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衣服・履物
 
【考案の名称】ボタン掛け補助具
【実用新案権者】
【識別番号】523359870
【氏名又は名称】菊田 隆
【住所又は居所】岩手県遠野市東穀町8-3
【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
【考案者】
【氏名】菊田 隆
【住所又は居所】岩手県遠野市東穀町8-3
【要約】 (修正有)
【課題】ボタンに引っ掛け易く、ボタンから外し易く、且つ、容易に操作することができるボタン掛け補助具を提供する。
【解決手段】ボタン掛け補助具10は、被服に取り付けられたボタン57のボタン掛けを補助する道具である。ボタン掛け補助具10は、全体としてU字状の細長く形成された弾性を有する線材からなり、ボタン57を留める糸を引っ掛ける弾性線状部材30と、弾性線状部材30の基端側に接続され手で持つことが可能なハンドル部20とを備えている。ハンドル部20は、樹脂製で直方体に形成された本体部21と、この本体部21に設けられ弾性線状部材30の基端側の一方を固定する固定部22と、本体部21に設けられ弾性線状部材30の基端側の他方をスライド可能に支持するスライド部23とを備えている。
【選択図】図1
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
被服に取り付けられたボタンのボタン掛けを補助するボタン掛け補助具であって、
細長く形成されたU字状の弾性を有する線材からなり前記ボタンを留める糸を引っ掛ける弾性線状部材と、前記弾性線状部材の基端側に接続され手で持つことが可能なハンドル部とを備え、
前記ハンドル部は、前記弾性線状部材の基端側の一方を固定する固定部と、前記弾性線状部材の基端側の他方をスライド可能に支持するスライド部とを備えることを特徴とするボタン掛け補助具。
【請求項2】
請求項1記載のボタン掛け補助具であって、
前記弾性線状部材は、基端側を構成する柄部と、前記柄部に繋がり部材間の幅が前記ボタンの直径よりも大きい膨らみ部と、前記膨らみ部に繋がり部材間の幅がすぼまり前記ボタン及び前記糸を引っ掛けるすぼみ部とを備え、
前記柄部の幅よりも前記膨らみ部の幅が大きく形成され、前記膨らみ部の幅よりも前記すぼみ部の幅が小さく形成されていることを特徴とするボタン掛け補助具。
【請求項3】
請求項2記載のボタン掛け補助具であって、
前記すぼみ部は、前記膨らみ部に繋がる部分に幅方向内側に凹んだ内凹部と、前記内凹部に繋がる先端部分に円滑に曲がるU字先端部とを備えていることを特徴とするボタン掛け補助具。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載のボタン掛け補助具であって、
前記ハンドル部は、直方体に形成された本体部を備え、
前記固定部は、前記本体部に深さが短く且つ内径が小さく形成された小径短穴と、前記小径短穴に固定された前記弾性線状部材の基端側の一方とからなり、
前記スライド部は、前記本体部に深さが前記小径短穴よりも深く且つ内径が前記小径短穴よりも大きく形成された大径長穴と、前記大径長穴にスライド可能に支持された前記弾性線状部材の基端側の他方とからなることを特徴とするボタン掛け補助具。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載のボタン掛け補助具であって、
前記固定部は、前記弾性線状部材の基端側の一方に折り返された折り返り引っ掛け部からなり、
前記スライド部は、前記弾性線状部材の基端側の他方に直線状に形成され前記折り返り引っ掛け部にスライド可能に支持されたスライド直線部からなることを特徴とするボタン掛け補助具。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、例えばシャツの首元などのようなボタンを掛け難い部分でのボタン掛けを補助するボタン掛け補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シャツの首元などの位置にあるボタンは、手元が見え難いため手によるボタン掛けが難しく、特に手の動作が不自由な場合はなおさら困難であった。この対策として、シャツの首元などのボタン掛けを少しでも簡単にするために、ボタン掛け補助具が使用されることがある。このような、ボタン掛け補助具として特許文献1に示す道具が知られている。
