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土木・建設
 
【考案の名称】土嚢用補助具
【実用新案権者】
【識別番号】505411815
【氏名又は名称】土肥 義一
【住所又は居所】千葉県松戸市小金原2丁目10番地12
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100110294
【氏名又は名称】仲山 甲
【考案者】
【氏名】土肥 義一
【住所又は居所】千葉県松戸市小金原2丁目10番地12
【要約】
【課題】
単独作業で土嚢作りを可能にする土嚢用補助具を安価に提供する。
【解決手段】
本考案に係る土嚢用補助具1は、土嚢袋の開口部の大きさに対応する寸法を有する環状体3と、この環状体から下方に延設した複数の保持部材5とからなる。補助具1を先端部から土嚢袋S内に挿入してセットし、袋の開口端を環状体3の内側に折り返すだけで、土嚢袋が開口状態に保持される。保持部材5の長さを充填物の容積の定量と対応させることにより計量機能も備えたものとしてあるので、環状体3の所定位置まで土砂等を充填するだけでよい。本考案の変形例として、環状体と各保持部材とを別部材とする組立式にしたものや、環状体の外周部の長さを袋の開口部のそれよりも僅かに大きくし、円周部分を一部切欠して弾性変形可能とすることにより、上端部の折り返し作業無しに袋の開口部を保持可能としたものなどもある。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
土嚢袋の開口部の大きさに対応する寸法を有する環状体と、
上記環状体の下部から所定長に延設してある複数の保持部材と
を備えていることを特徴とする土嚢用補助具。
【請求項2】
土嚢袋の開口部の大きさに対応する寸法を有する環状体と、
所定の長さを有し、上記環状体に着脱自在に設けてある複数の保持部材と
からなることを特徴とする土嚢用補助具。
【請求項3】
請求項2において、上記環状体と各上記保持部材とには当該環状体と各当該保持部材との相対移動を防止可能かつ各上記保持部材を上記環状体に対して着脱可能にする着脱規制手段が設けてあることを特徴とする土嚢用補助具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、上記環状体は弾性体で構成してあり、円周方向の所定の区間を切欠してあることを特徴とする土嚢用補助具。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、土嚢を作る際に他人の手を借りずに土砂等を充填可能にする土嚢用補助具に関するものである。
【背景技術】
土嚢の用途は種々あるが、災害対策用の土嚢作りや家庭等において小規模に土嚢を作る場合を問わず、土嚢袋に土砂等を充填するためには、袋の上端部に位置する出し入れ口を拡げかつ持ち上げた状態に保持する必要がある。通常は土嚢作りには、別人によって袋を開口状態に保持する必要があるため充填作業が面倒なものとなっている。そこで単独で充填作業ができるようにするためにいくつかの提案がなされている。その1として、底板の周囲に複数の支柱を立て、各支柱の上端部に牽引部材を取り付け、さらにこれらの牽引部材の先にクランプ部材を設けた大型土嚢詰め込み補助具が提案されている。この補助具は枠内に土嚢袋の開口部を上にして入れ、土嚢袋の上端部をクランプ部材によって保持することによって開口状態を維持するようにしたものである(特許文献1)。
その2として、長方形状に部材を結合してなる1対の脚部の長さ方向の中央部に位置する交点を、支持ピンで回動自在に支持する用にしたものがある。これにより、上端部及び下端部を開閉可能とした携帯用椅子状に組立ててなる土嚢用器具が提案されている。この器具は閉じた状態で土嚢袋内に入れ、上下の端部を開いて土嚢袋の開口部を開いた状態に保持可能とするものである(特許文献2)。その3として、円すい状又は円筒状の筒で上端に開口部を広くした土砂入り口を設け、周囲に取っ手部を設けて使い易くした土嚢器がある。土嚢袋が土嚢器を包むようにし、あるいは土嚢器内に土嚢袋を入れるようにした状態で充填作業をすることを可能としてある(特許文献3)。その4として、テーパー状に形成された筒状枠体の上端部に把手部を設け、上端の開口部から視認可能な位置に設けられた目盛りを備えた土嚢充填補助具がある(特許文献4)。
【特許文献1】
特開平11−348945号公報
【特許文献2】
特開2002−88733号公報
【特許文献3】
特開2003−253646号公報
【特許文献4】
