閉じる
 
【発明の名称】回転発電機
【特許権者】
【識別番号】516190622
【氏名又は名称】宮林 正仁郎
【住所又は居所】富山県射水市本町3-12-5
【代理人】
【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭
(【発明者】
【氏名】宮林 正仁郎
【住所又は居所】富山県射水市本町3-12-5
【参考文献】
【文献】国際公開第2005/050821(WO,A2)
【文献】特表2003−506005(JP,A)
【文献】実開昭55−12727(JP,U)
【文献】実開昭58−100473(JP,U)
【文献】実公昭51−37922(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/12
H02K 1/27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子とその回転子に配置された円筒状の永久磁石とを有し、前記永久磁石の長手方向と永久磁石の磁束方向と前記回転子の回転軸の軸方向が一致する回転発電機において、
軟磁性体からなる一対の平面状の第一の部材と、
軟磁性体からなる複数の円筒状の第二の部材と、を有し、
前記第一の部材は、前記回転子の前記永久磁石の長手方向延長線と平面とが交差する態様で前記永久磁石と空隙を介して配置され、前記第二の部材は、前記第一の部材の平面に円筒両端を当設させて、前記回転軸方向と平行となるように配置されることを特徴とする回転発電機
【請求項2】
前記永久磁石は、複数の永久磁石を用いることを特徴とする請求項1に記載の回転発電機
【請求項3】
前記複数の永久磁石は、回転子に等間隔に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転発電機
【請求項4】
前記第一の部材は、回転子の直径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一の請求項に記載の回転発電機、
【請求項5】
円柱状の回転子とその回転子に配置された円環状の永久磁石とを有し、永久磁石の磁束方向と回転軸とが直交する回転発電機において、
直径幅が前記永久磁石の外円幅より大きく、高さ幅が前記永久磁石の高さ幅より大きい軟磁性体からなる円筒状の第一の部材と、
第一の部材の高さ幅と前記永久磁石の高さ幅の差よりも小さい直径の円筒状の複数の軟磁性体からなる第二の部材と、を有し、
前記第一の部材は、前記永久磁石と空隙を介して配置され、前記第二の部材は、前記第一の部材の前記永久磁石とが対抗する領域から偏寄した位置の前記第一の部材の外側に当接されることを特徴とする回転発電機
【請求項6】
円環状の回転子とその回転子に配置された円環状の永久磁石とを有し、永久磁石の磁束方向と回転軸とが直交する回転発電機において、
直径幅が前記永久磁石の内円幅より小さく、高さ幅が前記永久磁石の高さ幅より大きい軟磁性体からなる円筒状の第一の部材と、
第一の部材の高さ幅と前記永久磁石の高さ幅の差よりも小さい直径の円筒状の複数の軟磁性体からなる第二の部材と、を有し、
前記第一の部材は、前記永久磁石と空隙を介して配置され、前記第二の部材は、前記第一の部材の前記永久磁石とが対抗する領域から偏寄した位置の前記第一の部材の内側に当接されることを特徴とする回転発電機
【請求項7】
回転子とその回転子に配置された円筒状の永久磁石とを有し、前記永久磁石の長手方向と永久磁石の磁束方向と前記回転子の回転軸の軸方向が一致する回転発電機において、
一対の前記回転子と、
軟磁性体からなる平面状の第一の部材と、
軟磁性体からなる複数の円筒状の第二の部材と、を有し、
前記第一の部材は、前記回転子の前記永久磁石の長手方向延長線と平面とが交差する態様で前記一方の回転子と他の一方の回転子との間に空隙を介して配置され、
前記第二の部材は、前記第一の部材の両面に対にして固定され、
前記回転軸方向と平行となるように配置されることを特徴とする回転発電機
【請求項8】
前記第二の部材は、発電コイルを巻回させ電機子として用いることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一の請求項に記載の回転発電機
【請求項9】
