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運輸
 
【発明の名称】折り畳み式の輸送用断熱容器およびこれを用いた配送方法
【特許権者】
【識別番号】502443219
【氏名又は名称】小田部 照一
【住所又は居所】福岡県小郡市美鈴が丘3丁目5−1
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
【発明者】
【氏名】小田部 照一
【住所又は居所】福岡県筑紫野市筑紫駅前通1−83
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱層を含む複層構造の複数枚の矩形状板材を有し、物品の収納時には前記複数枚の矩形状板材を組み立てて収納用の空間部を形成し、非収納時には折り畳んで積層状態とする構成とした折り畳み式の輸送用断熱容器であって、
前記矩形状板材は、外側に配置されて隣接する端部どうしを接合した可撓性を有するシート部と、内側に配置されて組み立て時には隣接する端部どうしが当接する断熱板部とを備え、
組み立て時に扉となる第1の矩形状板材、および前記第1の矩形状板材が接続された最大面積を有する第2の矩形状板材、ならびに前記第2の矩形状板材に対向配置され同じく最大面積を有する第3の矩形状板材の前記断熱板部は、外側の前記シート部にそれぞれ固定され、
組み立て時に前記第1の矩形状板材と対向する位置に配置される第4の矩形状板材の前記断熱板部は、基端部が前記第2の矩形状板材の端部に屈曲可能に接合され、先端部端面が前記第3の矩形状板材の前記断熱板部の内面に当接するとともに、外側面が前記シート部に非固定状態に配置された可動断熱板部であり、
前記第2の矩形状板材ならびに第3の矩形状板材の間に対向配置される第5の矩形状板材ならびに第6の矩形状板材の前記断熱板部は、前記可動断熱板部を折り畳んだ後に、前記第2の矩形状板材ならびに第3の矩形状板材の間に折り畳み可能となるように、外側面が前記シート部に非固定状態に配置され、
前記可動断熱板部の先端部には、輪状に形成された紐状部材が備えられ、
前記第1の矩形状板材を閉じた際に当該第1の矩形状板材の先端部側が当接する前記第3の矩形状板材の前端部には、この前端部に沿って、前記第1の矩形状板材を閉じた際に前記第1の矩形状板材の先端部上に重ね合わせることで前記収納用の空間部を密閉する可撓性の帯状掛合片が設けられたことを特徴とする折り畳み式の輸送用断熱容器。
【請求項2】
前記第2の矩形状板材に隣接配置された前記第4の矩形状板材の断熱板部は、前記シート部に固定された前記第2の矩形状板材の断熱板部に0〜90°の範囲で回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式の輸送用断熱容器。
【請求項3】
前記輸送用断熱容器の下部には、台車が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の折り畳み式の輸送用断熱容器。
【請求項4】
前記空間部には、直方体の箱状物が収納されることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の折り畳み式の輸送用断熱容器。
【請求項5】
前記扉は、前面に設けられ、前記扉を開いたときの前記空間部の前面下部には、単独で開閉可能な補助扉が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の折り畳み式の輸送用断熱容器。
【請求項6】
前記輸送用断熱容器の底面には、前記矩形状板材とは異なる色の可撓性の保護シートが設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかの項に記載の折り畳み式の輸送用断熱容器。
【請求項7】
冷蔵設備を備えた配送センターから保冷機能を備えた車両を用いて、各店舗に商品を配送する方法において、
前記配送センターで、請求項1から6のいずれかの項に記載の折り畳み式の輸送用断熱容器を組み立て、この折り畳み式の輸送用断熱容器に各店舗ごとに前記商品を収納して各店舗に搬送し、各店舗に前記商品を前記折り畳み式の輸送用断熱容器ごと渡し、各店舗から使用済みの折り畳み式の輸送用断熱容器を受け取り、折り畳んだ状態で持ち帰ることを特徴とする配送方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、商品流通過程において用いる折り畳み式の輸送用断熱容器およびこれを用いた配送方法に関する。
【従来の技術】
従来、アイスクリーム等の冷菓を含む冷凍食品または要冷蔵食品の配送は、これらの保冷食品を、直方体状のダンボール箱に収納した状態で、配送センターの冷凍庫または冷蔵庫に保管しておき、注文数に応じて保冷機能を備えた車両に移し替え、注文を受けた各店舗に配送している。
配送者は、各店舗で発注伝票に記載された保冷食品を箱単位で車両から積み下ろし、納品チェックを受け、OKのサインをもらった後、次の店舗に移動する。
一方、店舗内の従業員は、積み下ろしたダンボール箱を開け、内部の商品を、店舗内の保冷倉庫兼用の陳列ケースに並べている。
