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【発明の名称】送水ホースおよびこれを用いた放水具
【出願人】
【識別番号】315019562
【氏名又は名称】竹内 忠治
【住所又は居所】長野県長野市真島町川合3−1
【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
【発明者】
【氏名】竹内 忠治
【住所又は居所】長野県長野市真島町川合3−1
【要約】
【課題】 女性や老人であっても取り扱いが容易に行うことができ、火災の発生箇所から離れた場所からであっても消火栓の水を送水することが可能な送水ホースと、これを用いた放水具を提供すること。
【解決手段】 筒状の通水部22と、通水部22の外表面に長手方向に沿って配設され、通水部22の巻き取り方向に付勢された板バネ24と、を有し、通水部22の通水時には通水部22の長手方向に延びる送水ホース20と、転動可能なシェル形状に形成され、第1の連結部23Aまたは第2の連結部23Bと連結可能に形成された連結金具32および少なくとも一つの開口孔33が形成された放水体30と、を有し、送水ホース20は放水体30を中心として放水体30の外表面に巻き付け可能であることを特徴とする放水具10である。
【選択図】図4
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された通水部と、前記通水部の外表面に前記通水部の長手方向に沿って配設されたバネ体と、を有し、
前記バネ体は、前記通水部の巻き取り方向に付勢されていて、前記通水部の通水時には前記通水部の長手方向に延びることを特徴とする送水ホース。
【請求項2】
前記バネ体は、板バネまたは線バネであることを特徴とする請求項1記載の送水ホース。
【請求項3】
前記バネ体は、前記通水部の外表面に形成されたバネ体収容部に収容されていることを特徴とする請求項1または2記載の送水ホース。
【請求項4】
前記通水部の長手方向における一方の端部には第1の連結部が取り付けられていると共に、前記通水部の長手方向における他方の端部には第2の連結部が取り付けられていて、
前記第1の連結部と前記第2の連結部とは互いに連結可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の送水ホース。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の送水ホースと、
転動可能なシェル形状に形成され、前記送水ホースと連結可能に形成された連結体および少なくとも一つの開口孔が形成された放水体と、
前記送水ホースは前記放水体を中心として前記放水体の外表面に巻き付け可能であることを特徴とする放水具。
【請求項6】
前記連結体は、前記放水体の内部に配設されていることを特徴とする請求項5記載の放水具。
【請求項7】
前記開口孔は平面視形状が菱形に形成されていることを特徴とする請求項5または6記載の放水具。
【請求項8】
前記放水体の内部空間には前記送水ホースから送水された水の進行方向を前記開口孔に向けて反射させる反射部材が配設されていることを特徴とする請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の放水具。
【請求項9】
前記放水体の外表面には転動面となる平坦面が形成されていることを特徴とする請求項5〜8のうちのいずれか一項に記載の放水具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送水ホースおよびこれを用いた放水具に関する。
【背景技術】
【0002】
火災の発生に備えて設置された消火栓には消火栓の水を火災発生箇所に供給するため、放水体である筒先と、筒先に送水するための送水ホースが併設されている。これにより、火災発生箇所に消火栓の水を速やかに供給することができ、初期消火が可能になる。しかしながら、消火栓に併設されている送水ホースは、送水ホースの長手方向(延長方向)における中間部でホースを折り返して重ね、折り返し部分を中心として巻き付けたいわゆる二重巻き状態で格納されていることがほとんどである。このため、消火活動未経験者であると、二重巻き状態で格納されている送水ホースをうまく展開することができない場合が多く、初期消火活動適切に行えないことが多い。
【0003】
近年においては、消火活動経験者でなくても容易に消火栓の水を火災発生箇所に供給することができるようにした消火用具の構成が提案されている。このような消火用具の具体例としては、特許文献1に開示されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−29789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1に開示されている消火用具は、消防用ホースが接続された鉄球状用具を火災発生箇所に投入することにより、消火栓等から供給された高水圧を散水することができる構成が開示されている。このような消火用具を用いることで、火災発生箇所に直接踏み入らなくても火種に直接水をかけることができると共に、火災発生箇所の周辺の四方八方にも散水させることができる。このような消火用具を火災発生箇所に投入することができれば、火災発生箇所における適切な消火処理をすることができる点において好都合であるといえる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている消火用具は、火災発生箇所に鉄球状用具を確実に投入しなければならない。このため、火災の第一発見者が女性または老人である場合には、体力的な問題等により鉄球状用具を火災発生箇所に投入することができないといった課題がある。また、火災の第一発見者が成人男性であったとしても、火災発生箇所の炎上度合によっては、火災発生箇所に近寄ることができず、鉄球状用具を火災発生箇所に投入することができないといった課題もある。