請求項1乃至8に記載の空隙は1mm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一の請求項に記載の回転発電機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の永久磁石を回転子として回転・振動させ、永久磁石が発生する磁束を固定子側の鉄芯に導き、鉄芯に施した巻線に電気を誘導させる形式の回転発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転電機、例えば発電機では、水力、火力等のエネルギーを回転エネルギーに変換し、変換した回転エネルギーで発電機を駆動して発電を行っている。一般に使用される発電機は、N極およびS極を有する永久磁石を回転軸に取り付けた回転子、前記永久磁石により形成される磁極数に応じた磁極を有する電機子鉄心、および該電機子鉄心に巻回した発電コイルを備え、前記回転子を回転駆動することにより、電機子鉄心内に交流磁界を発生し、発生した交流磁界により前記発電コイルに交流電圧を発生させている。
【0003】
ところで、発電機あるいは電動機等の回転電機を構成する電機子鉄心は、電機子鉄心に巻回したコイルに十分な磁界を供給するため、前記回転子に取り付けた磁石と近接して配置することが望まれる。永久磁石と電機子鉄心とを近接して配置すると、永久磁石と鉄心の間に吸引力が働く。この吸引力は、回転電機の出力の向上を図るため、強力な永久磁石を用いる場合には、特に大きな値となる。
【0004】
また、この吸引力は回転子の回転角度に依存して変動し、回転子の回転トルクに影響を及ぼす。この電機子と回転子との間の磁気抵抗によりコギングが生じ、脈動の多い不安定な発電になる。例えば、風力発電等に用いられる発電機においては、回転翼が動き始めると起動トルクが大きくなる。また、回転翼を連続して回転させるための抵抗も大きくなる。したがって、少ない回転エネルギーによっては発電することができない。
【0005】
そこで、コギングトルクと呼ばれる種類のトルク脈動を低減するために、回転子を複数段の回転子で構成し、各段の位置を円周方向にずらしてスキューを施す方法が、下記文献1に、開示されている。
【0006】
また、コギングによる不具合を抑制すするために鉄芯を使用しない(コアレス)他の技術が、下記文献2に、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-119192号公報
【特許文献2】特開2009-124800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に係る発明では、スキュー角やスキュー段数を変更する場合、積層鋼板等からなる回転子コアのための金型などの製作型を再作製する必要がある。あるいは、複数のスキュー角を有する回転子を製造するためには、スキュー段の数や、スキュー角の設定に応じて造り分けられた複数の金型等が必要となる。また、前記特許文献2に係る方法では、回転トルクの低減やコギングの低減には効果が見られるが、鉄芯を有する発電機と比較して、発電量が小さくなるという問題があった。
【0009】
また、従来の風力発電においては、微弱な風が吹いている間には運動を停止してきた。あるいは風力発電モーターの小型化により微弱な風力に対応してきた。したがって、安定して強風が期待できる地域でしかまとまった発電が期待できないという問題もあった。
【0010】
そこで、本願発明は、これらの従来技術における問題に鑑み、コギングの発生を低減して、少ないエネルギーで発電することができ、刻々と変化する風力での発電に際し、より安定した運転が可能となる発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明者は回転子に配置された磁石の磁力の中心と、回転子の回転に伴いコイルに発生するインピーダンスによる磁化の中心を向かい合わせないこと、またそれでは十分に磁力をコイル両端に伝え切れないが、軟磁性体で両者を仲介させることで、コギングを大幅に低減かつ十分な磁力を伝えることを見いだし本発明に至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明の一態様によれば、回転子とその回転子に配置された円筒状の永久磁石とを有し、前記永久磁石の長手方向と永久磁石の磁束方向と前記回転子の回転軸の軸方向が一致する回転発電機において、軟磁性体からなる一対の平面状の第一の部材と、軟磁性体からなる複数の円筒状の第二の部材と、を有し、前記第一の部材は、前記回転子の前記永久磁石の長手方向延長線と平面とが交差する態様で前記永久磁石と空隙を介して配置され、前記第二の部材は、前記第一の部材の平面に円筒両端を当設させて、前記回転軸方向と平行となるように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コギングを大幅に低減させ、小さい回転エネルギーで安定した発電が可能となる発電機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】永久磁石が円筒型である場合の発電機の構成を示す図である。