このようなダンボール箱の代わりに用いるコンテナとして、例えば、特許文献1に記載されたようなものがある。このコンテナは、側壁パネルを可撓性膜で接続して角筒状に形成しており、隣接する側壁パネルを上下の両面に2枚ずつ重ねて折り畳むことができる。
【特許文献1】
特開平9−39956号公報 (第2−8頁、第1図)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたコンテナは、蓋が分離する構造であるため、移動中または保管中に蓋が紛失しやすいという欠点がある。
また、折り畳み時の面積が側壁パネルの2枚分の広さになるので、持ち運びが不便になることが多く、また、使用中のコンテナと未使用中のコンテナを同時に車両で搬送する場合、車両内の空間部に合わせて組み立てた状態のコンテナの大きさを設定すると、折り畳んだ状態のコンテナの幅や高さが大きくなるため、搬送できなくなり、また、折り畳んだ状態での大きさを、車両内の空間部に合わせて製造すると、組み立てたときの大きさが小さくなるので、空間部に無駄なスペースが生じるという問題がある。
一方、従来のダンボール箱を用いた配送方法は、各店舗に複数のダンボール箱を届けるが、駐車場がない店舗に商品を届けるときには、路上駐車の状態で、車両と店舗の間を、商品を持って何度も往復する必要があるため、交通渋滞の原因となる。また、駐車中は、保冷のためにエンジンをストップすることができず、燃費の低下や、騒音、排気ガスの発生等の問題も指摘されている。
また、1つの店舗に複数のダンボール箱を届けるため、欠品や誤配送が発生するという問題がある。
そこで本発明が解決しようとする課題は、移動中に部材が紛失することがなく、コンパクトに折り畳むことができる折り畳み式の輸送用断熱容器と、配送効率を向上させる配送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の折り畳み式の輸送用断熱容器は、断熱層を含む複層構造の複数枚の矩形状板材を有する折り畳み式の輸送用断熱容器であって、前記矩形状板材は、外側に配置されて隣接する端部どうしを接合した可撓性を有するシート部と、内側に配置されて組み立て時には隣接する端部どうしが当接する断熱板部とを備え、組み立て時に扉となる矩形状板材および最大面積を有する矩形状板材の前記断熱板部は、外側の前記シート部にそれぞれ固定され、他の矩形状板材の前記断熱板部は、それぞれの基端部が前記最大面積を有する矩形状板材の端部に屈曲可能に接合されるとともに、外側面が前記シート部に非固定状態に配置され、物品の収納時には前記複数枚の矩形状板材を組み立てて収納用の空間部を形成し、非収納時には折り畳んで積層状態とする構成としたことを特徴とする。
輸送用断熱容器を組み立てたとき、各矩形状板材および扉の断熱板部は、隣接する面に直交配置され、それぞれの先端部を、最大面積を有する断熱板部に対向配置された断熱板部に当接させ、気密性を高めている。シート部は、組み立てた状態では、断熱板部とともに平板状に形成されている。
扉に対向する面が一番広い場合は、最大面積を有する矩形状板材は1つになる。また、これ以外のときは、最大面積を有する面が2面あるが、この場合は、そのうちの一方を基準となる矩形状板材とする。基準となる矩形状板材に隣接する各矩形状板材の断熱板部は、基準となる矩形状板材側に回動して、重ねられる。重ねられた断熱板部は、基準となる矩形状板材より面積が小さいので、基準となる矩形状板材の外周より外側にはみ出すことはない。各矩形状板材の外側に設けられたシート部は、断熱板部を基準となる矩形状板材に重ねると、断熱板部から離れるため自由に折り曲げることができる。このため、シート部の中間部を基準となる矩形状板材からはみ出さないように折り曲げると、輸送用断熱容器の全体を、基準となる矩形状板材と同じ面積で、少しの厚みがある板状に形成することができる。なお、このとき、扉は、扉を開く方向に回動させて基準となる矩形状板材に重ねることができる。扉と他の5つの矩形状板材は一体的に形成されているので、組み立て時および折り畳み時において分離しないように形成されている。また、各断熱板部を単独で折り曲げ不可能に形成しているので、全体の剛性と断熱性が向上している。
基準となる矩形状板材に隣接配置された各矩形状板材の断熱板部のうちの少なくとも1つを、基準となる矩形状板材に0〜90°の範囲で回動可能に設けると、組み立て時には90°に開いた状態以上に曲がらなくなるので、強度が増加する。
組み立てた輸送用断熱容器の下部に、台車を着脱可能に設けると、内部に多数の商品を収納した状態での移動を小さい力で行うことができる。
組み立てた輸送用断熱容器の空間部に、直方体の箱状物を収納すると、空間部も直方体状に形成されているので、輸送用断熱容器が変形しにくくなる。また、空間部の外側面は、それぞれ剛性を有する一枚板状の断熱板部の内側面によって構成されているので、箱状物の収納時または取り出し時に引っかかることがなく、作業を迅速に行うことができる。
組み立てたときの輸送用断熱容器の前面に扉を設け、扉を開いたときの空間部の前面下部に、単独で開閉可能な補助扉を設けると、空間部内に積み重ねられている商品を上段から取り出すときには、補助扉を閉じたまま作業を行うことができるので、冷気が空間部から外側に逃げにくくなる。下段の商品を取り出すときには、補助扉を開けて作業を行うことができる。
