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衣服・履物
 
【発明の名称】シャツのずれ防止具
【特許権者】
【識別番号】511100877
【氏名又は名称】梶本 弘明
【住所又は居所】東京都葛飾区奥戸3−3−21 幸荘205
【代理人】
【識別番号】100065950
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 勝
【発明者】
【氏名】梶本 弘明
【住所又は居所】東京都葛飾区奥戸3−3−21 幸荘205
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズボンの内側でかつベルトの下側においてシャツに取付けられるシャツのずれ防止具であって、
受け板と、
前記受け板の幅方向の一端に連設され、引込まれたシャツの端部またはその近傍を保持する内側折曲げ板と、
前記受け板の幅方向の他端に連設され、シャツの端部またはその近傍を保持した状態で折曲げられた前記内側折曲げ板を押える押え板と、
前記内側折曲げ板を押えている前記押え板を係止する係止片と、
を具備し、
前記受け板の幅方向の一端と前記押え板の先端部とにそれぞれ連設され、シャツを通して身体の胴の部分をそれぞれ押える上方当接板と下方当接板とを備えるシャツのずれ防止具。
【請求項2】
ズボンの内側でかつベルトの下側においてシャツに取付けられるシャツのずれ防止具であって、
受け板と、
前記受け板の幅方向の一端に連設され、引込まれたシャツの端部またはその近傍を保持する内側折曲げ板と、
前記受け板の幅方向の他端に連設され、シャツの端部またはその近傍を保持した状態で折曲げられた前記内側折曲げ板を押える押え板と、
前記内側折曲げ板を押えている前記押え板を係止する係止片と、
を具備し、
前記受け板の幅方向の他端に上方および側方に突出するようにそれぞれ設けられた上方突出片および側方突出片を備え、前記上方突出片および前記側方突出片のそれぞれは先端部がギザギザになっていてベルトの下側でズボンを内側から押すように構成されているシャツのずれ防止具。
【請求項3】
ズボンの内側でかつベルトの下側においてシャツに取付けられるシャツのずれ防止具であって、
受け板と、
前記受け板の幅方向の一端に連設され、引込まれたシャツの端部またはその近傍を保持する内側折曲げ板と、
前記受け板の幅方向の他端に連設され、シャツの端部またはその近傍を保持した状態で折曲げられた前記内側折曲げ板を押える押え板と、
前記内側折曲げ板を押えている前記押え板を係止する一対の係止片と、
を具備し、
前記一対の係止片は、前記受け板の長さ方向の両端に折曲げ可能にそれぞれ連設されるとともに係止孔をそれぞれ備えており、前記一対の係止片をそれぞれ折曲げて前記係止孔を前記押え板の係止突起にそれぞれ係止するように構成されているシャツのずれ防止具。
【請求項4】
前記内側折曲げ板の表面に複数の突条が形成されるとともに、該突条間が条溝になっており、前記内側折曲げ板の前記突条が形成された表面にシャツの端部またはその近傍を引掛け、前記押え板の内表面の突条を前記条溝に係合させて前記内側折曲げ板を押えるように構成されている請求項1、2または3に記載のシャツのずれ防止具。
【請求項5】
合成樹脂によって一体に成形されている請求項1〜請求項4のうちの何れか1つに記載のシャツのズレ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャツのずれ防止具に係り、とくにズボンの内側にシャツの裾周りを入れたときに上方にずれて出てくるのを防止するようにしたシャツのずれ防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイシャツやポロシャツ等を着用する際に、通常それらの裾の部分をズボンの中に押込むようし、上からズボンがずり下がらないようにしているベルトによって押えるようにしている。ところが、歩いたりあるいはまた身体を動かしたりする際に、上記のズボンの中に押込まれたシャツの裾の部分が外に出てくる。これは腹囲のところがベルトの位置になっており、身体を動かす度に息をすると、腹も膨張と収縮とを繰返し、このような腹の運動に応じて自然にシャツの裾の部分が出てくるからである。とくにナイロン等の滑り易い素材を用いたシャツの場合に、このような傾向が著しい。また太った人は、ベルトで腹の部分を効果的に押え難いために、シャツの裾の部分が外に出易い問題がある。
【0003】
