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電機
 
【考案の名称】発電装置及び複合発電装置
【実用新案権者】
【識別番号】710006921
【氏名又は名称】川上 保衛
【住所又は居所】東京都府中市武蔵台1丁目30番地の5
【代理人】
【識別番号】100142136
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 潔
【考案者】
【氏名】川上 保衛
【住所又は居所】東京都府中市武蔵台1丁目30番地の5
【要約】
【課題】自然エネルギーを利用しつつ、設置場所が限定されず、設置場所の利用制限も少ない状態で発電可能な発電装置及び複合発電装置を提供すること。
【解決手段】発電装置10は、自然風Wが導入される開口部11Aが配された円環状の通路11と、通路11内を自然風Wによって流動して生じる摩擦によって正負それぞれに帯電する複数の第一部材12及び第二部材13と、を備え、第一部材12及び第二部材13にそれぞれ生じた電荷を回収して発電する。
【選択図】図2
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
自然風が導入される開口部が配された円環状の通路と、
該通路内を前記自然風によって流動して生じる摩擦によって正負それぞれに帯電する複数の第一部材及び第二部材と、
を備え、
前記第一部材及び前記第二部材にそれぞれ生じた電荷を回収して発電する発電装置。
【請求項2】
帯電した前記第一部材及び前記第二部材の前記電荷を回収する集電部を備える請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記開口部に配された自然風の導入部と、
該導入部の先端近傍に配されて前記自然風を前記導入部に誘導するガイド部と、
を備える請求項1に記載の発電装置。
【請求項4】
前記通路が、
前記通路の外壁面の少なくとも一部を形成する第一n型半導体層と、前記通路の内壁面の少なくとも一部を形成する第一p型半導体層と、を有する第一壁部と、
前記通路の外壁面の少なくとも一部を形成する第二p型半導体層と、前記通路の内壁面の少なくとも一部を形成する第二n型半導体層と、を有する第二壁部と、
を備え、
前記通路の中心軸線方向に伸びて前記自然風を排出可能な隙間を有して前記第一壁部及び前記第二壁部が互いに対向して配される請求項1に記載の発電装置。
【請求項5】
上下方向に配された複数の請求項1から4の何れかに記載の発電装置と、
該発電装置の上方に配された太陽光発電装置と、
を備える複合発電装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、発電装置及び複合発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自然エネルギーを利用した発電装置として、自然風の力によって回転するプロペラの回転力を利用して発電するプロペラ式風力発電装置(例えば、特許文献1参照。)や、pn接合された半導体パネルに太陽光を照射することによって生じる光起電力を利用した太陽光発電装置(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2021−172211号公報
【特許文献1】 特開2023−035811号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プロペラ式風力発電装置の場合、一定の風力を要することから設置可能な場所が限定され、洋上に設置しなければならない場合もある。また、太陽光発電の場合、集光のために所定の大きさの太陽光パネルが必要になる。また、巨大化又は大面積化した太陽光パネルを常設する場合には、当該パネルの下側や裏側には日光が届かず他の用途利用が困難になる。
【0005】
本考案は上記事情に鑑みて成されたものであり、自然エネルギーを利用しつつ、設置場所が限定されず、設置場所の利用制限も少ない状態で発電可能な発電装置及び複合発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本考案は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本考案に係る発電装置は、自然風が導入される開口部が配された円環状の通路と、該通路内を前記自然風によって流動して生じる摩擦によって正負それぞれに帯電する複数の第一部材及び第二部材と、を備え、前記第一部材及び前記第二部材にそれぞれ生じた電荷を回収して発電する。
【0007】
また、本考案に係る発電装置は、帯電した前記第一部材及び前記第二部材の前記電荷を回収する集電部を備える。
【0008】
