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飲食・調理
 
【発明の名称】コップホルダ
【出願人】
【識別番号】505090654
【氏名又は名称】竹原 照光
【住所又は居所】大阪府枚方市杉山手一丁目19−2
【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
【発明者】
【氏名】竹原 照光
【住所又は居所】大阪府枚方市杉山手一丁目19−2
【要約】
【課題】簡単な構成で、異なる寸法のコップを保持することができ、安定性に優れるコップホルダを提供する。
【解決手段】コップホルダH1は、円筒状の支持部1と、支持部1と把持部3とを連結する連結部2と、連結部2に連なる基部3aおよび基部3aに連なる弾性変形可能な帯板状の2つの腕部3bを有する把持部3とを備える。2つの腕部3bは、支持部1の軸線Pを囲むように基部3aから湾曲して延びる。各腕部3bは弾性変形可能なので、コップの外径が大きくても確実に保持することができる。各腕部3bを帯板状としたので、コップの外周面に面接触するから、押圧力が局所的に集中せず、コップの変形を防止できる。支持部1は、コップの底部の外径よりも大きい内径を有するから、コップを自立させる場合と比べて、はるかに安定感が増し、コップが容易には倒れない。
【選択図】 図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の外径が底部の外径よりも大きい軟質のコップを保持するためのコップホルダであって、
コップの底部を挿入可能な円筒状の支持部と、
前記支持部の端面または外側面に一端部が連結され、該一端部から前記支持部の軸線に沿って前記支持部の外方へ延びる連結部と、
前記連結部の他端部に連なる基部、および、該基部に連なる弾性変形可能な帯板状の2つの腕部であって、前記支持部の軸線を囲むように前記基部から湾曲または屈曲して延びる2つの腕部を有し、前記支持部にコップの底部が挿入されたとき、前記2つの腕部が該コップの外周面を弾発的に押圧する把持部と、
前記把持部の基部および前記連結部の少なくとも一方に、前記2つの腕部が形成されている側とは反対側に突出して設けられる取手部と、を備えることを特徴とするコップホルダ。
【請求項2】
前記把持部は、コップの底部の外径よりも大きく、かつ、前記支持部にコップの底部が挿入されたときに前記2つの腕部が接触する位置における該コップの外径よりも小さい直径の内接円を有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載のコップホルダ。
【請求項3】
前記各腕部は、前記基部から先端部へ向かって、厚みが減少することを特徴とする請求項1または2に記載のコップホルダ。
【請求項4】
前記把持部の内接円の直径よりも、前記支持部の内径が大きいことを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載のコップホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙や合成樹脂などで製作された軟質なコップを装着して、持ち運び可能に保持するためのコップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
お茶やコーヒーなどの飲料を紙製または合成樹脂製のコップで提供する場合において、飲料が高温であると、飲料の熱でコップ表面が熱くなり、利用者がコップを持つのが難しくなる。そこで、特許文献1または2に示すような、コップを保持するためのコップホルダが従来提案されている。
【0003】
特許文献1のコップホルダは、コップの胴部が挿入される筒状の挿入部に、コップの胴部の外径と等しい内径の挟持部を設けたものであって、この挟持部は、挿入部の下端寄りを、断面く字状にくびれさせることによって形成している。特許文献1によれば、使用者がコップを挿入部内へ押し込むことによって、コップの胴部が、挿入部の上端縁と挟持部の先端との両方で強固に把持されるから、飲食中にコップがコップホルダから外れることがなく、コップを安定した状態に保持してスムーズに飲食できるとされている。
【0004】
特許文献2のコップホルダは、弾性を有する合成樹脂によって成形され、取手部と、取手部と共に一体形成される筒状の保持部とを備え、保持部が、上端部から下端部に向けて形成された間隙部を有する逆円錐台状であるというものである。このコップホルダは、保持部にコップを挿入した状態で取手部を使って持ち上げると、コップの重量と合成樹脂の弾性とによって間隙部が拡がると共に、コップが保持部に内接して保持される。また、コップの飲み口部分が保持部と重ならないようになされている。
【0005】