特開平7−331517号公報には、外からは使用していることが見えず、ズボンのずり落ちとともに、シャツのずり下がり、また下着のずり落ちも防止することができるようにするために、上面がズボンのベルト部の下部内側に係止する係止部となる本体に、シャツの生地を前記本体に固定するための固定バーを装置するための凹部を形成したズボンずり落ち防止具であって、本体の凹部形成側の上部に板状部を形成することにより、板状部がベルトによって押え付けられ、本体が確実に固定され、また本体の凹部形成側とは反対側の部分を軟質部材で被覆することで、シャツの生地の痛むのを防止するようにしたズボンずり落ち防止具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−331517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなズボンずり落ち防止具は、本体とは別部材から成る固定板を本体に結合してシャツの生地を本体に固定しなければならず、本体と固定バーの2つの部材から構成されている。ここでとくに固定バーは小さく、紛失し易かった。また固定バーを凹部に押込む際に一緒に押込まれるシャツの厚さが厚いと、シャツが損傷する問題があった。
本願発明の課題は、一部の構成部材が紛失することがないようにしたシャツのずれ防止具を提供することである。
【0006】
本願発明の別の課題は、ズボンから出ないようにするシャツが損傷されないようにしたシャツのずれ防止具を提供することである。
【0007】
本願発明のさらに別の課題は、ズボンの内側に押込まれたシャツが確実に押えられてズボンから出ないようにしたシャツのずれ防止具を提供することである。
【0008】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の主要な発明は、受け板と、
前記受け板の幅方向の一端に連設され、引込まれたシャツの端部またはその近傍を保持する内側折曲げ板と、
前記受け板の幅方向の他端に連設され、シャツの端部またはその近傍を保持した状態で折曲げられた前記内側折曲げ板を押える押え板と、
前記内側折曲げ板を押えている前記押え板を係止する係止片と、
を具備し、ズボンの内側であってベルトの下側に取付けられるシャツのずれ防止具に関するものである。
【0010】
ここで、前記内側折曲げ板の表面に複数の突条が形成されるとともに、該突条間が条溝になっており、前記内側折曲げ板の前記突条が形成された表面にシャツの端部またはその近傍を引掛け、前記押え板の内表面の突条を前記条溝に係合させて前記内側折曲げ板を押えるようにしてよい。このような構成によると、上記の突条と条溝とによってシャツが確実にずれ防止具内で押えられる。
【0011】
また、前記受け板の幅方向の一端と前記押え板の先端部とにそれぞれ連設され、シャツを通して身体の胴の部分を押える上方当接板と下方当接板とを備えるようにした構成によると、このずれ防止具は上方当接板と下方当接板とがシャツを介して胴の部分を押すように取付けられる。
【0012】
また、前記受け板の幅方向の他端に上方および側方に突出するように設けられた上方突出片および側方突出片を備え、前記上方突出片および前記側方突出片は先端部がギザギザになってベルトの下側でズボンを内側から押すようにした構成によると、上方突出片と側方突出片の先端側のギザギザの部分がシャツのずれをより確実に防止することになる。
【0013】
また、前記係止片は、前記受け板の長さ方向の両端に折曲げ可能に連設されるとともに係止孔を備えており、前記係止片を折曲げて前記係止孔を前記押え板の係止突起に係止するようにした構成によると、係止孔を係止突起に係止した押え板によってこのシャツのずれ防止具がシャツを保持した状態で確実に維持される。
【0014】
また、合成樹脂によって一体に成形されるようにした構成によると、複数の部材から構成されることなく、一部の部材が紛失することがない。
【発明の効果】
【0015】
本願の主要な発明は、受け板と、
前記受け板の幅方向の一端に連設され、引込まれたシャツの端部またはその近傍を保持する内側折曲げ板と、
前記受け板の幅方向の他端に連設され、シャツの端部またはその近傍を保持した状態で折曲げられた前記内側折曲げ板を押える押え板と、
前記内側折曲げ板を押えている前記押え板を係止する係止片と、
を具備し、ズボンの内側であってベルトの下側に取付けられるシャツのずれ防止具に関するものである。
【0016】
