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【発明の名称】衛生マスク 【早期審査対象出願】 【特許権者】 【識別番号】521261625 【氏名又は名称】大橋 栄子 【住所又は居所】東京都葛飾区東四つ木4丁目49番7号 【代理人】 【識別番号】100147393 【弁理士】 【氏名又は名称】堀江 一基 【発明者】 【氏名】大橋 栄子 【住所又は居所】東京都葛飾区東四つ木4丁目49番7号 【要約】 【課題】好適なフィット性を有しマスクの装着ずれや眼鏡のくもりを防止する衛生マスク 【解決手段】略矩形の布体と、前記布体の両サイドに取り付けられる一対の耳掛け紐と、を有する衛生マスクであって、前記布体は、布体上辺領域に、前記布体の主面部に対して前記布体の上辺部分が折り返し位置に沿って内側に向けて折り返されて形成されており、前記折り返し位置を除いては前記布体上辺領域における上辺中央部に配置される中央固定部でのみ前記主面部に固定される内側折り返し部を有し、前記内側折り返し部は、前記中央固定部を左右方向に挟んで配置される2か所に折り幅が最大となる最大幅部分を有し、2か所の前記最大幅部分の間には、前記最大幅部分より前記折り幅が狭いくぼみ部が形成されており、前記内側折り返し部の前記折り幅は、前記最大幅部分から前記両サイドに向かって徐々に狭くなる衛生マスク。 【選択図】図1 ![]() 【特許請求の範囲】 【請求項1】 略矩形の布体と、 前記布体の両サイドに取り付けられる一対の耳掛け紐と、を有する衛生マスクであって、 前記布体は、 布体上辺領域に、前記布体の主面部に対して前記布体の上辺部分が折り返し位置に沿って内側に向けて折り返されて形成されており、前記折り返し位置を除いては前記布体上辺領域における上辺中央部に配置される中央固定部でのみ前記主面部に固定される内側折り返し部を有し、 前記内側折り返し部は、前記中央固定部を左右方向に挟んで配置される2か所に折り幅が最大となる最大幅部分を有し、2か所の前記最大幅部分の間には、前記最大幅部分より前記折り幅が狭いくぼみ部が形成されており、 前記内側折り返し部の前記折り幅は、前記最大幅部分から前記両サイドに向かって徐々に狭くなり、 布体下辺領域の前記主面部において前記左右方向に関して略対称に2か所に配置されており、布体下辺領域における下辺中央部に対して下辺両サイドが下方に傾斜するように形成される縦ひだ部をさらに有し、 前記内側折り返し部全体の前記左右方向の幅は、2か所の前記縦ひだ部の間の前記左右方向の間隔より広いことを特徴とする衛生マスク。 【請求項2】 2か所の前記最大幅部分の間の前記左右方向の間隔は、前記内側折り返し部全体の前記左右方向の幅の5〜25%である請求項1に記載の衛生マスク。 【請求項3】 前記内側折り返し部全体の前記左右方向の幅は、前記布体全体の前記左右方向の幅の60〜90%である請求項1に記載の衛生マスク。 【請求項4】 前記布体は、ノーズワイヤを有しないノーズワイヤレス構造であることを特徴とする請求項1に記載の衛生マスク。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、大気中のウイルスやアレルゲンなどが鼻や口から体内に侵入することを防止する衛生マスクに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、新型コロナウイルス感染症などの世界的な拡大や、花粉やPM2.5などの飛来を受けて、衛生マスクの使用頻度が増加している。ただし、従来の衛生マスクとしては、装着者の顔に対するフィット性に課題があるものが多く、マスクのずれを生じたり、装着者が眼鏡を掛けている場合は眼鏡のくもりが生じる問題があった。 【0003】 本出願に係る発明者は、このような課題を解決するための布マスクの発明を行い、これについて特許を取得している(特許文献1参照)。発明者が特許を取得した発明は、布体を縫い合わせる縫製などにより立体構造に形成するものである。一方、市販される衛生マスクとしては、縫製によって立体構造を形成するマスクより、縫製を用いず縫製以外の手法、たとえば融着等により立体形状を形成するマスクの割合が多い(たとえば、特許文献2等参照)。