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機械器具
 
【考案の名称】緩み止め具
【実用新案権者】
【識別番号】505149077
【氏名又は名称】紀岡 宏迪
【住所又は居所】大阪府阪南市尾崎町7丁目1番6棟201号
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100080746
【氏名又は名称】中谷 武嗣
【考案者】
【氏名】紀岡 宏迪
【住所又は居所】大阪府阪南市尾崎町7丁目1番地6棟201号
【要約】
【課題】
構造が簡単でありながら確実に緩み止めを行なうことができ、かつ、専用工具を必要とせずに柱上作業等での不安定な態勢でも容易に取付け・取外し可能な緩み止め具を提供する。
【解決手段】
複数個の平坦側面部3を有する平面視略正多角形状の周囲壁1と、周囲壁1の下方側の周端縁部4に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片2と、を備え、複数の板バネ片2の先端部で囲まれた領域には、ボルト30が挿通される挿通領域Aが形成され、さらに、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にボルト30のねじ山部及び/又は谷部に係合する係合部5を、板バネ片2の先端部に形成した。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
複数個の平坦側面部(3)を有する平面視略正多角形状の周囲壁(1)と、該周囲壁(1)の下方側の周端縁部(4)に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片(2)と、を備え、
複数の該板バネ片(2)の先端部で囲まれた領域には、ボルト(30)が挿通される挿通領域(A)が形成され、さらに、該挿通領域(A)に該ボルト(30)が挿通された際に該ボルト(30)のねじ山部(31b)及び/又は谷部(31a)に係合する係合部(5)を、上記板バネ片(2)の上記先端部に形成したことを特徴とする緩み止め具。
【請求項2】
複数個の平坦側面部(3)を有する平面視略正多角形状の周囲壁(1)と、該周囲壁(1)の下方側の周端縁部(4)に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片(2)と、を備え、
複数の該板バネ片(2)の先端部で囲まれた領域には、ボルト(30)が挿通される挿通領域(A)が形成され、さらに、該挿通領域(A)に該ボルト(30)が挿通された際に該ボルト(30)のねじ山部(31b)に係合する山係合部(5b)、及び、該ボルト(30)の谷部(31a)に係合する谷係合部(5a)を、全ての上記板バネ片(2)の上記先端部のうち半数ずつに形成したことを特徴とする緩み止め具。
【請求項3】
複数個の平坦側面部(3)を有する平面視略正多角形状の周囲壁(1)と、該周囲壁(1)の下方側の周端縁部(4)に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片(2)と、を備え、
複数の上記板バネ片(2)の先端部で囲まれた領域には、ボルト(30)が挿通される挿通領域(A)が形成され、さらに、該挿通領域(A)に該ボルト(30)が挿通された際に該ボルト(30)のねじ山部(31b)及び/又は谷部(31a)に係合する係合部(5)を、上記板バネ片(2)の上記先端部に形成し、
さらに、上記板バネ片(2)は、その取付け回転状態の下流側のラジアル端縁部(2a)に、取外し回転方向(I)へ下傾状として下面に突出状の当接折曲部(7)を有することを特徴とする緩み止め具。
【請求項4】
複数個の平坦側面部(3)を有する平面視略正多角形状の周囲壁(1)と、該周囲壁(1)の下方側の周端縁部(4)に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片(2)と、を備え、
複数の上記板バネ片(2)の先端部で囲まれた領域には、ボルト(30)が挿通される挿通領域(A)が形成され、
複数の上記先端部のうち所定の先端部(9)は、上記挿通領域(A)に上記ボルト(30)が挿通された際に該ボルト(30)のねじ山部(31b)のつる巻線方向(J)と交差する方向に形成され、