【図2】永久磁石が円環型である場合の発電機の構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る発電機を示す分解組立図である。
【図4】第1の実施の形態に係る回転子の構成を示す図である。
【図5】本願発明に係る電機子の構成を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る第一の部材の構成を示す図である。
【図7】第1の実施の形態において電機子に起電力が隆起される原理を示した図である。
【図8】本願発明に係る発電部分を積み上げた図である。
【図9】本願発明に係る発電部分を利用した概念図である。
【図10】本願発明に係る第2の実施に係る発電機の分解組立図である。
【図11】第2の実施の形態に係る回転子の構成を示す図である。
【図12】第2の実施の形態に係る第一の部材の構成を示す図である。
【図13】第3の実施の形態に係る発電機を示す概念図である。
【図14】第4の実施の形態に係る発電機を示す概念図である。
【図15】第5の実施の形態に係る発電機を示す概念図である。
【図16】第5の実施の形態に係る発電機を示す概念図である。
【図17】第6の実施の形態に係る第一の部材の構成を示す図である。
【図18】第6の実施の形態に係る発電機を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書に記載される材料、方法及び数値範囲などの説明は、当該材料、方法及び数値範囲などに限定することを意図したものではなく、また、それ以外の材料、方法及び数値範囲などの使用を除外するものでもない。
【0016】
本願発明において、第一の部材とは、平面、円筒状等の形状とした軟磁性体の部材のことをいう。また、永久磁石の回転に伴う軌跡(以下、回転軌跡という)が第一の部材に全て又は一部が含まれることを要する。換言すると、回転軌跡が全て又は一部が含まれる形態であれば、第一の部材の形状は特には制限されない。また、空隙とは、第一の部材と永久磁石との間の距離のことをいう。
【0017】
図1は、円筒型の永久磁石2と第一の部材5及び8として一対の平面状の部材を使用する場合の本願発明に係る発電機の概念図である。図1 (a)は、回転軸1、回転子3に配置された永久磁石2及び磁束4の方向について示した図である。また、図1(b)は、図1(a)の平面図である。図1(c)は、第一の部材5及び8が、前記回転子の前記永久磁石の長手方向延長線(磁束4の方向と一致する)と平面とが交差する位置で前記永久磁石と空隙を介して配置された状態、及び第二の部材が第一の平面に円筒両端を当設させ、回転軸1の軸方向と平行となる位置に配置されることを示す図である。図1(c)は、回転軌跡6が、第一の部材内に全て含まれることを示す図である。
【0018】
図2は、円環型の永久磁石9と、第一の部材13として円筒状の部材を使用する場合の本願発明に係る概念図である。なお、第一の部材13の高さ部は、永久磁石9の高さ部よりも大きく、永久磁石9の外円直径よりも大きい。図2 (a)は、回転軸1と回転子3に配置された永久磁石9と磁束10の方向について示した図である。また、図1(b)は、回転軌跡11を示した図であり、図2(c)と合わせて、回転軌跡11が第一の部材13内に含まれることを示した図である。図2(c)は、前記第一の部材13が、永久磁石9と空隙を介して配置され、第二の部材12が、第一の部材13と永久磁石10の磁束とが対抗する領域から偏寄した位置の第一の部材13の外側に当接された状態を示す図である。なお、第二の部材12の直径は、第一の部材13の高さ幅と永久磁石9の高さ幅の差よりも小さい。
【0019】
ここで、第一の部材13と永久磁石9の磁束とが対抗する領域から偏寄した位置について詳細に説明する。第一の部材13の高さ部は、永久磁石9の高さ部よりも大きい。そのため、永久磁石9の磁束が交差しない範囲が存在する。係る範囲のことを総称して偏寄した位置という。