特許文献2のコップホルダによれば、間隙部を設けた保持部の弾性を利用して、サイズの異なる二種以上の飲料用カップを保持することができる。また、コップを保持するために、コップの重量、保持部の弾性、および、コップと保持部の内側面との摩擦を利用しているので、小さい力で簡単にかつ安定的にコップを保持することができ、コップをコップホルダに保持したまま、内容物を飲用することができる、という効果を発揮するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−58774号公報
【特許文献2】特開2008−67827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のコップホルダは、筒状の挿入部に、コップの胴部の外径と等しい内径の挟持部を設け、挿入部の上端縁と挟持部の先端との両方でコップを把持するというものであるから、外径が異なるコップに対応することができない。たとえば、市販の紙コップとして、Sサイズ(開口部直径65mm、底部直径48mm、高さ73mm)とMサイズ(開口部直径73mm、底部直径52mm、高さ81mm)とがあり、Mサイズの紙コップ用に成形されたコップホルダに、Sサイズの紙コップを挿入すると、紙コップとコップホルダとの間に隙間ができ、紙コップを安定して保持できない。さらに場合によっては、Sサイズの紙コップの飲み口部分がコップホルダに触れてしまい、複数の利用者による繰り返し使用が衛生上困難になる、という問題を生じさせる。また反対に、Sサイズの紙コップ用に製作されたコップホルダにMサイズの紙コップを挿入した場合は、Mサイズの紙コップを挟持部まで届かせることができず、Mサイズの紙コップの保持状態が不安定になる。
【0008】
特許文献2のコップホルダは、合成樹脂から成る逆円錐台状の筒状の保持部に、上端部から下端部に向かう間隙部を形成することによって、保持部に挿入したコップを、保持部の弾性と摩擦力とによって保持するものであり、保持部が弾発的に広がることによって、外径の異なる二種以上のコップの保持を可能にしたものである。しかし、特許文献2のコップホルダが装着されたコップは、倒れ易いという問題がある。特許文献2のコップホルダが装着されたコップは、その底部でテーブルなどの載置面上に自立させるものである。コップは、開口部の外径に比べて、底部の外径が小さくなっており、元来、安定性が低い形状である。しかも特許文献2のコップホルダは、保持部の外側面に取手部を有しているので、コップホルダを装着したコップの重心が、コップの中心軸から変移している。そのため、特にコップ内の飲料が少量で、全体の重量が軽くなっているときは、少しの外力でもコップが倒れ易く、内部の飲料をこぼし易いという問題を有している。
【0009】
本発明の目的は、コップを容易には倒れないように安定して保持することができ、大きさの異なるコップを保持することが可能なコップホルダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、開口部の外径が底部の外径よりも大きい軟質のコップを保持するためのコップホルダであって、
コップの底部を挿入可能な円筒状の支持部と、
前記支持部の端面または外側面に一端部が連結され、該一端部から前記支持部の軸線に沿って前記支持部の外方へ延びる連結部と、
前記連結部の他端部に連なる基部、および、該基部に連なる弾性変形可能な帯板状の2つの腕部であって、前記支持部の軸線を囲むように前記基部から湾曲または屈曲して延びる2つの腕部を有し、前記支持部にコップの底部が挿入されたとき、前記2つの腕部が該コップの外周面を弾発的に押圧する把持部と、
前記把持部の基部および前記連結部の少なくとも一方に、前記2つの腕部が形成されている側とは反対側に突出して設けられる取手部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記把持部が、コップの底部の外径よりも大きく、かつ、前記支持部にコップの底部が挿入されたときに前記2つの腕部が接触する位置における該コップの外径よりも小さい直径の内接円を有するように形成されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記各腕部が、前記基部から先端部へ向かって、厚みが減少することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記把持部の内接円の直径よりも、前記支持部の内径が大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコップホルダは、支持部をテーブルなどの載置面上に置き、この状態で、開口部の外径が底部の外径よりも大きい軟質のコップを、把持部の上方から2つの腕部の間へ差し入れ、コップの底部を支持部に挿入することによって、コップを装着する。また、装着されているコップを、把持部の上方へ引き上げることにより、容易にコップをコップホルダから取り外すことができる。このように本発明に係るコップホルダは、コップの着脱作業が容易である。そして、コップを装着したコップホルダの取手部を掴み、コップホルダと共にコップを持ち上げて、コップ内に収容した飲料を飲むことができる。