【0007】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち、女性や老人のような腕力が弱い者でも容易に取り扱うことができ、放水対象箇所から離れた場所からであっても火元等の放水対象箇所に送水口の先端を到達させた状態で確実に送水することが可能な送水ホースと、これを用いた放水具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本出願の発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。
すなわち、本発明は、筒状に形成された通水部と、前記通水部の外表面に前記通水部の長手方向に沿って配設されたバネ体と、を有し、前記バネ体は、前記通水部の巻き取り方向に付勢されていて、前記通水部の通水時には前記通水部の長手方向に延びることを特徴とする送水ホースである。
【0009】
これにより、送水ホースを水の供給源に接続して水を供給することで、水圧の作用により巻き付けられた状態の送水ホースを確実に展開することができる。そして巻き取り方向に付勢されていたバネ体が通水部の底面部分で長手方向に延びる作用により送水ホースを直線状に展開することができる。これらにより放水対象箇所から離れた場所からであっても火元等の放水対象箇所に送水ホースの先端を到達させた状態で送水ホースからの水を放水対象箇所に確実に供給することができる。
【0010】
また、前記バネ体は、板バネまたは線バネであることが好ましい。
【0011】
これにより、バネ体を通水部に容易に取り付けすることができ、送水ホースを二重巻き状態にする際に送水ホースをコンパクトにすることができる。
【0012】
また、前記バネ体は、前記通水部の外表面に形成されたバネ体収容部に収容されていることが好ましい。
【0013】
これにより、送水ホースへのバネ体の配設を容易に行うことができる。また、既存の送水ホースを加工することで本発明にかかる送水ホースにすることができる。
【0014】
また、前記通水部の長手方向における一方の端部には第1の連結部が取り付けられていると共に、前記通水部の長手方向における他方の端部には第2の連結部が取り付けられていて、前記第1の連結部と前記第2の連結部とは互いに連結可能に形成されていることが好ましい。
【0015】
これにより、複数本の送水ホースを容易に接続することができる。また、第1の連結部または第2の連結部を従来の送水ホースと連結可能な形状にすれば、従来の送水ホースどうしを連結させた後に、一方の端部に本発明にかかる送水ホースを連結することができるため、既存の送水ホースを有効利用することができる。
【0016】
また、上記のいずれかに記載の送水ホースと、転動可能なシェル形状に形成され、前記送水ホースと連結可能に形成された連結体および少なくとも一つの開口孔が形成された放水体と、前記送水ホースは前記放水体を中心として前記放水体の外表面に巻き付け可能であることを特徴とする放水具とすることもできる。
【0017】
これにより、送水ホースの先端に接続すべき送水ホースを明確に区別することができる。また、水源から送水ホースに水を供給して送水ホースを直線状に展開する際において、送水ホースの先端部にある放水体が通水部に供給された水の圧力により自ら転動しながら直進し、送水ホースの直進性を向上させることができる。よって、放水対象箇所に近寄ることなく放水対象箇所に水を確実に供給することができ、放水対象箇所に投入した放水体の周辺に散水させることができる。
【0018】
また、前記連結体は、前記放水体の内部に配設されていることが好ましい。
【0019】
これにより、送水ホースを放水体の外表面に巻き付けた際に、連結部が放水体の外表面から突出することがなく、放水体の直進性をさらに向上させることができる。
【0020】
また、前記開口孔は平面視形状が菱形に形成されていることが好ましい。
【0021】
これにより、開口孔の中心部分からはまとまった状態で放水することができ、開口孔の角部分からは飛沫状(ミスト状)に放水することができ、多様な状態で放水することができる。
【0022】
また、前記放水体の内部空間には前記送水ホースから送水された水の進行方向を前記開口孔に向けて反射させる反射部材が配設されていることが好ましい。
【0023】
これにより、送水ホースから送水された水の運動エネルギーの損失を最小限に抑えた状態で開口孔から放水することができる。