さらに、上記挿通領域(A)に上記ボルト(30)が挿通された際に上記ねじ山部(31b)に係合する切欠凹溝(8)を、上記所定の先端部(9)の中央に形成したことを特徴とする緩み止め具。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、緩み止め具に係り、より詳しくは、主に電力会社,鉄道会社による柱上作業におけるナットの緩み止めとして使用され、その他一般のナットの緩み止めにもなる緩み止め具に関する。
【背景技術】
従来、ボルトに螺合されたナットの緩みを防止するため、種々の緩み止め具が提案されている。
しかしながら、従来、電力会社,鉄道会社による柱上作業の分野で使用されてきた(所謂イダリングナット等の)緩み止め具では、品質保証のための振動試験{例えばJQA(日本品質保証機構)の振動試験}において安全基準値に達しないものが多かった。
そこで、従来、柱上作業の分野では、より確実な緩み止めを行なうため、緩み止め具と併用して、別の緩み止め方法もとられていた。具体的には、ボルトを長くしてその先端にピン挿通孔を設け、そのピン挿通孔に割りピンを挿通させる方法がとられていた。
また、上述した柱上作業の分野以外でも、従来より、種々のボルト・ナットの使用分野に応じた緩み止め具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、木やせを生じる木材の締結に用いられるボルト・ナットについて、渦巻きばねの弾発付勢力でナットに常時締め付け力を働かせるようにして、ナットの緩みを防止する緩み止め具が開示されている。
また、従来、各種産業機械用としては、緩み止め機能が付加されたナットである緩み止めナットも使用されていた。
【特許文献1】
特開2003−42126号公報
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記柱上作業において使用される割りピンでは、高所の不安定な態勢でボルトのピン挿通孔に挿通する必要があり、難作業であった。これにより、柱上作業時間が長くなり、事故により電力が遮断された場合には、復旧に時間がかかった。
また、従来では、緩み止め具の取付け・取外しにスパナ,ラチェットレンチ等の一般工具を使用することができないものがあった。具体的には、一旦取付けた緩み止め具を取り外そうとするときに、緩み止め具の一部がボルトに食い込んでいるために、一般工具にて緩めることができない等の問題点があった。
また、上記特許文献1に開示された緩み止め具では、構造が複雑であるという問題点があった。
また、上記各種産業機械用として使用される緩み止めナットでは、加工不良により、締め付けたつもりでも実際には十分に締め付けられていないという締め付け不良が多発していた。
そこで、本考案は、構造が簡単でありながら確実に緩み止めを行なうことができ、かつ、専用工具を必要とせずに柱上作業等での不安定な態勢でも容易に取付け・取外し可能な緩み止め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本考案に係る緩み止め具は、複数個の平坦側面部を有する平面視略正多角形状の周囲壁と、該周囲壁の下方側の周端縁部に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片と、を備え、複数の該板バネ片の先端部で囲まれた領域には、ボルトが挿通される挿通領域が形成され、さらに、該挿通領域に該ボルトが挿通された際に該ボルトのねじ山部及び/又は谷部に係合する係合部を、上記板バネ片の上記先端部に形成したものである。
また、複数個の平坦側面部を有する平面視略正多角形状の周囲壁と、該周囲壁の下方側の周端縁部に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片と、を備え、複数の該板バネ片の先端部で囲まれた領域には、ボルトが挿通される挿通領域が形成され、さらに、該挿通領域に該ボルトが挿通された際に該ボルトのねじ山部に係合する山係合部、及び、該ボルトの谷部に係合する谷係合部を、全ての上記板バネ片の上記先端部のうち半数ずつに形成したものである。
また、複数個の平坦側面部を有する平面視略正多角形状の周囲壁と、該周囲壁の下方側の周端縁部に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片と、を備え、複数の上記板バネ片の先端部で囲まれた領域には、ボルトが挿通される挿通領域が形成され、該挿通領域に該ボルトが挿通された際に該ボルトのねじ山部及び/又は谷部に係合する係合部を、上記板バネ片の上記先端部に形成し、さらに、上記板バネ片は、その取付け回転状態の下流側のラジアル端縁部に、取外し回転方向へ下傾状として下面に突出状の当接折曲部を有するものである。
