閉じる
機械器具
 
【発明の名称】チップ部品搭載装置
【出願人】
【識別番号】504035098
【氏名又は名称】杉山 修
【住所又は居所】神奈川県藤沢市湘南台1丁目40番12号
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100122884
【氏名又は名称】角田 芳末
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100113516
【氏名又は名称】磯山 弘信
【発明者】
【氏名】杉山 修
【住所又は居所】神奈川県藤沢市湘南台1丁目40番12号
【要約】
【課題】
簡単な構成でありながら多品種のチップ部品を配線基板に搭載することができるようにする。
【解決手段】
XYZRの4軸をもつ汎用ロボット10の載置テーブル16上に、配線基板5と、チップ部品を積み重ねて収納したマガジン40を、搭載する部品の種類だけ設けたスタンド17-1,17-2を立設する。搭載ヘッド20に設けられているバーコードリーダで、マガジン40に設けられているバーコード41aを読取って、搭載するチップ部品とスタンド17-1,17-2での配置とを対応付け、予め登録されている配線基板5の搭載部品名、部品搭載レイアウトから所定の位置に所望のチップ部品を順次搭載できるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に搭載する部品搭載装置において、
前記部品の複数個が収容され、前記基板に当接した状態で前記部品の押出し棒により先端の前記部品より1個分上方に設けられた前記部品のホールドバネに抗して、前記先端に前記部品が1個ずつ略水平な姿勢で押し出されるように構成され、側面に前記部品に対応する記号が明示された部品収容体と、
前記基板に搭載する前記部品の前記部品収容体を着脱自在に支持するスタンドと、
前記部品収容体の把持機構と前記部品収容体に明示された前記部品の記号読取機構を有する搭載ヘッドと、
前記搭載ヘッドを垂直方向の昇降動作及び垂直軸周りに回転動作できるようにしたヘッド駆動機構を有し、
前記基板に対して前記ヘッド駆動機構が、略水平面上を相対的に移動できるようにした
ことを特徴とする部品搭載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品搭載装置において、
前記部品収容体を前記搭載ヘッドの把持機構で把持するとともに、前記部品収容体に挿入された前記部品の前記押出し棒を把持するようにし、
前記押出し棒の把持力を前記部品収容体内の部品の保持力よりも大きくなるようにし、
前記部品収容体内に前記押出し棒を把持した状態で前記搭載ヘッドを下降させ、前記部品収容体の下端が配線基板と接触したときに前記押出し棒で前記部品収容体内から前記部品を押し出すようにした
ことを特徴とする部品搭載装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部品搭載装置において、
前記基板に基づいて予め設定されている、搭載される前記部品の品名及び前記部品のレイアウト情報が、
前記部品収容体に明示された前記記号から得られた前記部品の品名と照合されることにより、
前記基板上の所定位置に、所望の部品を搭載できるようにした
ことを特徴とする部品搭載装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の部品搭載装置において、
前記部品収容体に明示される、前記部品の前記記号が、バーコードであり、前記部品の記号読取機構をバーコードリーダとした
ことを特徴とする部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、複数の部品を順次対象物に対して搭載するための部品搭載装置に関する。
【背景技術】
プリント配線基板やセラミックス多層配線基板などの配線基板に搭載されるコンデンサ、抵抗、インダクタンスなどの電子部品は高密度実装などの要請から、部品サイズの小型化が著しく、例えば略直方体で一辺が最大でも2mm程度の小型形状のチップ部品が多用されている。
このようなチップ部品を配線基板に実装するための部品実装機は、世の中に出て以来、完全自動化、スピードアップ化、精密化が進んだ結果、大変高価なものになっている。そのため、簡単な配線基板に僅かのチップ部品を搭載するときも、大げさなチップ部品搭載装置を用いなければならず、中小企業におけるチップマウントオペレーションはコストの面から割に合わないため殆ど不可能となっている。
また、配線基板上に多品種で多数のチップ部品を搭載するような大規模チップマウント工場では、設備の一貫ライン化などのため、大型タンカー並みの大きさの装置を設置しており、その稼動率維持のため、頻繁な機種切り替えを余儀なくされている。そして、この切り替えの時間のため、全体的な稼動ロスは50%にもなる状況である。
一方、最近、セル生産方式という名のもとに、人がこまめに少ロットのみを作るラインが世界中の企業で展開されているが、チップが小さすぎて人手で行うには限界にきている。また、このような微小なチップを搭載できる部品搭載装置自体が高価であるため、機器の投資コストが大きく、後進国ではこの種の工業が発展しにくいものとなっている。
このようなことから、本願の発明者は先に出願済みの特許文献1において、高価な電子制御による電子部品の実装機器を必要とせず簡単な構造でありながら作業者が適切に部品を対象物に所定の位置に実装していくことができるような部品実装装置を開示している。
この種のチップ部品は、クリームはんだが、例えば印刷などにより複数箇所に塗布された配線基板に対して、特許文献1に開示されている部品実装装置などを用いて搭載することができる。
以下、特許文献1に開示されている部品実装装置を、図9を参照して説明する。
図9は従来の部品実装装置の断面図である。部品実装装置3は、部品Pを対象物である配線基板5の表面5aに対して、1つ1つ手動により装着していくための装置である。配線基板5の上の位置には、予めクリームはんだ6がスクリーン印刷法などにより形成されている。部品実装装置3は、部品収容体40、操作部44、及び先端部位置決め部46を有している。この部品実装装置3は、作業者の手Hで操作部44を操作し、付勢力に抗して部品Pを1つずつ配線基板5の所定位置に印刷されたクリームはんだ6の上に載置実装する。
図9に示す部品収容体40は、例えば水平断面が長方形で、この断面と直角方向に細長い収容空間部50が形成された部材である。そして、本体51の収容空間部50は、複数個の部品Pをその電極形成面を図9の下向きにして積み上げて収容する構造としたものである。
本体51は、供給先端部52、部品装填部54、及び内挿部55を有し、これら供給先端部52と部品装填部54及び内挿部55は連続して形成されている。
