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機械器具
 
【発明の名称】ペレット製造装置
【出願人】
【識別番号】512255815
【氏名又は名称】園田 益伸
【住所又は居所】茨城県かすみがうら市下稲吉2607−8 シティーナ神立B−503
【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
【発明者】
【氏名】園田 益伸
【住所又は居所】茨城県かすみがうら市下稲吉2607−8 シティーナ神立B−503
【要約】
【課題】動力源の高出力化を抑制しつつ、経時的な回転負荷の上昇を抑制すること。
【解決手段】
歯車により構成された一対のダイス(3a,4a)と、各ダイス(3a,4a)の歯底部(22b)に設けられて、噛み合う他方のダイス(3a,4a)の歯先円(26)に近接する表面(23a)を有する底上げ部(23)と、各ダイス(3a,4a)の回転中心部分に形成された開口部(31)と、各底上げ部(23)に入口(32a)が形成され且つ前記開口部(31)に出口(32b)が形成され、各底上げ部(23)および各歯底部(22b)を通じて開口部(31)まで延びる通過路(32)であって、ダイス(3a、4a)の回転に伴って、入口(32a)から押し込まれた原料が出口(32b)からペレットとして押し出される通過路(32)と、を備えたペレット製造装置(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板の外周に噛み合い歯が形成された歯車により構成され、互いに噛み合った状態で回転駆動される一対のダイスと、
前記各ダイスの噛み合い歯の歯底部に設けられた底上げ部であって、前記一対のダイスが噛み合う噛合位置において、噛み合う他方のダイスの噛み合い歯の歯先円に近接する表面を有する前記底上げ部と、
前記各ダイスの回転中心部分に形成された開口部と、
前記各底上げ部に入口が形成され且つ前記開口部に出口が形成され、前記各底上げ部および前記各歯底部を通じて前記開口部まで延びる通過路であって、前記ダイスの回転に伴って、前記噛合位置に向けて供給されて前記入口から押し込まれた原料が前記出口からペレットとして押し出される前記通過路と、
を備えたことを特徴とするペレット製造装置。
【請求項2】
原料が供給される供給口と前記噛合位置との間に配置された供給用のガイド部材であって、前記噛合位置に対応する先端部と、前記先端部から一方のダイスの噛み合い歯の外表面に沿って円弧状に延び且つ前記一方のダイスの噛み合い歯の外表面に対して予め設定された間隔を空けて近接して配置された第1の弧状部と、前記先端部から他方のダイスの噛み合い歯の外表面に沿って円弧状に延び且つ前記他方のダイスの噛み合い歯の外表面に対して予め設定された間隔を空けて近接して配置された第2の弧状部と、を有する前記供給用のガイド部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のペレット製造装置。
【請求項3】
前記ダイスの回転軸の軸方向の端部に支持され、前記原料の軸方向への移動を規制する規制部材、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のペレット製造装置。
【請求項4】
前記ダイスを回転可能に支持するハウジングに支持され、前記リングの外周に近接して配置されて、前記原料の軸方向への移動を規制する規制用のガイド、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のペレット製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレットの製造を行うペレット製造装置に関し、特に、粉状や破片状のものを押し固めてペレットの製造を行うペレット製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する社会的な関心の高まりにより、廃棄物をそのまま埋め立てたり、単に燃やしてしまうよりも、再利用や有効利用したり、小容量化の要求が高まっている。廃棄物としての燃焼可能な木片や古紙等、賞味期限切れの食品や食べ残し、あるいは屎尿や汚泥等も処理することが期待されている。