また、複数個の平坦側面部を有する平面視略正多角形状の周囲壁と、該周囲壁の下方側の周端縁部に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片と、を備え、複数の上記板バネ片の先端部で囲まれた領域には、ボルトが挿通される挿通領域が形成され、複数の上記先端部のうち所定の先端部は、上記挿通領域に上記ボルトが挿通された際に該ボルトのねじ山部のつる巻線方向と交差する方向に形成され、さらに、上記挿通領域に上記ボルトが挿通された際に上記ねじ山部に係合する切欠凹溝を、上記所定の先端部の中央に形成したものである。
【考案の効果】
本考案に係る緩み止め具によれば、平面視中心角度等ピッチとなるように複数設けられた板バネ片にて、ボルトの外周面をバランスよく押圧することができ、確実に緩み止めを行なうことができる。
また、一旦締め付けられた緩み止め具を緩める場合、板バネ片のもとの形状に戻ろうとする弾発力によってボルトの外周面への押圧状態をすぐに解除でき、容易に緩み止め具の取外しを行い得る。
また、金属にて一体的に形成することができるので、構造が簡単なものとなり、軽量で安価な緩み止め具とすることができる。
また、平面視略正多角形状の周囲壁を備えることによって、専用工具を必要とせずに一般工具にて緩み止め具の取付け・取外しを容易に行なうことができ、柱上作業等での不安定な態勢での作業性を従来よりも向上させることができる。また、事故により電力が遮断された場合等における復旧作業の短縮化と安全化も図り得る。
また、ボルトの軸方向に真っ直ぐに緩み止め具を取付けることができ、より確実に緩み止めを行なうことができる。
また、緩み止め具を取外し回転方向に回転させる場合、スムーズに回転させることができる。また、取付状態において緩み止め具の緩みを抑制することができる。
また、より安定かつ強固となるように、切欠凹溝をボルトのねじ山部に係合させることができ、緩み止め機能をより有効に働かせ得る。
【考案を実施するための最良の形態】
図1〜図3に於て、本考案の第1の実施の形態に係る緩み止め具10を示す。本考案に係る緩み止め具10は、ボルト30に先に螺合されたナット20に続いて、ボルト30に取付けることによって使用される。また、特に、電力会社,鉄道会社による柱上作業等の難作業において有効に使用される。
第1実施形態に係る緩み止め具10は、例えばステンレス材等の金属材料により一体的に形成されている。この緩み止め具10は、複数個の平坦側面部3…を有する平面視略正多角形状の周囲壁1と、周囲壁1の下方側の周端縁部4に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片2…と、を備えている。
次に、緩み止め具10の各部分について詳しく述べる。
周囲壁1は、第1実施形態では平面視正六角形状に形成されている。この周囲壁1の外形は、スパナ,メガネレンチ,ラチェットレンチ等の一般工具(図5の符号40)の規格に対応した大きさに形成されている。
板バネ片2…は、周囲壁1の中心に対して点対称となるように6枚設けられている。また、各板バネ片2は、平面視六角形状の周囲壁1の各辺に対応するように、周端縁部4に連設されている。また、板バネ片2は、平面視において、略台形状に形成され、側面視において、周端縁部4から先端部にかけてなだらかに弯曲した形状となっている。 また、複数の板バネ片2…の先端部で囲まれた領域には、ボルト30が挿通される略円状の挿通領域Aが形成されている。
また、隣り合う各板バネ片2,2間には、スリット部6が形成されている。このスリット部6…は、周囲壁1の中心に対して放射線状になるように位置している。また、各スリット部6のスリット幅は、径方向内方から外方にかけて、一定となっている。
ここで、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にボルト30のねじ山部31b又は谷部31aに係合する係合部5…が、各板バネ片2の先端部に形成されている。