また、本考案に係る発電装置は、前記開口部に配された自然風の導入部と、該導入部の先端近傍に配されて前記自然風を前記導入部に誘導するガイド部と、を備える。
【0009】
また、本考案に係る発電装置は、前記通路が、前記通路の外壁面の少なくとも一部を形成する第一n型半導体層と、前記通路の内壁面の少なくとも一部を形成する第一p型半導体層と、を有する第一壁部と、前記通路の外壁面の少なくとも一部を形成する第二p型半導体層と、前記通路の内壁面の少なくとも一部を形成する第二n型半導体層と、を有する第二壁部と、を備え、前記通路の中心軸線方向に伸びて前記自然風を排出可能な隙間を有して前記第一壁部及び前記第二壁部が互いに対向して配される。
【0010】
また、本考案に係る複合発電装置は、本考案に係る発電装置と、該発電装置の上方に配された太陽光発電装置と、を備える。
【考案の効果】
【0011】
本考案によれば、自然エネルギーを利用しつつ、設置場所が限定されず、設置場所の利用制限も少ない状態で発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本考案の一実施形態に係る複合発電装置を示す概念図である。
【図2】本考案の一実施形態に係る発電装置の通路を示す概念図である。
【図3】本考案の一実施形態に係る複合発電装置の設置状態を示す概念図である。
【図4】第一部材及び第二部材が通路内に配された状態を示す図1のI−I断面図である。
【図5】摩擦によって帯電した第一部材及び第二部材が通路の第一壁部及び第二壁部に誘導される状態を示す図1のI−I断面図である。
【考案を実施するための形態】
【0013】
本考案に係る一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
本実施形態に係る複合発電装置1は、上下方向に配された複数の発電装置10と、これら発電装置10の上方に配された太陽光発電装置30と、を備える。
【0014】
各発電装置10は、自然風Wが導入される開口部11Aが互いに離間して複数配された円環状の通路11と、通路11内を自然風Wによって流動して生じる摩擦によって正負それぞれに帯電する複数の第一部材12及び第二部材13と、帯電した第一部材12及び第二部材13の電荷を回収する集電部15を備える。
【0015】
通路11は、上側の壁面を形成するよう湾曲された、例えばアモルファスシリコンフィルムからなる第一壁部16と、下側の壁面を形成するよう湾曲された、例えばアモルファスシリコンフィルムからなる第二壁部17と、各開口部11Aに配された自然風の導入部18と、導入部18の先端近傍に配されて自然風Wを導入部18に誘導するガイド部20と、を備える。そして、通路11の中心軸線C1方向に伸びて自然風Wを排出可能かつ第一部材12及び第二部材13は排出不可能な隙間SPを有して第一壁部16及び第二壁部17が互いに対向して配されている。
【0016】
第一壁部16は、内外両面に配された第一電極部16A,16Bと、外面側に配された第一n型半導体層16Cと、内面側に配された第一p型半導体層16Dと、を備える。第一n型半導体層16C及び第一p型半導体層16Dの接続部分には第一接続面16Eが配される。第二壁部17は、内外両面に配された第二電極部17A,17Bと、外面側に配された第二p型半導体層17Cと、内面側に配された第二n型半導体層17Dと、を備える。第二p型半導体層17C及び第二n型半導体層17Dの接続部分には第二接続面17Eが配される。
【0017】
導入部18は管状に形成されるとともに、通路11から離間するにつれて拡径されている。また、導入された自然風Wが通路11内を一方向に流れるように取付方向が調整されている。ガイド部20は、導入部18の先端近傍に配されて、異なる方向から吹く自然風を導入部18に誘導可能に互いに異なる角度に傾斜して設置された複数の誘導板21を備えている。開口部11Aは、例えば、円周方向に120度ずつ配されている。
【0018】
第一部材12及び第二部材13は、軽量かつ帯電性の高い形状及び材質である必要がある。本実施形態では、第一部材12は、例えば中空球状に形成されるとともに、第二部材13よりも軽量化されたアルミニウム合金からなり、第二部材13は、例えば中空球状に形成されるとともに、第一部材12よりも大径なポリ塩化ビニルからなる。
【0019】
開口部11Aは、通路11の中心Cに対して略120度ずつ互いに離間した3か所に配されている。導入部18は、通路11から離間する方向に漸次拡径された円環状に形成され、通路11内の風の流れが同一方向の流れとなるように通路11の中心軸線C1に対して同一角度に傾斜して配されている。
【0020】
集電部15は、第一壁部16の第一電極部16A,16Bと接続された第一配線部22と、第二壁部17の第二電極部17A,17Bと接続された第二配線部23と、太陽光発電装置30と接続された第三配線部25と、これらと接続された蓄電部26と、を備える。