【0015】
本発明に係るコップホルダによれば、コップの底部を支持部に挿入したとき、弾発的に広がった2つの腕部が、コップの外周面を押圧するから、コップを安定に保持できる。また、各腕部は弾性変形可能であり、コップの外径に合わせて弾発的に広がるので、コップの外径が大きくても、その外周面を押圧して確実に保持できる。すなわち、外径の異なるコップの保持が可能である。
【0016】
各腕部は、帯板状なので、コップの外周面に面接触することができる。したがって、各腕部を、コップの外周面に点接触または線接触させる場合と比べて、各腕部がコップの外周面を押圧するときに、押圧力を局所的に集中させないので、コップが過度に変形するのを防止できる。
【0017】
一般に紙コップなどは、底部の直径が開口部の直径よりも小さい円錐台形状であり、安定性が低い。本発明のコップホルダは、支持部が、コップの底部を挿入可能とするため、コップの底部の外径よりも大きい内径を有しているから、支持部の軸方向の投影面積は、コップの底部の面積よりも大きい。したがって、支持部をテーブルなどの載置面上に置いた状態のコップホルダにコップを装着して、コップを起立状態に保持するとき、コップをその底部で自立させる場合と比べるとはるかに安定度が増大し、コップが容易には倒れないようになる。
【0018】
また支持部は円筒状なので、コップの底部を挿入したときに、支持部の内周面が、コップの底部近傍の外周面を取り囲む。把持部は軟質のコップを押圧するものであるから、コップを変形させることがないよう、あまり大きな押圧力は採用されない。そのため、たとえば使用者がコップに触れたときの外力などで、コップの姿勢が変化する場合があり、コップの姿勢の変化に伴い、その底部が支持部内で移動する。本発明では、コップの姿勢が変化したとき、コップの底部近傍の外周面を、支持部の内周面に当接させるから、コップの極度な姿勢変化を阻止できる。さらに、支持部は円筒状であり、把持部の腕部は帯板状であり、いずれも汚れを付着、残留させやすい入隅を持たない形状であるため、洗浄が容易であり、衛生性に優れる。
【0019】
また本発明によれば、把持部が、コップの底部の外径よりも大きく、かつ、支持部にコップの底部が挿入されたときに2つの腕部が接触する位置における該コップの外径よりも小さい直径の内接円を有するように形成されるので、コップを装着する際に、コップの底部を、2つの腕部の間へ容易に挿入することができる。そして、コップの底部を支持部に挿入したとき、2つの腕部を、コップの外周面へ確実に弾発的に接触させることができる。
【0020】
また本発明によれば、各腕部が、基部から先端へ向かって、厚みが減少するので、腕部の変形を容易にすることができる。
【0021】
また本発明によれば、把持部の内接円の直径よりも、支持部の内径が大きいので、コップを保持した状態で、テーブルなどに載置したときの安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコップホルダH1の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るコップホルダH1の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るものであって、コップKの正面図と、図2のA−A線におけるコップホルダH1の断面図とを示すものである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るものであって、図4(A)は、大きさの異なるコップK(M)およびK(S)を装着したときの把持部3の変化を示す平面図、図4(B)は、図4(A)のB−B線における断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るコップホルダH1の内周面を表す周方向展開図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るコップホルダH2の斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るものであって、図7(A)はコップホルダH2の平面図、図7(B)は、図7(A)のC−C線におけるコップホルダH2の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るものであって、図8(A)は、コップホルダH3の把持部3を示す正面図、図8(B)は、把持部3の平面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るものであって、図9(A)は、コップホルダH4の把持部3を示す正面図、図9(B)は、把持部3