【0020】
第二の部材は、電機子として用いるためのいわゆる鉄芯である。後述するが、本発明において、電機子とは、第二の部材に発電コイルを巻回してなるものをいう。また、その形状は、円形状、三角形状、扇形状等の形状とすることができ、特には制限されない。具体的には、図1において示される符号7であり、かかる位置に設置することにより、永久磁石の磁束の中心と、回転子の回転に伴い電機子に発生するインピーダンスによる磁化の中心を向かい合わせないことができる。また、図1にかかる発電機では、第一の部材5と8とを接合する部材としても使用される。
【0021】
図2において、第二の部材は12であり、永久磁石の磁束と対抗する領域から偏寄した位置である13に第二の部材を、当設することにより、永久磁石の磁束の中心と、回転子の回転に伴い電機子に発生するインピーダンスによる磁化の中心を向かい合わせないことができる。
【0022】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態にかかる発電機を説明する分解組立図であり、図4は、図3に示す永久磁石が埋設された回転子16を説明する図であり、図5は、図3に示す電機子17を説明する図であり、図6は、図3に示す軟磁性体18を説明する図である。
【0023】
図4は、本実施形態に係る回転子16である。本実施の形態に係る永久磁石の数は4個であるが、特には制限されない。3Dプリンタで作成した回転子に永久磁石の直径と略等しく貫設された孔21にN極とS極が交互となるように永久磁石15を嵌め込む。このとき、前記孔22を設ける位置は、図4(b)のように使用する永久磁石の個数をn個としたとき、隣接する永久磁石との中心角θをθ=2π/nの関係を満たすように貫設する。なお、孔23は、回転軸を貫通させるものである。
【0024】
さらに、回転中に磁石が落下しないようにステンレス等からなる図7(c)に示す円板24で押さえてもよい。以下、係る目的で使用される部材を接続部材という。使用する永久磁石は、フェライト磁石、Sm‐Co磁石、ネオジム磁石等、発電ユニットに求められる発電特性により選択可能であるが、実施例ではネオジム磁石を使用した。また、永久磁石に変えてスリップリングを介して接続した電磁石等を使用することもできる。回転子の材質はABSライク樹脂、ポリプロピレンライク、ナイロン、石膏パウダー、積層ケイ素剛板又はアルミニウム等を使用することができ、特には制限されない。なお、本実施形態においては、3Dプリンタを使用して製作したが、他の方法によって製作された回転子を使用してもよい。
【0025】
図5は、第2の部材として、円筒上の軟磁性体を採用した場合の電機子17を組み立てる工程を示したものである。軟磁性体である8Mサイズの円筒の両端に鉄製の外形22mm、内径10mmの鉄製のワッシャー25を備える鉄芯に発電コイル26を巻き付ける。このとき、円筒の長手方向の長さは、前記回転子の高さよりもわずかに長くすることに留意する。この差が後述する空隙(エアギャップ)の大きさを決定づけるからである。また、コイルの巻き数を増加させる場合には、より直径の短い円筒を選択すればよい。
【0026】
図6は、本願発明にかかる第一の部材の一態様である円板である。永久磁石が配置された回転子3と電機子12とを、磁石の磁束上下方向垂直となる位置、すなわち、永久磁石2と対向する上下方向の位置に、永久磁石2に近接させ、空隙を介して回転軸1に固定させる(以下、固定というときは、螺旋、セットカラー、前記接続部材等を用いて固定することをいい、各種の公知の手段を使用して固定する。)。また、孔27は、後述する支柱と電機子とを孔を使用して、固定するために設けるものである。さらに、第一の実施の形態における永久磁石の回転軌跡28を点線で示した。前記孔27を設ける位置は、使用する電機子の個数をn個としたとき、隣接する電機子との中心角θをθ=2π/nの関係を満たすように貫設する。使用することができる軟磁性体の磁性材料としては、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、アモルファス等あるいはそれらを複合積層してものを使用することもできるが、本実施例では鉄を使用した。
【0027】
