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飲食・調理
 
【発明の名称】追加シンク装置
【特許権者】
【識別番号】501430113
【氏名又は名称】石井 儀麿
【住所又は居所】鹿児島県鹿児島市紫原1丁目3番46―32
【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
【発明者】
【氏名】石井 儀麿
【住所又は居所】鹿児島県鹿児島市紫原1丁目3番46―32
【参考文献】
【文献】実公昭62−043007(JP,Y2)
【文献】特開2004−218297(JP,A)
【文献】特開平09−094123(JP,A)
【文献】実公昭54−025342(JP,Y2)
【文献】特開平01−291824(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139279(JP,U)
【文献】実開昭54−104269(JP,U)
【文献】実開昭54−077133(JP,U)
【文献】特開2001−286405(JP,A)
【文献】登録実用新案第3173904(JP,U)
【文献】実開昭61−071664(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/00−77/18
E03C 1/18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の流し台のシンク空間内に上から配置し、前記シンク空間内の作業領域の高さを調整する追加シンク装置であって、排水口付きの底板及び該底板に連続する側板を有し、前記シンク空間に配置可能な平面視して長方形の小型シンク槽と、該小型シンク槽の蓋と、前記小型シンク槽の底板周囲に取付けられ、それぞれの底部にはクッション部材が設けられて、それぞれ長さの異なる複数種の脚と取替え可能な4本の脚とを備える追加シンク装置において、
前記排水口には該排水口を塞ぐ栓が設けられ、前記小型シンク槽の上側周囲には補強枠が設けられ、かつ前記蓋は左右に2分割されて左蓋部と右蓋部を有し、該左蓋部と該右蓋部の周囲に前記補強枠に外側から被さる縁板部を有し、しかも分割された前記蓋の蓋板の底面には前記縁板部とは隙間を有して縦横に補強リブが設けられ、分割された前記蓋はまな板又は食材を載せる載置板として使用できることを特徴とする追加シンク装置。
【請求項2】
請求項1記載の追加シンク装置において、前記4本の脚はロッド材からなって、該ロッド材はそれぞれ前記小型シンク槽の底から突出する凸部に嵌着する凹部を上端に有していることを特徴とする追加シンク装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の追加シンク装置において、前記蓋の周囲には該蓋の上面から流れ落ちる水を集める樋が設けられていることを特徴とする追加シンク装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の追加シンク装置において、前記小型シンク槽、前記蓋、及び前記4本の脚は、硬質のプラスチック材からなっていることを特徴とする追加シンク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の流し台のシンク空間に追加シンク装置を設置し、利用者の身長に合わせて脚部の長さを調整して、流し台作業の高さ位置を調整できる追加シンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の流し台は、設置時に高さが固定されるため、利用者の身長が流し台の高さに合わない場合には大変不便であった。このような問題を解決するために、特許文献1に記載のように、設置後にシンク部の高さを調整する機構を備えた流し台がある。
【0003】
一方、特許文献2〜4には、シンクの高さ調整が可能な流し台装置が提案されているが、これらは、既存の流し台の高さ調整を行うものではなく、例えば、屋外で使用する流し台において、それぞれの作業高さを調整可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−77367号公報
【特許文献2】特開2004−218297号公報
【特許文献3】特開平8−151670号公報
【特許文献4】特開2001−3404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、装置全体が大掛かりとなり、設置費用が高くなるという問題がある。また、実際の作業においても、特許文献1の技術では、左右別々にシンクの高さを調整しているので、左右のバランス調整も必要となり、作業性が悪いという問題があった。
