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衣服・履物
 
【考案の名称】通気機能付靴
【実用新案権者】
【識別番号】503332411
【氏名又は名称】有限会社ジャスピー
【住所又は居所】埼玉県朝霞市泉水1−6−1
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100111604
【氏名又は名称】佐藤 卓也
【考案者】
【氏名】山田 信男
【住所又は居所】埼玉県朝霞市泉水1−6−1 有限会社ジャスピー内
【要約】(修正有)
【課題】
容易かつ安価に制作することができ、足底部に強制的に空気を噴射することにより通気性を向上させ、足の蒸れ及び足の蒸れによって生じる悪臭の解消、また足指等に発生する水虫等の症状の軽減や予防に貢献する通気機能付靴を提供する。
【解決手段】
靴の底面部において、前記底面部のヒール部内にポンプ機能を有する空洞部3を設け、前記空洞部から爪先方向に伸びたパイプ状の通気路6を設け、前記通気路から靴内に通じる噴射孔7を設け、前記空洞部から前記噴射孔に空気が流れるべく前記空洞部に第1通気口8及び第2通気口9を設けることにより、歩行する際の着地時に発生するヒール部への圧力によってヒール部内に設けられた空洞部が圧縮され、該空洞部から押し出された空気が中底と本底間に設けた通気路を通り、噴射孔から足底部に強制的に空気が噴射される。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
靴の底面部において、
前記底面部のヒール部内にポンプ機能を有する空洞部を設け、
前記空洞部から爪先方向に伸びたパイプ状の通気路を靴の中底と本底間に設け、
前記通気路から靴内部に通じる噴射孔を設け、
前記空洞部から前記噴射孔を通り靴内部に外部からの空気が流れるように前記空洞部の後面及び上面にそれぞれ第1通気口及び第2通気口を設け、
前記第1通気口及び第2通気口においてそれぞれの通気口に通気弁を設けることを特徴とする通気機能付靴。
【請求項2】
前記第1通気口においてのみ通気弁を設けることを特徴とする請求項1に記載の通気機能付靴。
【請求項3】
前記第2通気口においてのみ通気弁を設けることを特徴とする請求項1に記載の通気機能付靴。
【請求項4】
前記第1通気口及び第2通気口において、どちらも通気弁を設けないことを特徴とする請求項1に記載の通気機能付靴。
【請求項5】
前記通気路において、2以上の通気路と、該通気路と同数の噴射孔を設けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の通気機能付靴。
【請求項6】
前記通気路において、通気路内に支持体を設けることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の通気機能付靴。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
本考案は、靴のヒール内部にポンプ機能を有する空洞部を設置することによって通気性を確保し、靴を履くことによって生じる足の蒸れや悪臭の解消、あるいは水虫等の症状の軽減や予防に役立つ靴を提供する。
【背景技術】
従来より、履物は日常生活に欠かせないものである。特に現代では、ほとんどが革靴やスニーカーのように足の甲や足首までを覆う形状のいわゆる靴を使用する。そのような形状の靴の場合、長時間履いていると、足から生じる汗や熱等で靴の中が蒸れたり、またその蒸れが原因で悪臭が生じる、という問題点がある。
近年、こうした足の蒸れや悪臭の問題を解決するために様々な製品が開発されている。その一つに、靴内部の通気性を高める目的で、靴の底面に空間を設けて靴内部の換気を行うことを可能とした靴がある。
【特許文献1】
特開2003−164302号公報
【特許文献2】
特開2004−283454号公報
特許文献1記載の発明は、靴の本底の足裏部位に通気空間や換気孔を設け、歩行することによりポンプ作用が生じて外気を取り入れることにより、靴内部の蒸れた空気を極めて効率のよい換気が可能である構造を有する靴を提供している。
特許文献2記載の発明は、靴の中底下に間隙を設けることによって通気性を持たせ、靴の側面後方に中底下の間隙と外気を連通させるための通気孔を設けることにより使用時の足の蒸れや悪臭の発生を抑えることができる靴を提供している。
しかし、特許文献1記載の発明による履物は、外気を取り入れるための換気孔が靴底面に設けられるため、換気の際に地面上の粉塵等を吸入してしまう虞がある。また、構造が複雑であるため、製造に手間がかかるという問題点も有している。
また、特許文献2に記載の発明による履物は、外気を取り入れるための通気孔が靴の側面に設けられるため、外見上好ましいとは言い難く、側面に通気孔を設けることによって製造にも手間がかかるという問題点を有している。
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
以上の現状に鑑み、本考案は、靴内部の通気性を確保することにより、靴を履くことによって生じる足の蒸れや悪臭、あるいは水虫等の病気の予防や治療に役立ち、ヒール部に通気口が設けられているのみであるので外見上において通常の靴とほとんど変化はなく、かつ構造が容易で安価に制作することができる通気機能付靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る通気機能付靴は、靴の底面部において、前記底面部のヒール部内にポンプ機能を有する空洞部を設け、前記空洞部から爪先方向に伸びたパイプ状の通気路を靴の中底と本底間に設け、前記通気路から靴内部に通じる噴射孔を設け、前記空洞部から前記噴射孔を通り靴内部に外部からの空気が流れるように前記空洞部の後面及び上面にそれぞれ第1通気口及び第2通気口を設け、前記第1通気口及び第2通気口においてそれぞれの通気口に通気弁を設けることを特徴とする。
請求項2に係る通気機能付靴は、前記第1通気口においてのみ通気弁を設けることを特徴とする。
請求項3に係る通気機能付靴は、前記第2通気口においてのみ通気弁を設けることを特徴とする。