【0003】
特許文献1のボタン掛け補助具は、ボタンホールに抜き差しする細杆の先端に、柔軟性又は可撓性のあるループ状の係止部が設けられており、さらに、細杆が把持体に取り付けられている構成である。
【0004】
使用時は、把持体を持ち、細杆の先端をボタンホールに押し当て挿通させると、細杆の先端に固着した係止部が、細杆の先端に引っ張られるようにしてボタンホールを通過する。このボタンホールを通過した係止部を、細杆を操作して、洋服に縫いつけられたボタンに引っかけた後、把持体を引っ張ると、まず細杆がボタンホールから引き抜かれ、ボタンが係止部により引っ張られボタンホールに引き寄せられる。さらに、細杆を引っ張ると、ボタンホールに引き寄せられたボタンの一部がボタンホールに挿通され、ボタンホールを完全に通り抜ける。さらに、ボタンから係止部を外すことでボタン掛けが完了する。
【0005】
しかし、特許文献1のボタン掛け補助具は、細杆の先端に、柔軟性又は可撓性のあるループ状の係止部を有するため、ボタンホールに挿入して通過した係止部は潰れてしまい係止部が円形の輪になっておらず、ボタンの外径よりも係止部の内径(内側の隙間)が小さくなる。このため、係止部を広げてボタンに掛ける必要があり、操作が行い難い。
【0006】
また、ボタンホールから引き抜いて通過させたボタンから係止部を外す際も、係止部は洋服に縫いつけられたボタンに引っかけた後に引っ張られることで細く潰れているため、係止部を再度広げてボタンから外す必要があり手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2001−314305号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0008】
本考案は、以上の点に鑑み、ボタンに引っ掛け易くできるとともにボタンから外し易くでき、且つ、容易に操作することができるボタン掛け補助具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]被服に取り付けられたボタンのボタン掛けを補助するボタン掛け補助具であって、
細長く形成されたU字状の弾性を有する線材からなり前記ボタンを留める糸を引っ掛ける弾性線状部材と、前記弾性線状部材の基端側に接続され手で持つことが可能なハンドル部とを備え、
前記ハンドル部は、前記弾性線状部材の基端側の一方を固定する固定部と、前記弾性線状部材の基端側の他方をスライド可能に支持するスライド部とを備えることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、細長く形成されたU字状の弾性を有する線材からなりボタンを留める糸を引っ掛ける弾性線状部材を備えているので、弾性により弾性線状部材はボタンホールに挿入して通過させても、従来技術のように潰れた状態となることがなく、本考案では弾性線状部材の部材(線材)間の幅がボタンの外径よりも膨らんだ状態となる。このため、弾性線状部材をボタンに引っ掛け易くすることができる。また、ボタンホールから引き抜いて通過させたボタンから弾性線状部材を外す際も、弾性により弾性線状部材の線材間の幅がボタンの外径よりも膨らんだ状態となり、容易にボタンから弾性線状部材を外すことができる。
【0011】
さらに、弾性線状部材の基端側に接続され手で持つことが可能なハンドル部を備え、このハンドル部には弾性線状部材の基端側の一方を固定する固定部が設けられているので、手でハンドル部を持ち操作することでハンドル部に固定された弾性線状部材を細かく思いのままに動かすことができる。さらに、ハンドル部は、弾性線状部材の基端側の他方をスライド可能に支持するスライド部が設けられているので、弾性線状部材の部材(線材)間にボタンを通した後に部材(線材)間の幅を狭める際、スライド部により弾性線状部材の基端側の他方がスライドし、弾性の抵抗を弱めて容易に部材(線材)間の幅を狭めボタンを引っ掛けることができる。このように、ボタン掛け補助具は、ボタンに引っ掛け易くできるとともにボタンから外し易くもでき、且つ、容易に操作することができる。