供給先端部52の付近には、先端に位置する実線で示す先頭の部品P1が、供給先端部52の開口端53から不用意に飛び出さないようにするために、例えば断面が略L字形の先頭部品押え部56を有している。部品装填部54の収容空間部50の中には、複数の部品Pが積み重ねられて装填されている。この複数の部品Pの最も上端に位置する部品P2と、後述する押出し棒57の間には、ストッパーバネ58とスペーサ59が配置されている。
スペーサ59はストッパーバネ58と部品P2の間に配置されており、このスペーサ59は例えばプラスチックなどにより作られている。このスペーサ59は、収容空間部50内での間隙(遊び)によって複数の部品Pが「がた」つくのを防止して複数の部品Pの積層状態を維持するようにしている。
ストッパーバネ58は、押出し棒57の先端部57aとスペーサ59の間に配置されている。このストッパーバネ58は、断面形状がC字形あるいはV字形であり中心軸CL方向に沿って弾性変形する金属やプラスチックによって作られている。このストッパーバネ58は、本体51の対面する側壁51a,51aの内面に対して付勢力Fcを発揮する。部品収容体40の本体51は、鉄、ステンレス鋼、あるいはアルミニウムなどの金属やプラスチックで作ることができる。本体51の供給先端部52は、上述したように開口端53を有している。これに対し本体51の内挿部55の上端部には、上部開口端60を有している。内挿部55の外周面の途中には突起61が設けられている。上部開口端60は例えばテーパ状に外側に開いている。このようにテーパ状に上部開口端60が開いていることで、部品Pを上部開口端60から装填しやすくしている。
次に、図9に示す操作部44について説明する。この操作部44は、部品収容体40と同様な材質により作ることができる。操作部44は、例えば外形の断面形状が円形、長方形あるいは正方形の柄状に形成することができる。
操作部44は、把持部70、棒押えバネ71、押出し棒57を有している。
押出し棒57は例えば金属やプラスチックにより作られる断面が円形状の棒状体である。押出し棒57の上端部57bは、把持部70の端部70aから突出している。端部70aの内側には、棒押えバネ71が固定されている。この棒押えバネ71の最小径部72は、押出し棒57の外周面を弾性的に押さえつけるように支えている。押出し棒57の途中には、軸周りに溝73,74,75,76が形成されている。これらの溝73ないし76は、次のような役割を果たしている。例えば図9の状態では、溝74に対して棒押えバネ71の最小径部72がはまっている。このようにすることで、作業者が手Hで操作部44の把持部70をZ1方向に押し下げたときに、押出し棒57が相対的に把持部70に対してZ2方向に持ち上がるのを防ぐことができ、この棒押えバネ71は、押出し棒57のZ1方向のみの移動を許すワンウェイバネの役割を果たすのである。ほかの溝73,75,76も同様に溝74と同じ役割を果たす。棒押えバネ71の最小径部72にかみ合う溝73〜76は、部品収容体40内に収容される部品Pの数で選択される。
内挿部55の突起61は、把持部70の内周面に対して弾性的に突き当たっている。このように突起61が把持部70の内面に突き当たっていることにより、把持部70と内挿部55の摩擦力Fdを確保して、内挿部55が把持部70に対して自重により下がってしまうのを防いでいる。押出し棒57は、内挿部55とを把持部70の中心位置を長手方向に沿って通してある。この操作部44は、このように部品収容体40の内挿部55に対して外側に取り付けられており、この操作部44の把持部70は、手動により先端部位置決め部46の付勢力に抗して供給先端部52側に向けてZ1方向に移動することで、供給先端部52から順次対象物である配線基板5側に供給先端部52の先頭の部品P1を押出す機能を有している。
次に、図9に示す先端部位置決め部46について説明する。先端部位置決め部46は図9例では部品収容体40の本体51の供給先端部52付近に固定されている。この先端部位置決め部46は、いわゆるスプリングプランジャの構造を有するスプリングピン77を有している。このスプリングピン77は移動ピン77aを有しており、この移動ピン77aはZ1方向に対して付勢されている。移動ピン77aの先端には、位置決め用の位置決め突起78を有している。この位置決め突起78は、配線基板5の表面5aに対して機械的に突き当てることにより、供給先端部52を配線基板5の所定位置であるクリームはんだ6に対応させた位置に位置決めする機能を有している。
把持部70がZ1方向に押し下げられていない状態では、図9に示すように先端部位置決め部46は供給先端部52と表面5aの間に間隔Lを設定している。操作部44はZ1方向に沿って作業者の手Hにより押し下げられると、部品収容体40の本体51もZ1方向に下がろうとする。このときにスプリングピン77の移動ピン77aがZ2方向に弾性的に移動する。これによって、供給先端部52の開口端53は、対象物の表面である表面5aの所定位置に対して近づけられて間隔Lより小さくなるように導かれる。
次に、図9の部品実装装置3を用いて、部品Pを配線基板に14に対して実装する作業について説明する。作業者は手Hを用いて操作部44の外周面を掴(つか)む。このときに部品実装装置3は、配線基板5の表面5aに対して中心軸CLで示すように略垂直に立てている。
部品収容体40の本体51の中には、複数個の部品Pが積み重ねられて収容されている。供給先端部52の先頭(最下端)に配されている部品P1は、作業者の手Hで把持部70をZ1方向に押し下げられると、Z1方向に下がる。
このとき、先端部位置決め部46は、供給先端部52の開口端53を配線基板5の所定の位置であるクリームはんだ6に対して位置決めしている。この位置決めしている機能と同時に、先端部位置決め部46は、スプリングピン77の中のスプリング作用により、移動ピン77aがZ2方向にスプリングの弾性で復帰できるように弾性的に移動する。これによって供給先端部52が間隔Lよりも小さくなるように下がり、実線で示す先頭にある部品P1が先頭部品押え部56の力に抗して、破線で示すようにクリームはんだ6上に実装されることになる。そして、手Hの力を緩めると、移動ピン77aがZ1方向に弾性的に復帰して移動するので部品収容体40がZ2方向に持ち上がり、供給先端部52は間隔Lを保持する。
そして、作業者は手Hにより部品実装装置3を持ち上げて、配線基板5の上の隣に位置しているクリームはんだ6に対して正確且つスピーディに位置決めすることができる。このように作業者が部品実装装置3を持って配線基板5の表面5aに対して先端部位置決め部46を用いて供給先端部52を所定の位置のクリームはんだ6に対して位置決めし、かつその位置がぶれないようにしながら、把持部70をZ1方向に押し下げるだけで、部品Pをクリームはんだ6に対して1つずつスピーディかつ確実に供給(配線基板上への実装)していくことができる。