図3を参照しながら本願発明に係る発電機に係る構造を詳細に説明する。まず、回転軸1及び支柱14を台20に立設させる。ついで、円板状の軟磁性体19を回転軸1及び支柱14に固定する。回転子16の中心を回転軸1に貫通させ、軟磁性体19と空隙を介して固定する。次いで、支柱14に電機子17を貫通させ、軟磁性体19と当接させ固定する。次いで、軟磁性体18と電機子17とを当接させ、永久磁石15と空隙を介して設置させる。このとき、永久磁石15と軟磁性体19との距離並びに永久磁石15と軟磁性体18との距離とがそれぞれ空隙29となる。空隙の大きさは、概ね1mm以下であればよく、小さいほどよい。
【0028】
図9を用いて、電機子17に、起電力が励起される原理について説明する。発電機は、回転軸が停止した状態では、永久磁石の磁束がその上下方向に空隙を介して設置された軟磁性体18及び19を磁化している状態である。回転軸1に回転エネルギーを加えると、回転軸1の回転に伴い、回転子16が回転し、軟磁性体18及び19の各部の磁界を変化させる。そうすると、軟磁性体18及び19と電機子17とが、当接されているため、軟磁性体18及び軟磁性体19の各部の磁界の変化を電機子17上の発電コイルが受け取ることとなる。つまり、回転軸1が回転することで、永久磁石→軟磁性体18→電機子17→軟磁性体19を通る磁路が形成され、発電コイルに起電力が励起される。このとき、発電コイルから交流出力を得ることができる。
【0029】
このように、永久磁石15と軟磁性体18及び19とを等距離を保って回転させること、及び回転子16の永久磁石15の磁力の中心と、回転子16の回転にともない発電コイルに発生するインピーダンスによる磁界の中心を向かい合わせなくすることで、強いコギングを発生させず、コギングを大幅に低減させることができる。その結果、非常に低い回転エネルギー、すなわち、微弱な風であっても発電することができ、刻々と変化する風力での発電に際し、より安定した運転が可能となる。
【0030】
本願発明は、図7に示す発電部分30を単位構成ユニットとして、図8のように多段構成とすることもできる。(なお、図11において、回転子等は図示していない。)多段構成とすることで、発電機全体としての出力を増加させることができる。すなわち、発電機からの出力を増加させるという課題解決のために、単位構成ユニット中の電機子の数の増加、単位構成ユニット自体の数の増加、又はこれらを組み合わせるという方法を採用することができる。
【0031】
図9に示すように、図8に示した部分を前記風力発電の支柱部分として使用することもできる。すなわち、風力発電の支柱部分を発電のための部分として有効活用することができる。さらに、蓄電器(図示せず)を近傍に設置して、本願発明に係る発電機によって発電された電気を蓄電することもできる。
【0032】
さらに、本願発明の回転発電機の出力は、支柱、回転軸の長さ、第一の部材の大きさ、永久磁石等の大きさ及びこれらの組み合わせにより決定される。そのため、目的とする出力に応じて適宜設計の変更をすることができ、発電機の設定の自由度の高さにも資することとなる。
【0033】
(第2の実施形態)
図10は、本発明に係る第2の実施形態を示している。図3に示した実施形態は、電機子の内側で回転子が回転する、磁石回転子内転型(インナーロータタイプ)に構成したものであるが、本実施形態は、電機子の外側で回転子(ロータ)が回転する磁石回転子外回転型(アウターロータタイプ)に構成したものである。
【0034】
以下、図10を参照しながら本願発明に係る発電機に係る構造を詳細に説明する。まず、回転軸1及び支柱8を台9に立設させる。次いで、円板状の軟磁性体32を回転軸1及び支柱8に固定する。次いで、回転子31を軟磁性体5と近接させる位置で固定する。次いで、支柱8に電機子17を貫通させ、軟磁性体32と当接させ固定する。次いで、軟磁性体5を電機子17に当接させ、永久磁石34と近接させる。このとき、永久磁石34と軟磁性体32との距離並びに永久磁石34と軟磁性体33との距離とがそれぞれエアギャップとなる。エアギャップの大きさは、概ね1mm以下であればよく、小さいほどよい。
【0035】
図11は、第2の実施の形態に係る回転子31である。孔38中に電機子17、回転軸1、支柱8が収まる構造である。回転軸と回転子を繋ぐ部分(図示せず)が必要であるが、その形状等は特に制限されない。また、材質、孔の配置等については、第一の実施の形態に用いた回転子と何ら変わらない。
【0036】