【0012】
[2]好ましくは、前記弾性線状部材は、基端側を構成する柄部と、前記柄部に繋がり部材間の幅が前記ボタンの直径よりも大きい膨らみ部と、前記膨らみ部に繋がり部材間の幅がすぼまり前記ボタン及び前記糸を引っ掛けるすぼみ部とを備え、
前記柄部の幅よりも前記膨らみ部の幅が大きく形成され、前記膨らみ部の幅よりも前記すぼみ部の幅が小さく形成されている。
【0013】
かかる構成によれば、弾性線状部材は、柄部と、部材(線材)間の幅がボタンの直径よりも大きい膨らみ部と、部材(線材)間の幅がすぼまりボタン及び糸を引っ掛けるすぼみ部とを備え、柄部の幅よりも膨らみ部の幅が大きく形成され、膨らみ部の幅よりもすぼみ部の幅が小さく形成されているので、弾性線状部材の部材(線材)間にボタンを通した後に弾性線状部材をボタンホールから引き抜く方法に移動させるだけで、ボタン及び糸をすぼみ部に容易に引っ掛けることができる。
【0014】
[3]好ましくは、前記すぼみ部は、前記膨らみ部に繋がる部分に幅方向内側に凹んだ内凹部と、前記内凹部に繋がる先端部分に円滑に曲がるU字先端部とを備えている。
【0015】
かかる構成によれば、すぼみ部は、膨らみ部に繋がる部分に幅方向内側に凹んだ内凹部と、内凹部に繋がる先端部分に円滑に曲がるU字先端部とを備えているので、内凹部によりすぼみ部の部材(線材)間の幅をより狭めて、糸をU字先端部に引っ掛かり易くすることができる。これにより、ボタン及び糸をすぼみ部に容易に且つ確実に引っ掛けることができる。
【0016】
[4]好ましくは、前記ハンドル部は、直方体に形成された本体部を備え、
前記固定部は、前記本体部に深さが短く且つ内径が小さく形成された小径短穴と、前記小径短穴に固定された前記弾性線状部材の基端側の一方とからなり、
前記スライド部は、前記本体部に深さが前記小径短穴よりも深く且つ内径が前記小径短穴よりも大きく形成された大径長穴と、前記大径長穴にスライド可能に支持された前記弾性線状部材の基端側の他方とからなる。
【0017】
かかる構成によれば、固定部は、本体部に深さが短く且つ内径が小さく形成された小径短穴と、小径短穴に固定された弾性線状部材の基端側の一方とからなる。スライド部は、本体部に深さが小径短穴よりも深く且つ内径が小径短穴よりも大きく形成された大径長穴と、大径長穴にスライド可能に支持された弾性線状部材の基端側の他方とからなるので、簡単な構成でスライド部を形成し、本体部を設けることにより手で持ち易くして操作性を向上させることができる。
【0018】
[5]好ましくは、前記固定部は、前記弾性線状部材の基端側の一方に折り返された折り返り引っ掛け部からなり、
前記スライド部は、前記弾性線状部材の基端側の他方に直線状に形成され前記折り返り引っ掛け部にスライド可能に支持されたスライド直線部からなる。
【0019】
かかる構成によれば、固定部は、弾性線状部材の基端側の一方に折り返された折り返り引っ掛け部からなり、スライド部は、弾性線状部材の基端側の他方に直線状に形成され折り返り引っ掛け部にスライド可能に支持されたスライド直線部からなるので、例えば、線状のステンレス材だけでボタン掛け補助具を構成し、補助具全体を簡単な構成とすることができる。
【考案の効果】
【0020】
本考案に係るボタン掛け補助具は、ボタンに引っ掛け易いとともにボタンから外し易く、且つ、容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本考案の実施例に係るボタン掛け補助具とボタンの正面図である。
【図2】図1に示したボタン掛け補助具のハンドル部の断面図である。
【図3】すぼみ部の4つの異なる態様を説明する図である。
【図4】図2に示したボタン掛け補助具と異なる態様のハンドル部を説明する図である。