【特許文献1】
特開2003−218584号公報(第2頁右下欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている部品実装装置3では、部品収容体40を配線基板5上に略垂直となるように保持し、部品収容体40にかぶせるように設けられる把持部70を略鉛直下方に手で押し下げて部品を搭載するものであるため、簡便ではあるものの多種の部品を搭載する基板では搭載位置の間違いなどを起こしがちであった。
本発明はかかる点に鑑み、小型で低コストの汎用ロボットを用い、簡単な構成でありながら多品種のチップ部品を配線基板に搭載することができるような部品搭載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、部品を基板に搭載する部品搭載装置において、部品の複数個が収容され、基板に当接した状態で部品の押出し棒により先端の部品より1個分上方に設けられた部品のホールドバネに抗して、前記先端に部品が1個ずつ略水平な姿勢で押し出されるように構成され、側面にこの部品に対応する記号が明示された部品収容体と、基板に搭載する部品の収容体を着脱自在に支持するスタンドと、この部品収容体の把持機構と部品収容体に明示された部品の記号読取機構を有する搭載ヘッドと、この搭載ヘッドを垂直方向の昇降動作及び垂直軸周りに回転動作できるようにしたヘッド駆動機構を有し、基板に対してこのヘッド駆動機構が、略水平面上を相対的に移動できるようにしたものである。
このように構成した部品搭載装置によれば、部品搭載装置にセットされたスタンドに設けられている部品収容体に明示された記号から品名を認識できるため、この部品の品名とスタンドにおける位置とを知ることができる。そして、予め部品搭載装置に設定された配線基板の基板設計データを元にした搭載部品の品名、部品のレイアウト情報や部品の搭載順番などのデータと照合することができるので、部品収容体が設けられているスタンドのどの位置に所望の部品が配置されているかを設定でき、所望の部品を取り出し配線基板の所定の位置に搭載できる。
また、本発明は、上記記載の部品搭載装置において、部品収容体を搭載ヘッドの把持機構で把持するとともに、この部品収容体に挿入された部品の押出し棒を把持するようにし、この押出し棒の把持力を部品収容体内の部品の保持力よりも大きくなるようにし、部品収容体内に押出し棒を把持した状態で搭載ヘッドを下降させ、部品収容体の下端が配線基板と接触したときに押出し棒で部品収容体内から部品を押し出すようにしたものである。
このように構成した部品搭載装置によれば、部品収容体と部品の押出し棒が開閉チャックで一緒に把持された状態で部品収容体の下端が配線基板上に押し付けられる。このとき、配線基板に部品収容体が当接するときまでは、部品収容体と部品の押出し棒の相対的な位置を保つものの、当接以後の搭載ヘッドの押し込み動作では押出し棒の把持力が大きいので、部品収容体の下端から押出し、押出し棒が部品を基板上に搭載することができる。
また、本発明は、上記記載の部品搭載装置において、基板に基づいて予め設定されている、搭載される部品の品名及びこの部品のレイアウト情報が、部品収容体に明示された記号から得られた部品の品名と照合されることにより、基板上の所定位置に、所望の部品を搭載できるようにしたものである。
このように構成した部品搭載装置によれば、品名の異なる部品を収容した複数の部品収容体がスタンドに設けられていても、当該部品のスタンドでの配置を認識して、所望の部品を配線基板上の所望の位置に適切に載置することができる。
また、本発明は、上記記載の部品搭載装置において、部品収容体に明示される部品の記号がバーコードであり、この部品の記号読取機構をバーコードリーダとしたものである。
このように構成した部品搭載装置によれば、部品収容体の側面に明示されたバーコードの品名情報を搭載ヘッドに設けられたバーコードリーダにより読取ることができ、部品搭載装置のメモリに予め設定されている基板に必要な部品が、スタンドのどの位置に配置されているのかを部品搭載装置の、別のメモリ領域に設定して、部品搭載における搭載ヘッドの駆動経路を設定することができる。
【発明の効果】
本発明の部品搭載装置によれば、簡便な構成で、複数の品種のチップ部品を、配線基板の品名に応じた所定の位置に順次搭載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の部品搭載装置を実施するための最良の形態の例を、図1〜図8を参照して説明する。本例の部品搭載装置は、従来の図9例の部品実装装置の操作部を取り外し、チップ部品Pが収容されたマガジン(部品収容体)40と押出し棒57の組合わせとし、複数品種のチップ部品ごとに別々のマガジン40,40,40・・・に収容して着脱自在にスタンドに設け、このスタンドを、搭載ヘッドをもつ部品搭載装置の載置テーブルに立設したものである。
以下では、この図1〜図8を説明するに図9に対応する部分には同一の符号を付して説明する。
図1は、本例の部品搭載装置1を示す外観斜視図である。本例の部品搭載装置1は、机上で使用できるような大きさで、X軸(前後),Y軸(左右),Z軸(昇降),R軸(Z軸周りの回転)という4軸を同時に制御できる駆動系を装備した汎用小型ロボット10をベースとしている。そして、このロボット10のX軸に載置テーブル16を設け、R軸に搭載ヘッド20を設けている。
汎用小型ロボット10は、図1に示すように、机上の載置台となる箱状の基台11に、X軸駆動機構と4軸(X,Y,Z,R軸)の制御回路を収納している。そして、基台11の前面11aに、電源スイッチ11a-1、RS232CなどのI/F(入出力インターフェース)ポート11a-2、I/O(入出力接点)ポート11a-3、ロボットの動作状態を示す複数のステータスランプ11a-4、配線基板5の品種に応じた必要部品名、搭載レイアウトなどの情報をロボット10に設定するためのカード型のメモリを着脱自在に装着するためのメモリカードスロット11a-5、電源ランプ11a-6などを設けている。
また、箱状の基台11の上面11bに2本のスリットが設けられており、X軸駆動機構の不図示の機器取付け用のブロックが、箱状の基台11の上面11bに露呈した状態で、X軸(前後)方向に移動自在となるように構成されている。
また、基台11には、基台11の奥の側面から略垂直に2本の柱12a,12bが立設され、2本の柱12a,12bの上部で架設するように不図示のY軸摺動軸を内蔵する走行梁13が設けられる。そして、この走行梁13に沿ってヘッド駆動機構14がY方向(左右)に移動自在に移動できるようになっている。