組み立てたときの輸送用断熱容器の底面となる面に、矩形状板材とは異なる色の可撓性の保護シートを設けると、輸送用断熱容器の移動時に床面上を摺動させたときの外面を保護することができ、折り畳み時または組み立て時には、上下の方向を簡単に確認することができる。
本発明の配送方法は、冷蔵設備を備えた配送センターから保冷機能を備えた車両を用いて、各店舗に商品を配送する方法において、前記配送センターで、折り畳み可能な輸送用断熱容器を組み立て、この輸送用断熱容器に各店舗ごとに前記商品を収納して各店舗に搬送し、各店舗に前記商品を輸送用断熱容器ごと渡し、各店舗から使用済みの輸送用断熱容器を受け取り、折り畳んだ状態で持ち帰ることを特徴とする。
配送センターで、各商品を各店舗ごとに仕分けして輸送用断熱容器に収納して車両に積載し、車両から各店舗に、輸送用断熱容器ごと商品を渡すので、車両から店舗に商品を渡すときに、各商品がばらばらにならず、個別確認の時間を短縮できるという作用を有する。また、商品が輸送用断熱容器内に保冷状態で保存されているので、車両から搬出しても、すぐに溶け出すことはなく、店舗の従業員は、店舗内作業の空き時間まで、輸送用断熱容器内の商品を、しばらくの間放置しておき、手が空いたときに陳列作業を行うことができる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の折り畳み式の輸送用断熱容器を組み立てた状態を示す斜視図、図2は同輸送用断熱容器を組み立てた状態の平断面図、図3は同輸送用断熱容器を折り畳んだ状態を示す平断面図、図4は同輸送用断熱容器を折り畳んだ状態を示す正面図である。
図1〜図4に示すように、本発明の折り畳み式の輸送用断熱容器1は、組み立て時の外形を直方体状に形成し、5枚の矩形状板材2〜6と1枚の扉7を備えて内部に空間部8を形成している。扉7は、空間部8の前面に配置され、矩形状板材2〜6は、背面、正面視して左側に設けられた左側面、右側面、天面、底面にそれぞれ配置されている。
左右の側面に配置された矩形状板材3,4は、他の矩形状板材2,5,6よりも広く形成されており、本実施の形態においては、右側の矩形状板材4を基準としている。
左側の矩形状板材3およびこれに対向して平行に配置されている右側の矩形状板材4は、外側にシート部9,10をそれぞれ備え、シート部9,10の内側には、固定断熱板部11,12がそれぞれ縫製や接着等の手段により固定されている。固定断熱板部11,12の大きさは、シート部9,10と略同じ大きさに形成されている。なお、本実施の形態においては、右側のシート部10を基準シート面としている。
また、右側の矩形状板材4に隣接する背面、天面、底面の矩形状板材2,5,6は、外側に可撓性のシート部13,14,15をそれぞれ備え、各シート部13〜15の内側には、可動断熱板部16,17,18がそれぞれ各シート部13〜15に未接合状態で配置されている。
背面に設けられた矩形状板材2の可動断熱板部16は、組み立てた状態において、左右の固定断熱板部11,12に左右の両端部をそれぞれ当接させ、上下の可動断熱板部17,18に上下の両端部をそれぞれ当接させている。すなわち、外側に設けられたシート部13よりも、周囲に当接する可動断熱板部17,18および固定断熱板部11,12の厚みの分だけ小さく形成されている。
この可動断熱板部16と、組み立て時に右側の固定断熱板部12に当接する面との間には、ヒンジ部19が形成されており、可動断熱板部16は、この当接面の前側辺20を中心に回動することができる。ヒンジ部19は、例えば、可撓性のシートを縫製することにより形成することができる。
可動断熱板部16は、右側の固定断熱板部12の内側面との間の角度が0〜90°の範囲で回動することができる。すなわち、可動断熱板部16は、折り畳み時には、固定断熱板部12の内側面に重ねることができ、組み立て時には、背面のシート部13に当接させて配置することができる。可動断熱板部16は、他の可動断熱板部17,18および固定断熱板部11,12の内側に配置されているので、組み立て時には最後に組み立てられ、折り畳み時には最初に折り畳まれる。
なお、図2に示すように、可動断熱板部16の左側端部には、輪状に形成された1または2以上の紐状部材34が縫製により取り付けられており、組み立て状態にある可動断熱板部16を、手前側に容易に引き出すことができるので、折り畳み時の作業性が向上する。
天面に設けられた矩形状板材5の可動断熱板部17は、左右の固定断熱板部11,12の間であって、背面の可動断熱板部16より上側に配置されている。可動断熱板部17の右端と、固定断熱板部12の上端部は、可撓性の布状接続部材21によって接続されている。布状接続部材21の可動断熱板部17と固定断熱板部12との間の幅は、背面の可動断熱板部16の厚みより大きく形成されている。また、可動断熱板部16の左側端面と、左側の固定断熱板部11の内側上端面の前側には、互いに掛合可能な面状ファスナ(図示せず)がそれぞれ縫製により固定されており、組み立て時の上下位置がずれないようにされている。
