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運輸
 
【発明の名称】車両用雨避け装置
【特許権者】
【識別番号】393015416
【氏名又は名称】青柳 良一
【住所又は居所】新潟県長岡市寺宝町24番地
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
【発明者】
【氏名】青柳 良一
【住所又は居所】新潟県長岡市寺宝町24番地
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降者が乗降する乗降空間の上方位置を覆う車両用雨避け装置であって、車両の屋根の上方位置に雨避け体が設けられ、この雨避け体は前記乗降空間の上方位置まで移動可能に構成され、また、前記雨避け体は、所定巾且つ所定前後長を有し、更に、前部及び後部が接近して湾曲変形若しくは折り曲げ変形せしめられて前記乗降空間の上方位置において該前部及び後部に比し中央部の地上高が高い形状となるものであることを特徴とする車両用雨避け装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用雨避け装置であって、前記雨避け体は前記車両の屋根に設けられるケース体に対して引き出し自在に設けられ、このケース体は所定巾且つ所定前後長を有し、更に、前部及び後部が接近して該前部及び後部に比し中央部の地上高が高い形状となるものであり、前記雨避け体は、前記ケース体が前部及び後部が接近して該前部及び後部に比し中央部の地上高が高い形状となった際、湾曲変形若しくは折り曲げ変形せしめられて前記前部及び後部に比し中央部の地上高が高い形状となるように構成されていることを特徴とする車両用雨避け装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用雨避け装置において、前記車両の屋根の上には前記ケース体の前部及び後部と夫々連結される前連結部及び後連結部が設けられ、この前連結部及び後連結部のいずれか一方は他方に対して接離移動可能に構成されていることを特徴とする車両用雨避け装置。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の車両用雨避け装置において、前記ケース体は適宜な可撓性を有する部材で形成されていることを特徴とする車両用雨避け装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の車両用雨避け装置において、前記雨避け体は前記車両の屋根の上方位置においては可及的に平面状であることを特徴とする車両用雨避け装置。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載の車両用雨避け装置において、前記雨避け体は適宜な可撓性を有する部材で形成されていることを特徴とする車両用雨避け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えば車両への乗降時に濡れることを防止する車両用雨避け装置に関するものである。
【背景技術】
例えば雨天時に車両へ乗り込む際、ドアを開放して傘を折り畳んで乗り込もうとする間に、乗降者は勿論、車内も濡れてしまう。
そこで、この車両への乗降時に濡れるのを防止することを目的として、例えば実用新案登録第3044220号に開示される自動車乗降口用雨避け装置(以下、従来例)が提案されている。
この従来例は、水平にスライド突出する雨避け体(庇)を自動車の屋根の上に設けたものである。
この従来例であれば、乗降者が乗降する際、乗降者が乗降する乗降空間の上方位置が雨避け体により覆われる為、乗降者は濡れることなく乗降が可能となり、車内も濡れることがない。
【特許文献1】
実用新案登録第3044220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来例は、乗降に際して雨避け体が邪魔であり、即ち、乗降者はドア開口部の外側位置にて雨避け体を避けるようにして腰を大きく曲げなければならず煩わしいなどの問題点がある(この問題点は車高の低い車両であるほど顕著となる。)。
本発明は、上述の問題点に着目し、極めて商品価値の高い画期的な車両用雨避け装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
乗降者が乗降する乗降空間の上方位置を覆う車両用雨避け装置であって、車両1の屋根2の上方位置に雨避け体3が設けられ、この雨避け体3は前記乗降空間の上方位置まで移動可能に構成され、また、前記雨避け体3は、所定巾且つ所定前後長を有し、更に、前部及び後部が接近して湾曲変形若しくは折り曲げ変形せしめられて前記乗降空間の上方位置において該前部及び後部に比し中央部の地上高が高い形状となるものであることを特徴とする車両用雨避け装置に係るものである。
また、請求項1記載の車両用雨避け装置であって、前記雨避け体3は前記車両1の屋根2に設けられるケース体6に対して引き出し自在に設けられ、このケース体6は所定巾且つ所定前後長を有し、更に、前部及び後部が接近して該前部及び後部に比し中央部の地上高が高い形状となるものであり、前記雨避け体3は、前記ケース体6が前部及び後部が接近して該前部及び後部に比し中央部の地上高が高い形状となった際、湾曲変形若しくは折り曲げ変形せしめられて前記前部及び後部に比し中央部の地上高が高い形状となるように構成されていることを特徴とする車両用雨避け装置に係るものである。
また、請求項2記載の車両用雨避け装置において、前記車両1の屋根2の上には前記ケース体6の前部及び後部と夫々連結される前連結部及び後連結部が設けられ、この前連結部及び後連結部のいずれか一方は他方に対して接離移動可能に構成されていることを特徴とする車両用雨避け装置に係るものである。