これは、融着等によるマスクが、縫製によるマスクに比べて製造効率が良く、大量生産に適しているためであると考えられる。 【0004】 しかし、縫製を用いる特許文献1に記載の技術は、融着等により立体形状を形成するマスクに直接転用できない部分がある。また、縫製を用いない従来の衛生マスクでは、マスクの装着ずれや眼鏡のくもりを、特許文献1に記載の技術ほど効果的に防止できない。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 特許6993749号明細書 【特許文献2】 特開2018−193656号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、好適なフィット性を有しマスクの装着ずれや眼鏡のくもりを防止でき、かつ、縫製を用いない衛生マスクに適用可能である構造的特徴を有する衛生マスクを提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明に係る衛生マスクは、 略矩形の布体と、 前記布体の両サイドに取り付けられる一対の耳掛け紐と、を有する衛生マスクであって、 前記布体は、 布体上辺領域に、前記布体の主面部に対して前記布体の上辺部分を折り返し位置に沿って内側に折って形成されており、前記折り返し位置を除いては前記布体上辺領域における上辺中央部に配置される中央固定部でのみ前記主面部に固定される内側折り返し部を有し、 前記内側折り返し部は、前記中央固定部を左右方向に挟んで配置される2か所に折り幅が最大となる最大幅部分を有し、2か所の前記最大幅部分の間には、前記最大幅部分より前記折り幅が狭いくぼみ部が形成されており、 前記内側折り返し部の前記折り幅は、前記最大幅部分から前記両サイドに向かって徐々に狭くなる。 【0008】 本発明に係る衛生マスクの布体は、布体上辺領域に内側折り返し部を有する。このような内側折り返し部に関する構造的特徴は、縫製を用いない衛生マスクに適用可能である。内側折り返し部は、布体の上辺部分を内側に折り返されることで形成されており、装着者の顔とマスクの間の隙間を好適に遮蔽し、衛生マスクの装着者が眼鏡を掛けている場合であっても、眼鏡のくもりを好適に防止できる。さらに、内側折り返し部には、2カ所の最大幅部分およびこれに挟まれるくぼみ部が形成されており、衛生マスクの装着時において、装着者の鼻梁がくぼみ部を通ることにより、内側折り返し部が好適なフィット感と遮蔽性を奏する。 【0009】 また、内側折り返し部の折り幅は、最大幅部分から両サイドに向かって、および、最大幅部分から中央固定部に向かって徐々に狭くなる。これにより、内側折り返し部が装着者の顔の曲面に追従して好適にフィットし、衛生マスクのずれを防止するとともに、マスクに覆われた領域の遮蔽性を高めることができる。また、内側折り返し部は、布体の上辺部分が内側に向かって折り返されて形成されるため、マスクの上辺領域は、適度な腰の強さを奏するとともに、適度な柔軟性が保たれる。また、内側折り返し部が中央固定部でのみ主面部に固定されることは、内側折り返し部の折り返し状態および主面部に対する角度を適切に保つことに寄与する。さらに、布体の上辺部分を内側に折り返して形成される内側折り返し部は、装着者の顔に対して過度に強く押し付けられることを回避し、かつ、マスクの上辺領域が過度に重くなることを回避することで、マスクが下方にずれる問題を好適に防止できる。 【0010】 また、たとえば、本発明に係る衛生マスクにおいて、2か所の前記最大幅部分の間の前記左右方向の間隔は、前記内側折り返し部全体の前記左右方向の幅の5〜25%であってもよい。 【0011】 内側折り返し部をこのような形状とすることにより、本発明に係る衛生マスクは、内側折り返し部が装着者の鼻梁や頬骨による起伏により好適にフィットし、衛生マスクのずれ防止効果および眼鏡のくもり防止効果を高めることができる。 【0012】 また、たとえば、本発明に係る衛生マスクにおいて、前記布体は、 布体下辺領域において前記左右方向に関して略対称に2か所に配置されており、布体下辺領域における下辺中央部に対して下辺両サイドが下方に傾斜するように形成される縦ひだ部をさらに有してもよく、 前記内側折り返し部全体の前記左右方向の幅は、2か所の前記縦ひだ部の間の前記左右方向の間隔より広くてもよい。 