また、特許文献2〜4記載の技術は、既設の流し台のシンクに別のシンク(追加シンク装置)を入れて使用するものではなく、本願発明と共通の課題を有するものではない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、既設の流し台のシンクをそのまま利用し、作業者の身長に応じて新たに設置した小型シンク槽の高さを変更可能な追加シンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る追加シンク装置は、既設の流し台のシンク空間内に上から配置し、前記シンク空間内の作業領域の高さを調整する追加シンク装置であって、排水口付きの底板及び該底板に連続する側板を有し、前記シンク空間に配置可能な平面視して長方形の小型シンク槽と、該小型シンク槽の蓋と、前記小型シンク槽の底板周囲に取付けられ、それぞれの底部にはクッション部材が設けられて、それぞれ長さの異なる複数種の脚と取替え可能な4本の脚とを備える追加シンク装置において、
前記排水口には該排水口を塞ぐ栓が設けられ、前記小型シンク槽の上側周囲には補強枠が設けられ、かつ前記蓋は左右に2分割されて左蓋部と右蓋部を有し、該左蓋部と該右蓋部の周囲に前記補強枠に外側から被さる縁板部を有し、しかも分割された前記蓋の蓋板の底面には前記縁板部とは隙間を有して縦横に補強リブが設けられ、分割された前記蓋はまな板又は食材を載せる載置板として使用できる。
ここで、小型シンク槽は、通常家庭で使用する流し台のシンクに入る大きさであり、例えば、間口500〜700mm、奥行き350〜400mm、深さ150〜200mm程度の上部開放の容器をいう。
【0008】
【0009】
【0010】
第2の発明に係る追加シンク装置は、第1の発明に係る追加シンク装置において、前記4本の脚はロッド材からなって、該ロッド材はそれぞれ前記小型シンク槽の底から突出する凸部に嵌着する凹部を上端に有している。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
第3の発明に係る追加シンク装置は、第1、第2の発明に係る追加シンク装置において、前記蓋の周囲には該蓋の上面から流れ落ちる水を集める樋が設けられている。
【0015】
【0016】
第4の発明に係る追加シンク装置は、第1〜第3の発明に係る追加シンク装置において、前記小型シンク槽、前記蓋、及び前記4本の脚は、硬質のプラスチック材からなっている。
【0017】
【発明の効果】
【0018】
第1〜第4の発明に係る追加シンク装置には、既設の流し台を改造することなく、身長に合わせて適切な高さの流し台を形成でき、作業効率の改善と、腰への負担の軽減が可能となる。
【0019】
また、小型シンク槽の底板には、排水口が設けられているので、特別な配管を要することなく、既設の流し台の排水口にそのまま排水することができる。
勿論、排水口に栓をすると小型シンク槽を水溜め槽として利用できる。更に蓋を被せると密閉容器となる。
【0020】
特に、蓋の上面をまな板とした場合は蓋の上面を有効に利用できる。そして、蓋の周囲に樋を設けた場合は、蓋の周囲から流れ落ちる水の飛散を防止できる。
また、追加シンク装置全体を硬質のプラスチック材で作った場合は、軽量化が達成でき持ち運び易くなり、更に透明のプラスチック材を使用した場合は、小型シンク槽の内部を外から視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る追加シンク装置を用いたシンク空間の作業領域の高さ調整方法の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る追加シンク装置の蓋を省略した断面図である。
【図3】同追加シンク装置の底面図である。
【図4】同追加シンク装置の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る追加シンク装置の蓋を省略した断面図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ本発明の第3の実施の形態に係る追加シンク装置の平面図及び断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る追加シンク装置の説明図であって、(A)は蓋の側面図、(B)は同蓋の平面図、(C)は脚付きの小型シンク槽の平面図、(D)は同