これらの廃棄物を有効利用するために、例えば、木片や木屑、樹皮、古紙等の廃材が押し固められて燃料用のペレットを作成したり、牧草や魚骨等が押し固められた飼料用のペレット、畜糞や汚泥等が押し固められた肥料用のペレット等を作成することが行われている。このようなペレットを製造するペレット製造装置(ペレタイザー)に関して、以下の特許文献1,2記載の技術が公知である。
【0003】
特許文献1としての特開昭64−34433号公報には、成形孔(1)が形成された固定円盤ダイ(2)にスクリューまたはローラ(3)により原料(4)を送り込んで押し出す固定円盤ダイ方式、いわゆる、フラットダイ方式のペレタイザーが記載されている。
また、特許文献1には、円筒形ダイ(5)の外周壁に多数の成形孔(1)を形成し、円筒型ダイ(5)の内周壁(5a)に配置された回転ローラ(6)で原料(4)を成形孔(1)に押し込んで押し出す円筒型ダイ方式、いわゆる、リングダイ方式のペレタイザーも記載されている。
さらに、特許文献1には、外周壁に複数の成形孔(1)が形成された一対の円筒型ダイ(5)を対向接触させて配置し、対向接触する領域に原料(4)を投入して、一対の円筒型ダイ(5)の回転に伴って、成形孔(1)に原料(4)を押し込んで、押し出す円筒ダイ接触方式のペレタイザーも記載されている。
【0004】
特許文献2としての特開昭60−94127号公報には、互いに噛み合う一対の歯車状のダイス本体(10)において、歯先部分に損耗時に交換可能なセラミック製の歯先部(11a)を着脱可能に装着すると共に、歯元から歯車の径方向中央に向けて延びる円筒状の内周面を有する加工孔(12)の押込入口部分に、セラミック製のソケット(12a)を着脱可能に装着しておき、ダイス本体(10)どうしの噛合い部分に廃材(A)を投入することで、ダイス本体(10)の回転に伴って、歯先部(11a)で加工孔(12)に廃材(A)を押し込んで、加工孔(12)から押し出すことで、押し固められた廃材(A)によるペレットを作成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭64−34433号公報(明細書第1ページ右下欄第18行〜第2ページ左上欄第16行、図4〜図6)
【特許文献2】特開昭60−94127号公報(図1、図3、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(従来技術の問題点)
特許文献1記載のフラットダイ方式やリングダイ方式、円筒ダイ接触方式のペレタイザーでは、成形孔(1)は、予め設定された間隔をあけて配置されており、成形孔(1)どうしの間には、平らな面が存在する。したがって、成形孔(1)が形成されている位置ではローラ(3、6)やダイ(5)で原料が押し込まれるが、成形孔(1)が形成されていない平らな面では、平らな面とローラ(3,6)等の間に原料が挟まれるため、ローラ(3,6)等の回転抵抗となる。したがって、特許文献1記載の方式では、ペレットが製造されない上に回転抵抗が発生するため、動力の増大が発生して非効率であり、生産性が低下する問題がある。特に、動力の増大は、動力源であるモータの高出力化が必要となり、装置の大型化、高価格化、電力消費量の増大を引き起こし、ペレット製造コストが上昇する問題がある。
特許文献2記載の歯車が噛み合う方式では、歯車の噛合を利用して押し込んでおり、歯先と歯底が対向した部分では原料が押し込まれる。したがって、特許文献1記載の技術のように、ロータ(3,6)等の回転方向(周方向)や軸方向に対して、間隔あけて成形孔(1)が形成される構成に対して、原料が押し込まれない状況が少なくなり、回転抵抗(摩擦抵抗)の点では有利な構成である。
【0007】
図7は、従来の歯車型のペレタイザーの説明図であり、図7Aは噛み合い部分の説明図、図7Bは歯底部の説明図である。