特開2004−35003号公報
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
上述した従来技術のその1は、大型土嚢製作用の補助具であるので、家庭など小規模に土嚢作りをすることには不向きである上に、構造が複雑になっているので、価額も高くなる懸念がある。その2は、大きさに問題はないが、土嚢袋への出し入れの際に開閉操作や開脚状態に保持するための操作を必要とするため作業効率上の課題がある。その3は、筒状体からなるものであることから、土砂充填後にこれを引き抜く際の抵抗が大きくなり、場合によっては土砂ごと袋から出してしまうような事態が懸念される。その4は、テーパー状の筒体の大径部を下にして袋内に入れるものであるので引き抜きの際における土砂ごと取り出しの懸念は生じないが、抜き出す際における枠体と袋との抵抗が大きくなるので、補助具の取り出し作業が面倒になっている問題がある。本考案の目的は、土嚢袋への出し入れを容易にした土嚢用補助具を安価に提供可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本考案の土嚢用補助具(以下適宜「補助具」と略称する)は、以下の手段を採用することにより以下の作用効果を奏するようにしたものである。請求項1に記載した考案は、土嚢袋の開口部の大きさに対応する寸法を有する環状体と、所定長さを有し、上記の環状体から下方に向けて延設してある複数の保持部材とを備えているところに特徴がある。この補助具を土嚢袋(以下適宜「袋」と略称する)内に入れ、袋を開口状態に維持して土砂等を充填可能であるとともに、充填作業終了後にこの補助具を引き抜く作業も保持部材が小さいため、抵抗が少なくなり、容易に引き抜き可能となっている。
請求項2に記載した考案は、土嚢袋の開口部の大きさに対応する寸法を有する環状体と、所定長を有し、上記の環状体に着脱自在に設けてある複数の保持部材とからなる。この補助具は、環状体に設けてある取付け孔に概ね環状体と直交する方向に延伸するように、各保持部材を着脱自在に取り付けるようにしたものである。各保持部材は環状体に対して着脱可能であるので保管や運搬に便利である。
請求項3に記載した考案は、請求項2に記載した補助具の組立及び分解を容易にするための手段として、上記の環状体と上記の各保持部材とには、環状体と各保持部材との相対移動を防止可能かつ各保持部材を環状体に対して着脱可能にする着脱規制手段が設けてあるところに特徴がある。この着脱規制手段の採用により、環状体に各保持部材を固定した使用可能状態が得られ、不使用時には取り外し容易にすることにより分解して収納・保管に便利にしてある。
請求項4に記載した考案は、請求項1ないし請求項3の変形例を示したものである。すなわち、上記の環状体を弾性体で構成してあるとともに、円周方向の所定の区間だけ切欠してある。これは補助具を袋内にセットする際に環状体を小径に変形させた状態で袋内に挿入した後に除荷すると、環状体が本来の状態に弾性復帰して袋の開口部を拡げた状態に維持可能とするものである。充填作業の際に袋の開口部を口紐で縛る必要がないことは元より、袋の上端部を環状体の内側に折り返す作業をしなくても袋の開口状態を維持できる長所がある。
【考案の効果】
本考案によれば、土嚢作りをする際に、土嚢袋の開口部を他人の補助なしに開口状態に保持可能となるので、土砂等の充填作業が可能となる。また、素材の材料使用量が少ないので軽量となるほか、保持部材の形状が小さいので、充填後の袋内からの抜き出しが容易となることから土嚢製作のための作業が楽になる。
【考案を実施するための最良の形態】
本考案に係る土嚢用補助具は、環状体と複数の保持部材とを組み合わせたものからなるが、いくつかの基本形態とそれらの変形例とがあるので、以下これらを実施例として順次説明する。
【実施例1】
図1に示すように、実施例1としての土嚢用補助具1は、土嚢袋Sの開口部に対応する寸法の外周部を有し、断面形状が縦長長方形の環状体3に、4枚の保持部材5,…を一体に設けたものからなる。環状体3及び各保持部材5は硬質の合成樹脂成形品を採用してあり、環状体3の厚み及び幅は、袋Sを開口状態に維持するとともに、4枚の保持部材5を保持するのに必要な強度を有する寸法としてある。保持部材5は環状体3の厚みより薄い適当な厚みと横幅とを有するもので、長さは袋内に土砂を適量充填するための目安となるように調整してある。