天面の可動断熱板部17を折り畳むときは、背面の可動断熱板部16を右側の固定断熱板部12の内側面に重ねた後に、まず、左側の固定断熱板部11との面状ファスナによる掛合を解除しながら下方に引っ張ると、左側端部が下方に移動する。このとき、可動断熱板部17の右側端部は、右側の固定断熱板部12の上端部に布状接続部材21で接続されているので、図4に示すように、可動断熱板部17は、可動断熱板部16の内側に重なるようにして垂れ下がる。
底面に設けられた矩形状板材6の可動断熱板部18は、左右の固定断熱板部11,12の間であって、背面の可動断熱板部16より下側に配置されている。可動断熱板部17の右端と、固定断熱板部12の下端部は、可撓性の布状接続部材22によって接続されている。布状接続部材22の可動断熱板部18と固定断熱板部12との間の幅は、背面の可動断熱板部16の厚みより大きく形成されている。
また、可動断熱板部18の左側端面と、左側の固定断熱板部11の内側下端面の前側には、互いに掛合可能な面状ファスナ(図示せず)がそれぞれ縫製により固定されており、組み立て時の上下位置がずれないようにされている。
また、可動断熱板部18の上面には、摺動性がよく強度を有する硬質プラスチック製の補強板23が固定されている。補強板23によって、底面の可動断熱板部18上で商品を収納したダンボール箱を摺動移動させたり、可動断熱板部18上に商品や異物が落下したりしたときに可動断熱板部18が破損することを防止できる。
底面の可動断熱板部18を折り畳むときは、背面の可動断熱板部16を右側の固定断熱板部12の内側面に重ねた後に、まず、左側の固定断熱板部11との面状ファスナによる掛合を解除しながら上方に引っ張ると、左側端部が上方に移動する。このとき、可動断熱板部18の右側端部は、右側の固定断熱板部12の下端部に布状接続部材22で接続されているので、図4に示すように、可動断熱板部17は、可動断熱板部16の内側に重なるようにして当接する。
扉7は、外側に可撓性のシート部25を配置し、内側に背面の可動断熱板部16と同じ大きさの固定断熱板部24を有している。扉7を閉じた状態でのシート部25の右側端部はシート部10の前側端部に一体的に接続され、シート部25は、シート部10の前側端部を中心に自在に回動できる。また、固定断熱板部24は、シート部25の内側面に固定されている。
図1、図2に示すように、左側のシート部9の前端には、可撓性の帯状掛合片26が上下方向に沿って設けられており、この帯状掛合片26の内側面と、扉7のシート部25の前面左側とには、上下に直線状に形成され、対となって掛合する面状ファスナ27,28がそれぞれ設けられている。なお、図4においては、帯状掛合片を省略している。
固定断熱板部24は、組み立て時に、空間部8に前方から嵌入して、上下左右の端部を可動断熱板部17,18および固定断熱板部11,12にそれぞれ当接させ、空間部8を略密閉状態に形成することができる。
また、扉7は、折り畳み時に、図4に示すように、シート部25が、右側の矩形状板材4のシート部10に外側から当接するように配置することができる。シート部10の、扉7の面状ファスナ28が当接する位置には、面状ファスナ(図示せず)が設けられており、折り畳んだ状態の輸送用断熱容器1を持ち運ぶときに、扉7が回動しないように固定することができる。
シート部9,10,13〜15は、隣接するシート部に一体的に接合されている。3つの可動断熱板部16〜18を折り畳んだときは、この可動断熱板部16〜18の外側に配置されたシート部13〜15は、可動断熱板部16〜18から離れて単独で屈曲できる状態となっている。図3、図4に示すように、シート部13〜15は、左側の固定断熱板部11と上下の可動断熱板部16〜18の間に略2つ折りとなるように折り畳まれる。このとき、左側の矩形状板材3が右側の矩形状板材4に近接するように移動し、扉7を除く他の部材は、左右の矩形状板材3,4に挟まれた状態で折り畳まれる。
図1、図4に示すように、底面に配置されたシート部15の下面には、摺動性がよく強度を有する硬質プラスチック製の補強板29〜32が屈曲したときの形状に合わせて設けられており、輸送用断熱容器1の使用時の底面の破損を防止している。補強板29〜32は、組み立てたときには一平面上に配置され、折り畳んだときは、補強板30,31の下面が互いに当接する。
図3、図4に示すように、シート部9,10のそれぞれ前側端部および後側端部には、互いに掛合可能な面状ファスナ(図示せず)を設けた可撓性の固定部33が1または2以上設けられており、輸送用断熱容器1を折り畳み、各固定部33を固定することにより勝手に拡がることを防止することができ、輸送時や保管時の操作性を向上させることができる。
ここで、矩形状板材2〜6および扉7の構造について説明する。
図5(A)は、断熱板部の断面図、(B)はシート部の断面図を示す。
矩形状板材2〜6および扉7の厚みは略同じで、例えば20〜40mm程度に形成されている。各矩形状板材2〜6のシート部9,10、13〜15の構造は同一で、また、各固定断熱板部11,12,24および可動断熱板部16〜18の構造も同一であるので、ここでは、代表として矩形状板材3のシート部9および固定断熱板部11の構造について説明する。
図5(A)に示すように固定断熱板部11は、内部に発泡ポリエチレンからなって剛性を有する保温板41を配置し、その外側にポリエチレンやポリエステルからなる織布42を配置し、最外層にアルミ蒸着ポリエステルフィルムからなる熱反射シート43を配置し、一体的に固定している。