図12は、第2の実施の形態に係る軟磁性体32及び33である。本実施形態における軟磁性体(第一の部材)は、回転子の内側に電機子17が配置されるので、対応する位置に孔40が設けられる。本実施の形態における回転軌跡は39である。また、材質、孔の設置等については、第1の実施の形態に用いた軟磁性体(第一の部材)と何ら変わるところはない。
【0037】
このように構成した場合も、図13に記載された発電部分を単位構成ユニットとして用いることができる。また、第1の実施形態について説明した永久磁石、回転子、軟磁性体等の材料と同一のものを使用でき、また、同実施形態について説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0038】
(第3の実施の形態)
図13は、図2で説明した本願発明に係る発電機をさらに詳細に説明した図である。以下、図13を参照しながら本実施形態に係る構造を詳細に説明する。本実施形態の発電機は、円柱状の回転子42とその回転子42に配置された円環状の永久磁石41とを有し、永久磁石の磁束方向と回転軸とが直交する型の回転発電機である。
第一の部材43は、直径幅が永久磁石41の内円幅より小さく、高さ幅が前記永久磁石の高さ幅より大きい軟磁性体からなる。第二の部材は、第一の部材の高さ幅と前記永久磁石の高さ幅の差よりも小さい直径の円筒状の軟磁性体からなる部材であり、発電コイルを巻き、電機子17として用いる。第一の部材43は、永久磁石41と空隙を介して配置され、電機子17は、前記第一の部材の前記永久磁石とが対抗する領域から偏寄した位置の前記第一の部材の内側に当接される。また、本実施の形態に係る空隙は44であり、本実施の形態における回転軌跡は45である。
【0039】
このように構成した場合も、図13に記載された発電部分を単位構成ユニットとして用いることができる。また、第1の実施形態について説明した永久磁石、回転子、軟磁性体等の材料と同一のものを使用でき、また、同実施形態について説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0040】
(第4の実施の形態)
図14は、本願発明に係る第4の実施の形態を示している。図13に示した実施形態では、回転発電機が、電機子の内側で回転子が回転する、磁石回転子内転型(インナーロータタイプ)に構成したものであるが、本実施形態では、回転子が、電機子の外側で回転子(ロータ)が回転する磁石回転子外回転型(アウターロータタイプ)に構成したものである。
【0041】
以下、図14を参照しながら本実施形態に係る構造を詳細に説明する。本実施形態の発電機は、円環状の回転子とその回転子に配置された円環状の永久磁石とを有し、永久磁石の磁束方向と回転軸とが直交する型の回転発電機である。
第一の部材47は、直径幅が永久磁石46の内円幅より小さく、高さ幅が前記永久磁石の高さ幅より大きい軟磁性体からなる。第二の部材は、第一の部材の高さ幅と前記永久磁石の高さ幅の差よりも小さい直径の円筒状の軟磁性体からなる部材であり、発電コイルを巻回し、電機子17として用いる。第一の部材47は、永久磁石46と空隙を介して配置され、第二の部材17は、前記第一の部材の前記永久磁石とが対抗する領域から偏寄した位置の前記第一の部材の内側に当接される。また、本実施の形態に係る空隙は48であり、本実施の形態における回転軌跡は45である。
【0042】
このように構成した場合も、図14に記載された発電部分を単位発電ユニットとして用いることができる。また、第1の実施形態について説明した永久磁石、回転子、軟磁性体等の材料と同一のものを使用でき、また、同実施形態について説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0043】
(第5の実施の形態)
図15、16は、本願発明に係る第5の実施の形態を示している。図15及び16を参照しながら本願発明に係る発電機に係る構造を詳細に説明する。まず、回転軸49及び支柱50を台(図示せず)に立設させる。次いで、回転子51の中心52を回転軸49に貫通させ固定する。次いで、第一の部材である円板状の軟磁性体53を前記回転子51と空隙を介して支柱50に固定する。次いで、回転子55の中心56を回転軸49に、接続部材54を介して貫通させ、軟磁性体53と空隙を介して固定する。このとき、回転子51と回転子55の磁石のN極とN極、及びS極とS極を向かい合わせて固定する。次いで、軟磁性体53を介して電機子57を固定する。このとき、永久磁石58と軟磁性体53との距離並びに永久磁石59と軟磁性体53との距離がそれぞれ空隙60となる。空隙の大きさは、概ね1mm以下であればよく、小さい程好ましい。なお、回転子には、永久磁石の直径と略等しく貫設された孔にN極とS極が交互となるように永久磁石が嵌め込まれている。本実施の形態に係る永久磁石の数は12個であるが、特には制限されない。