【図5】本考案の実施例に係るボタン掛け補助具をボタンホールに挿入し、ボタンが膨らみ部の間にくるように移動させるまでの作用図である。
【図6】本考案の実施例に係るすぼみ部にボタン及び糸を引っ掛けるまでの作用図である。
【図7】本考案の実施例に係るすぼみ部にボタン及び糸を引っ掛けた状態から、ボタン掛け補助具をボタンホールから引き抜いてボタンをボタンホールに引っ掛けるまでの作用図である。
【考案を実施するための形態】
【0022】
本考案を実施するための形態を図面に基づいて以下に説明する。尚、図面はボタン掛け補助具の一例を概念的(模式的)に示すものとする。
【実施例】
【0023】
図1に示されるように、本考案の実施例に係るボタン掛け補助具10は、被服50(図5参照)に取り付けられたボタン57のボタン掛けを補助する道具である。ボタン掛け補助具10は、全体としてU字状の細長く形成された弾性を有する線材からなりボタン57を留める糸を引っ掛ける弾性線状部材30と、弾性線状部材30の基端側に接続され手で持つことが可能なハンドル部20とを備えている。
【0024】
図1、図2に示されるように、ハンドル部20は、樹脂製で直方体に形成された本体部21と、この本体部21に設けられ弾性線状部材30の基端側の一方を固定する固定部22と、本体部21に設けられ弾性線状部材30の基端側の他方を矢印(1)のようにスライド可能に支持するスライド部23とを備えている。
【0025】
固定部22は、本体部21に深さが短く且つ内径が小さく形成された小径短穴22aと、小径短穴22aに固定された弾性線状部材30の基端側の一方とからなる。スライド部23は、本体部21に深さが小径短穴22aよりも深く且つ内径が小径短穴22aよりも大きく形成された大径長穴23aと、大径長穴23aにスライド可能に支持された弾性線状部材30の基端側の他方とからなる。
【0026】
図1〜図3に示されるように、弾性線状部材30は、基端側を構成する部材(線材)間の幅がL2の柄部31と、柄部31に繋がり部材(線材)間の幅L1がボタン57の直径D1よりも大きい膨らみ部32と、膨らみ部32に繋がり部材(線材)間の幅L3がすぼまりボタン57及び糸56(図6、図7参照)を引っ掛けるすぼみ部33とを備え、
【0027】
柄部31の幅L2よりも膨らみ部32の幅L1が大きく形成され、膨らみ部32の幅L1よりもすぼみ部33の幅L3が小さく形成されている。
【0028】
次にすぼみ部の複数の態様について説明する。
図3(a)に示されるように、すぼみ部33は、膨らみ部32に繋がる両方の部材(線材)部分に形成され幅方向内側に凹んだ内凹部33aと、内凹部33aに繋がる先端部分に円滑に曲がるU字先端部33bとを備えている。内凹部33aは膨らみ部32に繋がる両側に形成されている。
【0029】
図3(b)に示されるように、すぼみ部33は、膨らみ部32の一方の部材(線材)に繋がる部分に形成され幅方向内側に凹んだ内凹部33aと、膨らみ部32の他方の部材(線材)に繋がる部分に湾曲して形成された湾曲部33cと、内凹部33a及び湾曲部33cに繋がる先端部分に円滑に曲がるU字先端部33bとを備えている。
【0030】
図3(c)に示されるように、すぼみ部33は、膨らみ部32に繋がる両方の部材(線材)に繋がる部分に湾曲して形成された湾曲部33cと、両方の湾曲部33cに繋がる先端部分に円滑に曲がるU字先端部33bとを備えている。
【0031】
図3(d)に示されるように、すぼみ部33は、膨らみ部32に繋がる両方の部材(線材)に繋がる部分に湾曲して形成された湾曲部33cと、両方の湾曲部33cに繋がる先端部分に折れ曲がり形成された折れ曲がり先端部33dとを備えている。
【0032】
次に本考案の別態様に係るボタン掛け補助具10について説明する。
図4に示されるように、本考案の実施例の別態様に係るボタン掛け補助具10は、被服50(図5参照)に取り付けられたボタン57のボタン掛けを補助する道具である。ボタン掛け補助具10は、全体としてU字状の細長く形成された弾性を有する線材からなりボタン57を留める糸を引っ掛ける弾性線状部材30と、弾性線状部材30の基端側に接続され手で持つことが可能なハンドル部40とを備えている。