保温板41は内部に独立気泡を備え、断熱性能を高めている。また、織布42を用いることにより屈曲部の強度を向上させるとともに耐荷重強度を向上させている。この織布42は、2枚以上重ねて設けることができる。そして、熱反射シート43を用いることにより、太陽光の約85%を反射することができるので熱反射性が向上し、また、表面硬度が高いので傷がつきにくく、さらに、帯電性が小さいため埃等が付着しにくいという特性を有している。
図5(B)に示すように、シート部9は、外側にアルミ蒸着ポリエステルフィルムからなる熱反射シート44を設け、その内側にポリエチレンやポリエステルからなる織布45を貼着等によって一体的に屈曲可能となるように設けている。
織布45は、2枚以上重ねて設けることも可能である。
なお、扉7のシート部25の構造は図示しないが、シート部9と同様の構造にすることができ、また、シート部9の内部に剛性および断熱製を備えたプラスチック製の薄板を設けることも可能である。
また、輸送用断熱容器1の組み立て時の外形は、高さ1400〜1600mm程度、幅400〜500mm程度、奥行き600〜800mm程度に形成され、重量は8〜12kg程度である。
輸送用断熱容器1に収納される商品は、通常ダンボールに入った状態で、積み重ねられるので、底面の矩形状板材6に大きな力が加わるが、矩形状板材6には上下に補強板23および補強板29〜32がそれぞれ設けられているので、破損を防止することができる。また、搬送時の揺れ等により側面に力が加わった場合は、各固定断熱板部11,12,24および可動断熱板部16〜18は、それぞれ当接しているだけで固定されていないので、L字状の部材のように角部に応力集中が発生することがなく、破損を防止することができる。また、シート部9,10,13〜15がそれぞれ隣接するシート部に接合されているので、万が一、固定断熱板部11,12,24および可動断熱板部16〜18のうちの1つが折れてしまっても、外形が袋状に変形するだけで、収納された商品が飛散して他の商品に影響を与えることはない。
そして、100kg(好ましくは80kg以下)の商品を収納して搬送しても破損しないように形成されている。また、折り畳み時には、幅を200mm以下まで小さくすることができ、さらにこのときの高さおよび奥行きは組み立て時と略同じなので、組み立てたものと折り畳んだものとを同時に搬送する場合のでも取り扱いや収納性に優れている。
なお、輸送用断熱容器1の下部に、台車(図示せず)を着脱可能に設けることが可能である。台車は、この輸送用断熱容器1の下部側面の三方または四方を外側から保持する形状であることが好ましい。かかる構成によって、重量物を収納した状態での移動を小さい力で行うことができ、輸送時の操作性が向上する。
また、空間部8には、直方体の箱状物を収納することが好ましい。さらに好ましくは、箱状物を隙間なく収納することが好ましい。かかる構成によって、矩形状板材2〜6の接合部に加わる力が軽減され、より重量のある商品を搬送することができる。
また、面状ファスナの代わりに、互いに噛み合う金属などの小片を2本の布テープに取り付け、開閉できるようにしたファスナや紐等を用いることも可能である。
なお、輸送用断熱容器の幅を奥行きの半分以下に形成することによって、扉の固定断熱板部を内側に折り畳み、右側の固定断熱板部に内側から当接させることも可能である。この場合、扉は、図3の符号aで示す空間部に配置される。
折り畳み時に扉を内側に配置できるので、全体の厚みを薄く形成することができ、また、空間部aを埋めて内部を中実に形成できることができるので、折り畳み時の強度を向上させることができる。
また、天面の可動断熱板部17の下部には、可撓性の網状袋部材を設けることができ、この中にドライアイス(商標)等の保冷部材を収納することができる。輸送用断熱容器1は、そのままで高い断熱性能を有しているが、保冷部材を用いることによりさらに長時間保冷を行うことができる。
次に、折り畳み式の輸送用断熱容器1の折り畳み手順について説明する。図6(A)は輸送用断熱容器の折り畳み状態を示す平断面図、(B)〜(D)は同正面図である。
図6(A)に示すように、まず、扉7を開き、右側の矩形状板材4に外側から当接させる。次いで、背面の矩形状板材2の可動断熱板部16の左側端部に設けられている紐状部材34を空間部8側に引張り、可動断熱板部16を右側の固定断熱板部12に内側から当接させる。
図6(B)に示すように、天面および底面の矩形状板材5,6の可動断熱板部17,18の左側端部をそれぞれ空間部8側に引張り、既に折り畳まれている可動断熱板部16に左側から当接させる。
図6(C)に示すように、左右の矩形状板材3,4を近接させながらシート部13〜15の中間部を空間部8側に突出するように折り曲げ、図6(D)に示すように、シート部13〜15を、左側の矩形状板材3と、可動断熱板部17,18との間に挟み込む。その後、左右の矩形状板材3,4を固定部33によって離反しないように固定する。
このようにして、簡単に折り畳むことができる。なお、組み立て時は、折り畳むときの手順と逆の手順で組み立てる。なお、矩形状板材2〜6の外側に把手を設けて、持ち運びを簡便に行うことも可能である。
次に折り畳み式の輸送用断熱容器1を用いた商品の配送方法について説明する。