の平面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るものであって、図10(A)は、コップホルダH5の把持部3を示す正面図、図10(B)は、把持部3の平面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係るものであって、図11(A)は、コップホルダH6の把持部3を示す正面図、図11(B)は、コップホルダH6の平面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係るものであって、図12(A)は、コップホルダH7の把持部3を示す正面図、図12(B)は、コップホルダH7の平面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係るものであって、図13(A)は、コップホルダH8の把持部3を示す正面図、図13(B)は、コップホルダH8の平面図である。
【図14】本発明の第9の実施形態に係るものであって、図14(A)は、コップホルダH9の斜視図、図14(B)は、コップホルダH9の側面図である。
【図15】本発明の第10の実施形態に係るものであって、図15(A)は、コップホルダH10の斜視図、図15(B)は、コップホルダH10の側面図である。
【図16】本発明の第11の実施形態に係るコップホルダH11の斜視図である。
【図17】本発明の第12の実施形態に係るコップホルダH12の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
図1〜5は、本発明の第1の実施形態に係るものであって、図1はコップホルダH1の斜視図、図2はコップホルダH1の平面図、図3はコップKの正面図と図2のA−A線におけるコップホルダH1の断面図とを示すもの、図4(A)は、大きさの異なるコップK(M)およびK(S)を装着したときの把持部3の変化を示す平面図、図4(B)は、図4(A)のB−B線における断面図、図5はコップホルダH1の内周面を表す周方向展開図である。
【0024】
本実施形態のコップホルダH1は、開口部11の外径E1が底部13の外径E2よりも大きい軟質のコップKを装着して保持するためのものであって、支持部1、連結部2、把持部3および取手部4を備える。コップホルダH1は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリルーブタジエンースチレン)などの合成樹脂を用いて、全体を一体成形して製作することができるが、各部材を個別に成形し、それらを一体に組み付けて製作することも可能である。各部材を個別に成形する場合は、部材によって材料を変えてもよい。たとえば、強度が必要な支持部1および連結部2は、硬質の合成樹脂、金属、セラミックなどの剛性の高い材料で成形し、弾性変形することが必要な把持部3は軟質な合成樹脂で成形し、強度と断熱性とが必要な取手部4は、合成樹脂やセラミックで成形することが考えられる。
【0025】
支持部1は、コップKの底部13を挿入可能な円筒状の部材である。コップKの底部13を挿入可能とするため、支持部1は、その内径D2が、コップKの底部13の外径E2よりも大きくなるように形成される(図3参照)。
【0026】
連結部2は、支持部1の端面1aまたは外側面に一端部が連結され、該一端部から支持部1の軸線Pに沿って、支持部1の外方へ延びる部材である。本実施形態では、支持部1と同心同径の円筒の一部から成る形状とした。なお連結部2は、支持部1と把持部3とを一定間隔を置いて連結する機能を有すればよいので、たとえば平板状や棒状の部材とすることもできる。
【0027】
把持部3は、連結部2によって、支持部1と間隔を置いて連結されるものであって、連結部2の他端部に連なる基部3aと、この基部3aに連なる弾性変形可能な帯板状の2つの腕部3bとを有している。2つの腕部3bはそれぞれ、基部3aから、支持部1の軸線Pを囲むように、かつ外方へ凸となるように、湾曲または屈曲して延びる部材である。本実施形態の各腕部3bは、合成樹脂などの弾性変形可能な材料から成り、基部3aから互いに離隔する方向へ延び、支持部1の軸線Pを中心とする円弧に沿って湾曲し、各先端部3cへ向かって互いに接近する形状となっている。また本実施形態では、各先端部3cの間に、間隙dを設けてある。本実施形態の把持部3は、全体として、支持部1と同心同径の円筒の一部を切り欠いた形状となっている。
【0028】