【0033】
ハンドル部40は、弾性線状部材30の基端側の一方を固定する固定部42と、弾性線状部材30の基端側の他方をスライド可能に支持するスライド部43とを備えている。
【0034】
実施例の別態様に係るボタン掛け補助具10では、固定部42は、弾性線状部材30の基端側の一方に折り返された折り返り引っ掛け部42aからなる。スライド部43は、弾性線状部材30の基端側の他方に直線状に形成され折り返り引っ掛け部42aに矢印(2)のようにスライド可能に支持されたスライド直線部43aからなる。このように、折り返り引っ掛け部42aとスライド直線部43aとからなるシンプルな構造とすることもできる。
【0035】
以上に述べたボタン掛け補助具10の作用について説明する。
図5(a)に示されるように、人60が着ている被服(シャツ)50は、上前身頃51の前立(左首元部)52にボタンホール53が形成され、下前身頃54の下前立(右首元部)55に糸56(図6、図7参照)を介してボタン57が取り付けられている。この例では、被服50に襟58が設けられている。
【0036】
被服50を着た本人でボタン57を掛ける場合、まず、一方(左)の手62にボタン掛け補助具10を持ち、すぼみ部33をボタンホール53に通す。この時、ボタン掛け補助具10の膨らみ部32の幅を狭める必要があるが、スライド部23により抵抗なく弾性を有する弾性線状部材30を容易に変形させて幅を狭めることができる。
【0037】
図5(b)に示されるように、ボタン掛け補助具10の膨らみ部32をボタン57の位置に合わせる。弾性線状部材30の弾性により膨らみ部32の幅はボタン57の直径よりも大きくなっているため、容易に弾性線状部材30の部材(線材)間にボタン57を入れることができる。そして、ボタン掛け補助具10をボタンホール53に引き戻す。
【0038】
図6(a)に示されるように、弾性線状部材30を矢印(3)のように移動させ、ボタン57の糸56をすぼみ部33に案内する。図6(b)に示されるように、すぼみ部33にボタン57の糸56が係止される。
【0039】
図7(a)に示されるように、すぼみ部33は、糸56の糸足56aを引っ掛けた状態になり、被服50とボタン57の間に位置する。
【0040】
図7(b)に示されるように、他方(右)の手62で上前身頃51を押さえつつ、一方(左)の手62でボタン掛け補助具10を移動させてボタンホール57から引き抜く。すると、ボタン57もボタンホール53を通過し、ボタン57が掛けられた状態となる。この後、一方の手62の力を緩めると弾性線状部材10の弾性により膨らみ部32の部材(線材)間の幅がボタン57の直径よりも広がり、この状態でボタン掛け補助具10を移動させて膨らみ部32の間からボタン57を通し、ボタン掛け補助具10を外す。
【0041】
以上に述べたボタン掛け補助具10の効果について説明する。
かかる構成によれば、細長く形成されたU字状の弾性を有する線材からなりボタン57を留める糸を引っ掛ける弾性線状部材30を備えているので、弾性により弾性線状部材30はボタンホール53に挿入して通過させても、従来技術のように潰れた状態となることがなく、本考案では弾性線状部材30の部材(線材)間の幅がボタン57の外径よりも膨らんだ状態となる。このため、弾性線状部材30をボタン57に引っ掛け易くすることができる。また、ボタンホール53から引き抜いて通過させたボタン57から弾性線状部材30を外す際も、弾性により弾性線状部材30の線材間の幅がボタン57の外径よりも膨らんだ状態となり、容易にボタン57から弾性線状部材30を外すことができる。
【0042】