請求項4に係る通気機能付靴は、前記第1通気口及び第2通気口において、どちらも通気弁を設けないことを特徴とする。
請求項5に係る通気機能付靴は、前記通気路において、2以上の通気路と、該通気路と同数の噴射孔を設けることを特徴とする。
請求項6に係る通気機能付靴は、前記通気路において、通気路内に支持体を設けることを特徴とする。
【考案の効果】
以上の通り、本考案による通気機能付靴は、歩行する際の着地時に発生するヒール部への圧力により、靴のヒール部内に設けられた空洞部が圧縮されてポンプ作用が生じ、該空洞部から押し出された空気が中底と本底間に設けた通気路を通り、噴射孔から足底部に強制的に空気を噴射することにより通気性を向上させ、足の蒸れ及び足の蒸れによって生じる悪臭の解消、また足指等に発生する水虫等の症状の軽減や予防に貢献するものである。
また、本考案による通気機能付靴は、ヒール部に空洞部と通気口を設け、また中底と本底間に通気路を、中底に噴射孔を設けるという簡潔な構造であるため、容易にかつ安価に製造することができる。
【考案を実施するための最良の形態】
以下、図面を参照して本考案の実施の形態について説明する。
【実施例1】
図1は、本考案による通気機能付靴の第1実施例を示す概略的断面図である。靴の甲部1は通常の靴と同様であるが、ヒール部2内にポンプ機能を有する空洞部3を設け、中底4と本底5の間に空洞部3から爪先に向けて通気路6を設ける。中底4には通気路6からの空気を靴内に噴射させるための噴射孔7を設ける。
空洞部3の後面には、空洞部3に空気を流入させるための第1通気口8と、第1通気口8から外部への空気の漏出を防止するために第1通気弁8aが設けられる。
さらに、空洞部3の上面には、通気路6に通じる第2通気口9と、第2通気口9から流出した空気の空洞部3への逆流を防止するために第2通気弁9aを設ける。第2通気口9から流出した空気は通気路6を通り、噴射孔7へと流れる。
特に図示しないが、本靴を履いた場合の加重等による通気路6の閉塞防止のために、通気路6内の通気を妨げない程度に支持体を設置すると好適である。
図2は、本考案による通気機能付靴を履いて歩行した場合の着地時の様子を示したものである。通常の歩行は、踵から着地し爪先で蹴り出して発地する、という動作を繰り返して行われる。本考案による靴を履いて歩行した場合、着地時に発生するヒール部2への圧力によって内部の空洞部3が圧縮される。圧縮された空洞部3内の空気は、第1通気口8からは第1通気弁8aがあるため外部へは漏出せず、第2通気弁9aが開き、第2通気口9から通気路6へと押し出されて流出し、噴射孔7から靴内に噴射される。
図3は、本考案による通気機能付靴を履いて歩行した場合の発地時の様子を示したものである。発地時にはヒール部2が地面から離れるため圧力がかからず、空洞部3は元の体積を回復する。その際、空洞部3内の気圧が一瞬下がるため、その気圧差によって空気が空洞部3内に流入しようとするポンプ作用が生じ、これにより第1通気弁8aが開き、第1通気口8から空洞部3内に再び空気が充満する。通気路6へと繋がる第2通気口9は第2通気弁9aによって塞がれるため、空気は靴内から空洞部3へと逆流しない。
図4は、本考案による通気機能付靴の甲部1を除いた状態を示す平面図である。靴内の通気性をより高めるために、図示のように、通気路6を複数本設けることも可能である。
第1通気弁8a及び第2通気弁9aの形状は、上述の空気流動を妨げない形状であれば特に図示したものに限定しない。また、両通気弁の設置位置については、第1通気弁8aはヒール部後面が最適であるが、第2通気弁9aは空洞部上面であれば特に限定しない。
ヒール部2の材質は、着地時に空洞部3内部に圧縮が生じ、発地時にその圧縮が解消されることができる程度の弾力を有する材であれば特に限定しない。例えば、通常の靴底にも使用されているゴム材でも、空洞部3内に増減圧を生じさせることが可能であるため、本考案による靴は特別な材を使用しなくても製造することができる。
【実施例2】
図5は、本考案による通気機能付靴の第2実施例を示す概略的断面図である。第2実施例では第1通気弁8aのみ設置している。この場合、第2通気弁がないため、発地時において噴射孔7から第2通気口9への空気の逆流が発生するが、靴内の通気性を損ねるものではないので、第2通気弁の設置省略は可能である。
【実施例3】
図6は、本考案による通気機能付靴の第3実施例を示す概略的断面図である。第3実施例では第2通気弁9aのみ設置している。この場合でも、空洞部3は着地時の圧力で圧縮されるので、通気路6への空気の流れは発生し、空気は噴射孔7から噴射される。
【実施例4】
図7は、本考案による通気機能付靴の第4実施例を示す概略的断面図である。第4実施例では、第1通気弁及び第2通気弁を設置せず、各通気口径を、通気弁を設置した場合に比し縮小することによって、空洞部3への空気の流入及び噴射孔7から靴内へ空気が噴射される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案による通気機能付靴の第1実施例を示す概略的断面図である。
【図2】本考案による通気機能付靴を履いて歩行した場合の着地時の様子を示す概略的断面図である。
【図3】本考案による通気機能付靴を履いて歩行した場合の発地時の様子を示す概略的断面図である。
【図4】本考案による通気機能付靴の甲部を除いた状態を示す概略的平面図である。
【図5】本考案による通気機能付靴の第2実施例を示す概略的断面図である。
【図6】本考案による通気機能付靴の第3実施例を示す概略的断面図である。
【図7】本考案による通気機能付靴の第4実施例を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
1 甲部
2 ヒール部
3 空洞部
4 中底
5 本底
6 通気路
7 噴射孔
8 第1通気口
8a 第1通気口弁
9 第2通気口
9a 第2通気口弁
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
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