ヘッド駆動機構14は、不図示のZ軸駆動機構とR軸回転駆動機構を内蔵している。そして、図1に示すように、昇降(Z軸)動作と回転(R軸)の動作が自在とされている軸14aが、ヘッド駆動機構14の下端から露出している。
以上のように構成された汎用小型ロボット10は、4軸を独立に駆動制御できるロボットである。
このロボット10のX軸駆動機構のブロックに固定される載置テーブル16は、図1に示すように、略長方形のアルミニウムなどの金属板の一隅を切欠いたような形状で、上面にピン16a-1,16a-2を立設して配線基板5を位置決め固定するものである。 また、図1に示すように、載置テーブル16の左右の端部に第1のスタンド17-1とこれより長さが短い第2のスタンド17-2が設けられている。
また、ロボット10の基台11の上面11b上の前面11a側には、配線基板5の有無検出のため基板検出センサ15が設けられている。
次に、載置テーブル16上に立設されるスタンド17-1,17-2と、これらに懸架するように支持される部品収容体であるマガジン40について図1,図2A及びBを参照して説明する。図2は、同一品名のチップ部品Pが収容されるマガジン40の供給部を示しており、図2Aは本例で使用するマガジン40の一部破断斜視図で、図2Bはスタンド17-1,17-2おけるマガジン40の懸架・支持を説明するための要部拡大斜視図である。
本例で使用するマガジン40では、図2Aに示すように、略直方体のチップ部品Pが、その接続端子面を下方に向けて先端から積み重ねるように装填され、最上のチップ部品Pの上にストッパーバネ58を設けている。
このとき、マガジン40の先頭部品押え部であるホールドバネ56が、最下端のチップ部品P1を両側から押え落下しないように保持する。ここで、ストッパーバネ58は、マガジン40内の上部に配されるチップ部品Pとの遊びによってチップ部品Pの積層状態が崩れないようにしている。
ストッパーバネ58は、図2Aに示すように、金属やプラスチックなどの板を折り曲げ、通常の状態ではマガジン40の対向する内壁間隔よりも大きく形成され、マガジン40に押し込んだときに、折り曲げ部が変形してマガジン40の対向する内壁との摩擦力によりその位置が維持される。
また、マガジン40の下端部にはクリアランスピン42が設けられ、このクリアランスピン42の先端が配線基板5に略垂直に当接しているとき、マガジン40の開口端53の高さがチップ部品Pの厚さLよりも僅かに高くなるように設けられる。
また、マガジン40の上部には、図2A及びBに示すように、両翼状とした2つの突起61,61が一体に形成されている。そして、マガジン40の2つの突起61,61で挟まれる面40aの所定位置にラベル41が貼り付けられる。このラベル41には、装填されているチップ部品Pの品名又は品名と1対1に対応した品名コードの文字41b及びバーコード41aが印刷されている。
そして、図2Aに示すように、マガジン40内に配置される押出し棒57は、ストッパーバネ58の上にその下端が載置され、その上端がマガジン40から大きく凸設するように組み込まれる。
このように構成されたマガジン40は、先ず、ストッパーバネ58の上に押出し棒57を載せた状態でマガジン40のクリアランスピン42を配線基板5に略垂直に当接させ、マガジン40の開口端53と配線基板5との間に、チップ部品Pの厚さLの間隙を設けて保持される。
次に、押出し棒57を、ストッパーバネ58のマガジン40内壁での摩擦力と先頭部品押え部56のチップ部品Pの保持力に抗するように下方に押し込み、最下端のチップ部品P1を1個だけ配線基板5上に載置する。
次に、押出し棒57のストッパーバネ58に対する押し込み力を解除し、押出し棒57を載せた状態で、マガジン40を持ち上げる。
載置テーブル16の上には、図1に示すように、2台のスタンド17-1,17-2が、不図示の位置決めピンなどにより位置決めされ着脱自在に立設されている。
スタンド17-1及び17-2は、図1に示すように、矩形断面の金属の棒を用いて試験管立てのような構造に作製されている。そして、スタンド17-1及び17-2は、図1の要部拡大斜視図の図2Bに示すように、最上段の横梁17aに第1のハンガー部品18が複数固定され、2段目の横梁17bに第2のハンガー部品19が第1のハンガー部品と同数固定されている。
第1及び第2のハンガー部品18,19は、図2Bに示すように、ステンレス鋼などの金属の薄板をプレス加工あるいはエッチング法などで展開形状にした後、折り曲げ加工により成形したものである。
第1のハンガー部品18は、図2Aに示すように、細長い板状のベース18aと、ベース18aの上辺から等間隔に突設された複数の背もたれ18c,・・・・と、ベース18aの下辺から前方方向に等間隔に突設された複数のサポート18b,・・・・が一体に設けられている。
サポート18bは、図2Bに示すように、上方に折り曲げられL字状とされたベント18b-1と、ベント18b-1の上端でさらに略水平となるように折り曲げられた上面18b-2とが形成される。
この複数のサポート18b,・・・・の各サポート間の間隙で形成される凹部18dは、マガジン40の筒体の幅より大きく、マガジン40がずれてもサポート18bの上面18b-2からマガジン40の翼状の2つの突起61,61が外れないような寸法に形成される。
また、上記複数の背もたれ18c,・・・・と複数のサポート18b,・・・・は、ピッチが同じで、かつサポート18b,18b同士の間隙の中心と背もたれ18cの中心とが一致するように形成されている。
さらに、背もたれ18cは、ベース18aの上辺で僅か前方に傾斜するように曲げられ、さらに先端で後方に大きく折り曲げ加工される。
第2のハンガー部品19は、図2Bに示すように、細長い板状のベース19aと、ベース19aの上辺から等間隔に突設された複数の背もたれ19c,・・・・と、ベース19aの下辺から前方方向に等間隔に突設された複数のサポート19b,・・・・が一体に設けられている。
サポート19b,19b間の間隙で形成される凹部19dは、図2Bに示すように、第1のハンガー部品18の凹部18dと略同じ寸法で、複数の背もたれ19c,・・・・と複数のサポート19b,・・・・は、ピッチが同じで、かつサポート19b,19b同士の間隙の中心と背もたれ19cの中心とが一致するように形成されている。
また、背もたれ19cは、ベース19aの上辺で僅か前方に傾斜するように曲げられ、さらに先端が後方に大きく折り曲げ加工される。
上述のように成形された第1及び第2のハンガー部品18,19は所定数用意され、それぞれに設けられている取付け孔18e,18e,18e及び19e,19e,19eを用いて、図2Bに示すように、第1のハンガー部品の凹部18dの略鉛直下方に第2のハンガー部品の凹部19dが配されるように、スタンド17-1及び17-2に固定される。