この補助具の使用法は、袋S内に補助具1を各保持部材5の先端部を先にして袋内に挿入し、袋の開口部を環状体3の上方まで引き上げる。次に袋の上端部を環状体3の上方まで引き延ばし、この上端部を環状体3の内側に折り返して袋がずり落ちないようにする。このような状態にした補助具1を内部にセットして開口状態に維持された袋Sを、土砂等の充填作業位置に置き、スコップ等により開口部から土砂等を充填する。充填量は土砂等が環状体3の下部よりも1cm以上下方とすることにより、できあがった土嚢の容積を保持部材5の長さにより目安となるように調整しておくとよい。所定量の土砂が充填されたら、袋の上端部を環状体3から取り除き、環状体を引き抜けば、袋S内には充填された土砂等だけが残った状態となる。最後に、袋Sの開口部を閉じ、口紐を結べば土嚢ができあがる。補助具1の抜き出しに際しては、保持部材を比較的薄くし、かつ幅を狭くしておけば、小さな力で抜き出し可能となる。保持部材5の幅は下端部側を小さくするように、両側に傾斜を設けると更に抜き出し作業が容易となる。
【実施例2】
実施例2の補助具11は、環状体と保持部材とを別体とし、出荷や保管に便利にしたものである。図2、図3に示すように、補助具11の構成は所定の厚み(t)と、幅(b)の長方形断面の環状体13に4枚の保持部材15,…を着脱自在に取り付けたものからなる。環状体13の厚み(t)の中間位置に厚みの略半分の幅と適当な長さの穴部13a,…を垂直に設け、この穴部に上端部がつば状になっているフランジ部15aを備えた保持部材15が挿通してある。各保持部材15はフランジ部15aの下面が環状体13の上面に接するまで差し込まれることにより、実施例1の補助具1とほぼ同様の形態となる。
各保持部材15は、着脱規制手段17を備えていることにより、環状体13が保持部材15からずり落ちないようにしてある。着脱規制手段17の具体例として以下の2例を挙げる。その第1例は、図4に示すように、保持部材15のフランジ部15aの下面から環状体13の幅(b)よりも僅かに大きい範囲に、所定深さの切欠部15bを設けたものと穴部13aの一方の周縁部とからなる。この着脱規制手段17は、保持部材15が穴部13aに差し込まれた状態では、図4(A1)に示すように、保持部材15の右側と穴部13aの内側との間に隙間が生じている。この状態においは、環状体13と保持部材15とは、相対移動可能であるため環状体は、セットしたときに定位置からずり落ちる可能性をもっている。そこで、保持部材15をこの状態から右にずらすと、図4(A2)に示すように、保持部材15の切欠部15bが穴部13aの右端の周縁部と接することにより環状体13は、切欠部15bの下部に係止されてずり落ちなくなる。もちろんフランジ部15aは、保持部材15をずらしても穴部13aに転落しない寸法にしておく必要がある。この着脱規制手段17は分解時には、環状体13と保持部材15とを逆方向にずらすだけで相対移動可能になる。なお、使用中の振動等により係止関係が解除してしまうことを防ぐために、穴部13aの寸法と保持部材の寸法とは、ガタを生じないように加工精度を高くしておくことが望ましい。組み立てられた補助具11(図2,図3参照)の使用方法は実施例1の補助具1と同様である。
【実施例3】
実施例3の補助具21は、実施例2の変形として、保持部材を3枚とするとともに、着脱規制手段の具体例のその第2例として別の構成を採用したものである。保持部材を3枚にすると、保持部材の袋内への進入が容易であるとともに、地面に置いたときの安定性がよくなる利点がある。環状体23には、等間隔に3個の着脱規制手段27用の穴部23aが設けてあるとともに、環状体23の下面には、各穴部の外側辺に接する位置を内側辺とするエプロン状の係合片23bが垂設してある。係合片23bの幅は保持部材25の脚部25bの幅よりも広く、長さは保持部材25の長さに対してその3分の1程度としてある。係合片23bの下端部近傍には、着脱規制手段27を構成する突起部23cが設けてある。突起部23cの上部には、丸み又は面取りを施して環状体23へ保持部材25を差し込む際の作業の円滑化を図ってある。保持部材25は実施例2の保持部材15と同様に、フランジ部25aの下面から脚部25bが延伸したものとしてあるが、この実施例では、脚部25bは真っ直ぐに形成したものからなる。保持部材25を環状体23の穴部23aに、フランジ部25aが環状体23の上面に接するまで差し込んだ状態で、上記の突起部23cに対応する位置に25cが設けてある。なお、突起部を保持部材25の脚部25bに設け、係合用孔部を係合片23bに設けるようにしてもよい。