係合部5…は、2つの種類が存在している。具体的には、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にボルト30のねじ山部31bに係合する山係合部5b、及び、ボルト30の谷部31aに係合する谷係合部5aが、全ての板バネ片2…の先端部のうち半数ずつに形成されている。つまり、第1実施形態では、山係合部5bが3個、谷係合部5aが3個形成されている。また、山係合部5b及び谷係合部5aは、山係合部5bと周囲壁1の略中心に対して点対称となる位置に谷係合部5aが位置するように、配設されている。
山係合部5bは、平面視では円弧状、側面視では凹状に弯曲した形状に形成され、ボルト30のねじ山部31bの形状に合わせた形状となっている。また、谷係合部5aは、平面視では円弧状、側面視では凸状に弯曲した形状に形成され、ボルト30の谷部31aの形状に合わせた形状となっている。これにより、ボルト30のねじ山部31b及び谷部31aへ板バネ片2…の山係合部5b及び谷係合部5aを係合させた状態(図3の状態)で、緩み止め具10をスムーズに取付け回転方向(図1,3の矢印D方向)に回転させることが可能とされている。
次に、図1,図3〜図5を参照して、第1実施形態に係る緩み止め具の使用方法について説明する。
まず、図1及び図3に示すように、緩み止めの対象となるナット20をボルト30に先に螺合させる(図3の矢印C方向)。次に、ボルト30が挿通領域Aに挿通されるように、かつ、周囲壁1の下方側の周端縁部4がナット20側に向くようにして、緩み止め具10をボルト30の先端に嵌込む。このとき、板バネ片2…の山係合部5b…をボルト30のねじ山部31bに係合させ、板バネ片2…の谷係合部5a…をボルト30の谷部31aに係合させる。この係合状態において、周囲壁1を手で摘んで緩み止め具10を取付け回転方向(図1,3の矢印D方向)に回転させると、緩み止め具10は、ボルト30に沿って、ナット20に近づく方向(図3の矢印B方向)にスムーズに進む。また、この際、板バネ片2…の山係合部5b…はボルト30の螺旋状のねじ山部31bに沿って進み、板バネ片2…の谷係合部5a…はボルト30の螺旋状の谷部31aに沿って進む。
そして、図4に示すように、周囲壁1の下方の周端縁部4をナット20に当接するまで手で緩み止め具10を取付け回転方向Dに回転させる。
次に、図5に示すように、周囲壁1の平坦側面部3に合わせて嵌込んだ一般工具40にて、緩み止め具10を取付け回転方向Dにさらに回転させる。このとき、周囲壁1は、周端縁部4がナット20に当接しているのでボルト30の軸方向に進まない。しかしながら、板バネ片2…の先端部に形成された山係合部5b及び谷係合部5aはボルト30のねじ山部31b及び谷部31aに沿って進むので、板バネ片2…の先端部は、ナット20側に向って進む(図5の矢印E方向)。
そして、全ての板バネ片2の下面側の略全面がナット20の当接面21に当接するまで、緩み止め具10を取付け回転方向Dに回転させる。これにより、周囲壁1とボルト30の外周面との間で板バネ片2…が突っ張り状となり、板バネ片2…の先端部(山係合部5b及び谷係合部5a)は、ボルト30の外周面(ねじ山部31b及び谷部31a)を押圧する(図5の矢印F方向)。このとき、板バネ片2…の先端部(山係合部5b及び谷係合部5a)は、ボルト30の外周面に食い込むことはないが、大きな押圧力にてボルト30の外周面を押圧して緩み止めとして機能する。このようにして、緩み止め具10の取付けが完了する。
なお、緩み止め具10の締め付けトルクは、トルクレンチにより規定値に締め付けるのが好ましい。
また、緩み止め具10を緩める際には、上述した方法と逆の事を行なえばよい。
次に、図6〜図8に於て、本考案の第2の実施の形態に係る緩み止め具を示す。
第2実施形態に係る緩み止め具10は、第1実施形態と板バネ片2…の形状が異なる場合を例示している。即ち、第2実施形態では、各板バネ片2は、その取付け回転状態の下流側のラジアル端縁部2aに、取外し回転方向(図6,7の矢印I方向)へ下傾状として下面に突出状の当接折曲部7を有する。
また、緩み止め具10の取付状態では、全ての当接折曲部7…の先端縁7a…は、ナット20の当接面21に当接するようになっている。即ち、取付状態において緩み止め具10の周端縁部4がナット20の当接面21に当接することはなく、(取付状態で周端縁部4と板バネ片2の下面側の略全面とがナット20の当接面21に当接する)第1実施形態と相違している。
また、当接折曲部7…は、平面視略台形状に形成されている。また、当接折曲部7…は、その基端から下面側への折曲突出量が周囲壁1の径方向外方から径方向内方にかけて徐々に多くなるように設定されている。そして、図8に示すように、ナット20の当接面21に当接折曲部7の先端縁7aが当接した状態(取付状態)において、板バネ片2…が僅かに内方上傾状となった状態を、維持するようになっている。