従ってこのようなシャツのずれ防止具によると、シャツはその端部またはその近傍が内側折曲げ板によって押えられるとともに、内側折曲げ板を押えている押え板が係止片によって押えられるようになり、このためにこのずれ防止具を介してシャツをズボンの内側であってベルトの下側に確実に押えておくことが可能になり、シャツのずれ防止が確実に達成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】シャツのずれ防止具の組立て動作を示す上下を逆様にして示した斜視図である。
【図2】同ずれ防止具の上下を逆様にした状態の側断面図である。
【図3】同ずれ防止具の上下を逆様にした状態の正断面図である。
【図4】ズボンの内側であってベルトの直ぐ下の部分に取付けられたずれ防止具の縦断面図である。
【図5】同ずれ防止具の装着位置を示す胴の部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本願発明を図示の一実施の形態によって説明する。図1〜図3は、本実施の形態のシャツのずれ防止具を示している。なお図1〜図3は、何れも構造を理解し易いように、上下を逆様にして示している。このずれ防止具は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の合成樹脂によって一体成形されたものであって、図1に示すように順次折畳むようにして組立てられる。
【0019】
このずれ防止具は、そのほぼ中央部に断面がL字状に屈曲した受け板10を備えている。受け板10は、その下面に突条11を備えている。なお上述の如く、図1〜3は、上下を逆様にしているために、図面上においては突条11が受け板10の上面に配される。他の構成も総て同じである。そして受け板10の幅方向の一端側には、内側折曲げ板12が折曲げ可能に連設されている。内側折曲げ板12はその下側の部分と中間部とにそれぞれ横方向の折曲げ部13、14を備えている。また内側折曲げ板12の内側の表面には、互いに平行な4本の突条15、16、17、18を備えている。そして突条15、16の間の部分および突条17、18の間の部分がそれぞれ条溝19、20になっている。
【0020】
断面がL字状になっている受け板10の垂直部の下端側には、折曲げ部24が折曲げ可能に連設されており、この折曲げ部24の下端側の部分が押え板25になっている。押え板25はその上面側に突条26を備えている。また押え板25の先端側には下方当接板27がほぼ直角に折曲るように連設されている。一方受け板10の他端側であってしかも上記内側折曲げ板12の延びる方向と反対側であって上方側に突出するように、上方当接板28が連設されている。また上記受け板10の幅方向の他端側には側方突出片29と上方突出片30とが互いに直角に交差するように連設されている。これらの側方突出片29および上方突出片30の先端側はそれぞれギザギザ31、32になっている。
【0021】
受け板10の長さ方向の両端には折曲げ部39、40を介して係止片41が連設されている。係止片41はそのほぼ中央部に矩形の係止孔42を備えている。係止孔42は上記押え板25の下面に形成される係止突起43を係止するようになっている。また上記係止片41の根元側の折曲げ部39、40の側部には二等辺三角形の切込み44が形成されている。
【0022】
次に上記のような構成に係るずれ防止具の折畳みの動作について説明する。まず内側折曲げ板12の突条15〜18が形成されている面に、図4に示すようなシャツ52の裾の部分を当てがうとともに、この状態で、上記内側折曲げ板12をその折曲げ部14を中心としてその上側の部分を外側に折曲げる(図1(A)、(B)参照)。なおこのときにシャツ51の内側折曲げ板12の突条15〜18に接触する部分の両側は、係止片41の根元側に形成された切込み44によって側方に引出される。
【0023】
そして内側折曲げ板12が図1(C)のようにその根元側の折曲げ部13を中心として折曲げられ、内側折曲げ板12がシャツ52の裾の部分を押えた状態で受け板10に重ねられたならば、この後に図1(D)に示すように、押え板25を折曲げ部24のところで直角に折曲げるようにする。このときに押え板25の上面の突条26が内側折曲げ板12の突条17、18間の条溝20と係合されるようにし、これらの突条17、18、26によって、シャツ52の裾の部分を押える。
【0024】