このように組み立てられたスタンド17-1,17-2では、図2B示すように、第1のハンガー部品18の凹部18dと第2のハンガー部品19の凹部19dにマガジン40の筒体が収納され、マガジン40の翼状の突起61,61が、第1のハンガー部品18の上面18b-2,18b-2に載置される。そして、マガジン40がスタンド17-1,17-2に懸架されるようにセットされる。
このとき、マガジン40は、図2Aに示すように、マガジン40内のストッパーバネ58の上に押出し棒57が載置され、ラベル41が前方を向いた状態とされている。
そして、図2B及びマガジン40の把持前の状態を説明図する図5Aに示すように、マガジン40の背面に配され、前方に傾斜するように曲げられている第1のハンガー部品18の背もたれ18cと第2のハンガー部品19の背もたれ19cの弾性によって、マガジン40が押されたときにスタンド17-1,17-2を動かすことなくマガジン40が後方に逃げの移動ができるようになされている。
なお、以下では特に断らない限り、ストッパーバネ58の上に押出し棒57を載せた状態のマガジン40を、「マガジン40」とする。
そして、図1に示すように、当該配線基板に搭載するチップ部品の種類の数だけのマガジン40,40,40,・・・・がスタンド17-1,17-2にセットされる。
なお、載置テーブル16に立設するスタンドは、スタンド17-1とスタンド17-2の両方でも、何れか1台だけでもよい。また、図1に示すように、スタンド17-1とスタンド17-2の両方にマガジン40,・・・・を載置するときには、スタンド17-1にセットしたマガジン40のラベル41面(面40a)とスタンド17-2セットしたマガジン40のラベル41面(面40a)とが向かい合うように設ける。
次に、ヘッド駆動機構14の下端から突設されている軸14aに取付けられる部品の搭載ヘッド20を、図3及び図4を参照して説明する。図3は搭載ヘッド20の外観斜視図であり、図4は搭載ヘッド20の分解斜視図である。
搭載ヘッド20は、主に、マガジン40及び押出し棒57を把持する把持爪と、マガジン40のバーコード41aを読み取るバーコードリーダ7とマガジン40内のチップ部品の有無検出のためのファイバーセンサ8などから構成される。
把持爪は、図3及び図4に示すように、第1のホールドステイ34と第2のホールドステイ35に、向かい合うように取付けられるものである。そして、図4に示すように、第1のホールドステイ34に、第1のスティックスプリング23及び2つの第1のスティックブラケット30-1,30-2の計3個設けられる。また、第2のホールドステイ35に、第1のスティックスプリング23、第2のスティックブラケット21、第3のスティックブラケット22及び2つの第2のスティックスプリング24-1,24-2の計5個設けられる。
第1のスティックブラケット30-1,30-2、第2のスティックブラケット21、第3のスティックブラケット22は、板金を切削加工して爪形状としたもので、図3及び図4に示すように、爪の先端部の内側に凹部が設けられ、第1のスティックブラケット30-1,30-2の爪長を、第2のスティックブラケット21、第3のスティックブラケット22の爪長の略2倍に形成したものである。
そして、第1のスティックブラケット30-1,30-2、第2のスティックブラケット21及び第3のスティックブラケット22が、図4に示すように、第1のホールドステイ34と第2のホールドステイ35の対向する面に設けられる。
このとき、第2のスティックブラケット21は、第2のホールドステイ35の略中間に設けられ、第1のホールドステイ35の略中間に設けられる第1のスティックブラケット30-1の下半分に爪が対向するように設ける。また、第3のスティックブラケット22は、第2のホールドステイ35の下部に設けられ、第1のホールドステイ35の下端に設けられる第1のスティックブラケット30-2の上半分に爪が対向するように設ける。
また、図4に示すように、第1のホールドステイ34と第2のホールドステイ35の上端には、対向するように、第1のスティックスプリング23-1,23-2が設けられる。さらに、第2のホールドステイ35の第2のスティックブラケット21の上に第2のスティックスプリング24-1が設けられ、第3のスティックブラケット22の下に第2のスティックスプリング24-2が設けられる。
ここで、第1のスティックスプリング23-1,23-2、第2のスティックスプリング24-1,24-2は、何れも薄い金属板を折り曲げ加工して板バネとして把持爪としたものであり、第1のスティックスプリング23-1,23-2の板厚を、第2のスティックスプリング24-1,24-2の板厚よりも厚くしてバネの付勢力を大きくしたものである。
そして、図4に示すように、第1のホールドステイ34に、開閉のアクチュエータ9に取付けるための第1のアクチュエータブラケット33-1が設けられ、第2のホールドステイ35には、開閉のアクチュエータ9に取付けるための第2のアクチュエータブラケット33-2が設けられる。
これらの把持爪を開閉駆動するアクチュエータ9は、図4に示すように、例えば空圧により並列に配置された2つのテーブルが互いに反対方向に同期して駆動されるものであり、メインバー32に取付けられる。
メインバー32は、図4に示すように、比較的厚い金属の板で形成され下部に、後述するバーコードリーダ7を装着するための大きな逃げのための切欠きが設けられ、このバーコードリーダ7を取付けるためのリーダーブラケット36を設け、上部には、取付けブラケット31を固定するための不図示の固定ネジ挿通孔を設けている。また、メインバー32の切欠きの上部に、円柱状の第2のロッド49が立設されている。
なお、図5A及びBに示すように、第2のロッド49が、マガジン40を把持するときにその先端面にマガジン40を当接させ、マガジン40を一定位置で把持できるようにしている。
メインバー32が取付けられる取付けブラケット31は、図3に示すように金属の円柱の一端から円形の穴を設け、他端側にメインバー32を固定するための平面と、その反対側にコネクトブラケット38を固定するための平面とを設ける。そして、それぞれの平面に設けられる固定用のネジ孔で、図4に示すように、メインバー32とコネクトブラケット38が取付けられる。
コネクトブラケット38は、図4に示すように、直方体の一端部が切り欠かれて段差を設けた形状であり、上部に矩形の凹部が設けられている。そして、段差と凹部内には、ネジ挿通穴が設けられ、取付けブラケット31に固定されている。
また、矩形の凹部の下に円柱状の第1のロッド48、及び直方体の上面に金属の円柱のセンサガイド37が設けられる。
なお、第1のロッド48は、図5A及びBに示すように、マガジン40が把持された状態で押出し棒57を第1のロッド48の先端面に当接させ、押出し棒57と後述するファイバーセンサ8との間隔を一定にして押出し棒57の検出を安定して行えるように取り付けられている。