図7(A)は、保冷機能を備えた車両の部分平断面図、(B)は同車両の背面図、図8は、車両による走行経路を示した説明図である。
本発明の配送方法は、冷蔵設備を備えた配送センター35から保冷機能を備えた車両36を用いて、各店舗37〜39に商品を配送する方法である。
(搬送準備)
図7,8に示すように、配送センターには、輸送用断熱容器1が折り畳んだ状態で多数用意されており、このうち、配送する商品数および店舗数に応じて、必要数を組み立てる。
配送センターでは、店舗から受けた注文に応じて、輸送用断熱容器1にダンボール箱に箱詰めされている商品40を、店舗37〜39ごとに収納し、扉7を閉じる。なお、扉7の前面には、店舗名を記載したラベルを着脱可能に固定する表示部が設けられている。
(積載)
保冷機能を有する車両36には、商品40を、輸送用断熱容器1ごと積載する。配送を行う作業者は、自己の配送する店舗を確認して輸送用断熱容器1を車両36に積載する。
(搬送および配達)
作業者は、車両36を運転して、商品40を店舗37に搬送する。店舗37に到着した後、作業者は、店舗37用に用意した輸送用断熱容器1を車両36から下ろし、店舗37の従業員に輸送用断熱容器1ごと渡す。そして、作業者は、前回の搬送時に店舗37の従業員に渡した使用済みの折り畳んだ状態の輸送用断熱容器1を受け取り、車両36に積載する。各商品40を渡すために車両36と店舗37の間を何度も往復する必要がなくなるので、停車時間を短縮することができ、全体の搬送時間も短縮される。
店舗37の従業員が受け取った商品40は、輸送用断熱容器1に収納された状態となっているので、このままの状態で店内に1〜2時間程度放置しておいても商品40が溶けたりすることはないので、忙しい時間帯であっても店舗37内の顧客を待たせることなく、手のあいた時間帯に商品40の陳列作業を行うことができる。
作業者は、同様に店舗38,39に残りの商品40を搬送し、輸送用断熱容器1ごと商品40を渡し、使用済みの輸送用断熱容器1を折り畳んだ状態で受け取り、持ち帰る。このようにして、商品40を搬送することができる。
(第2の実施の形態)
図9は、同輸送用断熱容器を組み立てた状態を示す正面図、図10は、第2の実施の形態の輸送用断熱容器を折り畳んだ状態を示す正面図、図11は、同輸送用断熱容器の側面図である。
第2の実施の形態の輸送用断熱容器50は、第1の実施の形態の輸送用断熱容器1の一部の部材を変更または追加したものなので、同一部材には同一符号を付して説明は省略する。
図9に示すように、空間部8の下部前面であって、扉7に当接しない位置には、単独で開閉可能な補助扉51が設けられている。補助扉51は、可撓性の断熱シート状物で形成されており、右側の矩形状板材4の固定断熱板部12の前側に縫製や接着等により固定され、左側の矩形状板材3の固定断熱板部11に面状ファスナ等の着脱可能な固定手段により固定されている。
図10に示すように、輸送用断熱容器50の折り畳み時には、補助扉51の面状ファスナを外して、右側の矩形状板材4の内側に折り畳んで収納することができる。また、面状ファスナを取り付けたまま折り畳むことも可能である。
補助扉51は、輸送用断熱容器50を組み立て、内部に商品を複数段に積み重ねて収納した後、閉じた状態にしておく。商品を取り出すときには、扉7を開け、補助扉51を閉じた状態で、上段の商品を取り出す。扉7を開けたときには、空間部8内の冷気が外に逃げようとするが、補助扉51が閉じているので、空間部8内の下側の冷気は、外側に逃げることが防止され、下段の商品の温度上昇を小さくすることができる。下段の商品を取り出すときには、補助扉51を開くことができるので、作業の邪魔にならない。
なお、補助扉51を、剛性を有する薄型の板材で形成することも可能である。
図9、図11に示すように、底面の矩形状板材6の下面と、両側面の矩形状板材3,4の下部と、背面の矩形状板材2の下部とを覆う可撓性の保護シート52が設けられている。保護シート52は、矩形状板材3,4の表面を覆う熱反射シート44の色、すなわち銀白色とは異なる色に着色されている。保護シート52の色は、銀白色との区別が付きやすく、かつ、光を吸収しにくい色であることが好ましい。
輸送用断熱容器50を組み立て、床面上に載置したとき、床面には可撓性シート52が当接する。輸送用断熱容器50を横移動させると、保護シート52が床面上を摺動するので、底面の矩形状板材6の表面を保護することができる。また、組み立て時および折り畳み時のいずれにおいても、保護シート52を目印として、これを底面側に配置するように注意することにより、上下位置が逆になることはなく、また、逆に使用した場合には遠方からでも目視により確認できるので、使用方法の過誤による破損を防止することができる。
図9,図10に示すように、左側の矩形状板材3のシート部9の外側面には、断面矩形のスペーサ部材53が、それぞれ水平に配置され固定されている。スペーサ部材53は、低温下において、他のシート部の表面に配置されている熱反射シート44に固着しない材料で形成されている。なお、スペーサ部材53の材料に、ゴム等の柔軟性がある材料を加えて形成し、緩衝材としての役割を付与することもできる。
