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飲食・調理
 
【発明の名称】ごはんパンの製造方法
【特許権者】
【識別番号】522298509
【氏名又は名称】澁井 勝
【住所又は居所】栃木県矢板市本町8番27号
【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
【発明者】
【氏名】澁井 勝
【住所又は居所】栃木県矢板市本町8番27号
【要約】
【課題】米の一般的な調理方法である炊飯によるごはんを原料として使用した高品質のパンの製造方法を提供する。
【解決手段】米を炊飯し、小麦粉1000gに対して、ご飯100−300g、卵90−110g、油脂45−55g、牛乳90−110cc、砂糖90−110g、適量の塩、ドライイーストを加え、低速で1分、中速で10−15分で撹拌し、生地が所定温度に達するまで、高速回転で練り上げ、生地を作成し、イースト菌による一次発酵を行い、生地を分割、成形し、発酵機に入れ、発酵させ、焼成する手段を採用した。
【選択図】図1
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米の容量と同じ量の水の量で米を炊飯し、
小麦粉1000gに対して、ご飯100−300g、卵90−110g、油脂45−55g、牛乳90−110cc、砂糖90−110g、塩、ドライイーストを加え、毎分200以上400未満の低速回転で1分、毎分400以上600未満の中速回転で10−15分撹拌し、
生地が所定温度に達するまで、毎分600以上の高速回転で練り上げ、生地を作成し、
イースト菌による一次発酵を行い、
生地を分割、成形し、
発酵機に入れ、二次発酵させ、
焼成することを特徴とするごはんパンの製造方法。
【請求項2】
前記所定温度は、28℃であることを特徴とする請求項1に記載のごはんパンの製造方法。
【請求項3】
前記撹拌時に、小麦グルテンをご飯の量に応じて加えることを特徴とする請求項1に記載のごはんパンの製造方法。
【請求項4】
前記焼成の温度は、190℃から200℃であることを特徴とする請求項1に記載のごはんパンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごはんパンの製造方法に関し、詳しくは、ごはんと小麦粉との混合比を調整し、高品質のごはんパンを製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パン製品の主原料として利用されるのは、小麦粉であり、ふっくらした食感が得られる小麦粉を主原料とした発酵パンが特に好まれている。小麦粉と水とを練り合わせて生地にすると、小麦粉中に含まるタンパク質のグリアジンとグルテニンが、ガム状で粘弾性を有するグルテンとなる。この生地を発酵させると炭酸ガスが発生し、グルテンが炭酸ガスを包み込むことによって生地が膨らむことが知られている。即ち、発酵パンは、パン生地中にグルテンが含まれることによって、しっとり感、ふんわり感、もっちり感などの良好な食味が得られる。
【0003】
ところで、近年、小麦粉以外の材料として、ご飯を含む様々な材料を用いたパンも多く製造販売されている。しかしながら、めずらしいという域を超えず、小麦粉パンと同等の品質のパンとは言えなかった。
また、日本において、米は、数少ない自給可能な食物であり、米を原料として使用した食品の開発の重要性が指摘されていた。
そこで、米の一般的な調理方法である炊飯によるごはんを原料として使用した高品質のパンの製造方法が求められていた。
【0004】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、ごはんと小麦粉を混ぜてパンを製造する方法(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、小麦粉と同量以上の米を炊飯し、小麦粉、卵、油脂等の材料と混ぜ合せて練り上げ生地を作る、その後整形して焼成し、それを冷却して成るパンについて記載されている。
しかしながら、本先行技術により製造したパンでは、べとべとになり、その後、固くなってしまい、高品質のパンを製造することが出来ず、本発明の課題を解決していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開平04−104754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ご飯と小麦粉を比率を考えず単純に混ぜただけでは高品質のパンが出来ないという問題点に鑑み、ご飯と小麦粉の比率を限定することによって課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るごはんパンの製造方法は、米を炊飯し、小麦粉1000gに対して、ご飯100−300g、卵90−110g、油脂45−55g、牛乳90−110cc、砂糖90−110g、適量の塩、ドライイーストを加え、低速で1分、中速で10−15分撹拌し、生地が所定温度に達するまで、高速回転で練り上げ、生地を作成し、イースト菌による一次発酵を行い、生地を分割、成形し、発酵機に入れ、二次発酵させ、焼成する手段を採る。
【0008】
また、本発明は、前記所定温度が、28℃である手段を採る。
【0009】
さらに、本発明は、撹拌時に、小麦グルテンをご飯の量に応じて加える手段を採る。
【0010】
またさらに、本発明は、前記焼成の温度が、190℃から200℃である手段を採る。
【0011】