取手部4は、連結部2および把持部3の基部3aの少なくとも一方であって、腕部3bが形成されている側とは反対側の部分に突出して設けられる部材である。連結部2および把持部3の基部3aの少なくとも一方に設けられるとは、取手部4の固定箇所が、連結部2または基部3aのいずれか一方を含んでいればよいことを意味する。したがって、取手部4の固定箇所が、把持部3の基部3aから連結部2に跨った状態、連結部2から支持部1に跨った状態、さらには基部3aから支持部1まで跨った状態でもよい。取手部4を固定する手段として、図面には、リベット5を用い、かしめによって固定する構造を例示したが、接着剤によって固定する構造も可能であり、さらに、連結部2および把持部3の少なくとも一方と一体成形することも可能である。なお、取手部4の形状は、特に限定されるものではないが、使用者が指先で把持し易い形状であることが望ましく、側面視した形状が、矩形状、半円状、逆L字状などであればよい。
【0029】
次に、図3を用いて、コップホルダH1と、コップKとの寸法関係について説明する。コップホルダH1は、装着対象とするコップKの外径寸法に合わせて製作される。図3に示すように、開口部11の外径がE1、底部13の外径がE1よりも小さいE2、高さがFであるコップKに対し、コップホルダH1の把持部3の内径(内接円の直径)をD1、支持部1の内径をD2、高さをGとすると、D1およびD2は、コップKの底部13の外径E2より大きく(好ましくは2〜3mm大きく)、D1は、コップKの高さGの位置における外周面12の外径E3よりも小さく設定される。さらに支持部1の内径D2は、把持部3の内径D1よりも大きいことが望ましい。したがって、E2<D2、E2<D1<E3、D1<D2となる。
【0030】
把持部3は、弾発的に広がることが可能である。内径が、D1からD1+αまで拡大可能であるとすると、このコップホルダH1は、底部13の外径E2<D2であって、高さGにおける外径E3が、D1より若干大きい寸法のコップKから、E3=D1+αまでの寸法のコップKを、弾発的に押圧した状態で保持することが可能である。なお前記αの大きさは、把持部3の内径D1や厚み寸法、把持部3を形成する材質などによって決まる。
【0031】
コップホルダH1の高さGは、コップKの高さFに基づいて決められる。すなわち、コップKを安定して保持するため、コップKの高さFの50%以上であることが望ましい。また、コップホルダH1に装着した状態のコップKから飲料を飲むときに、使用者の口が直接コップホルダH1に触れないようにするため、コップホルダH1の高さGは、コップKの高さFの60%以下であることが望ましい。
【0032】
把持部3の高さ寸法g1と、支持部1の高さ寸法g2とは、異なっていても等しくてもよい。なお、前述の各数値は例示であり、本発明を限定するものではない。
【0033】
コップKをコップホルダH1に装着するには、コップホルダH1をテーブルTなどの載置面上に置いた状態で、コップKを、把持部3の上方から2つの腕部3bの間に差し込んで、コップKの底部13を支持部1に挿入する。コップKの高さGにおける外径E3は、把持部3の内径D1よりも大きいから、弾発的に広がった2つの腕部3bが、コップKの外周面12を押圧して挟持する。
【0034】
図4は、前記のごとく構成されるコップホルダH1に、大きさの異なるコップK(M)およびK(S)を装着した状態を示すものである。たとえばコップK(M)は、開口部直径73mm、底部直径52mm、高さ81mmであり、コップK(S)は、開口部直径65mm、底部直径48mm、高さ73mmである。把持部3の内径D1は55mm、支持部1の内径D2は57mmである。
【0035】
把持部3の各腕部3bは、装着するコップKの外径寸法に応じて弾発的に変移し、コップKの外周面を押圧して挟持する。すなわち、把持部3が接する位置におけるコップKの外径E3が、把持部3の内径D1よりわずかに大きい程度の小型のコップK(S)を装着するときは、各腕部3bの変移は小さい。これに対し、把持部3が接する位置における外径E3が、把持部3の内径D1より十分に大きい大型のコップK(M)を装着するときは、各腕部3bは大きく変移して内径を拡大することによって、コップK(M)の外周面を押圧する。このように、本実施形態のコップホルダH1は、大きさの異なるコップKを装着して保持することが可能である。
【0036】
なお前述の説明では、装着するコップKの寸法に合わせて、コップホルダH1を製作する場合を想定しているが、反対に、コップホルダH1の寸法に基づいて、装着可能な寸法のコップKを選択して使用することも可能である。
【0037】
本実施形態のコップホルダH1は、2つの腕部3bを帯板状としたので、コップKを装着したときに、把持部3とコップKとの接触が面接触になる。コップKは、開口部11の外径E1が底部13の外径E2よりも大きいから、外周面12はテーパ面となっている。そのため、把持部3の内周面全体を、コップKの外周面12に接触させることができない場合があると考えられるが、そのような場合でも、各腕部3bが帯板状であるので、たとえば図5に例示するように、把持部3は、その内周面上部10aでコップKに面接触して、コップKを保持する。したがって、点接触や線接触させる場合のように、コップKに対する押圧力を局所的に集中させることがないから、把持部3がコップKを押圧して保持する際に、コップKが過度に変形するのを回避できる。また、取手部4を掴んで、コップKを保持したコップホルダH1を持ち上げるとき、コップKは、把持部3の押圧力で若干変形した状態で持ち上げられる。本実施形態では、その変形程度を、利用者がコップKを直接手で掴んで持ち上げるときのコップKの変形程度に近いものとしたので、コップホルダH1でコップKを持ち上げるときに、コップKを直接掴んで持ち上げるときに近い感触を感じることができる。