【0013】 布体が縦ひだ部を有し、内側折り返し部の左右方向の幅を縦ひだ部の間隔より広くすることにより、このような衛生マスクは、装着時において装着者の顔と布体の間に適切な空間を形成し、装着者の口やあごの動きに伴うマスクのずれを、好適に防止できる。 【0014】 また、たとえば、前記内側折り返し部全体の前記左右方向の幅は、前記布体全体の前記左右方向の幅の60〜90%であってもよい。 【0015】 内側折り返し部の左右方向の幅を、布体全体の左右方向の幅に対して所定の比率とすることにより、内側折り返し部の両端部が装着者の頬骨のカーブにより適切にフィットし、マスクのずれや、眼鏡のくもりをより好適に防止できる。 【0016】 また、たとえば、前記布体は、不織布で構成されていてもよく、前記布体は、ノーズワイヤを有しないノーズワイヤレス構造であってもよい。 【0017】 布体が不織布である衛生マスクは、中央固定部を融着により形成することが可能であり、縫製などにより製造される場合に比べて生産性が向上する。また、布体がノーズワイヤを有しないノーズワイヤレス構造であることにより、マスクの上辺領域の柔軟性を好適に確保できるとともに、マスクの上辺領域が過度に重くなることを回避できる。また、布体がノーズワイヤレス構造であることにより、このような衛生マスクは、廃棄時において嵩張り難く、使い捨てで使用する場合でも、廃棄処理が容易である。 【図面の簡単な説明】 【0018】 【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る衛生マスクの外側を示す正面図である。 【図2】図2は、図1に示す衛生マスクの内側を示す背面図である。 【図3】図3は、図1に示す衛生マスクの布体の展開状態を示す正面図である。 【図4】図4は、図1および図2に示す衛生マスクの装着状態を示す使用状態図である。 【図5】図5は、図4に示す衛生マスクの装着状態を別の角度から観察した第2の使用状態図である。 【発明を実施するための形態】 【0019】 図1は、本発明の一実施形態に係る衛生マスク10の外側を示す正面図であり、図2は衛生マスク10の内側を示す背面図である。図1および図2に示すように、衛生マスク10は、正面視略矩形の布体20と、布体20の両サイドに取り付けられる一対の耳掛け紐92、94と、を有する。衛生マスク10は、使用状態図4および図5に示すように、一対の耳掛け紐92、94を装着者の両耳に掛け、布体20が装着車の鼻、口およびその周辺部分を覆うように装着して使用される。 【0020】 衛生マスク10は、たとえば病原菌やウイルスなどの感染予防や、花粉などのアレルギー症状の抑制や、飛沫の飛散防止などの様々な目的で使用される。衛生マスク10が使用され場所も、学校、職場、公共施設など、屋内であるか屋外を問わず、多種多様である。 【0021】 図1および図2に示すように、衛生マスク10には内側と外側があり、衛生マスク10は、図1に現れる布体20の外側が装着者の顔と反対側を向き、図2に示す布体20の内側が装着者の顔の側を向くように装着して使用される(使用状態図である図4および図5を参照)。また、衛生マスク10には上下があり、後述する布体上辺領域26が上下方向D2の上側を向き、布体下辺領域28が上下方向D2の下側を向く図1〜図5に示す姿勢で、装着者に装着される。 【0022】 一対の耳掛け紐92、94のうち耳掛け紐92は、図1の正面図では右側に、図2の背面図では左側に現れ、衛生マスク10の装着時には、装着者の左耳に掛けられる。耳掛け紐92は、布体20の左サイド22に固定されている。ただし、耳掛け紐92は、後述する布体と継ぎ目なく連続していてもよく、耳掛け紐92は布体20と一体であってもよい。 【0023】 一対の耳掛け紐92、94のうち耳掛け紐94は、図1の正面図では左側に、図2の背面図では右側に現れ、衛生マスク10の装着時には、装着者の右耳に掛けられる。耳掛け紐94は、布体20の右サイド24に固定されている。ただし、耳掛け紐94は、耳掛け紐92と同様に、布体20と継ぎ目なく連続していてもよく、耳掛け紐94は布体20と一体であってもよい。 【0024】 図1および図2に示すように、布体20は、主面部30と、布体上辺領域26で主面部30に接続する内側折り返し部40と、を有する。