なお、上述した当接折曲部7…以外の形状,構造は、第1実施形態と同様である。
次に、上述した本考案の第2実施形態に係る緩み止め具10の取付けの際の作用について説明する。
まず、図示省略するが、第1実施形態の緩み止め具10と同様に、緩み止めの対象となるナット20をボルト30に先に螺合させ、その後に、緩み止め具10をボルト30の先端に嵌込む。
そして、周囲壁1を手で摘み、ナット20の当接面21に緩み止め具10の下面側の一部が当接するまで、緩み止め具10を取付け回転方向(図6,7,8の矢印D方向)に回転させる。
次に、図7及び図8に示すように、周囲壁1の平坦側面部3に合わせて嵌込んだ一般工具40にて、緩み止め具10を取付け回転方向Dにさらに回転させる。このとき、板バネ片2…の先端部は、ナット20側に向って進む(図8の矢印E方向)。また、この取付け回転状態において、各板バネ片2は、当接折曲部7の先端縁7aの一部がナット20の当接面21に当接した状態で、取付け回転方向Dに進む。当接折曲部7は取外し回転方向(図6,7の矢印I方向)へ下傾状となっていることにより、板バネ片2の取付け回転方向Dへの移動はスムーズに行われる。つまり、緩み止め具10は、取付け回転方向Dにスムーズに回転される。
そして、各当接折曲部7の先端縁7a全体がナット20の当接面21に当接し、かつ、板バネ片2…が僅かに内方上傾状となった位置において、周囲壁1とボルト30の外周面との間で板バネ片2…が突っ張り状となり、緩み止め具10の取付けが完了する。この取付状態では、第1実施形態と同様、板バネ片2…の先端部はボルト30の外周面に食い込むことはないが、大きな押圧力にてボルト30の外周面を押圧して緩み止めとして機能している。
なお、図7に示すように、取付状態では、緩み止め具10を取外し回転方向Iに回転させようとすると、当接折曲部7の先端縁7aがナット20の当接面21に引っ掛かる方向(図7の矢印K方向)に移動しようとするので、緩み止め具10の緩みが抑制されている。
次に、図9及び図10に於て、本考案の第3の実施の形態に係る緩み止め具を示す。
第3実施形態に係る緩み止め具10は、図1に示した第1実施形態の複数(6枚)の板バネ片2…のうち、山係合部5bが形成されたもの(3枚)の形状を変更した場合を例示している。
具体的には、第3実施形態に係る緩み止め具10では、複数(6枚)の板バネ片2…の先端部のうち所定(3枚)の先端部9…が、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にボルト30のねじ山部31bのつる巻線方向(図10の矢印J方向)と交差する方向に形成されている。
また、これら所定の先端部9…の中央には、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にねじ山部31bに係合する切欠凹溝8が形成されている。
切欠凹溝8は、ボルト30のねじ山部31bの形状に合わせた形状とされている。そして、ボルト30のねじ山部31bへ板バネ片2…の切欠凹溝8を係合させた状態(第1実施形態の図3に対応した状態)で、緩み止め具10をスムーズに取付け回転方向Dに回転させることが可能とされている。
なお、本考案は、上述の実施の形態に限定されず、本考案の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1〜3実施形態では、周囲壁1を平面視正六角形に形成したが、本考案は、これに限らず、周囲壁1を平面視正八角形や正十角形等の多角形としてもよい。
また、板バネ片2…の数は、自由に設定可能である。
また、第1〜2実施形態では、板バネ片2…の先端部に形成される係合部5…には、山係合部5bと谷係合部5aとの2種類がある場合を例示したが、本考案はこれに限らず、山係合部5bのみ若しくは谷係合部5aのみを有する緩み止め具としてもよい。
また、第1〜2実施形態では、緩み止め対象となるナット20が1個の場合に、緩み止め具10を1個取付ける場合を例示したが、ナットをダブルナットとした後に緩み止め具10を取付けてもよい。このようにすれば、さらに確実な緩み止めとすることができる。
また、平面視略正多角形状の周囲壁1の高さ方向の厚み寸法を、周囲壁1に嵌め込まれる一般工具40の締め付け部の厚み寸法(図5のt)と同じに設定してもよい。この場合、より緩み止め具10の取付け・取外しの作業性を向上させることができる。