ここで、特許文献2記載の歯車の噛合を利用する構成では、歯車の歯形は、従来は、インボリュート曲線に基づいて設計されることがほとんどであり、一部サイクロイド曲線等に基づいて設計される。図7において、インボリュート曲線等で設計された歯車では、一方の歯車01の歯02の歯先02aと、他方の歯車03の歯04の歯底04aとの間に、歯を加工する(歯を切る)際に、歯を加工する刃物の逃げである隙間が発生する。したがって、歯底04aの押し出し部06の入口の縁の部分04bに、原料07が溜まりやすくなり、歯車01,03が繰り返し回転することで、原料07が歯先02aに押されて、縁の部分04bに次々に溜まって押し固められることとなる。原料07が押し固められると、経時的に固くなっていって、歯先02aで原料07が押し込めなくなっていき、歯車01,03の回転抵抗となり、最終的には歯車01,03の回転負荷が大きくなって、歯車の回転が停止してしまう問題がある。
【0008】
本発明は、動力源の高出力化を抑制しつつ、経時的な回転負荷の上昇を抑制することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明のペレット製造装置は、
円板の外周に噛み合い歯が形成された歯車により構成され、互いに噛み合った状態で回転駆動される一対のダイスと、
前記各ダイスの噛み合い歯の歯底部に設けられた底上げ部であって、前記一対のダイスが噛み合う噛合位置において、噛み合う他方のダイスの噛み合い歯の歯先円に近接する表面を有する前記底上げ部と、
前記各ダイスの回転中心部分に形成された開口部と、
前記各底上げ部に入口が形成され且つ前記開口部に出口が形成され、前記各底上げ部および前記各歯底部を通じて前記開口部まで延びる通過路であって、前記ダイスの回転に伴って、前記噛合位置に向けて供給されて前記入口から押し込まれた原料が前記出口からペレットとして押し出される前記通過路と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のペレット製造装置において、
原料が供給される供給口と前記噛合位置との間に配置された供給用のガイド部材であって、前記噛合位置に対応する先端部と、前記先端部から一方のダイスの噛み合い歯の外表面に沿って円弧状に延び且つ前記一方のダイスの噛み合い歯の外表面に対して予め設定された間隔を空けて近接して配置された第1の弧状部と、前記先端部から他方のダイスの噛み合い歯の外表面に沿って円弧状に延び且つ前記他方のダイスの噛み合い歯の外表面に対して予め設定された間隔を空けて近接して配置された第2の弧状部と、を有する前記供給用のガイド部材、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のペレット製造装置において、
前記ダイスの回転軸の軸方向の端部に支持され、前記原料の軸方向への移動を規制する規制部材、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のペレット製造装置において、
前記ダイスを回転可能に支持するハウジングに支持され、前記リングの外周に近接して配置されて、前記原料の軸方向への移動を規制する規制用のガイド、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、底上げ部を有しない場合に比べて、動力源の高出力化を抑制しつつ、経時的な回転負荷の上昇を抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、噛合位置に原料が過剰に供給されることを抑制できる。
請求項3、4に記載の発明によれば、原料が軸方向に逃げることを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の実施例1のペレット製造装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1のペレット製造装置のダイの要部説明図であり、図2Aは要部断面の平面図、図2Bは要部断面の正面図、図2Cは要部断面の側面図である。
【図3】図3は第1のダイの要部説明図であり、図3Aは図2Aの矢印IIIA方向から見た図、図3Bは図3AのIIIB−IIIB線断面図である。
【図4】図4は第2のダイの要部説明図であり、図4Aは図2Aの矢印IVA方向から見た図、図4Bは図4AのIVB−IVB線断面図である。
【図5】図5は実施例1のダイスの噛合位置における要部拡大図である。
【図6】図6は実施例1のダイスの要部斜視図である。
【図7】図7は、従来の歯車型のペレタイザーの説明図であり、図7Aは噛み合い部分の説明図、図7Bは歯底部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1のペレット製造装置の全体説明図である。