輸送用断熱容器50は、冷凍庫や冷蔵庫に入れて搬送される。この場合に、隣接する輸送用断熱容器50の側面が互いに当接した状態で凍り付いてしまい、取り出すことができなくなる場合があるが、スペーサ部材53を設けることにより凍結を防止することができる。
図9,図11に示すように、右側の矩形状板材4の上端部および下端部に、右側の固定断熱板部11と同じ厚みの角棒状部材54,55を空間部8側に突出させて固定し、上下の可動断熱板部56,57を、この角棒状部材54にそれぞれヒンジ部58,59を介して接続することができる。可動断熱板部55,56の幅は、第1の実施の形態で用いた可動断熱板部16,17の幅より、各棒状部材54の幅の分だけ小さく形成されている。可動断熱板部55,56を、ヒンジ部58,59を介して接続することにより、回動動作が確実になり、接続部分の信頼性が向上する。
図9,11に示すように、左側の矩形状板材3の固定断熱板部11の前側端部であって、上下方向の略中央部には、布製の把手部60が設けられ、扉7の基部であって、上下方向の略中央部には、同様に布製の把手部61が設けられている。
把手部60,61は、輸送用断熱容器50を折り畳んだときに重なる位置に配置され、作業者は、片手で把手部60,61をまとめて持つことができる。また、把手部61には、固定バンド62が設けられており、把手部60,61を重ねた状態で着脱可能に固定することができる。
把手部60,61を持ったときには、空間部8の開口部が上方を向くので、商品を収納する空間部8内にごみ等が入ることが少なくなり、商品に悪影響を与えることが防止され、清掃も簡単になる。
また、把手部60,61は、輸送用断熱容器50の組み立て時には、空間部8内に収納されるので、外側表面の突起物がなくなり、多数の輸送用断熱容器50を並べて搬送するときの輸送手段への収納時や取り出し時に引っ掛かることがなくなり、作業性がよくなる。
図10に示すように、第1の実施の形態の前側の固定部33の代わりに、固定部63が設けられている。固定部63は、固定部33の左側の面状ファスナを無くして、帯状掛合片64と右側の面状ファスナを掛合させるように構成したものである。なお、図10では、固定部63を掛合させる前の状態を示している。帯状掛合片64は、第1の実施の形態の帯状掛合片26より幅広に形成され、確実に掛合するように構成されている。
以上説明してきたが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、シート部14,15の内側面の右側部分を、天面および底面の可動断熱板部17,18に固定して、内側に確実に折り畳まれるように構成することも可能であり、また、予め折り目を形成して同様に折り畳みを確実に行うように構成することも可能である。
【発明の効果】
本発明によれば次の効果を奏する。
(1)本発明の折り畳み式の輸送用断熱容器は、可撓性のシート部と、この内側に、各シート部に未接合状態でそれぞれ当接するとともに、一番広い面積を有して基準となる矩形状板材に設けられた固定断熱板部の隣接する端部にそれぞれの基端部を接合し、基準となる矩形状板材側に折り畳み可能な可動断熱板部とをそれぞれ備えているので、基準となる矩形状板材に重ねられた可動断熱板部は、基準となる矩形状板材より面積が小さくなり、基準となる矩形状板材からはみ出すことはなく、輸送用断熱容器の全体を、基準となる矩形状板材と同じ面積で、少しの厚みがある板状に形成することができ、また、輸送用断熱容器の構成部材が、移動中に紛失することがなく、コンパクトに折り畳むことができる。
(2)固定断熱板部を備えた前記矩形状板材の外側に、可撓性の基準シート部を設け、固定断熱板部を基準シート部に固定し、基準シート部の外周端部を隣接するシート部の端部にそれぞれ一体的に接続すると、基準シート部と各シート部が一体的に形成され、固定断熱板部が基準シート部に固定され、可動断熱板部が固定断熱板部に固定されているので、全体が一体的に形成されて分離することがなく、シート部の一部が破れても固定断熱板部および可動断熱板部によって内容物を保護でき、また固定断熱板部および可動断熱板部の一部が破損しても内容物をシート部で覆っているので、内容物が飛び出すことがなく、内容物を安定して保護することができる。
(3)基準となる矩形状板材に隣接配置された前記矩形状板材のうちの少なくとも1つを、固定断熱板部に0〜90°の範囲で回動可能に設けると、組み立て時には90°に開いた状態以上に曲がらなくなるので、強度を増加させることができる。
(4)輸送用断熱容器の下部に、台車を着脱可能に設けると、内部に多数の商品を収納した状態での移動を小さい力で行うことができ、作業性を向上させることができる。
(5)空間部に、直方体の箱状物を収納すると、空間部も直方体状に形成されているので、輸送用断熱容器が変形しにくくなり、強度を増加させることができる。
(6)空間部の前面下部に、単独で開閉可能な補助扉を設けると、空間部内に積み重ねられている商品を上段から取り出すときには、補助扉を閉じたまま作業を行うことができるので、冷気が空間部から外側に逃げにくくなり、下段の商品を取り出すときには、補助扉を開けて作業を行うことができるので、作業の邪魔にならず、操作性を犠牲にせずに保冷性能を向上させることができる。
