端面21を有し、端面21に靴紐2を通す貫通孔22を有する。貫通孔22の内壁に留め材10の各係合部と着脱可能に係合する係合凹部を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐靴の靴紐孔に取り付けられる靴紐留め具であって、
留め材と保持部材とを有し、
前記留め材は1本の線材から成り、両端部が靴紐孔に挿入可能に並列に配置され、両端先端に係合部を有し、中間部が間に靴紐を挟んで保持可能に少なくとも二重に巻かれており、
前記保持部材は靴紐孔より大きい端面を有し、前記端面に靴紐を通す貫通孔を有し、前記貫通孔の内壁に前記留め材の各係合部と着脱可能に係合する係合凹部を有することを、
特徴とする靴紐留め具。
【請求項2】
前記中間部と前記両端部との間に前記中間部を前記両端部の側に折り返す折り返し部を有し、前記中間部の両端のうち前記両端部に近い側が連続する前記両端部の一方の端部側に他方の端部側より前記中間部の中心線がずれていることを、特徴とする請求項1記載の靴紐留め具。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、靴紐が緩むのを防止するための靴紐留め具に関する。
【従来の技術】
バスケットやバレーボール、ハンドボール、卓球、野球、陸上競技などのスポーツを行う際には、一般に紐靴が用いられている。紐靴では、スポーツなどの激しい動きにより靴紐が緩んで解けることがしばしばある。靴紐が解けると、転倒の原因となり、危険である。そこで、従来、靴紐が解けるのを確実に防止したい場合には、靴紐を固結びしていた。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、靴紐を固結びした場合、再び解くことは難しいため、靴を脱ぐとき、靴紐を切る必要があった。このため、靴を脱ぐたびに靴紐を捨てる必要があり、経済的でないという課題があった。また、靴を履くたびに靴紐孔に靴紐を通して結ぶ必要があり、手数がかかるという課題があった。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、固結びしなくても靴紐が緩むのを防止することができ、経済的でかつ靴紐を結ぶのを容易にする靴紐留め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る靴紐留め具は、紐靴の靴紐孔に取り付けられる靴紐留め具であって、留め材と保持部材とを有し、前記留め材は1本の線材から成り、両端部が靴紐孔に挿入可能に並列に配置され、両端先端に係合部を有し、中間部が間に靴紐を挟んで保持可能に少なくとも二重に巻かれており、前記保持部材は靴紐孔より大きい端面を有し、前記端面に靴紐を通す貫通孔を有し、前記貫通孔の内壁に前記留め材の各係合部と着脱可能に係合する係合凹部を有することを、特徴とする。
本発明に係る靴紐留め具は、靴紐を結ぶ位置の靴紐孔を挟んで靴の内側に保持部材を配置し、外側から留め材の両端部を靴紐孔に挿入し、各係合部を係合凹部に係合させて用いられる。靴紐を保持部材の貫通孔および靴紐孔に通し、留め材の中間部の少なくとも二重に巻かれた間に挟み込んで保持させる。靴紐は、留め材の両端部の間から中間部に挟み込むことができる。靴紐を留め材の中間部で保持することにより、靴紐が靴紐孔の方に戻るのを防ぐことができ、靴紐を結ぶのを容易にすることができる。また、靴紐が靴紐孔の方に戻るのを防いでいるため、靴紐を固結びしなくても靴紐が緩むのを防止することができる。靴紐は、固結びをしなくても緩みにくいため、蝶結びなどの解きやすい結び方で結ぶことにより繰り返し使用することができ、経済的である。
なお、留め材の中間部は二重に巻かれていれば通常、靴紐を留めるのに十分であるが、三重以上に巻かれていてもよい。留め材は、針金を曲げて成ることが好ましいが、合成樹脂から成ってもよい。係合部は、留め材の両端先端を折り曲げて成ることが好ましい。係合凹部は、保持部材の内壁を外壁側に貫通していてもよい。留め材、保持部材またはその両方は、紐靴に縫付その他の方法で一体的に取り付けられていてもよい。本発明に係る靴紐留め具は、1足の靴の左足側および右足側の両方に設けられていることが好ましく、また、各靴の左側靴紐孔および右側靴紐孔の両方に設けられていることが好ましい。
本発明に係る靴紐留め具は、前記中間部と前記両端部との間に前記中間部を前記両端部の側に折り返す折り返し部を有し、前記中間部の両端のうち前記両端部に近い側が連続する前記両端部の一方の端部側に他方の端部側より前記中間部の中心線がずれていることが好ましい。