そしてその後に、図1(E)に示すように、両側の係止片41を折曲げ部39、40のところで折曲げるようにし、係止片41を押え板25の下面に重合わせる。そしてこの状態で、係止片41の係止孔42に押え板25の係止突起43を受入れるようにする。係止突起43はとくに図3に示すように、根元側の部分がアンダーカットになっており、このアンダーカットの部分を係止片41の係止孔42に係合させる。これによって、内部にシャツ52を保持したずれ防止具が組立てられるようになる。このようなずれ防止具をズボン50の内側に装着した状態が図4および図5に示される。図1(E)に示す状態から図1(F)に示す状態にするために、折曲げ部24の両端と、押え板25と下方当接板27との接続部分の両端とにはそれぞれスリットが形成されている。したがって、係止突起43に係止孔42を係合させる際には、押え板25の両端をたわませて、係止突起43を係止孔42に通すことができる。
【0025】
図4に示すように、ズボン50がずり落ちないように押えているベルト51の直ぐ下側の部分に位置するように、シャツ52の裾を引掛けたずれ防止具55が装着される。このときにこのずれ防止具の下方当接板27と上方当接板28とが上下に一直線状に配列され、シャツ52の上から装着した人の胴の部分を押すようになる。また上記ずれ防止具の側方突出片29と上方突出片30とがそれぞれベルト51の直ぐ下側でズボン51を内側から外側に押すように機能する。このときに側方突出片29の先端側のギザギザ31と上方突出片30の先端側のギザギザ32とがそれぞれズボン50の内表面に接触することになり、これによってずれ防止具55とズボン50との間の相対的なずれ防止を図る。
【0026】
図5はこのようなずれ防止具55の装着位置を示しており、胴の前面側においては、その左右の中間位置にそれぞれずれ防止具55をベルト51の下側であってズボン50の内側の部分に装着する。なお胴の後側のずれ防止具55については、図示を省略しているが、後のほぼ中央部であってズボン50の内側でベルト51の直ぐ下側の部分に前面側の左右のずれ防止具55と同様に取付ければよい。
【0027】
このようなずれ防止具は、シャツ52の下側の裾の部分を内側折曲げ板12と受け板10との間、あるいは内側折曲げ板12と押え板25との間に保持しているために、シャツ52がズボン50から抜出さなくなる。またこのずれ防止具55がベルト51の直ぐ下側にあるために、ベルト51が下方に移動するのを防止する。すなわちシャツ52およびずれ防止具55を介して、ズボン50を上方に吊下げるように機能する。ズボン50の内表面は、このずれ防止具55の側方突出片29および上方突出片30によってズボン50を外側に押しているために、ズボン50が下方にずり落ちるのが防止される。しかもこのようなずれ防止具は、図1に示されるように、単一の連続した合成樹脂成形体、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等のような成形体によって成形され、所要の部位を折曲げることによって順次組立てられるようになっている。従って、部品の一部が紛失する等の事故が発生しない。
【0028】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態におけるずれ防止具の材料、各部位の寸法、下方当接板27、上方当接板28、側方突出片29、上方突出片30の突出量等については、各種の設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本願発明は、ズボンの上の部分からシャツが抜出さないようにするとともに、ズボンがずり落ちないようにしたシャツのずれ防止具として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
10 受け板
11 突条
12 内側折曲げ板
13、14 折曲げ部
15〜18 突条
19、20 条溝
24 折曲げ部
25 押え板
26 突条
27 下方当接板
28 上方当接板
29 側方突出片
30 上方突出片
31、32 ギザギザ
39、40 折曲げ部
41 係止片
42 係止孔
43 係止突起
44 切込み
50 ズボン
51 ベルト
52 シャツ
55 ずれ防止具
【図面の簡単な説明】
【図1】シャツのずれ防止具の組立て動作を示す上下を逆様にして示した斜視図である。
【図2】同ずれ防止具の上下を逆様にした状態の側断面図である。
【図3】同ずれ防止具の上下を逆様にした状態の正断面図である。
【図4】ズボンの内側であってベルトの直ぐ下の部分に取付けられたずれ防止具の縦断面図である。
【図5】同ずれ防止具の装着位置を示す胴の部分の正面図である。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5 
発明者からのメッセージ 
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