センサガイド37には、図4に示すように、センサブラケット39が取り付けられる。この取付けは、内径をセンサガイド37の外径よりも僅か大きく形成されセンサブラケット39に設けられた挿通孔に、センサガイド37を挿通し、固定ネジ39b,39bを締め込むことにより行われる。
このため、センサブラケット39に設けられている固定ネジ39b,39bがねじ込まれていない状態では、センサブラケット39は上下方向とセンサガイド37回りに位置調整することができる。
このセンサブラケット39には、センサポート8aを介してファイバーセンサ8が設けられる。
このように構成された搭載ヘッド20には、図3に示すように、バーコードリーダ7が取付けられ、また、アクチュエータ9の並列に配置されたテーブルに、図4に示す第1のアクチュエータブラケット33-1と第2のアクチュエータブラケット33-2が固定される。そして、空圧によりアクチュエータ9が駆動され、第1のホールドステイ34と第2のホールドステイ35が、互いに反対方向に動いて、爪の開閉動作が行えるようにしている。
そして、図4に示すマガジン40を把持していない状態から、アクチュエータ9により爪が閉じて、マガジン40が図5Bに示す状態になったとき、図4及び図5Bに示す、第1のスティックブラケット30-1,30-2、第2のスティックブラケット21、第3のスティックブラケット22の先端部の凹部によって、マガジン40の上下2箇所でマガジン40が略垂直となるようにガイドされる。これと同時に、第1のスティックスプリング23-1,23-2の強いバネ付勢力で押出し棒57が把持される。また、第1及び第2のホールドステイ34,35の略中間の第2のスティックスプリング24-1と第1のスティックブラケット30-1、及びホールドステイ34,35の下部の第2のスティックスプリング24-2と第1のスティックブラケット30-2とが、マガジン40を落下させない程度に把持する。
次に、搭載ヘッド20の動作について、図1,図2B,図3,図5を参照して説明する。
以下では、マガジン40が、図2Bに示すように懸架され、図1に示すスタンド17-1に1つのマガジン40が設けられている例で説明する。
先ず、図3に示す把持爪が開いた状態で、搭載ヘッド20がR軸(垂直軸回り)に、上方から見て略90°時計回りに駆動されてスタンド17-1に対向するように回動される。そして、図5に示すように、把持爪が、マガジン40のラベル41面に向いた状態で、マガジン40を把持する位置まで下降させ接近させる。
そして、第1のロッド48が押出し棒57、第2のロッド49がマガジンを後方に僅か押すような位置まで近付けてから、アクチュエータ9が駆動されて把持爪が閉動作する。
このときのマガジン40の把持は、図5Bに示すように、ホールドステイ34,35の略中間の第1のスティックブラケット30-1と第2のスティックスプリング24-1及び下端の第1のスティックブラケット30-2と第2のスティックスプリング24-2により弱い板バネの付勢力で把持される。
一方、押出し棒57の把持は、図5Bに示すように、ホールドステイ34,35の上端の第1のスティックスプリング23-1,23-2による強い付勢力で把持されるものとなる。
次に、このマガジン40が把持された搭載ヘッド20が、配線基板5上の所望の位置の上方まで移動駆動される。そして、上述のマガジン40と押出し棒57とが把持状態のままで下降(Z軸)駆動され、マガジン40に設けられているクリアランスピン42が配線基板5に略垂直に当接されてマガジン40内のチップ部品Pが1個基板上に載置される。
以下、図6を参照して、本例の搭載ヘッド20による部品搭載動作を説明する。
図6は、部品搭載動作におけるマガジン40と押出し棒57と把持爪及びチップ部品Pの動きを説明するものであり、図6Aはマガジン40の把持直後の状態、図6Bはこのマガジン40が配線基板5に当接した直後の状態、図6Cは搭載ヘッド20が図6Bに示す状態からさらに下方に移動してマガジン40が押し込まれた状態、図6Dは搭載ヘッド20が上昇しマガジン40が配線基板5との当接から解放された状態を示す説明図である。
なお、図6A〜Dにおいて、マガジン40の把持爪として、第2のスティックブラケット21及び第3のスティックブラケット22を示していない。これは、第2及び第3のスティックブラケット21,22が、マガジン40垂直方向のガイドとして用いられ、把持力を持たないためである。
図6Aに示すように、マガジン40が把持爪で把持された直後の状態では、上述のように、マガジン40は、第2のスティックスプリング24-1,24-2により付勢力の小さい板バネで把持され、押出し棒57は、第1のスティックスプリング23-1,23-2による強い付勢力で把持されている。このとき、図2Aに示すマガジン40に設けられている先頭部品押え部56によって、最下部のチップ部品P1が把持されており、マガジン40の下端には、クリアランスピン42の先端と開口端53との間に、チップ部品Pの1個分の厚さΔlの間隙が設けられる。
図6Bに示すように、マガジン40が下降駆動されてクリアランスピン42が配線基板5と当接した直後の状態では、図6Aに示す状態と各部の相対的な位置と把持状態は同じであり、配線基板5とクリアランスピン42の先端が当接しているので、チップ部品Pの1個分の厚さΔlの間隙は配線基板との間に設けられる。
図6Cに示すように、マガジン40のクリアランスピン42が配線基板5に当接した状態(図6B参照)から搭載ヘッド20が下方に移動(押し込み動作)した後の状態では、マガジン40は配線基板5にクリアランスピン42で当接しているので、マガジン40自体は動けないため、全ての把持爪が下方にずれることになる。
このとき、第1のスティックスプリング23-1,23-2の強い板バネの付勢力によって把持されている押出し棒57も下方に押し込まれる。そして、押出し棒57にかかる押付け力が、先頭部品押え部56による最下端のチップ部品P1の把持力及びストッパーバネ58によるマガジン40の内壁との摩擦力の和より大きいとき、ストッパーバネ58が、チップ部品Pの1個分の高さだけ押し込まれ、マガジン40の開口端53(図2A参照)から配線基板5上に押出される。これと同時に、図6A及びBにおいて最下端のチップ部品P1の直上に積み上げられていたチップ部品Pが先頭部品押え部56により新たに保持される。
そして、チップ部品Pの搭載動作における搭載ヘッド20の押し込み量として、Δlより僅か大きいΔL(ΔL>Δl)ものとして確実な押し出しが行えるようにしている。
ここで、図6Bに示す配線基板5と当接した直後の高さに対する、図6Cの状態における搭載ヘッド20の押し込み量ΔLがチップ部品Pの厚さΔlよりも大きいとき(ΔL>Δl)、その寸法差(ΔL―Δl)が、マガジン40を把持爪が滑ってずれる距離となる。