この構成では、中間部の中心線がずれている側の一方の端部を上側にし、折り返された中間部に対し両端部を靴側に配置して留め材を靴紐孔に挿入し、保持部材と係合させて用いられる。靴紐を結ぶ際に、保持部材の貫通孔および靴紐孔に通した靴紐を、留め材の中間部の少なくとも二重に巻かれた間に挟み込むとき、靴紐を靴の内側斜め上方に引き上げるようにして中間部に挟みこむ。靴紐を靴の内側斜め上方に引き上げることにより、靴紐で紐靴を締め付けやすくなる。このとき、中間部は中心線が両端部の一方の端部側にずれているため、留め材の両端部の間から靴の内側斜め上方に引き上げた靴紐を中間部の間で保持しやすくなっている。靴の内側斜め上方に引き上げた靴紐は、留め材の中間部で保持されて靴紐孔の方に戻るのを防がれ、結ぶのが容易である。
なお、保持部材の係合凹部は貫通孔の対向する内壁に設けられ、留め材の両端部は弾力を有して外側に付勢されて係合部が係合凹部と係合していることが好ましい。この場合、簡単な構成で留め材の各係合部と保持部材の係合凹部とを着脱可能に係合することができる。
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図5は、本発明の実施の形態を示している。
図1に示すように、靴紐留め具は、留め材10と保持部材20とから成っている。
図2に示すように、留め材10は、1本の針金から成り、復元可能な弾力性を有している。留め材10は、紐靴の靴紐孔1の左側と右側とで対称の形状を有している。図1および図2に示す留め材10は、紐靴の向かって右側の靴紐孔1用のものである。
留め材10は、両端部11,12と中間部13と折り返し部14とを有している。両端部11,12は、それぞれ直線状に伸びて靴紐孔1に挿入可能に並列に配置され、両端先端にかけて次第に開いている。留め材10は、両端先端に係合部15を有している。係合部15は、両端先端を外側にほぼ直角に折り曲げて成っている。
中間部13は、両端部11,12の間に設けられ、間に靴紐2を挟んで保持可能に二重に丸いバネ状に巻かれている。二重に巻かれた中間部13は、常態で間に隙間がなく互いに接触しており、間を押し開くことにより靴紐2を保持可能となっている。
折り返し部14は、中間部13と両端部11,12との間に設けられている。折り返し部14は、中間部13を両端部11,12の側に180度折り返すよう湾曲している。これにより、中間部13に沿った平面は、両端部11,12に沿った平面と間隔をあけてほぼ平行になっている。折り返された中間部13の中心線は、端部12の側より端部11の側にずれており、ほぼ端部11の上を通っている。端部11は、両端部11,12のうち中間部13の一端13aが連続する側であり、一端13aは中間部13の両端13a,13bのうち両端部11,12に近い側である。このため、図3に示すように、中間部13の中心線と端部12の一端とを結ぶ線と端部12とのなす角が約45度をなしている。
図4および図5に示すように、保持部材20は、かまぼこ型の形状を有し、靴紐孔1より大きい2つの端面21を有している。保持部材20は、2つの端面21に靴紐2を通す断面長方形の貫通孔22を有している。保持部材20は、貫通孔22の対向する側部内壁に係合凹部23を有している。係合凹部23は、側部内壁を外壁側に貫通している。留め材10の両端部11,12は、弾力を有して外側に付勢され、係合部15が係合凹部23と着脱可能に係合している。
次に、作用について説明する。
靴紐留め具は、左右両足の紐靴2の、最上段の靴紐2を結ぶ位置にある2つの靴紐孔1に取り付けられる。靴紐留め具が取り付けられる紐靴は、例えば、バスケットボールシューズやバレーボールシューズ、ハンドボールシューズ、卓球シューズ、野球シューズ、陸上シューズである。
図1に示すように、靴紐留め具は、靴紐2を結ぶ位置の靴紐孔1を挟んで靴の内側に保持部材20を配置し、外側から留め材10の両端部11,12を靴紐孔1に挿入し、両側部の弾力で各係合部15を係合凹部23に係合させて用いられる。このとき、中間部13の中心線がずれている側の一方の端部11を上側にし、折り返された中間部13に対し両端部11,12を靴側に配置して留め材10を靴紐孔1に挿入し、保持部材20と係合させる。
靴紐2を結ぶ際に、靴紐2を保持部材20の貫通孔22および靴紐孔1に通し、留め材10の中間部13の二重に巻かれた間に挟み込んで保持させる。靴紐2は、留め材10の両端部11,12の間から中間部13に挟み込むことができる。このとき、靴紐2を靴の内側斜め上方に引き上げるようにして中間部13に挟みこむ。靴紐2を靴の内側斜め上方に引き上げることにより、靴紐2で紐靴を締め付けやすくなる。
中間部13は中心線が両端部11,12の一方の端部11側にずれているため、留め材10の両端部11,12の間から靴の内側斜め上方に引き上げた靴紐2を中間部13の間で保持しやすくなっている。靴の内側斜め上方に引き上げた靴紐2は、留め材10の中間部13で保持されて靴紐孔1の方に戻るのを防がれるため、子供や握力の弱い人でも結ぶのが容易である。また、靴紐2が靴紐孔1の方に戻るのを防いでいるため、靴紐2を固結びしなくても靴紐2が緩むのを防止することができる。スポーツの競技中に靴紐2が緩んだり解けたりすると、転倒などの事故のおそれがあり、競技がしばしば中断されるが、そのような事故や競技の中断を未然に防止することができる。