さらにまた、本発明は、前記炊飯時の水の量が、米の容量と同じ量である手段を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るごはんパンの製造方法によれば、パンの原料として、ご飯を加え、小麦粉との比率を調整することによって、お米を加えた高品質のパンを作ることが出来、米の消費に寄与することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るごはんパンの製造方法の実施工程を示すフロー図である。
【図2】本発明に係るごはんパンの製造方法の実施概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るごはんパンの製造方法は、ご飯と小麦粉との比率を調整することによって、高品質のごはんパンの製造を可能にすることを最大の特徴とする。以下、本発明に係るごはんパンの製造方法の実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、以下に示されるごはんパンの製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0015】
本実施形態は、ごはんパンの製造方法である。
本実施形態は、図1に示す様に、炊飯工程、撹拌・練上工程、一次発酵工程、分割・成形工程、発酵機による二次発酵工程、焼成工程から成る。
パン製造に米を用いる方法として、米粉を用いる方法がある。しかし、米粉を用いると、α化していないこともあり、もっちり感が出ず、滑らかさが出ず、食感が良くない。
また、米を炊飯し、ごはんと小麦粉を混ぜて、パンを製造する場合、例えば、ごはんと小麦粉の量を1対1にすると、生地がべとべとになり、その後、極めて、固くなってしまい、高品質のパンとはならない。
本発明では、高品質のごはんパンを完成させるため、高度な調整、工程による製造を行っている。
【0016】
(炊飯工程)
炊飯工程Aでは、お米を炊飯する。通常の炊飯器等を用いた炊飯で問題ない。但し、炊飯時の水の量は、通常の炊飯に用いる量の8割程度とする。言い換えれば、通常の炊飯では米の容量の1.2倍の水を用いるのに対して、本実施形態では水の量を米の容量と同じ量とする。
この量とすることで、かなり固めのごはんとなり、ごはん内の水分量が低くなる。
また、蒸らしを十分行うことで、さらに、余分の水分を発散させる。
ごはんに含まれる水の量を少なくすることによって、練り上げた生地が、柔らかすぎて、だれてしまい、成形しにくくなることを防ぐことが出来る。
ごはんは、炊飯により、α化が十分行われているので、ごはん独特のもっちり感を出すことが出来る。
【0017】
(撹拌・練上工程)
撹拌・練上工程Bでは、小麦粉30を1kgに対して、炊き立てごはん20を300gを加える。さらに、その他の材料40であるドライイースト15g、無塩バター50g、卵100g、牛乳100cc、上白糖100g、ショートニング50g、塩15g、小麦グルテン30g、水450ccを用いて、生地10(以下、パン生地とも言う)を作る(図2)。各食材は、概ね10%の許容値を持つ。
小麦粉30に対して30%、15%、10%程度のごはん20を混合する。30%よりもごはんの量を多くすると、ごはんの成分が支配的になり、生地10にごはん特有のべとべと感が全面に出てしまい、成形しにくくなる。
ごはんのもっちり感を出しつつ、高品質にするには、ごはん30%が最適である。また、30%とすることで、30%以上の場合よりも発酵時間を短くすることが出来る。
また、食パンのように、ごはんのもっちり感を抑えた方がいいパンの場合は、例えば、ごはん10%程度とすると好適である。
また、ごはんを含むことで、発酵しにくくなるので、ごはんの量に応じて小麦グルテンを加えると好適である。
【0018】
すべての材料をミキサーに入れる。撹拌は、最初、低速(毎分200〜400回転)で1分、中速(毎分400〜600回転)で10分から15分程度行う。後半は、生地を作るための練上工程となる。
ごはんが含まれるため、生地はやや固めに仕上げる。具体的には、水の量で調整する。
次の一次発酵工程Cでは、生地の温度として所定の温度が必要である。所定の温度とは28℃である。ミキサーを高速回転(毎分600回転以上)にして、生地の温度を上げ、28℃になるまで練り上げる。
生地の温度は、室内温度に依存するため、冬場の方が、高速の練り上げ時間は長くなる。
【0019】
(一次発酵工程)
一次発酵工程Cは、フロアタイムとも呼ばれ、イースト菌による仕込みから分割までの発酵工程である。工程時間は、室内温度によって大きく変わる。夏は、練り上げとほぼ同時に分割を始める場合もある。冬場では、所定の時間を要する。
発酵時間は、通常のパンよりも若干短くする。生地が少し固めの状態で分割するためである。
【0020】
(分割・成形工程)
分割・成形工程Dは、一次発酵した生地を個別のパンに見合った大きさに分割し、パンの形状に合わせて成形する工程である。
ごはんが含まれるため、通常のパンよりも、生地の流動性が若干高くなることが多いため、分割・成形作業は、手早く行う必要がある。
【0021】
(発酵機による二次発酵工程)
発酵機による二次発酵工程Eは、個別のパンの形状の生地を再度発酵させる工程である。発酵時間は、室内温度によって変わる。通常のパンと同様の発酵時間を取ると、生地がだれてしまう場合もあるので、早めに発酵工程を完了すると好適である。
【0022】
(焼成工程)