【0038】
次に、把持部3の形状に関する様々な変形例を、第2〜第8実施形態に示す。
(第2の実施形態)
図6、7は、本発明の第2の実施形態に係るものであって、図6は、コップホルダH2の斜視図、図7(A)は、コップホルダH2の平面図、図7(B)は、図7(A)のC−C線におけるコップホルダH2の断面図である。
【0039】
本実施形態のコップホルダH2は、把持部3の各腕部3bを、基部3aから先端部3cへ向かって、厚みtが連続的に減少するように形成したものである。かかる構成により、コップホルダH2を、保形性の高い比較的硬質の樹脂で製作する場合であっても、腕部3bの厚みtを先端部3cへ向かって減少させることによって、腕部3bが弾性変形し易くなる。よって、コップKを装着する際に、大きな力を必要とせずに、腕部3bを弾発的に変形させることが可能になる。
【0040】
なお本実施形態では、支持部1を、把持部3に合わせて、厚み寸法が連続的に減少するように形成したが、支持部1の厚み寸法は、一定でもよい。
【0041】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係るものであって、図8(A)は、コップホルダH3の把持部3を示す正面図、図8(B)は、把持部3の平面図である。本実施形態のコップホルダH3は、各腕部3bの先端部3cどうしの間に形成される間隙dの寸法を変更したものである。本実施形態のごとく、把持部3が、支持部1の軸線Pを中心とする円筒の一部を切り欠いた形状を有している場合、間隙dの大きさは、該間隙dを含んだPを中心とする円弧の中心角θの値で表すことができる。第1の実施形態ではθ=約40度であり、本実施形態ではθ=約90度である。このように、腕部3bの先端部3c間の間隙dの大きさは、適宜変更可能である。なお、間隙dの望ましい大きさを、中心角θの範囲で表すと、0〜120度である。
【0042】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係るものであって、図9(A)は、コップホルダH4の把持部3を示す正面図、図9(B)は、把持部3の平面図である。本実施形態のコップホルダH4は、把持部3の全体が円筒状であって、2つの腕部3bの先端部3cどうしが接触するように形成したものである。したがって本実施形態の把持部3は、円筒の一箇所を、軸線方向に切断したごとき形状となる。
【0043】
本実施形態のように、各腕部3bの先端部3cどうしを接触させる場合でも、コップKを把持部3内へ挿入したときに、弾発的に拡がった各腕部3bで、コップKの外周面を弾発的に押圧することができる。
【0044】
(第5の実施形態)
図10は、本発明の第5実施形態に係るものであって、図10(A)は、コップホルダH5の把持部3を示す正面図、図10(B)は、把持部3の平面図である。本実施形態のコップホルダH5は、把持部3の全体が円筒状であって、2つの腕部3bを、各先端部3cの近傍部分だけ、各先端部3cへ向かって厚みtを減少させるとともに、この厚みtを減少させた部分が内外に重なり合うように形成したものである。したがって、本実施形態の把持部3は、円筒の一箇所を、厚み方向に対し傾斜し、かつ、軸線と平行な方向に切断したごとき形状となる。
【0045】
本実施形態のように、各腕部3bの先端部3c付近を重なり合わせる場合でも、コップKを把持部3内へ挿入したときに、弾発的に拡がった各腕部3bで、コップKの外周面を弾発的に押圧することができる。なお本実施形態では、コップKを把持部3に挿入したときに、2つの腕部3bが拡がっても、各先端部3cの間に隙間が生じないから、コップKが脱落しにくいという利点を有する。
【0046】
(第6の実施形態)
図11は、本発明の第6の実施形態に係るものであって、図11(A)は、コップホルダH6の把持部3を示す正面図、図11(B)は、コップホルダH6の平面図である。本実施形態のコップホルダH6は、把持部3の全体が円筒状であって、2つの腕部3bの各先端部3c近くの部分を、各先端部3cへ向かって高さg1を減少させるとともに、この高さg1を減少させた部分が上下に重なり合うように形成したものである。したがって、本実施形態の把持部3は、円筒の一箇所を、軸方向に対し傾斜する方向に切断したごとき形状となる。
【0047】