また、靴紐2をしっかりと結んで紐靴を締め付けることにより、靴擦れや捻挫を起こしにくくなる。さらに、紐靴を足にフィットさせることにより、靴への負担が少なくなり、靴が長持ちしやすくなる。靴紐2は、固結びをしなくても緩みにくいため、蝶結びなどの解きやすい結び方で結ぶことにより繰り返し使用することができ、経済的である。なお、靴紐2は、堅締め、すなわち、蝶結びにしてできた片方の輪を中心の穴にもう一度入れて締め付けることにより結ぶことが好ましい。堅締めにより、靴紐2を自然には緩みにくいが解きやすく締めることができる。
靴紐留め具を用いることにより、靴紐2をそのまま繰り返し使用できることから、靴を履くたびに靴紐孔1に靴紐2を通して結ぶ必要がなく、靴を履くのに手数がかからない。靴紐留め具は、紐靴が消耗したならば、留め材10の両端部11,12から保持部材20を外して、他の紐靴の靴紐孔1に取り付けて使用することができる。
なお、靴紐留め具の材質の一例を挙げれば、留め材10が焼き入れした鉄、保持部材20がプラスチックである。靴紐留め具の材質、大きさの一例を挙げれば、留め材10は長さ25mm、中間部13の径が10mm、中間部13および両端部11,12の位置の厚みが5mm程度であり、保持部材20の長さが10mm、幅が12mm、高さが6mm程度である。なお、靴紐留め具の材質、大きさ、形状は、実施の形態のものに限定されるものではなく、適宜、設定可能である。
【発明の効果】
本発明によれば、固結びしなくても靴紐が緩むのを防止することができ、経済的でかつ靴紐を結ぶのを容易にする靴紐留め具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の靴紐留め具の使用状態を示す背面図である。
【図2】図1に示す靴紐留め具の留め材の(A)正面図、(B)平面図、(C)背面図である。
【図3】図1に示す靴紐留め具の留め材の中間部の傾きを示す正面図である。
【図4】図1に示す靴紐留め具の保持部材の斜視図である。
【図5】図4に示す保持部材の(A)端面図、(B)側面図、(C)背面図である。
【符号の説明】
1 靴紐孔
2 靴紐
10 留め材
11,12 端部
13 中間部
14 折り返し部
15 係合部
20 保持部材
21 端面
22 貫通孔
23 係合凹部
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
写真1   写真2
写真3写真4
新聞記事
発明者からのメッセージ

捻挫防止・競技の中断事故防止
 靴ヒモの結び方は万国共通で、その結び方である蝶結びは簡単に結ぶことができ、解くのが容易であることから、何かを包む場合、束ねる場合、また靴ヒモや、剣道、空手の防具、ボクシングのグローブの結び等、ありとあらゆる場合にこの結び方を用います。この蝶結びは、強く解けにくい場合に用いるということよりも、何度も繰り返し結ぶ時に良い、また解く時に簡単であるということが、古来より受け継がれてきた所以であると思われます。しかし蝶結びは、長時間動きある場所での結びには適しません。それは、蝶結びの下ヒモ(最初の結び)が固定しない状態では、ゆるみや、解けを早くしてしまう作用があるからです。例えば運動する場合、靴ヒモを強く結んでも、靴の最終穴(ハトメ)でのヒモのもどり≠ェ、動くことによって増幅されしっかり固定した状態が無くなり、ゆるみや解けの原因となるからです。このことから、メーカーによっては最終穴に2つ以上の穴をもうけ、何度もヒモを通すことにより摩擦抵抗を増幅させ、もどり≠無くす工夫をしている靴もありますが、「解く時に時間がかかる」、「面倒である」などがこの穴を利用しない大きな要因となっています。
 靴ヒモをしっかり結ぶということは、単に、ゆるみ、解けによる競技の中断や事故を防ぐだけでなく、捻挫や靴擦れの防止にもつながります。とくに捻挫は、薄いソックスやローソックスの使用、また、ゆるみや解けで、足と靴とがフィットしない状態を続けることによって起こることが多く、子どもや、握力の弱い人はとくに注意を必要とします。

*ケン締め用留め具(ギュッ!と)の効果
ギュッ!と≠使用することにより、ヒモの最終穴へのもどりを無くし、下ヒモが安定(張った状態)するため、解けを防ぐ。
結ぶ時の下ヒモのゆるみが無いため、しっかりグリップし、握力の弱い人などはとくにしっかり結ぶことができる。
ギュッ!と≠使用することにより、解けにくい(数倍の効果)結び方、*ケン締め∴黷ェ可能となる。

“ケン締め”    
蝶結びでできた片方の輪(羽根となる部分)をもう一度中心の穴に入れ(2度入れ)結んだ締め方。
 
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