また、請求項2,3いずれか1項に記載の車両用雨避け装置において、前記ケース体6は適宜な可撓性を有する部材で形成されていることを特徴とする車両用雨避け装置に係るものである。
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の車両用雨避け装置において、前記雨避け体3は前記車両1の屋根2の上方位置においては可及的に平面状であることを特徴とする車両用雨避け装置に係るものである。
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の車両用雨避け装置において、前記雨避け体3は適宜な可撓性を有する部材で形成されていることを特徴とする車両用雨避け装置に係るものである。
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、前述した従来例に比し、車両への乗降が楽に行えることになり、しかも、より良好な雨避け効果が得られることになるなど極めて商品価値の高い画期的な車両用雨避け装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
好適と考える本考案の実施形態を、図面に基づいて本考案の作用を示して簡単に説明する。
雨避け体3により乗降者が乗降する乗降空間の上方位置は覆われる。
従って、例えば雨天時における車両1への乗降の際、乗降者は濡れることが可及的に防止される。
また、本発明に係る雨避け体3は、湾曲変形若しくは折り曲げ変形せしめられて所定部位の地上高が他の部位に比し高くなるように構成されている。具体的には、例えば乗降者の頭の部分の上方位置のみが上方に湾曲するように構成されている。
従って、前述した従来例のように乗降者は車両1のドア開口部の外側位置にて雨避け体3を避けるようにして腰を大きく曲げる必要はなく、車両1への乗降が楽に行えることになり、しかも、雨避け体3の地上高を可変する構成として、雨避け体3を水平状態のまま昇降させて全体の地上高を可変するのではなく、板状体である雨避け体3を湾曲変形若しくは折り曲げ変形することで所定部位の地上高を他の部位に比し高くする構成であるから、雨避け体3に下り面ができて雨が良好に排水されるのは勿論、雨避け体3により乗降者は囲まれた状態(傘のような状態)となって濡れにくくなるとともに風も避けることができ、より良好な雨避け状態が得られることになる。
【実施例】
本発明の具体的な一実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、車両1の屋根2上方位置に設けられる雨避け体3が、乗降者が乗降する乗降空間の上方位置まで移動するものである。
具体的には、雨避け体3は、図1に図示したように適宜な可撓性を有する合成樹脂製の部材(ポリカーボネート)で形成された所定巾且つ所定前後長を有する板状体であり、対向する前端部3a及び後端部3b同士を接近させることで湾曲状に撓み変形し得るように構成されている。尚、雨避け体3を構成する素材は合成樹脂製に限らず、金属製(例えばアルミ)でも良く、また、雨避け体3を複数の板材同士を枢着連結することで折り曲げ変形する構成としても良い。
また、雨避け体3の下面中央部(前部及び後部と平行な位置)には、図3,4に図示したように該雨避け体3の巾方向に歯部5aが複数並設された歯車係合部5(ラック)が設けられている。
この歯車係合部5は、後述するケース体6に設けられる歯車7c(ピニオン)にかみ合うように構成されており、この歯車係合部5にかみ合う歯車7cが回転することにより雨避け体3はケース体6に対して左右巾方向に往復スライド移動することになる。このケース体6に対する往復スライド移動により雨避け体3は該ケース体6から引き出し自在となる。
また、雨避け体3の上面には、図1に図示したように該雨避け体3の巾方向に複数の凸条3cが等間隔に設けられており、この凸条3cはケース体6の内面に設けられる凹溝6dに嵌合し、該ケース体6の内面との間に所定の間隔を保持するスペーサーとして機能するとともに、凹溝内を雨避け体3が良好にスライド移動するためのガイド部として機能する。
ケース体6は、図1,2に図示したように適宜な可撓性を有する合成樹脂製の部材(ポリカーボネート)で形成された所定巾且つ所定前後長を有するケース状体であり、対向する前端部6a及び後端部6b同士を接近させることで湾曲状に撓み変形し得るように構成されている。尚、ケース体6を構成する素材は合成樹脂製に限らず、金属製(例えばアルミ)でも良く、また、ケース体6も前記雨避け体3と同様に折り曲げ変形する構成としても良い。
このケース体6は、図2〜4に図示したように内部に前述した雨避け体3を収納する空間を具備しており、右端部6cには開口部が設けられており、この開口部から内部に収納された雨避け体3を出し入れするように構成されている。
また、ケース体6には駆動部7が設けられている。
この駆動部7は、図3,4に図示したようにケース体6の下面中央部に設けられるボックス7aに収納されるモータ7bに歯車7cを設けて構成されており、この歯車7cは前述した雨避け体3に設けた歯車係合部5にかみ合うように設けられている。尚、この駆動部7の作動は車両1内に設けられる図示省略のスイッチのオン・オフ操作及び車両1外に持ち出せるリモコン操作により行われる。
また、ケース体6の内面には、雨避け体3の上面に設けた凸条3cが嵌合する凹溝6dが設けられている。
また、ケース体6の前端部6aには風避け体8が設けられている。
この風避け体8は、図2に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成された板状体であり、ケース体6の前端部6aに蝶番9を介して枢着されており、風避け体8の先端部に設けた柔軟材8aが車両1の屋根2に当接するように構成されている。