【0024】
また、前記放水体の外表面には転動面となる平坦面が形成されていることが好ましい。
【0025】
これにより、放水体の外表面に送水ホースを平坦面の部分に巻き付けることで、放水具の格納状態をきれいに整えた状態にすることができる。また、格納状態の放水具に水を供給して送水ホースを展開させる際には、平坦面が転動面となることで放水体の直進性が向上し、放水対象箇所に近寄ることなく、放水対象箇所へ確実に放水体を投入することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる送水ホースおよびこれを用いた放水具の構成を採用することにより、女性や老人のような腕力が弱い者であっても取り扱いが容易に行うことができ、放水対象箇所から離れた場所からであっても水源の水を放水対象箇所へ確実に供給することが可能になる。また、使用後においてはバネ体の付勢力(復元力)により送水ホースを格納状態である渦巻状に巻き付けられた状態に戻すことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態における放水具の送水ホースを展開した状態(通水状態)を示す正面図である。
【図2】図1内の2−2線における断面図である。
【図3】図1に示す放水体の構造を示す一部透視斜視図である。
【図4】放水具の使用時における具体的状態を示す正面図である。
【図5】送水ホースの他の実施形態を示す要部断面図である。
【図6】送水ホースの他の実施形態を示す要部断面図である。
【図7】放水具の他の使用形態例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明にかかる送水ホースと、これを用いた放水具の実施形態について図面に基づいて説明する。ここでは消火栓の水を火災発生箇所に供給する際の実施形態について説明を行うものとする。図1に示すように、本実施形態にかかる放水具10は、図示しない水源としての消火栓の水を供給する送水ホース20と、送水ホース20に連結され送水ホース20から供給された水を放出するための放水体30とを有している。
【0029】
本実施形態における送水ホース20は、外表面が筒状織物からなるジャケット21Aに形成され、内表面が合成樹脂製の被覆層21Bに形成された通水部22と、送水ホース20(通水部22)の長手方向(延長方向)の両端部に取り付けられた連結部23A,23Bと、ジャケット21Aの表面に配設されたバネ体としての板バネ24と、を有している。
【0030】
通水部22を形成するジャケット21Aと合成樹脂製の被覆層21Bの具体的な構成は、例えば消防用ホースで採用されている公知の構成を用いることができるため、ここでの詳細な説明は省略する。送水ホース20(通水部22)の長手方向の一方の端部には第1の連結部23Aが取り付けられ、同じく他方の端部には第2の連結部23Bが取り付けられている。本実施形態における第1の連結部23Aと第2の連結部23Bとは互いに連結可能に形成されている。
【0031】
ジャケット21A(送水ホース20)の外表面には、送水ホース20(通水部22)の長手方向に沿って板バネ24が配設されている。板バネ24は、通常時には渦巻状をなし、巻き取り方向に付勢されている。送水ホース20への通水時には送水ホース20に板バネ24の付勢力に抗する力が付与されることになり、板バネ24は送水ホース20(通水部22)と共に直線に展開する(巻き出される)。このような板バネ24としてはゼンマイバネ(スチール巻き取り板バネ)を好適に用いることができる。
【0032】
本実施形態における送水ホース20は、図2に示すようにジャケット21Aの外表面の一部を覆うようにして形成したバネ体収容部26に板バネ24を収容している。ここでは扁平状態で渦巻状に巻き付けられた送水ホース20の外側面にバネ体収容部26を形成した。ジャケット21Aの外表面と板バネ24とは、接着されていても良いし未接着のままであってもよい。また、バネ体収容部26の内表面と板バネ24とは接着されていても良いし未接着のままであってもよい。
【0033】
なお、板バネ24は、合成樹脂製の被覆層21Bの外表面に配設し、板バネ24と合成樹脂製の被覆層21Bの外周からジャケット21Aを形成して板バネ24が配設された送水ホース20にすることもできる。さらに、送水ホース20の外表面に板バネ24を配設し、送水ホース20と板バネ24とを紐等で連続的に又は所要間隔をあけて縛りつけて固定する形態を採用することもできる。
【0034】
図3に示すように放水体30は、金属製または合成樹脂製の転動可能なシェル形状に形成されている。ここでは平坦面31を有するラグビーボール型に形成されたシェル形状としているがこの形態に限定されるものではない。放水体30は転動可能な形状であればよく、単純なラグビーボール型形状を採用することもできる。なお、平坦面31は放水具10の使用時において放水体30の転動面になる円柱部分の外周面である。また、放水体30には送水ホース20を連結するための連結体としての連結金具32が配設されていると共に、外表面には少なくとも一つの開口孔33が形成されている。
【0035】