また、緩み止め具10の材質は、ステンレス材に限るのではなく、他の材料にて形成してもよい。例えば電導性のある燐青銅や、その他の樹脂製としてもよい。
また、第3実施形態では、板バネ片2…が当接折曲部7を有さない場合を例示したが、本考案はこれに限らず、板バネ片2…が当接折曲部7と、切欠凹溝8を有していてもよい。
以上のように、本考案に係る緩み止め具は、複数個の平坦側面部3…を有する平面視略正多角形状の周囲壁1と、周囲壁1の下方側の周端縁部4に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片2…と、を備え、複数の板バネ片2…の先端部で囲まれた領域には、ボルト30が挿通される挿通領域Aが形成され、さらに、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にボルト30のねじ山部31b及び/又は谷部31aに係合する係合部5を、板バネ片2…の先端部に形成したので、緩み止め対象となるナット20と緩み止め具10とを順次ボルト30に取付ける際、ナット20に緩み止め具10の周端縁部4側が当接した状態でさらに緩み止め具10を取付け回転方向Dに回転させると、板バネ片2…の先端部のみがナット20側に移動するようにできる(図5,8の矢印E方向)。これにより、周囲壁1とボルト30の外周面との間で板バネ片2…が突っ張り状となるようにでき、板バネ片2…の先端部(係合部5…)にてボルト30の外周面(ねじ山部31b及び/又は谷部31a)を押圧できる。この際、平面視中心角度等ピッチとなるように複数設けられた板バネ片2…にて、ボルト30の外周面をバランスよく押圧することができ、確実に緩み止めを行なうことができる。
また、取付状態の緩み止め具10を緩める場合、緩み止め具10を取外し回転方向Iに回転させると、板バネ片2…は、その弾発力によってもとの形状に戻ろうとする。これにより、板バネ片2…のボルト30の外周面への押圧状態をすぐに解除でき、容易に緩み止め具10の取外しを行い得る。
また、周囲壁1と板バネ片2…とを備えた緩み止め具10を金属にて一体的に形成することができ、構造が簡単なものとなる。これにより、軽量で安価な緩み止め具10とすることができる。
また、複数個の平坦側面部3…を有する平面視略正多角形状の周囲壁1を備えることによって、専用工具を必要とせずにスパナ,メガネレンチ,ラチェットレンチ等の一般工具40にて緩み止め具10の容易に取付け・取外しを行なうことができる。これにより、柱上作業等での不安定な態勢での作業性を従来よりも向上させることができ、事故により電力が遮断された場合等における復旧作業の短縮化と安全化も図り得る。
また、複数個の平坦側面部3…を有する平面視略正多角形状の周囲壁1と、周囲壁1の下方側の周端縁部4に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片2…と、を備え、複数の板バネ片2…の先端部で囲まれた領域には、ボルト30が挿通される挿通領域Aが形成され、さらに、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にボルト30のねじ山部31bに係合する山係合部5b、及び、ボルト30の谷部31aに係合する谷係合部5aを、全ての板バネ片2…の先端部のうち半数ずつに形成したので、緩み止め対象となるナット20と緩み止め具10とを順次ボルト30に取付ける際、ナット20に緩み止め具10の下面側が当接した状態でさらに緩み止め具10を取付け回転方向Dに回転させると、板バネ片2…の先端部のみがナット20側に移動するようにできる(図5の矢印E方向)。これにより、周囲壁1とボルト30の外周面との間で板バネ片2…が突っ張り状となるようにでき、板バネ片2…の先端部(山係合部5b…及び谷係合部5a…)にてボルト30の外周面(ねじ山部31b及び谷部31a)を押圧できる。この際、平面視中心角度等ピッチとなるように複数設けられた板バネ片2…にて、ボルト30の外周面をバランスよく押圧することができ、確実に緩み止めを行なうことができる。
また、ボルト30のねじ山部31bに係合する山係合部5b、及び、ボルト30の谷部31aに係合する谷係合部5aを、全ての板バネ片2…の先端部のうち半数ずつに形成したので、ボルト30の軸方向に真っ直ぐに緩み止め具10を取付けることができる。これにより、より確実に緩み止めを行なうことができる。