従って、この風避け体8により走行時における空気抵抗を低減することができる。
また、ケース体6は、後述する設置体10を介して車両1の屋根2に設置され、駆動部7の駆動によりケース体6に対してスライド移動する雨避け体3は乗降者が乗降する乗降空間の上方位置に配されることになる。
符号16は設置体10及び移動体4に取り付けるための取付部である。
設置体10は、図2に図示したように適宜な金属製の部材で形成した枠状体であり、前後位置に横設される基部材10Aと、この基部材10Aの左右位置及び中央位置に架設される3本のガイド部材10B,10C,10Dとで構成されている。この基部材10Aに設けられる被取付部17a(前連結部)にケース体6の前端部6a(前部)に設けられる取付部16aが枢着連結される。
ガイド部材10B,10C,10Dは、図2,5に図示したように断面視凹状の棒状体であり、左右のガイド部材10B,10Cは後述する移動連結体4に設けられるスライド部13をガイドするように構成され、中央のガイド部材10Dは移動連結体4に設けられる駆動部14をガイドするように構成されている。
この中央のガイド部材10Dには、歯部12aが複数並設された歯車係合部12(ラック)が設けられている。
この歯車係合部12は、後述する移動連結体4に設けられる歯車14c(ピニオン)にかみ合うように構成されており、この歯車係合部12にかみ合う歯車14cが回転することにより移動連結体4は設置体10に対して前後方向に往復スライド移動することになる。
移動連結体4は、図2に図示したように適宜な金属製の部材で形成した棒状体であり、この移動連結体4に設けられる被取付部17b(後連結部)にケース体6の後端部6b(後部)に設けられる取付部16bが枢着連結される。
また、移動連結体4の下面左右位置には前述したガイド部材10B,10Cを摺動するスライド部13が設けられ、下面中央位置には駆動部14が設けられている。
この駆動部14は、図5,6に図示したように移動連結体4の中央部に設けられるボックス14aに収納されるモータ14bに歯車14cを設けて構成されており、この歯車14cは前述したガイド部材11Dに設けた歯車係合部12にかみ合うように設けられている。尚、この駆動部14の作動は車両1内に設けられる図示省略のスイッチのオン・オフ操作及び車両1外に持ち出せるリモコン操作により行われる。
従って、移動連結体4は、駆動部14の駆動により前後方向に往復移動することになり、この移動連結体4に連結されるケース体6の後端部6bが前端部6aに対して接近移動することで該ケース体6は湾曲変形する。このケース体6の湾曲変形にともない該ケース体6内に収納される雨避け体3も後端部3bが前端部3aに接近移動することで湾曲変形することになり、よって、該雨避け体3の中央部の地上高は前後部よりも高くなる(図7,8参照)。ケース体6及び雨避け体3は車両1の屋根2上では若干湾曲せしめられており、これは車両1の走行時における空力や湾曲変形のさせ易さを考慮してである。
尚、この雨避け体3の湾曲変形は、ケース体6の前端部6aを移動させることで行うようにしても後端部6b及び前端部6a双方を移動させることで行うようにしても良く、また、湾曲変形させるタイミングとしては雨避け体3をケース体6から導出する前に行うようにしても後で行うようにしても良い。また、湾曲度合い(高さ)を調整自在としても良い。
符号15は設置体10を車両1の屋根2に固定するための吸盤体である。
本実施例は上述のように構成したから、ケース体6から導出された雨避け体3により乗降者が乗降する乗降空間の上方位置は覆われる。
従って、例えば雨天時における車両1への乗降の際、乗降者は濡れることが可及的に防止される。
また、本実施例に係る雨避け体3は、適宜な可撓性を有する部材で形成された板状体であり、この雨避け体3は湾曲変形することで中央部の地上高が前後部よりも高くなるように構成されているから、前述した従来例のように乗降者は車両1のドア開口部の外側位置にて雨避け体3を避けるようにして腰を大きく曲げる必要はなく、車両1への乗降が楽に行えることになり、しかも、雨避け体3の地上高を可変する構成として、単に雨避け体3を水平状態のまま昇降させて地上高を可変するのではなく、板状体である雨避け体3を湾曲変形することで中央部の地上高を前後部よりも高くする構成であるから、雨避け体3に下り面が出来て雨が良好に排水されるのは勿論、雨避け体3により乗降者の周囲は囲まれた状態(傘のような状態)となって濡れにくくなり、より良好な雨避け状態が得られることになる。
また、本実施例は、車両1への乗降者の乗降に際して雨避け体3は湾曲変形し、それ以外の際には、平坦状となるから車両1の走行への影響を可及的に抑制することができる。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の使用状態説明図である。
【図2】本実施例を示す分解斜視図である。
【図3】本実施例に係る要部の説明断面図である。
【図4】本実施例に係る要部の説明断面図である。
【図5】本実施例に係る要部の説明端面図である。
【図6】本実施例に係る要部の説明断面図である。
【図7】本実施例の動作説明図である。
【図8】本実施例の動作説明図である。
【図9】本実施例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 車両
2 屋根
3 雨避け体
6 ケース体
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
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