さらに、弾性線状部材30の基端側に接続され手で持つことが可能なハンドル部40を備え、このハンドル部40には弾性線状部材30の基端側の一方を固定する固定部42が設けられているので、手62でハンドル部40を持ち操作することでハンドル部40に固定された弾性線状部材30を細かく思いのままに動かすことができる。さらに、ハンドル部20は、弾性線状部材30の基端側の他方をスライド可能に支持するスライド部43が設けられているので、弾性線状部材30の部材(線材)間にボタン57を通した後に部材(線材)間の幅を狭める際、スライド部43により弾性線状部材30の基端側の他方がスライドし、弾性の抵抗を弱めて容易に部材(線材)間の幅を狭めボタン57を引っ掛けることができる。このように、ボタン掛け補助具10は、ボタン57に引っ掛け易くできるとともにボタン57から外し易くもでき、且つ、容易に操作することができる。
【0043】
かかる構成によれば、弾性線状部材30は、柄部31と、部材(線材)間の幅がボタン57の直径よりも大きい膨らみ部32と、部材(線材)間の幅がすぼまりボタン57及び糸56を引っ掛けるすぼみ部33とを備え、柄部31の幅よりも膨らみ部32の幅が大きく形成され、膨らみ部32の幅よりもすぼみ部33の幅が小さく形成されているので、弾性線状部材30の部材(線材)間にボタン57を通した後に弾性線状部材30をボタンホール53から引き抜く方法に移動させるだけで、ボタン57及び糸56をすぼみ部33に容易に引っ掛けることができる。
【0044】
かかる構成によれば、すぼみ部33は、膨らみ部32に繋がる部分に幅方向内側に凹んだ内凹部33aと、内凹部33aに繋がる先端部分に円滑に曲がるU字先端部33bとを備えているので、内凹部33aによりすぼみ部33の部材(線材)間の幅をより狭めて、糸をU字先端部33bに引っ掛かり易くすることができる。これにより、ボタン57及び糸56をすぼみ部33に容易に且つ確実に引っ掛けることができる。
【0045】
かかる構成によれば、固定部22は、本体部21に深さが短く且つ内径が小さく形成された小径短穴22aと、小径短穴22aに固定された弾性線状部材30の基端側の一方とからなる。スライド部43は、本体部21に深さが小径短穴22aよりも深く且つ内径が小径短穴22aよりも大きく形成された大径長穴23aと、大径長穴23aにスライド可能に支持された弾性線状部材30の基端側の他方とからなるので、簡単な構成でスライド部を形成し、本体部21を設けることにより手で持ち易くして操作性を向上させることができる。
【0046】
かかる構成によれば、固定部42は、弾性線状部材30の基端側の一方に折り返された折り返り引っ掛け部42aからなり、スライド部43は、弾性線状部材30の基端側の他方に直線状に形成され折り返り引っ掛け部42aにスライド可能に支持されたスライド直線部43aからなるので、例えば、線状のステンレス材だけでボタン掛け補助具10を構成し、補助具全体を簡単な構成とすることができる。
【0047】
尚、実施例では、弾性線状部材10の材質をステンレスとしたが、これに限定されず、鉄や合成樹脂等でもよく、弾性を有する線状の部材であれば他の一般的な材質であってもよい。
【0048】
また、実施例では、被服50を着た人60本人がボタン掛け補助具10を操作したが、これに限定されず、他人がボタン掛け補助具10を操作してボタン掛けする際にボタン掛け補助具10を使用してもよい。
【0049】
即ち、本考案の作用及び効果を奏する限りにおいて、本考案は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本考案のボタン掛け補助具は、例えばシャツの首元などのようなボタンを掛け難い部分でのボタン掛けを補助する道具として好適である。
【符号の説明】
【0051】
10… ボタン掛け補助具
20… ハンドル部
21… 本体部
22… 固定部
22a…小径短穴
23… スライド部
23a…大径長穴
30… 弾性線状部材
31… 柄部
32… 膨らみ部
33… すぼみ部
33a…内凹部
33b…U字先端部
40… ハンドル部
42… 固定部
42a…折り返り引っ掛け部
43… スライド部
43a…スライド直線部
50… 被服
53… ボタンホール
56… 糸
57… ボタン
60… 人
62… 手
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
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