なお、図6Cにおける記号は、搭載ヘッド20が図6Bに示す状態からΔLだけ押し込まれとき、3組の把持爪がΔLだけ滑って下降するのに対し、押出し棒57がチップ部品Pの厚さであるΔlだけ下降することを示している。
図6Dに示すように、配線基板5に当接した状態(図6C参照)から搭載ヘッド20が上昇し、マガジン40が配線基板5との当接から解放された状態では、図6Cの状態において配線基板5上に押し出されたチップ部品P1は、全く自由となり、配線基板5上に載置された状態となる。
このときの、マガジン40のクリアランスピン42の先端に対する把持爪の位置は、前述のように図6A及びBの状態に対して、図6C及びDの状態ではΔLだけ下方にずれるものとなっている。
上述のように構成された部品搭載装置1の動作の例を図1〜図8を参照して説明する。ここで、図7及び図8は、部品搭載装置(チップマウンタ)1での作業フローを示すものである。
本例においては、外段取りにより当該配線基板5の品名に応じた、搭載部品名、搭載部品ごとの搭載レイアウト及び当該部品の搭載順番などの基板設計情報に基づくデータと、ロボットの基本動作プログラムが、図1に示すロボット内の不揮発性メモリなどに予め登録済みであるものとして説明する。
また、配線基板5には、クリームはんだ6がスクリーン印刷法などにより塗布され表面5aの所望位置に供給される。また、図1とは異なり、搭載するチップ部品Pの品種が少なくスタンド17-1(図1の左側の大きなスタンドのみ)にだけマガジン40,・・・・がセットされているものとする。
さらに、アクチュエータ9を駆動するための高圧エアーが供給されているものとする。
チップ部品Pの搭載過程のうち準備作業を、図7に示すフローの「準備」を参照して説明する。
先ず、図1に示す電源スイッチ11a-1を「ON」する。これによりロボット10に給電される。
次に、不図示の制御コントローラから原点復帰動作を指示する。
これにより、4軸ロボットのXYZR軸が不図示のX,Y,Z,R軸の原点センサを検出するように原点復帰の動作を行なう。
すなわち、図1に示す、載置テーブル16が、例えば前進してX原点センサを検出(X軸原点復帰)してから所定の初期設定値まで後進して停止する。また、図1に示す、ヘッド駆動機構14自体が、例えば右進してY原点センサを検出(Y軸原点復帰)してから所定の初期設定値まで左進して停止する。また、図1に示す、ヘッド駆動機構14のZ軸が、例えば上昇してZ原点センサを検出(Z軸原点復帰)してから所定の初期設定値まで下降して停止する。
さらに、図1に示す、ヘッド駆動機構14の軸14aが、例えば上方から見て反時計回りに回動してR原点センサを検出(R軸原点復帰)してから所定の初期設定値まで時計回りに回転して停止する。
また、アクチュエータ9の動作させるための高圧エアーを制御するための、例えば電磁弁がノーマル状態に設定され、把持爪が開状態とされる。
そして、全ての駆動軸が図1に示す予め設定されている初期位置に移動し、停止する。この状態が、部品搭載装置1としての初期設定位置で、所望の部品搭載シーケンスの動作が開始できる、いわゆる準備完了(スタンバイ状態)の状態となる。
次に、図1に示すように、クリームはんだ6が塗布された配線基板5を、配線基板5の位置決め孔と載置テーブル16の位置決めピン16a-1,16a-2を用いてセットする。このとき、ロボット10の基台11の前面側に設けられている基板検出センサ15を「ON」させる。なお、本例ではこれを搭載動作を開始するための条件の1つとしている。
次に、当該配線基板5に必要な部品を収容した図2Aに示すマガジン40が、図2Bに示すように懸架され、複数本のマガジン40が設けられたスタンド17-1が、図1に示すように、載置テーブル16の左側に設けられる不図示の位置決めピンを用いて立設される。
なお、ここでスタンド17-1のマガジン40がきちんと順番に並べられる必要なく、歯抜け状であってもよく、特定の品名のマガジン40を、スタンド17-1の決められた位置に懸架する必要もなく、任意の位置にセットすればよい。
そして、不図示の制御コントローラのスタートスイッチを「ON」する。
チップ部品Pの搭載過程のうち搭載ヘッド20のバーコード読取り動作を、図7に示すフローの「バーコード読取り」を参照して説明する。
スタートスイッチを「ON」により、搭載ヘッド20が所定位置まで下降(Z方向)してから、スタンド17-1の方にバーコードリーダ7の受光面7aが向くように、上方から見て図1に示す位置から時計回りに略90°回動(R軸)する。
このとき、バーコードリーダ7の前方(図1における左)に、スタンド17-1のマガジン40のうち最も奥に懸架されているマガジン40のバーコード41aが真正面となるように原点復帰動作でのXY軸の初期設定置が決められる。
それから、搭載ヘッド20は、バーコードリーダ7でマガジン40のバーコード41aが十分な精度で読取できる距離まで左進駆動(Y軸)される。
次に、搭載ヘッド20のバーコードリーダ7で、マガジン40のバーコード41aの読み取りが完了すると、載置テーブル16が、スタンド17-1でマガジン40が懸架されているピッチで後進駆動され、次のマガジン40バーコード41aの正面となるようになされる。そして、同様に次のマガジン40のバーコード41aを読み取る。
以降、スタンド17-1に設けることのできる最多のマガジン40の数だけ、載置テーブル16が後進によるピッチ駆動が行われる。
その後、搭載ヘッド20は、初期設定位置に戻る。
このとき、読み取られたバーコードの読み取り信号は、不図示のバーコード照合器を介して小型汎用ロボット10のI/Oポートに出力され、制御回路で、スタンド17-1における位置と当該部品の品名との対応をロボット内のメモリに設定する。
次に、予めロボット内の不揮発性メモリなどに登録済みの当該配線基板5の搭載部品名、搭載部品ごとの搭載レイアウト及び当該部品の搭載順番などの基板設計情報に基づくデータと、バーコード41aから得られたスタンド17-1における部品配置情報から、搭載動作シーケンスを設定する。
そして、搭載動作が開始される。
以下、チップ部品Pの搭載過程のうち部品搭載動作を、図7の続きの図8に示すフローの「部品搭載動作」を参照して説明する。
なお、この時点ではXYZRの各軸は、初期設定位置に戻っており、スタンド17-1のみが立設されている。
先ず、搭載ヘッド20が、これから搭載するチップ部品を収納しているマガジン40のラベル41側の面の前方(図1で左方)方向の位置となるように載置テーブル16が移動される。
次に、搭載ヘッド20が時計回りに略90°回動されて、下降駆動されて把持爪及びバーコードリーダ7の正面(図1の左方)にマガジン40が配されるようになされる。