焼成工程Fは、パンを高温で処理し、最終品とする工程である。焼成の温度は、190℃から200℃が適当である。通常のパンの場合は、250℃程度の場合もあるが、ごはんが含まれる場合、生地に熱が入りやすい。そうすると、ごはん内の水分が過度に蒸発し、固くなってしまうからである。
焼成の温度を通常より下げ、焼成時間を長くすることで、焼き上げ時の水分量の減少量を抑え、パンが必要以上に硬化することを防ぐことができる。
【0023】
以上の工程を経ることで、もちもちとした食感でずっしりとした重量感のパンとすることが出来、食感も高品質で、腹持ちも良い。
【0024】
本実施形態に係るごはんパンの製造方法によれば、パンの原料として、ご飯を加え、小麦粉との比率を調整することによって、お米を加えた高品質のパンを作ることが出来、また、米の消費に寄与することが出来るものである。
この製造方法は、菓子パン、食パン等、通常のパンであれば、すべてのパンに適用することが出来る。
【0025】
尚、本発明には、物の発明として以下の内容も含まれる。
(1)
原料の生地として小麦粉を主体とし、これに炊飯した米を適量混合し、さらに、小麦グルテンを混合し、練り上げ、発酵させ、成形し、焼成したことを特徴とするごはんパン。
(2)
小麦粉1000gに対して、水450cc、ご飯100−300g、卵90−110g、油脂45−55g、牛乳90−110cc、砂糖90−110g、適量の塩とを、練り上げ、28℃に維持されたパン生地。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係るごはんパンの製造方法は、高品質のごはんパンを製造する技術であり、菓子パン、食パン等、通常のパンであれば、すべてのパンに適用することが出来ることから、産業上の利用可能性は大きいと思料する。
【符号の説明】
【0027】
10 生地(パン生地)
20 ごはん
30 小麦粉
40 その他の材料
A 炊飯工程
B 撹拌・練上工程
C 一次発酵工程
D 分割・成形工程
E 二次発酵工程
F 焼成工程
【図1】
図1
【図2】
図2
メッセージ

長年勤めた会社を定年退職し、かねてからの夢であった地元で自分の店を持ちました。
地域に貢献出来る様な仕事がしたいと思っていました。そこで、近隣にパン屋が少ないためパン屋を始めました。パン屋なのだからパンが好きだろうと思われがちですが、私はパンが好きではありません。 子供達もパン屋を始めてビックリ。
パンを作り始めて、和食に関係したパン作りを考えました。 はじめは米粉パンを作りましたが思う様に作れず、炊いたお米を使ってみることにしました。私はご飯が大好きなのでパンを食べながらご飯を食べる感じを出せないかと考え、小麦粉とご飯の配合割合を何度も変え、練りあがりの温度もグルテンの配合も変えて、もちもちとした食感、ずしりとした腹持ちのいいご飯パンが出来上がりました。
今では、店も、道の駅でも大変好評を頂いております。 ご飯パンの存在を知って頂いて少しでも、お米の自給率が上がればと思います。
After retiring from the company where I worked for many years, I decided to open my own restaurant in my hometown, which had been a dream of mine for a long time.
I wanted to do something that would contribute to the local community, so I started a bakery because there are not many bakeries in the neighborhood.People might think that I must like bread since I'm a baker, but I do not like bread. My children were surprised when I started the bakery.
When I started making bread, I thought about baking bread related to Japanese food. At first I made rice flour bread, but I couldn't make it as I wanted, so I decided to try using cooked rice.Since I love rice, I wondered if I could create the feeling of eating rice while eating bread, so I changed the ratio of flour and rice many times, changed the kneading temperature and gluten mixture, and ended up with rice bread with a sticky texture and a firm, filling feeling.
The bread is now very popular both in stores and at roadside stations. We hope that people will become aware of the existence of our rice bread and that the self-sufficiency rate of rice will increase even a bit.
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