正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る追加シンク装置を用いたシンク空間の作業領域の高さ調整方法は、既設の流し台10のシンク空間11内に上から配置する追加シンク装置(本体)12を予め用意し、この追加シンク装置12によって、流し台10のシンク空間11の作業領域の高さを調整している。以下、これらについて詳しく説明する。
【0024】
図2〜図4に示すように、前記シンク空間の作業領域の高さ調整方法に使用する本発明の第1の実施の形態に係る追加シンク装置12は、シンク空間11に上から設置可能で、排水口13a付きの底板13及び底板13に連続する側板14〜17を有する小型シンク槽18と、小型シンク槽18の蓋19と、小型シンク槽18の底板13の周囲に取付けられ、それぞれの底部にはクッション部材の一例であるゴム底20が設けられたロッド材からなる4本の着脱式の脚22〜25を有している。小型シンク槽18は軽量化のため、硬質のプラスチック材(ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ABS、塩化ビニール等の硬質樹脂)から構成するのが好ましいが、ステンレス等から構成することもできる。
【0025】
この実施の形態では、4本の脚22〜25は小型シンク槽18の底から突出する凸部(脚取付け部)26に密着して嵌入する凹部27を上端に有している。脚22〜25は、例えば長さの異なる複数種の脚(例えば、脚22a〜25a)に交換可能となっている。なお、脚22〜25は硬質樹脂(硬質プラスチック材)又はステンレスによって構成するのが好ましい。
【0026】
また、それぞれの脚22〜25に目印(例えば、定規目盛り)を付けて、使用者の身長に合わせて切断して使用することもできるし、又は複数種の長さの脚22〜25を使用して小型シンク槽18の高さを調整することもできる。脚22〜25の底部に設けたゴム底20は既設のシンクに疵を付けないこと、及び設置時の安定性を確保することで有用である。
普段、台所仕事を行っている人以外の人が、一時的に台所仕事を行う場合等に、予め用意した適当長の脚22〜25を用いて、流し台作業の高さを使用者の身長等に合わせることができる。
【0027】
排水口13aには、栓28が設けられ、小型シンク槽18内に水を溜めることができる。また、側板14〜17の上端には補強部29が設けられて、小型シンク槽18の補強を図っている。硬質のプラスチック材又はステンレス(板)からなる蓋19は図4に示すように、小型シンク槽18の上に被さるが、蓋19の両側縁30がコ字状となって、側板15、17の上端の補強部29に噛み合う構造となって、水平方向に蓋19を移動させることによって、小型シンク槽18から蓋19を除去できるようにしている。なお、排水口13aに適当なホースを取付けることも可能であり、これによって排水の際に水の飛び散りを防止できる。
【0028】
蓋19の両側縁30を断面コ字状とすると、蓋19の取付け取外しが面倒であるので、図4の右上の付図に示すように、蓋19aの周囲縁31を直角に折り曲げることによって、蓋19aの開閉が容易となる。
小型シンク槽18に蓋19を被せ、排水口13aに栓28をすることで、小型シンク槽18内を密閉し、内部に入れた食材(例えば、魚等)の臭いが外に漏れることを防いだり、ハエ等の害虫から食材を守ることができる。
なお、蓋19を複数に分割して部分的に小型シンク槽18に蓋をして、蓋を食材等を載せる仮の載置台(載置板)とすることができる。
【0029】
従って、この追加シンク装置12を使用する場合は、予め所定長の脚22〜25を小型シンク槽18の底に取付けておき、流し台10のシンク空間11に配置する。
以上の実施の形態において、図4の右下の付図に示すように、凸部と凹部にそれぞれ雄ねじ26aと雌ねじ27aを形成して、螺子によって脚を小型シンク槽18に固定することもできる。この場合、小型シンク槽18の高さを更に細かく調整できる。また、雌ねじをダブルナット構造として螺子の緩みを無くすこともできる。
【0030】
続いて、図5に示す本発明の第2の実施の形態に係る追加シンク装置34について、前記追加シンク装置12との相違点について説明する。なお、第1の実施の形態に係る追加シンク装置12と同一の構成要素には同一の番号を付して説明を省略する。
この実施の形態に係る追加シンク装置34は、4本の脚35〜38がそれぞれ複数の短い脚素材を凹部と凸部で連結することによって形成されている。従って、同一又は異なる長さの脚素材を予め用意することによって、小型シンク槽18の高さを更に幅広く調整できる。
【0031】