図2は実施例1のペレット製造装置のダイの要部説明図であり、図2Aは要部断面の平面図、図2Bは要部断面の正面図、図2Cは要部断面の側面図である。
図3は第1のダイの要部説明図であり、図3Aは図2Aの矢印IIIA方向から見た図、図3Bは図3AのIIIB−IIIB線断面図である。
図1において、実施例1のペレット製造装置1は、ハウジング2の上部に配置されたペレット製造部材の一例としての左右一対のダイス3,4を有する。
図2、図3において、左側に配置された第1のダイス3は、前部に、歯車により構成された第1のダイス本体3aを有する。前記第1のダイス本体3aの後側には、被軸受け部の一例として、第1のダイス本体3aよりも小径且つ円筒状の第1の前軸受け部3bが形成されている。第1のダイス本体3aの後側には、第1のダイス本体3aよりも小径且つ円柱状の第1の中軸受け部3cが形成されており、第1の中軸受け部3cの後側には、第1の中軸受け部3cよりも小径且つ円柱状の第1の後軸受け部3dが形成されている。
【0017】
図2において、前記中軸受け部3cおよび後軸受け部3dは、軸受け部材の一例としてのベアリング6,7により回転可能に支持されている。また、前軸受け部3bの外周は、軸受け部材の一例としてのベアリング8により回転可能に支持される。前軸受け部3bの前側には、ベアリング8の前端に接触して抜け止めをするリング状の抜け止め部材9が支持されている。
図1において、ダイス本体3aの前端部は、ベアリング10により回転可能に支持されている。
【0018】
図4は第2のダイの要部説明図であり、図4Aは図2Aの矢印IVA方向から見た図、図4Bは図4AのIVB−IVB線断面図である。
図2、図4において、右側に配置された第2のダイス4は、第1のダイス3における第1のダイス本体3a、第1の前軸受け部3b、第1の中軸受け部3c、第1の後軸受け部3dと同様に構成された第2のダイス本体4a、第2の前軸受け部4b、第2の中軸受け部4c、第2の後軸受け部4dを有し、且つ、第2の後軸受け部4dの後側に、第2の後軸受け部4dよりも小径且つ円柱状のギア支持部4eが形成されている。
したがって、第2のダイス4も、第2の中軸受け部4c、第2の後軸受け部4dがベアリング11,12で回転可能に支持されると共に、第2の前軸受け部4bの外周が、ベアリング13で支持され且つ第2の前軸受け部4bに支持される抜け止め部材14でベアリング13の抜け止めがされる。
第2のダイス4のギア支持部4eには、駆動伝達部材の一例としての被駆動ギアG1が支持されている。
また、ダイス本体4aの前端部は、ベアリング16で回転可能に支持されている。
【0019】
(ダイスの説明)
図5は実施例1のダイスの噛合位置における要部拡大図である。
図3〜図5において、実施例1の歯車状のダイス本体3a,4aは、円板部21の外周面に噛み合い歯22が形成されている。実施例1の噛み合い歯22は、従来公知のインボリュート曲線に基づいて設計されている。噛み合い歯22は、歯先部22aと、歯底部22bとを有し、歯底部22bには、インボリュート曲線に基づいて設計された底面の底上げをする底上げ部23が形成されている。図5において、前記底上げ部23の外表面23aは、ダイス本体3a,4aどうしが噛み合う噛合位置(噛み合い領域)P1において、噛み合う相手方のダイス本体3a,4aの噛み合い歯22の歯先円26に近接する位置に設定されている。すなわち、底上げ部23の外表面23aは、噛み合い歯22どうしが接触する位置を結んだピッチ円27と、歯底部22bどうしを結んだ歯底円28と、の間に設定されている。
【0020】
なお、歯先円26と外表面23aとの間隔は、従来のインボリュート歯形の構成では、1.5「mm」程度存在していたのに対して、実施例1では0.2「mm」に設定されており、0.5[mm]以下で、できるだけ小さいことが望ましい。また、実施例1の底上げ部23は、歯底部22bにダイス本体3a,4aと同一の材料を溶接することで形成しているが、同一の材料に限定されず、摩耗等に対応するために剛性の高い材料を使用することも可能であり、表面に原料が付着しにくいようにフッ素樹脂等の離型性の高い材料でコーティングを行う等も可能である。