この着脱規制手段27は、使用時に保持部材25の脚部25bを環状体23の穴部23aに差し込み、フランジ部25aが環状体23の上面に接するまで押し込む。この時、突起部23cが保持部材25の外面を押圧した状態となるが、突起部に面取りが施してあることにより、保持部材25を押し込む際の抵抗が少なくなる。この補助具21を分解する際には、係合片23bを外側にずらすか、又は保持部材25の下方の部分を内側に変形させるなどして、係合用孔部23cと突起部23cとの係合を解除すれば容易に抜き出し可能となる。
【実施例4】
実施例4の補助具31は、実施例1〜3の変形例として、環状体を弾性変形可能としたものである。図7示すように、実施例4の補助具31は、実施例1の補助具1と同様に環状体33と4枚の保持部材35,…とからなるが、環状体の一部を円周方向に所定長さだけ切欠かつ除去してなる切欠部33aを設けたものにより構成したものである。この環状体33は、図8に示すように、矢印方向に力を加えると、弾性変形により外周部が小さくなることを利用して、袋内にセットすることを容易としたものである。従って自然状態における環状体33の寸法を、袋の開口部の寸法よりも僅かに大きくしておくと、袋の内周部を環状体33の外周部が弾性保持した状態となるため、袋の先端部の折り返しをせず、あるいは口紐で結ばなくても袋が補助具31からずり落ちるようなことがなくなる。
環状体33の寸法は、弾性変形容易とするために厚み(t)及び幅(b)を調整する必要がある。また、素材は弾性変形に好適な性質を有するものであることが望ましい。実施例4では、一体型としてあるが、この環状体は実施例2又は実施例3のような組立式のものにしてもよい。この場合、環状体の厚み(t)を薄くすることについて強度等設計上の制約があれば、穴部を設ける範囲のみ肉厚を大きくすればよい。
以上の説明においては、保持部材の数を3枚又は4枚としてあるが、いずれの実施例においてもこの数に限定はなく、大きさその他の条件を考慮して適宜決めればよい。また、素材として合成樹脂成形品を採用してあるが、素材はこれに限らず、アルミニウムなどの金属や木材加工品であってもよい。また、環状体の形状は円形に限定されるものではなく、楕円や多角形であってもよく、断面形状も長方形断面に限らず楕円その他の形状としてもよい。さらにまた、この補助具の主な用途は土嚢製作の補助具としてあるが、木工所における削り屑回収袋としてもよい。この補助具によって作業場に袋を開口状態にしておき、木屑などが生じるたびにこの中へ投入し、所定量に達したら口紐で結ぶようにする。また、この補助具は、側溝等の掃除の際に汚泥収納袋として用いると便利である。すなわち、この補助具を用いて開口状態にしたものを準備しておき、さらった汚泥等を適宜この中に投入すると誰の手も借りずに作業ができるので便利である。
【産業上の利用可能性】
本考案は、土嚢作りを容易化するものであるが、工業的生産を経て供給されるものであるので、十分に産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の斜視図である。
【図2】実施例2の平面図である。
【図3】実施例2の一部切欠断面にした正面図である。
【図4】図3A部の拡大図であり、(A1)は相対移動可能な状態を示しており、(A2)は係止状態を示している。
【図5】実施例3の斜視図である。
【図6】実施例3の着脱規制手段を拡大して示したものであり、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図7】実施例4の斜視図である。
【図8】実施例4における環状体の変形状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1、11,21,31 土嚢用補助具
3,13,23,33 環状体
5,15,25,35 保持部材
17,27 着脱規制手段
S 土嚢袋
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
発明者からのメッセージ

 器具を挿入するという発想から、どんなガラでも詰め込んでコンペイトウの様になって膨らんだ土嚢袋も、従来は土嚢袋を引き出すには、あっちこっちひっかき重さも加わり大変苦労しますが、本器では器具を引き抜くだけで子供の力でも土嚢詰めが簡単にできあがります。
 余った園芸用土の保管も作業中の土も屋外に出したままで雨に濡れても土嚢袋が器のため雨水が溜まりません。また、大量の袋詰めなど迅速に威力を発揮します。
 使い方も色々で簡単、迅速、便利です。器具も簡単な構造なので安価に販売する事ができます。
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