本実施形態のように、各腕部3bの先端部3c付近を上下に重なり合わせる場合でも、コップKを把持部3内へ挿入したときに、弾発的に拡がった各腕部3bで、コップKの外周面を弾発的に押圧することができる。なお本実施形態では、コップKを把持部3に挿入したときに、2つの腕部3bが広がっても、各先端部3cどうしが上下に重なり合った状態が維持されるから、コップKが脱落しにくいという利点を有する。
【0048】
(第7の実施形態)
図12は、本発明の第7の実施形態に係るものであって、図12(A)は、コップホルダH7の把持部3を示す正面図、図12(B)は、コップホルダH7の平面図である。本実施形態のコップホルダH7は、把持部3を、平面視形状がほぼ矩形を成すように形成したものである。すなわち、本実施形態の2つの腕部3bは、支持部1の軸線Pを囲むように形成されるものであって、各腕部3bはそれぞれ、はじめに基部3aから互いの成す角度が直角となるように延び、途中で直角に屈曲し、各先端部3cへ向かって互いに近接する形状に形成されている。
【0049】
本実施形態のコップホルダH7は、把持部3にコップKを挿入したときに、弾発的に拡がった2つの腕部3bの内側面3dが、コップKの外周面に接して弾発的に押圧することにより、該コップKを保持する。2つの腕部3bの内側面3dは、コップKの外周面に、4箇所で接触する。なお把持部3は、その内接円の直径D3を、コップKの底部13の外径E2よりも大きく、かつ、支持部1の内径D2と等しいか、または、D2よりも小さくすることが望ましい。
【0050】
(第8の実施形態)
図13は、本発明の第8の実施形態に係るものであって、図13(A)は、コップホルダH8の把持部3を示す正面図、図13(B)は、コップホルダH8の平面図である。本実施形態のコップホルダH8は、把持部3を、平面視形状がほぼ六角形を成すように形成したものである。すなわち、本実施形態の2つの腕部3bは、支持部1の軸線Pを囲むように形成されるものであって、各腕部3bはそれぞれ、はじめに基部3aから互いの成す角度が120度となるように延び、途中で120度に屈曲し、さらに再び120度に屈曲したのち、各先端部3cへ向かって互いに近接する形状に形成されている。
【0051】
本実施形態のコップホルダH8は、把持部3にコップKを挿入したときに、弾発的に拡がった2つの腕部3bの内側面3dが、コップKの外周面に接して弾発的に押圧することにより、該コップKを保持する。2つの腕部3bの内側面3dは、コップKの外周面に、6箇所で接触する。なお把持部3は、その内接円の直径D4を、コップKの底部13の外径E2よりも大きく、かつ、支持部1の内径D2と等しいか、または、D2よりも小さくすることが望ましい。
【0052】
(第9の実施形態)
図14は、本発明の第9の実施形態に係るものであって、図14(A)は、コップホルダH9の斜視図、図14(B)は、コップホルダH9の側面図である。本実施形態のコップホルダH9は把持部6,7を複数設けたものである。本実施形態は、支持部1に連結した連結部2に連なる2つの基部6a,7aを上下に配設し、各基部6a,7aそれぞれから、支持部1の軸線Pを囲むように湾曲して延びる2つの腕部6b,7bを形成して、把持部6,7と成したものである。なお本実施形態のごとく、2つの把持部6,7を上下に配置して形成する場合、保持するコップKの外周面の形状に合わせて、上側の把持部6の内径を大きく、下側の把持部7の内径を小さく形成してもよい。
【0053】
(第10の実施形態)
図15は、本発明の第10の実施形態に係るものであって、図15(A)は、コップホルダH10の斜視図、図15(B)は、コップホルダH10の側面図である。本実施形態のコップホルダH10は、把持部3の上に、コップKの装着および保持を補助するための補助リング8を設けたものである。この補助リング8は、連結部2を上方へ延長し、その上端部に連結したものであり、その軸線が、把持部3の軸線Pと共通するか、または近接するように配置したものである。なお、補助リング8の内径は、コップKにおける補助リング8と同じ高さ位置の外周面12の外径よりも大きく形成される。
【0054】
本実施形態のコップホルダ10は、補助リング8によって、コップKを把持部3内へ挿入する際の位置決め機能が発揮されるので、コップKの装着作業が容易になる。また、補助リング8は、把持部3よりも上方で、コップホルダH10に装着したコップKの外周面を支持するから、高さ寸法Fの大きいコップKを安定して保持できる利点が得られる。
【0055】
(第11の実施形態)
図16は、本発明の第11の実施形態に係るコップホルダH11の斜視図である。本実施形態のコップホルダH11は、支持部1の下端側に、外方へ突出するフランジ9を形成したものである。フランジ9により、支持部1の投影面積が拡大するから、コップホルダH11の安定性が向上する。さらに本実施形態では、支持部1および把持部3の各上端部に、外側へ広がるテーパ部1b,3dを形成した。デーパ部1b,3dにより、コップKの挿入が案内されるので、コップKをコップホルダH11に装着するのが容易になる。