【0044】
このように、第一の部材を一対の回転子を用いて挟む込む構造とすることで、(前述の第一の形態と比較して)発電量を大幅に上昇させることができる。これは、以下のように推測される。第一の形態においては、第一の部材を介して磁場の変化を電機子が受け取る構造であるため、磁場の変化のタイミングが曖昧になり、電機子上下でそれぞれの第一の部材の磁場のタイミングが同期しなかったのが、第一の部材を一枚にすることにより解消したと考えられる。また、第一の部材の数が半分になったため、磁石がリングに吸着しようとする力も半減することとなり、その結果として、回転抵抗が減り、回転数が上昇したとも考えられる。
【0045】
次に、回転子51と回転子55の磁石のN極とN極、及びS極とS極を向かい合わせて固定する。すなわち、一方の回転子の磁極に対して他方の回転子の同一の磁極を向い合せるように設置することで、回転抵抗を大幅に低減させることが可能となる。これは、第一の部材を介して、永久磁石が反発した状態にあるためであると考えられる。
前述のように、永久磁石と第一の部材との間には、空隙が存在するから、発電機には、常に電機子のインピーダンスに応じた一定の回転抵抗を生じることとなる。したがって、本実施例に係る回転抵抗の軽減方法は発電機の性能向上に資することとなる。
さらに、デジタル式トルクドライバー(TONE株式会社製 型番:DBDT3S)にて、停止時からの回転抵抗を測定したところ、回転抵抗を測定することができなかった。本デジタル式トルクドライバーの測定下限値は、30cN・mであるから停止時からの回転抵抗はこの値よりも小さい値であるといえる。
【0046】
また、本実施の形態は、前記第1の実施の形態に対応する前記第2の実施の形態と同様に、電機子の外側で回転子(ロータ)が回転する磁石回転子外回転型(アウターロータタイプ)に構成することも可能である。
【0047】
(第6の実施の形態)
図18は、本願発明に係る第6の実施の形態を示している。本実施形態では、直線状の型に配列された回転子が、直線運動をすることにより、第一の部材の磁束の変化を電機子が受け取り、電機子に起電力が励起され、電機子から交流出力を得ることができるリニア型発電機に構成したものである。
【0048】
以下、図17、18を参照しながら本実施形態に係る構造を詳細に説明する。本実施形態の発電機は、一対の直線状の回転子とその回転子に配置された永久磁石とを有し、前記直線状の回転子にリニア駆動装置66が接続されてなる型の回転発電機である。
第一の部材61の形態は特に制限されないが、少なくとも、前記回転子の高さ方向よりも高い部分を有し、かつ、当該部分に電機子を接続するための充分な面積を有する必要がある。具体的な形状をあげれば、長方形である。図17に第一の部材が長方形である場合の第一の部材を示す。第一の部材61は、前記一対の直線状の回転子と空隙を介する位置に固定され、電機子62は、前記第一の部材61と前記一対の回転子64の永久磁石とが対抗する領域から偏寄した位置の前記第一の部材61の両面に固定される。 なお、図17において、一か所に電機子が固定されているものであるが、永久磁石と対抗する領域から偏寄した位置であれば、どの位置に固定してもよい。また、本実施の形態に係る空隙は65であり、本実施の形態における回転軌跡は符号63である。
なお、前記一対の回転子に配置された永久磁石は、一方の回転子の磁極に対して他方の回転子の同一の磁極を向い合せるように設置するとより好ましい。
【0049】
本実施形態においても、第1の実施形態について説明した永久磁石、回転子、軟磁性体等の材料と同一のものを使用でき、また、同実施形態について説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
【図10】
図10
【図11】
図11
【図12】
図12
【図13】
図13
【図14】
図14
【図15】
図15
【図16】
図16
【図17】
図17
【図18】
図18
ページtop へ