【0021】
図6は実施例1のダイスの要部斜視図である
図2〜図6において、実施例1のダイス本体3a,4aは、回転中心部分に形成された開口部31が形成されており、開口部31は、前端の開口31aを通じて前方が外部に開放されている。
そして、ダイス本体3a,4aには、底上げ部23、歯底部22bを通じて円板部21を径方向に貫通して、開口部31まで延びる通過路の一例としてのペレット押出路32が形成されている。図2〜図5に示すように、ペレット押出路32は、底上げ部23に形成された入口32aと、開口部31に形成された出口32bとを有する。そして、ペレット押出路32は、ダイス本体3a,4aの軸方向に沿って複数個並んで配置されており、図2〜図5に示すように、入口32aどうしの間隔は、加工可能な範囲で限界まで近づけられており、入口32aどうしが隣接するように配置されている。
【0022】
(駆動系の説明)
図1において、ハウジング2の下部には、駆動源の一例としてのモータ36が配置されており、モータ36の駆動軸には、駆動伝達部材の一例としての駆動ギアG2が支持されている。前記駆動ギアG2と被駆動ギアG1との間には、駆動伝達部材の一例としてのチェーン37が架けられている。
したがって、モータ36が駆動すると、駆動ギアG2、チェーン37、被駆動ギアG1を介して第2のダイス4が回転し、第2のダイス4と噛み合う第1のダイス3も回転駆動される。
【0023】
(切断部材の説明)
図1、図2において、ハウジング2の前端部には、切断支持部の一例として、左右方向に延びる板状の支持プレート41の外端が支持されている。支持プレート41には、切断部材の一例として、ダイス本体3a,4aの開口部31の内部に向けて延びるカットバー42が支持されている。実施例1のカットバー42は、開口部31のペレット押出路32の出口32bに対向して先端が配置されると共に、ダイス本体3a,4aの噛合位置P1に対して、ダイス3,4の回転方向に沿って上流側に少しずれた位置に配置されている。
図1において、ハウジング2の前端には、支持プレート41の下方に、ペレット搬送部材の一例として、前方に行くに連れて下方に傾斜する板状のシュート46が配置されており、シュート46の上端は、各ダイス本体3a,4aの開口部31の下端に対応する位置まで延びている。
【0024】
(原料投入装置の説明)
図1において、実施例1のペレット製造装置1では、ダイス3,4の上方には、ダイス本体3a、4aの上方から、ペレット製造用の原料の一例としての木屑等を投入する原料投入装置51が配置されている。原料投入装置51は、原料が内部に収容されるホッパー部52を有する。ホッパー部52の下端には、ダイス本体3a,4aに向けて延びる搬送路53が支持されている。なお、実施例1のペレット製造装置1では、搬送路53は、各ダイス本体3a,4aに対応して、一対配置されている。各搬送路53の内部には、螺旋状に形成された羽根を有する搬送部材54が回転可能に支持されている。
搬送部材54の一端には、ギア56が支持されており、ギア56には、駆動源の一例としてのモータ57から駆動が伝達される。したがって、モータ57の駆動時に、搬送部材54が回転し、搬送路53内の原料がダイス3,4に向けて搬送される。搬送路53の下流端には供給口58が形成されている。供給口58から供給された原料は、重力で落下してダイス3,4に向けて供給される。
【0025】
(供給ガイドの説明)
図2Cにおいて、供給口58の下方には、ダイス3,4との間に、供給用のガイド部材の一例としての供給ガイド61が支持されている。供給ガイド61は、ダイス3,4の軸方向に沿って延びるブロック状に形成されており、先端部の一例としての下端部61aが噛合位置P1に対応して、ダイス3,4に近接して形成されている。
供給ガイド61は、下端部61aから第1のダイス本体3aの噛み合い歯22の外表面に沿って円弧上に延びる第1の弧状部61bと、下端部61aから第2のダイス本体4aの噛み合い歯22の外表面に沿って円弧上に延びる第2の弧状部61cと、を有する。各弧状部61b,61cは、噛み合い歯22の外表面に対して予め設定された隙間を空けて近接して配置されている。また、各弧状部61b、61cの上端には、上方に行くに連れて内側に傾斜するガイド面61d,61eが形成されている。
【0026】