【0056】
(第12の実施形態)
図17は、本発明の第12の実施形態に係るコップホルダH12の斜視図である。本実施形態のコップホルダH12は、把持部3に、係止フック20を形成したものである。本実施形態では、把持部3の一方の腕部3bの外側面に、該腕部3bの下端部から起立するL字型の係止フック20を形成した。この係止フック20は、たとえばスプーンやマドラーなどを係止することができるものである。
【0057】
(その他の実施形態)
コップホルダH1〜12を形成する合成樹脂材料に、銀などの抗菌材料を混合して、コップホルダH1〜12に抗菌性を持たせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 支持部
2 連結部
3 把持部
3a 基部
3b 腕部
3c 先端部
4 取手部
5 リベット
d 間隙
H1〜H12 コップホルダ
P 軸線
K コップ
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコップホルダH1の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るコップホルダH1の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るものであって、コップKの正面図と、図2のA−A線におけるコップホルダH1の断面図とを示すものである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るものであって、図4(A)は、大きさの異なるコップK(M)およびK(S)を装着したときの把持部3の変化を示す平面図、図4(B)は、図4(A)のB−B線における断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るコップホルダH1の内周面を表す周方向展開図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るコップホルダH2の斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るものであって、図7(A)はコップホルダH2の平面図、図7(B)は、図7(A)のC−C線におけるコップホルダH2の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るものであって、図8(A)は、コップホルダH3の把持部3を示す正面図、図8(B)は、把持部3の平面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るものであって、図9(A)は、コップホルダH4の把持部3を示す正面図、図9(B)は、把持部3の平面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るものであって、図10(A)は、コップホルダH5の把持部3を示す正面図、図10(B)は、把持部3の平面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係るものであって、図11(A)は、コップホルダH6の把持部3を示す正面図、図11(B)は、コップホルダH6の平面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係るものであって、図12(A)は、コップホルダH7の把持部3を示す正面図、図12(B)は、コップホルダH7の平面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係るものであって、図13(A)は、コップホルダH8の把持部3を示す正面図、図13(B)は、コップホルダH8の平面図である。
【図14】本発明の第9の実施形態に係るものであって、図14(A)は、コップホルダH9の斜視図、図14(B)は、コップホルダH9の側面図である。
【図15】本発明の第10の実施形態に係るものであって、図15(A)は、コップホルダH10の斜視図、図15(B)は、コップホルダH10の側面図である。
【図16】本発明の第11の実施形態に係るコップホルダH11の斜視図である。
【図17】本発明の第12の実施形態に係るコップホルダH12の斜視図である。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7
【図8】
図8 
【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
図12
【図13】
図13
【図14】
図14
【図15】
図15
【図16】
図16
【図17】
図17
発明者からのメッセージ
説明文 
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