(7)輸送用断熱容器の底面に、矩形状板材とは異なる色の可撓性の保護シートを設けると、輸送用断熱容器の移動時に床面上を摺動させたときの外面を保護することができ、折り畳み時または組み立て時には、上下の方向を簡単に確認することができるので、誤使用による破損を確実に防止することができる。
(8)配送センターで、折り畳み可能な輸送用断熱容器を組み立て、この輸送用断熱容器に各店舗ごとに商品を収納して各店舗に搬送し、各店舗に商品を輸送用断熱容器ごと渡し、各店舗から使用済みの輸送用断熱容器を折り畳んだ状態で受け取る配送方法によると、車両から店舗に商品を渡すときに、各商品ごとの個別確認を短縮することができ、全体の配送時間も短縮することができる。
また、商品が輸送用断熱容器内に保冷状態で保存されているので、車両から搬出しても、すぐに溶け出すことはなく、店舗の従業員は、手が空いたときに陳列作業を行うことができるので、店舗での作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の折り畳み式の輸送用断熱容器を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図2】 同輸送用断熱容器を組み立てた状態を示す平断面図である。
【図3】 同輸送用断熱容器を折り畳んだ状態を示す平断面図である。
【図4】 同輸送用断熱容器を折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図5】 (A)は、断熱板部の断面図、(B)はシート部の断面図である。
【図6】 (A)は輸送用断熱容器の折り畳み状態を示す平断面図、(B)〜(D)は同正面図である。
【図7】 (A)は、保冷機能を備えた車両の部分平断面図、(B)は同車両の背面図である。
【図8】 車両による走行経路を示した説明図である。
【図9】 第2の実施の形態の輸送用断熱容器を組み立てた状態を示す正面図である。
【図10】 同輸送用断熱容器を折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図11】 同輸送用断熱容器を組み立てた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 輸送用断熱容器
2〜6 矩形状板材
7 扉
8 空間部
9,10 シート部
11,12 固定断熱板部
13〜15 シート部
16〜18 可動断熱板部
19 ヒンジ部
20 前側辺
21,22 布状接続部材
23 補強板
24 固定断熱板部
25 シート部
26 帯状掛合片
27,28 面状ファスナ
29〜32 補強板
33 固定部
34 紐状部材
35 配送センター
36 車両
37〜39 店舗
40 商品
41 保温板
42 織布
43,44 熱反射シート
45 織布
50 輸送用断熱容器
51 補助扉
52 保護シート
53 スペーサ部材
54,55 角棒状部材
56,57 可動断熱板部
58,59 ヒンジ部
60,61 把手部
62 固定バンド
63 固定部
64 帯状掛合片
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
発明者からのメッセージ

CVSなど流通業界におけるアイスクリームなどの冷凍品配送センターの現行の配送形態は、段ボール配送で行われていますが、本発明の「折り畳み式の輸送用断熱容器を用いた配送方法」の採用で、仕分・配送段階から店舗到着までの保冷の長時間化ができることから、配送距離が広域化できるため配送拠点の集約化ができるようになり、従来のような冷凍設備を備えた配送センターを分散して配置する必要がなくなります。本発明の輸送用断熱容器は断熱効果が高く、保冷機能を測定した実験結果を下の参考図に示すように、アイスクリーム商品の劣化が始まる−18℃を超えるまでには蓄冷材を使用しない状態でも少なくとも80分を要することが分かります。これは従来の折り畳み式の輸送用断熱容器と比べても極めて高い保冷機能を示すものであり、配送車輌のドアの開け閉めでコンテナの庫内温度が上がっても輸送用断熱容器の温度は−20℃以下を保持、店舗に到着後も一旦常温のバックルームに納品後も80分前後この温度を確保でき、本発明の折り畳み式の輸送用断熱容器が機密性に優れ断熱性能が高いことを示しています。このように高い断熱性能を有する折り畳み式の輸送用断熱容器を用いることで、環境に負荷のかかるドライアイスなどの蓄冷材の使用を減らすことができます。又、長時間にわたり保冷状態を確保できることから、配送された店舗では一旦バクルームに収納し他の作業が一段落してから冷凍商品の陳列作業にかかれます。使用後にはコンパクトに折り畳みできることから、納品・陳列・配送効率を高めることができます。さらに保冷性能が高いことから、輸送用トラックの停車時にはエンジンのアイドリングストップができ、省エネエコ運転、排気ガス規制、騒音問題、納品時の駐停車時間を短縮でき放置駐停車違反問題の解消にもなります。又、輸送用断熱容器の保冷性能が高いことから他のカテゴリー商品、常温商品との混載も可能となり、配送センターの集約化及び配送の効率化により配送車輌そのものを減少させることができエネルギー資源の無駄使いを減らすことが出来ます。
参考グラフ
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