したがって、供給口58から投入された原料は、噛合位置P1に直接供給されるのではなく、ガイド面61d,61eをガイドされて、ダイス3,4の回転方向に対して、噛合位置P1よりも上流側に供給される。そして、隣接する噛み合い歯22と弧状部61b,61cとで囲まれた空間に収容された原料が噛合位置P1に供給される。よって、噛合位置P1に対して、過剰な原料が供給されることが抑制される。
【0027】
(規制部材の説明)
各ダイス3,4の軸方向の両端部には、規制部材の一例として、円板状のリング部材71が支持されている。なお、実施例1のリング部材71の外径は、ダイス本体3a,4aのピッチ円径に対応して形成されている。すなわち、各ダイス本体3a、4aに支持されたリング部材71どうしが最小限の隙間を空けて干渉せずに回転可能に構成されている。
また、ハウジング2には、リング部材71の外周に近接して、規制用のガイド72が支持されている。規制用のガイド72は、円板状のリング部材71を囲むように形成された円状の開口部72aを有する。開口部72aの径は、リング部材71の外径に対応して設定されており、回転するリング部材71に対して、最小限の隙間を開けて規制用のガイド72が配置されている。なお、実施例1の規制用のガイド72は、リング部材71との摺擦の潤滑性を確保するために、潤滑性の材料を使用することが好ましい。実施例1では、潤滑性の材料の一例として、MCナイロンを使用しているが、これに限定されず、任意の潤滑性の材料を使用可能である。
【0028】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のペレット製造装置1では、ダイス本体3a,4aの上方から投入された原料は、ダイス本体3a,4aの外表面に落下し、ダイス3,4の回転に伴って、噛み合い領域P1に向けて搬送される。図5において、噛み合い領域P1では、一方のダイス本体3a,4aの歯先部22aに原料が押されて、噛み合う他方のダイス本体3a,4aの底上げ部23の入口32aから、原料がペレット押出路32に押し込まれる。ダイス3,4が回転することで、歯先部22aによりペレット押出路32に次々に原料が押し込まれて、ペレット押出路32内の原料が押し固められながら出口32b側に向けて押され、出口32bからトコロテンのようにスティック状になって押し出される。出口32bから押し出された原料のスティック47は、カットバー42の位置を通過する際に、カットバー42で先端部が切断され、円柱状のペレット47aとなり、落下する。落下したペレット47aは、シュート46を通じてペレット製造装置1の外部に送り出される。
【0029】
実施例1のペレット製造装置1では、噛み合う歯先部22aに近接するように底上げ部23が形成されており、特許文献2に記載の技術のように、底上げ部を有しない構成に比べて、歯先部22aと底上げ部23との間に隙間が少なく、歯先部22aと歯底部22bとの間に原料が溜まることが低減されている。したがって、歯先部22aと歯底部22bとの間に溜まった原料が押し固められて、経時的に固くなることが発生しにくく、経時的な回転抵抗、回転負荷の増大が低減され、ダイス3,4の回転が停止することが低減されている。特に、実施例1のペレット製造装置1では、ダイス3,4の軸方向に対しても、ペレット押出路32の入口32aは、隣り合う入口32aとの隙間が狭く設定されており、隙間に原料が溜まることが低減されている。
したがって、回転負荷等の増大が低減されているので、回転負荷が増大した場合に対応できるように高出力のモータを使用する必要が無くなり、従来に比べて、出力が低いモータを使用しても十分にペレットを製造することができる。よって、製造費用の低価格化やペレット製造装置1の小型化が可能であると共に、消費電力等のランニングコストも低減することができる。
【0030】
また、実施例1のペレット製造装置1では、噛み合い領域P1において、原料のペレット押出路32への押し込み(ペレットの成型動作)を行うと共に、噛み合い歯22どうしの噛合によりダイス3,4間の回転の伝達も行われる。したがって、特許文献1記載の従来技術のように、ローラとリングダイをそれぞれ回転させる構成に比べて、駆動の伝達型が簡素化され(シンプルになり)、部品点数が少なくなって低コスト化されると共に、駆動伝達における接触箇所が少なくなって、摩擦による発熱や伝達ロス等も少なくなる。したがって、伝達ロスに伴う回転負荷の上昇や無駄な電力消費を抑制することができる。