次に、搭載ヘッド20は、マガジン40を把持できる位置まで前進(図1においてY軸での左進)駆動され、図5Aに示すような状態とする。
このとき、上述のように第1のロッド48で押出し棒57、第2のロッド49でマガジン40を僅か押し込むようにする。また、必要に応じてバーコードリーダ7でラベル41を読取り、マガジン40の有無と部品を再確認することができる。
次に、図3に示すアクチュエータ9が駆動されて、図5Bに示すように、把持爪によりマガジン40押出し棒57が把持される。
このときのマガジン40の把持は、図5Bに示すように、ホールドステイ34,35の略中間の第1のスティックブラケット30-1と第2のスティックスプリング24-1及び下端の第1のスティックブラケット30-2と第2のスティックスプリング24-2により弱い板バネの付勢力で把持される。
一方、押出し棒57の把持は、図5Bに示すように、ホールドステイ34,35の上端の第1のスティックスプリング23-1,23-2による強い付勢力で把持されるものとなる。
次に、搭載ヘッド20が僅か上昇駆動され、図5Aに示す第1のハンガー部品18の上面18b-2から、この上に載置されているマガジン40の突起61が持ち上げられるようにして後進(図1においてY軸での右進)駆動される。
次に、搭載ヘッド20が、配線基板5上の所定の位置にXY軸方向に駆動される。
このとき、搭載ヘッド20は、チップ部品が所望の搭載方向となるようにR軸の回動が行われる。すなわち、部品搭載の際の搭載ヘッド20の姿勢は、図1に示すような状態でも、この状態から90°回動した姿勢でも部品の搭載レイアウトに応じて自由に行うことができる。
次に、搭載ヘッド20が下降駆動され、図6に示す押し込み過程により、クリームはんだ6が塗布されている基板5の表面5a上にチップ部品P1が載置される。
また、本例の部品搭載装置1には、マガジン40の持ち替え動作機能が組み込まれている。これは、チップ部品の搭載によりマガジン40内のストッパーバネ58と押出し棒57が順次下降することから、図6Dに示すマガジン40のクリアランスピン42の先端と把持爪(本図では第2のスティックスプリング)の距離l’がどんどん小さくなる。
このように、チップ部品Pの搭載を続けていくと、結局把持爪とマガジン40との干渉を生じさせてしまうため、所定回数搭載動作を行ったあとに、一度マガジン40をスタンド17-1に戻し、再度把持し直してから残りの箇所に部品を搭載するようにしている。なお、本フローでは、チップ部品Pを10個搭載するごとに持ち直しするようにしている
また、本例の部品搭載装置1には、マガジン40内のチップ部品Pが搭載動作の途中でなくなったときのマガジン40の空を検出するため、図3〜図5に示すように、ファイバーセンサ8が設けられている。これは、チップ部品の搭載によりマガジン40内のストッパーバネ58と押出し棒57が順次下降することから、押出し棒57の上端が大きく下がりファイバーセンサ8で検出できなくなったとき、チップ部品Pがなくなったとするものである。このときは、マガジン40をスタンド17-1に戻し、次のチップ部品Pが収容されたマガジン40と持ち替えて搭載を続行する。
このようにして、必要なチップ部品Pが搭載された後に、搭載ヘッド20と載置テーブル16は初期設定位置に戻り、一連のチップ部品搭載動作が終わる。
そして、配線基板を取り出し、1枚の配線基板の搭載作業が終了する。
本例の部品搭載装置1によれば、手では扱いにくいチップ部品Pを、複数搭載するような配線基板5の所定の位置に所望のチップ部品Pを順次搭載できる。そして、多軸の汎用小型のロボットを使用できるので、低コストかつ簡単な構成でありながら多品種のチップ部品を配線基板に搭載することができるような部品搭載装置とすることができる。
なお、本例の部品搭載装置1では、門型で机上に設置できるような汎用小型のロボットに所定の搭載ヘッドを設ける例で説明したが、これに限らずほかの極座標形、円筒座標形、多関節形のロボットでも実施できる。また、机上に載る大きさである必要はないことは勿論である。また、ロボットを、外部に設けたコンピュータなどに、例えばRS232Cなどの信号インターフェースを介して接続して外部から複数のロボットを制御することもできるものである。
また、マガジン40を載置テーブル16の左右2つ設けたスタンド17-1,17-2に設けた例で説明したが、搭載ヘッドの動作に支障のない大きさの載置テーブルをもつ、大きな駆動機構をもつものであれば、載置テーブルの四方にスタンドを配設するようにしても勿論よい。
さらに、爪開閉用のアクチュエータは、エアー式だけでなく電動式などほかの方式でもよいのは勿論である。
また、本例の部品搭載装置1の搭載ヘッド20には、バーコードリーダ7を設け、マガジン40のバーコード41aを読み取る例で説明したが、バーコードに限らず、QRコードなどのほかの2次元コードをマガジン40の面40aに設け、この2次元コードの読取り機構を搭載ヘッドに設けてもよいのは勿論である。
本発明の部品搭載装置は、上述例に限ることなく本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成をとりうることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の部品搭載装置の一例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の部品供給部を示し、Aはマガジンの一部破断斜視図で、Bはマガジンを支持するスタンドの要部拡大斜視図である。
【図3】本発明の部品搭載ヘッドの外観斜視図である。
【図4】本発明の部品搭載ヘッドを一部分分解した外観斜視図である。
【図5】本発明の部品搭載ヘッドの動作説明図で、Aはマガジン把持前の側面略図、Bはマガジン把持後の背面略図である。
【図6】本発明の部品搭載動作の説明図である
【図7】本発明の部品搭載装置の作業フロー図である。
【図8】本発明の部品搭載装置の作業フロー図(図8の続き)である。
【図9】従来の部品実装装置の例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・部品搭載装置、3・・・・部品実装装置、5・・・・配線基板、6・・・・クリームはんだ、7・・・バーコードリーダ、9・・・・アクチュエータ、10・・・・汎用ロボット、14・・・・ヘッド駆動機構、16・・・・載置テーブル、17-1,17-2・・・・スタンド、20・・・・搭載ヘッド、40・・・・マガジン(部品収容体)、41・・・・ラベル、41a・・・・バーコード、
41b・・・・品名(文字)、56・・・・ホールドバネ(先頭部品押え部)、57・・・・押出し棒
写真1
写真2
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
ページtop へ