また、放水体30の内部空間には、送水ホース20から送水された水を開口孔33に向けて反射させるための反射部材34が配設されている。図3に示すように、連結金具32と反射部材34との間に通水部22の流路断面積よりも断面積が先端部に向けて徐々に小さくなる誘導流路36を配設しておけば、なお好適である。このような誘導流路36を採用することにより反射部材34に衝突させる水の流速を高めることができると共に、反射部材34の形状を単純な形状に形成することができる点において好都合である。
【0036】
本実施形態における連結金具32は、放水体30の内部空間に収容させた状態で配設している。これにより、送水ホース20の第1の連結部23Aまたは第2の連結部23Bを連結金具32に連結した際に、送水ホース20のリジット構造部分(第1の連結部23Aまたは第2の連結部23Bを含む送水ホース20の長手方向における所要長さ範囲部分)を放水体30の外表面から突出しないようにすることができる。
【0037】
このような放水体30の構成を採用したことで、放水体30を中心として放水体30の外表面(平坦面31の部分であることが特に好ましい)に送水ホース20を巻き付ける際に、放水体30の外形形状に倣った状態で送水ホース20を巻き付けることができる。これにより放水体30の外表面に送水ホース20を巻き付けした際における送水ホース20の積層状態を均一にすることができるから、放水具10の使用時において、送水ホース20を容易にしかも直線状に展開することができる点において好都合である。
【0038】
本実施形態における放水体30の開口孔33は平面視形状が菱形に形成されているが、開口孔33の平面視形状は菱形に限定されるものではない。開口孔33は放水体30の外表面に沿って所要間隔をあけて複数配設されていることが好ましい。消火栓の水は送水ホース20を介して放水体30の内部に供給された後、放水体30の内部に配設された反射部材34に反射して進行方向が開口孔33に向かうように変化して開口孔33から放水体30の外部に向って放出される。
【0039】
本実施形態のように平面視形状が菱形に形成された開口孔33を採用することにより、開口孔33の中心部分からはまとまった状態で放水がなされ、大きな炎を消す際に好都合である。また開口孔33の角部分からは飛沫(ミスト)状の水を広範囲に放出(噴霧)させることができるので、くすぶっている状態の火を消す際等において好都合である。
【0040】
次に本実施形態における放水具10の使用方法について説明する。図示しない格納庫から取り出された放水具10は、図4(A)のように放水体30の外表面(平坦面31)に送水ホース20が巻き付けられた状態になっている。図示されてはいないが、送水ホース20の第1の連結部23Aが放水体30の内部に配設された連結金具32に連結されている。格納庫から取り出された放水具10は、図示しない消火栓に直接または従来の消防用ホースを介して放水体30の外表面に巻き付けられている送水ホース20の最外周端部である第2の連結部23Bに連結され、図4(B)に示す状態になる。
【0041】
次に消火栓を開き、消火栓から送水ホース20に水を供給する。送水ホース20に水が供給されると、放水体30に巻回されていた送水ホース20(通水部22)が膨張する。これに伴い送水ホース20は送水ホース20の底面側に配設された板バネ24の付勢力に抗して、図4(C)に示すように平坦面31により形成された円柱の外周面を転動面として放水体30を転動させながら放水体30の外表面に巻き付けられている送水ホース20を展開することができる。板バネ24にはいわゆるぜんまいバネ(巻き取り板バネ)を用いているので、板バネ24を付勢力に抗して展開させれば、板バネ24は送水ホース20の底面側位置において直線状に展開するから、送水ホース20の展開時における直線性を向上させることができる点で好都合である。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態における放水具10は、送水ホース20が板バネ24の付勢力により巻き付けられた状態であったとしても、水圧および水圧による板バネ24の展開作用により誰でも簡単に送水ホース20を直線状に展開することができる。これにより放水対象箇所に近寄らずに放水体30を放水対象箇所に最短距離で投入することができる。
【0043】
放水体30に巻回されていた送水ホース20が全て展開すると、送水ホース20から連結金具32および誘導流路36を経由して放水体30の内部空間に水が供給される。このとき誘導流路36を通過させることにより流速が高められた水が放水体30の内部空間に供給されることになる。放水体30の内部空間に供給された水は、反射部材34に衝突して反射し、進行方向が放水体30の開口孔33に向かい、図4(D)に示すように開口孔33から放水体30の外部に放出されることになる。
【0044】
図4(D)に示す状態をしばらく継続して火災発生箇所の火が消えた後、消火栓からの水の供給を停止し、送水ホース20を消火栓から取り外すと、送水ホース20の内部である通水部22の圧力が低下する。すると板バネ24の付勢力(復元力)により送水ホース20を、放水体30の平坦面31の外表面に巻き付けた状態に自動的に戻らせることができる。送水ホース20は放水体30の平坦面31の外周に巻き付けられることにより、通水部22がつぶされた(扁平になった)状態で平坦面31に巻き付けられることになるので、送水ホース20の通水部22に残っていた水を確実に排出させることができ好都合である。このようにして消火栓からの送水ホース20への水の供給を停止するだけで放水具10を自動的に格納状態(使用直前の状態)にすることができる点においても好都合である。