【0031】
さらに、実施例1のペレット製造装置1では、ダイス本体3a,4aに供給される原料は、供給ガイド61で噛合位置P1よりも回転方向の上流側にガイドされる。そして、供給ガイド61と噛み合い歯22との隙間に収容可能な量の原料だけが、いわば、供給ガイド61によって擦り切られて、噛合位置P1に送られる。したがって、噛合位置P1に対して過剰な原料が送られることが抑制され、ダイス本体3a,4aどうしの噛み込みが抑制される。したがって、ダイス本体3a,4aの回転が安定し、ペレットが安定して製造可能になるとともに、長期に渡って連続運転をする場合に、途中でダイス本体3a,4aの回転が停止しにくく、連続運転の安定性を向上させることが可能である。
【0032】
また、実施例1のペレット製造装置1では、ダイス本体3a,4aにはリング部材71が支持され、リング部材71の外周を囲むように規制用のガイド72が配置されている。噛合位置P1において、ダイス本体3a,4aで原料を押出路32に押し込む際に、リング部材71や規制用のガイド72が設けられていない場合、原料は軸方向に逃げてしまう恐れがある。原料が軸方向に逃げると、ペレットの製造効率が低下するが、実施例1では、リング部材71および規制用のガイド72が、原料の軸方向への逃げを規制、抑制している。したがって、ペレットの製造効率が低下することが防止され、ペレットの製造を安定して行うことができる。
【0033】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H02)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、原料の押し込み時にダイス3,4間にかかる押し込みの反力でダイス3,4の回転軸が変動しないように、3つのベアリング6〜8,11〜13を使用してダイス3,4を支持する構成を例示したが、これに限定されず、設計や仕様等に応じて任意の支持方法で支持可能である。
【0034】
(H02)前記実施例において、ペレットの原料は、本願明細書中に例示した木屑等の材料に限定されず、圧縮してペレットに成形可能な任意の材料を使用可能であり、燃料用、飼料用、肥料用等の目的、用途も、原料に応じて任意の目的のペレットを製造することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…ペレット製造装置、
3a,4a…ダイス、
21…円板、
22…噛み合い歯、
22b…歯底部、
23…底上げ部、
23a…表面、
26…歯先円、
31…開口部、
32…通過路、
32a…入口、
32b…出口、
58…供給口、
61…供給用のガイド部材、
61a…先端部、
61b…第1の弧状部、
61c…第2の弧状部、
71…規制部材、
72…規制用のガイド、
P1…噛合位置。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例1のペレット製造装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1のペレット製造装置のダイの要部説明図であり、図2Aは要部断面の平面図、図2Bは要部断面の正面図、図2Cは要部断面の側面図である。
【図3】図3は第1のダイの要部説明図であり、図3Aは図2Aの矢印IIIA方向から見た図、図3Bは図3AのIIIB−IIIB線断面図である。
【図4】図4は第2のダイの要部説明図であり、図4Aは図2Aの矢印IVA方向から見た図、図4Bは図4AのIVB−IVB線断面図である。
【図5】図5は実施例1のダイスの噛合位置における要部拡大図である。
【図6】図6は実施例1のダイスの要部斜視図である。
【図7】図7は、従来の歯車型のペレタイザーの説明図であり、図7Aは噛み合い部分の説明図、図7Bは歯底部の説明図である。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
【図6】
図6 
【図7】
図7 
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