布体20は、図1および図2に示すように、正面視および背面視において略矩形である。ただし、布体20は、布体上辺領域26に内側折り返し部40を有し、布体下辺領域28の主面部30に縦ひだ部32、34を有するため、数学的に定義される矩形とは若干異なる形状を有する。 【0025】 図1および図2に示すように、布体20の主面部30は、衛生マスク10の装着時において、内側の面が装着者の顔の側を向き、外側の面が装着者の顔とは反対側を向くように配置され、主面部30の面方向D3が、概ね装着者の顔の表面方向に沿う状態となる(図5参照)。 【0026】 図1および図2に示すように、主面部30には、左右方向D1に延びる横ひだ部36(「横ひだ部」は「プリーツ」とも呼ばれる。)が複数形成されている。図1および図2に示す例では、横ひだ部36は縦方向に略等間隔に4つ形成されている。 【0027】 図3は、図1に示す衛生マスク10の布体20の材料である材料布体12を示す正面図である。衛生マスクの布体20は、たとえば、図3に示すような材料布体12に対して、横ひだ部36、縦ひだ部32、34および内側折り返し部40を形成することにより、製造される。材料布体12は、例えば不織布等を含む単層または多層の布を、図3に示す形状に裁断等することにより製造される。 【0028】 図1および図2に示す横ひだ部36は、図3に示す横ひだ谷折り線37aを谷折りし、横ひだ谷折り線37aの直上の横ひだ山折り線36aを山折りすることで形成される。これにより、図3においてグレーで示される横ひだ谷折り線37aの上下部分が折り込まれ、図1および図2に示すような横ひだ部36が形成される。 【0029】 図3においてグレーで示される横ひだ部36の折り込み部分は、主面部30の両サイド22、24でのみ、折り込みが解除しないように、折り込み部分同士の対向面が固定される。したがって、衛生マスク10の装着時には、図4に示すように横ひだ部36の左右方向D1における中央部分の折り込みが部分的または全体的に解除され、主面部30が、装着者の顔の形状に沿うように上下方向D2に広がる。 【0030】 なお、実施形態として説明する衛生マスク10における布体20の主面部30には、4つの横ひだ部36が形成されているが、主面部30に形成される横ひだ部36の数は特に限定されない。また、主面部30は、複数の材料布体を、縫製、融着(溶着)、または接着等により接合して立体形状を形成するものであってもよい。また、横ひだ部36は、外側から見て折り上げになっていてもよく、内側から見て折り上げにあっていてもよく、前者と後者とを組み合わせることで複数の横ひだ部が構成されていてもよい。 【0031】 図1および図2に示すように、布体20は、布体下辺領域28の主面部30に形成される縦ひだ部32、34を有する。縦ひだ部32、34は、左右方向D1に関して略対称に2か所に配置される。すなわち、縦ひだ部32、34は、下辺中央部29より下辺左サイド22bの近くに形成される左縦ひだ部32と、下辺中央部29より下辺右サイド24bの近くに形成される右縦ひだ部34と、で構成される。 【0032】 左縦ひだ部32と右縦ひだ部34とは、それぞれ略上下方向D2に沿って、ただし上下方向D2に対して少し傾いて延びている。このような左縦ひだ部32と右縦ひだ部34が形成されることで、布体20の主面部30における下辺中央部29に対して、下辺両サイド(下辺左サイド22bおよび下辺右サイド24b)が下方に傾斜する。 【0033】 図1および図2に示す左縦ひだ部32および右縦ひだ部34は、図3に示す縦ひだ谷折り線33、35を谷折りし、縦ひだ山折り線32a、34aを山折りすることで形成される。これにより、図3においてグレーで示される縦ひだ谷折り線33、35と縦ひだ山折り線32a、34aとの間の領域が折り込まれ、図1および図2に示すような縦ひだ部32、34が形成される。 【0034】 図3においてグレーで示される左縦ひだ部32および右縦ひだ部34の折り込み部分は、主面部30の下辺でのみ、折り込みが解除しないように、折り込み部分同士の対向面が固定される。したがって、衛生マスク10の装着時には、図4に示すように左縦ひだ部32および右縦ひだ部34の一部の折り込みが解除され、主面部30は図4および図5に示すような立体形状を形成する。 