【0045】
以上に本発明にかかる放水具10について実施形態に基づいて詳細に説明を行ったが、本発明の技術的範囲は、以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、送水ホース20の長手方向(延長方向)における両端部に第1の連結部23Aおよび第2の連結部23Bを配設した形態について説明しているが、第1の連結部23Aおよび第2の連結部23Bの配設は省略した送水ホース20の形態を採用してもよい。このような送水ホース20は、長手方向に延長しない使用形態や、長手方向に延長する際には接続継手を用いればよい。
【0046】
また、本実施形態においてはバネ体の一形態例として板バネ24を採用しているが、図5に示すように他のバネ体を採用することもできる。図5(A)はバネ体として線コイル(線バネともいう)25を配設した形態であり、図5(B)は複数本の線コイル25を送水ホース20(通水部22)の長手方向に沿って所要間隔をあけて配設した形態である。さらに図5(C)に示すようにそれぞれの線コイル25に対して個別にバネ体収容部26を形成した形態を採用することもできる。
【0047】
特に図5(B)および(C)の形態は、2本の線コイル25を2組用意し、放水体30の平坦面31の両端位置に位置合わせした状態で2組の線コイル25を送水ホース20の外表面(ジャケット21Aの外表面)に位置合わせした状態で配設している点が特徴的である。このような線コイル25の配設形態により放水体30への送水ホース20の巻き付け状態を整えることができると共に、送水ホース20の展開時における放水体30の直進性をさらに向上させることができ、軽量化にも貢献することができる。
【0048】
また、以上の実施形態においては、送水ホース20(通水部22)の底面側にバネ体としての板バネ24や線コイル25を配設した形態について説明しているが、図6に示すように扁平にした状態の送水ホース20における送水ホース20の幅方向(送水ホース20の長手方向と直交する方向)両端部に線コイル25を配設した形態を採用することもできる。このような形態を採用することにより、送水ホース20を渦巻状に巻き付けした際におけるボリュームを大幅に削減することができる点において好都合である。また、送水ホース20に通水した際には直線状に展開した線コイル25が送水ホース20を幅方向から抑えた状態にすることができ、送水ホースの直進展開性を向上させることも期待できる。
【0049】
また、本実施形態においては通水部22としていわゆる消防用ホースを用いた形態について説明しているが、通水部22は通常の合成樹脂製ホースを用いることもできる。このような通常の合成樹脂製ホースを通水部22として用いた場合には消火活動への使用は困難ではあるが、水道に接続して蛇口を開けば、通水部22の外表面(通水部22を巻き付け状態にした際における外方側における表面)に取り付けられた板バネ24が水道の水圧により付勢力に抗して合成樹脂製ホースを巻き付け状態から直線状に展開(巻き出し)することができ、庭や畑への放水作業を容易に行うことができる。このように本発明は、消火活動用の送水ホースおよびこれを用いた放水具に用途が限定されるものではなく、各種の送水作業や放水作業においても用いることができるのである。
【0050】
放水作業後は水道の蛇口を閉じ、必要に応じて蛇口から合成樹脂製ホースを取り外しすれば合成樹脂製ホース内の水圧が下がり合成樹脂製ホースの外表面に配設した板バネ24の付勢力(復元力)により、合成樹脂製ホースを元の巻き付け状態に戻すことができる。これにより放水作業後における合成樹脂製ホースの後片付けが容易になる点において好都合である。
【0051】
また、以上の実施形態では放水具10の送水ホース20を展開する際には、放水体30を地表面上で転動させる形態を想定した説明をしているが、図7に示すように水平方向の2点間に障害物がある(図7では小河川50)場合においては、梯子等の掛け渡し部材60を掛け渡し、掛け渡し部材60の上に放水体30を転動させて障害物を越えさせることも可能である。
そして以上の変形例の他、実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 放水具
20 送水ホース
21A ジャケット,21B 合成樹脂製の被覆層
22 通水部
23A 第1の連結部,23B 第2の連結部
24 板バネ(バネ体)
25 線コイル
26 バネ体収容部
30 放水体
31 平坦面
32 連結金具(連結体)
33 開口孔
34 反射部材
36 誘導流路
50 小河川
60 掛け渡し部材
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
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