【0021】
太陽光発電装置30は、例えば六角形状の周知の太陽光パネル31を備えて複数の発電装置10のさらに上方に配されている。
【0022】
次に本実施形態に係る発電装置10及び複合発電装置1の作用効果について説明する。
まず、複数の複合発電装置1を棚SHに吊るす。
【0023】
この状態で所定の方向から或いは様々な方向からの自然風Wがガイド部20に当たり導入部18から通路11内に取り込まれると、通路11内に一方向の流れが生じる。この際、第一部材12と第二部材13との質量が異なることから、通路11内における両者の移動速度が異なってくる。そのため、通路11内の第一部材12及び第二部材13が互いにぶつかり合いながら風向き方向に移動する。このとき、摩擦電気が発生して第一部材12の表面が正に、第二部材13の表面が負に帯電する。ここで、第一部材12のほうが第二部材13よりも軽量であることから、雷雲内での現象と同様に第一部材12が相対的に通路11内を上側に、第二部材13が相対的に通路11内を下側へと移動する。
【0024】
一方、太陽光が通路11の外面に照射されることから、通路11の上側の第一壁部16では外面側の第一n型半導体層16Cが負、内面側の第一p型半導体層16Dが正に帯電する。また、通路11の下側の第二壁部17では外面側に配された第二p型半導体層17Cが負、内面側に配された第二n型半導体層17Dが正に帯電する。この際、正に帯電した第一部材12と第一p型半導体層16Dとの正電荷との誘電作用により、第一部材12における光起電力のみならず、第一部材12の摩擦電気も加えた電気が第一配線部22を通して蓄電部26に回収される。
【0025】
また、負に帯電した第二部材13と第二n型半導体層17Dの負電荷との誘電作用により、第二部材13における光起電力のみならず、第二部材13の摩擦電気も加えた電気が、第二配線部23を通して蓄電部26に回収される。
【0026】
そして、太陽光発電装置30の太陽光パネル31において光起電力によって発電された電気は第三配線部25を通じて蓄電部26に回収される。
【0027】
この複合発電装置1によれば、太陽光によって通路11の第一壁部16及び第二壁部17に生じる電子と正孔だけでなく、摩擦電気によって生じた電荷も集電した発電が可能になる。この際、導入する自然風Wの強さによらず風が吹き続ける限り、第一部材12と第二部材13との間で摩擦電気を連続的に発生させることができる。
【0028】
また、第一壁部16及び第二壁部17を構成するアモルファスシリコンフィルムがパネルのような平面状ではなく円環状に形成されているので、太陽が移動しても太陽光の入射角度の変化を抑えて受光量を高めることができる。そして、通路11の上側の第一壁部16みならず、下側の第二壁部17も発電することができる。
【0029】
さらに、通路11に自然風を導入する際、導入部18の伸びる方向と異なる風向きの風であってもガイド部20によって風向きを変えて導入部18に誘導して通路11内に取り込むことができ、風量を増大させることができる。
【0030】
また、複合発電装置1は棚SHに吊るされるので、複合発電装置1の直下の土地Lにも太陽光が注ぎ、自然風が吹き抜けることができる。そのため、土地Lを畑地等に利用することが可能になるだけでなく、夏場においては適度な日陰を形成でき、直射日光を和らげることができ、冬場においては寒風を緩和することができる。
【0031】
なお、本考案の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では、導入された自然風Wが通路11内を一方向に流れるように導入部18が通路11に配されているとしているが、風の流れを一方向のみに限定する場合に限らない。また、通路11が第一壁部16及び第二壁部17のみから形成されているとしているが、これに限らず、通路の一部が第一壁部16及び第二壁部17で形成されていても構わない。
【0032】
また、第一部材12及び第二部材13の材質はそれぞれアルミニウム合金、ポリ塩化ビニルとしているがこれに限らない。例えば、帯電列を参照して帯電の大きさや摩擦係数から適宜選択してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 複合発電装置
10 発電装置
11 通路
11A 開口部
12 第一部材
13 第二部材
15 集電部
16 第一壁部
16C 第一n型半導体層
16D 第一p型半導体層
17 第二壁部
17C 第二p型半導体層
17D 第二n型半導体層
18 導入部
20 ガイド部
SP 隙間
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
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