次に、図6(A)、(B)に示す本発明の第3の実施の形態に係る追加シンク装置40について説明する。この追加シンク装置40においては、小型シンク槽18の上に被さる蓋41の周囲に、蓋41の上面から流れ落ちる水を集める樋42が設けられている。この樋42には適当位置に排水孔43が設けられている。蓋41の上部は平面となって、そのまままな板としても使用できる。なお、蓋41の表面をまな板として使用すると表面に包丁疵が付くので、蓋41の上面に適当なシート、又は既製のまな板等を配置してその上で食材加工を行うのが好ましい(他の実施の形態においても同じ)。
【0032】
樋42の内側壁42aが補強部29の外側に位置している。また、樋42によって蓋41の周囲の補強が行われている。
硬質のプラスチック製の蓋41の底面には、長手方向を向いた板状の補強リブ45が複数本設けられている。この補強リブ45によって蓋41の剛性が向上し、蓋41の表板を載置板として使用できる。
【0033】
続いて、図7(A)〜(D)を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る追加シンク装置47について説明する。この追加シンク装置47は、図示しない既設の流し台のシンク空間内の作業領域の高さを調整するのに用いられ、排水口13a付きの底板13及び底板13に連続する側板14〜17を有する小型シンク槽18と、底板13に取外し可能にかつ長さ調整可能に設けられた脚35〜38とを有する点は、前記した追加シンク装置34、40と同様である。
【0034】
小型シンク槽18の蓋48は左右に分割された左蓋部49と右蓋部50を有し、左蓋部49と右蓋部50(蓋48)の周囲に縁板部52を有し、小型シンク槽18の周囲に設けられている補強枠53に外側から被るようになっている。
左蓋部49及び右蓋部50の蓋板54、55の上面は平面となって、まな板が載置できる。例えば、左蓋部49の上にまな板を置いて料理をする場合は、右蓋部50を取り外して不要物を小型シンク槽18内に落とすことができる。蓋板54、55の底面にはそれぞれ縦横に補強リブ57、58が設けられ、全体の補強を図っている。
【0035】

この追加シンク装置47を、既存の流し台のシンク空間内の作業領域に配置することによって、流し台での作業の高さを変更できる。脚35〜38の長さは作業者に応じて変えることができる。
【0036】
更には、小型シンク槽の側板を蛇腹で形成するか、図7(D)に示すように、側板14〜17にプラスチック製の蛇腹60を継ぎ足すことで、側壁の高さを使用者に合わせた高さに調整することができ、小型シンク槽18の高さより上側の水撥ねを防止でき、利用者の使い勝手が向上する。また、蛇腹60を縮めてコンパクトに小型シンク槽を収納できる。
【0037】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、第1〜第4の実施の形態に係る追加シンク装置の一部の構成要素を組み合わせて、構成が異なる追加シンク装置を形成することもできる。また、異なる組み合わせでシンク空間の作業領域の高さ調整方法を形成することもできる。
【0038】
本発明の追加シンク装置は持ち運びが容易であるので、そのままで、シンク外(例えば、キャンプ)等でも使用することができる。この場合、排水口にゴミ受け等を取付けておくことによって、ゴミの飛散を防止できる。排水口にホースを介して排水タンク等を取付けておけば、洗剤等を含んだ排水を河川に放出せずに蓄えておくこともできる。
また、この追加シンク装置は脚が取外し式であるので、コンパクトに収納できる。
なお、図1に示す追加シンク装置12については蓋19を省略記載している。
【符号の説明】
【0039】
10:流し台、11:シンク空間、12:追加シンク装置、13:底板、13a:排水口、14〜17:側板、18:小型シンク槽、19、19a:蓋、20:ゴム底、22〜25:脚、22a〜25a:脚、26:凸部、26a:雄ねじ、27:凹部、27a:雌ねじ、28:栓、29:補強部、30:側縁、31:周囲縁、34:追加シンク装置、35〜38:脚、40:追加シンク装置、41:蓋、42:樋、42a:内側壁、43:排水孔、45:補強リブ、47:追加シンク装置、48:蓋、49:左蓋部、50:右蓋部、52:縁板部、53:補強枠、54、55:蓋板、57、58:補強リブ、60:蛇腹
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7
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