また、取付状態の緩み止め具10を緩める場合、緩み止め具10を取外し回転方向Iに回転させると、板バネ片2…は、その弾発力によってもとの形状に戻ろうとする。これにより、板バネ片2…のボルト30の外周面への押圧状態をすぐに解除でき、容易に緩み止め具10の取外しを行い得る。
また、周囲壁1と板バネ片2…とを備えた緩み止め具10を金属にて一体的に形成することができ、構造が簡単なものとなる。これにより、軽量で安価な緩み止め具10とすることができる。
また、複数個の平坦側面部3…を有する平面視略正多角形状の周囲壁1を備えることによって、専用工具を必要とせずにスパナ,メガネレンチ,ラチェットレンチ等の一般工具40にて緩み止め具10の取付け・取外しを容易に行なうことができる。これにより、柱上作業等での不安定な態勢での作業性を従来よりも向上させることができ、事故により電力が遮断された場合等における復旧作業の短縮化と安全化も図り得る。
また、複数個の平坦側面部3…を有する平面視略正多角形状の周囲壁1と、周囲壁1の下方側の周端縁部4に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片2…と、を備え、複数の板バネ片2…の先端部で囲まれた領域には、ボルト30が挿通される挿通領域Aが形成され、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にボルト30のねじ山部31b及び/又は谷部31aに係合する係合部5を、板バネ片2…の先端部に形成し、さらに、板バネ片2…は、その取付け回転状態の下流側のラジアル端縁部2aに、取外し回転方向Iへ下傾状として下面に突出状の当接折曲部7を有するので、緩み止め具10を取外し回転方向Iに回転させる場合は、当接折曲部7の先端縁7aがナット20の当接面21に引っ掛かかることがなく、緩み止め具10をスムーズに回転させることができる。また、取付状態において、緩み止め具10を取外し回転方向Iに回転させようとすると、当接折曲部7の先端縁7aがナット20の当接面21に引っ掛かる方向(図7の矢印K方向)に移動しようとするので、取付状態の緩み止め具10の緩みを抑制することができる。
また、複数個の平坦側面部3…を有する平面視略正多角形状の周囲壁1と、周囲壁1の下方側の周端縁部4に平面視中心角度等ピッチとなるように複数連設される内方上傾状の板バネ片2…と、を備え、複数の板バネ片2…の先端部で囲まれた領域には、ボルト30が挿通される挿通領域Aが形成され、複数の先端部のうち所定の先端部9…は、挿通領域Aにボルト30が挿通された際にボルト30のねじ山部31bのつる巻線方向Jと交差する方向に形成され、さらに、挿通領域Aに上記ボルト30が挿通された際にねじ山部31bに係合する切欠凹溝8を、所定の先端部9の中央に形成したので、板バネ片2の先端部をボルト30のねじ山部31bのつる巻線方向Jに沿う方向に形成すると共に板バネ片2の先端面の長手方向に沿って切欠凹溝を設ける場合(例えば第1実施形態のような場合)と比較して、より安定かつ強固となるように、切欠凹溝8をボルト30のねじ山部31bに係合させることができる。これにより、緩み止め機能をより有効に働かせ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1の実施の形態に係る緩み止め具の平面図である。
【図2】図1のG−G線断面側面図である。
【図3】使用方法を説明するための断面側面図である。
【図4】使用方法を説明するための断面側面図である。
【図5】使用方法を説明するための断面側面図である。
【図6】本考案の第2の実施の形態に係る緩み止め具の平面図である。
【図7】図6のH−H線断面側面図である。
【図8】使用方法を説明するための断面側面図である。
【図9】本考案の第3の実施の形態に係る緩み止め具の断面側面図である。
【図10】図9の要部拡大図である。
【符号の説明】
1 周囲壁
2 板バネ片
2a ラジアル端縁部
3 平坦側面部
4 周端縁部
5 係合部
5a 谷係合部
5b 山係合部
7 当接折曲部
8 切欠凹溝
9 先端部
30 ボルト
31a 谷部
31b ねじ山部
A 挿通領域
J つる巻線方向
I 取外し回転方向
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
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