【0035】 図1〜図3に示すように、布体20における上辺近くの部分である布体上辺領域26には、内側折り返し部40が形成されている。図3に示すように、内側折り返し部40は、布体20の主面部30に対して布体20の上辺部分が、折り返し位置25(図3参照)に沿って、布体20の内側に折り返されて形成されている。内側折り返し部40は、図3に示す布体材料12のように主面部30に継ぎ目なく連続していてもよいが、これとは異なり、主面部30に対して融着、接着または縫製などにより接続される主面部30とは別の材料布体で構成されていてもよい。 【0036】 図1〜図3に示すに、内側折り返し部40は、布体上辺領域26における上辺中央部に配置される中央固定部47を基準として左右方向D1に対称な形状を有する。すなわち、内側折り返し部40は、中央固定部47から左サイド22側に配置される左折り部42と、中央固定部47から右サイド24側に配置される右折り部44とを有し、左折り部42と右折り部44とは、互いに略対称な形状を有する。 【0037】 図1〜図3に示すように、内側折り返し部40は、中央固定部47を左右方向D2に挟んで配置される2か所に、内側折り返し部40において折り幅W1が最大となる最大幅部分である左最大幅部分42aおよび右最大幅部分44aを有する。なお、図3に示すように、内側折り返し部40の折り幅は、折り返し位置25(または主面部30の上辺)に垂直な方向に沿う内側折り返し部40の幅で規定される。 【0038】 また、図2に示すように、2か所の最大幅部分である左最大幅部分42aと右最大幅部分44aとの間には、最大幅部分42a、44aより折り幅が狭いくぼみ部46が形成されている。内側折り返し部分40は、最大幅部分42a、44aから中央固定部47に向かって折り幅が徐々に狭くなっており、くぼみ部46においては、その中央に位置する中央固定部47において、最も折り幅が狭くなっている。 【0039】 図1および図2に示すように、内側折り返し部40は、折り返し位置25を除いては中央固定部47でのみ、主面部30に固定されている。すなわち、内側折り返し部40の縁部40aは、少なくとも中央固定部47を除く部分では主面部30に固定されておらず、主面部30から離間できる。これにより、図5に示すように、衛生マスク10の装着状態においては、内側折り返し部40が、中央固定部47から両サイド22、24に向かってねじられながら跳ね上がる。このような内側折り返し部40の変形は、内側折り返し部40が配置される布体上辺領域26に、湾曲する衛生マスク10の内側に生じる圧縮変形応力が作用することに起因するものであると考えられる。 【0040】 また、図2および図3に示すように、内側折り返し部40の折り幅は、最大幅部分42a、44aから両サイド22、24に向かって徐々に狭くなっており、左折り端部42bおよび右折り端部44bで折り幅が0となっている。図2に示すように、内側折り返し部40全体の左右方向の幅WA(左折り端部42bと右折り端部44bの間の間隔)は、布体20全体の左右方向の幅WB以下であることが好ましく、布体20全体の左右方向の幅WBの60〜90%であることがさらに好ましい。また、最大幅部分42a、44aにおける折り幅W1は、特に限定されないが、5〜10mm程度とすることが好ましい。 【0041】 内側折り返し部40全体の左右方向の幅WAを、布体20全体の左右方向の幅WBに対して所定の範囲とすることにより、衛生マスク10における布体上辺領域26と装着者の顔の間の隙間を内側折り返し部40が好適に遮蔽し、衛生マスク10の遮蔽効果を高めることができる。また、衛生マスク10の装着者がめがねを掛けている場合には、装着者の呼気に含まれる水蒸気や熱がめがねを曇らせる問題を、より効果的に防止できる。 【0042】 また、内側折り返し部40全体の左右方向の幅WAは、2か所の縦ひだ部である左縦ひだ部32と右縦ひだ部34の間の左右方向D1の間隔WCより広いことが好ましい。このような構成とすることにより、内側折り返し部40が装着者の頬骨ラインにフィットしやすくなるともに、縦ひだ部32、34による布体下辺領域28が装着者のあごのラインにフィットしやすくなるので、衛生マスク10の遮蔽性が高まる。また、装着者の口から主面部30の内側までの距離を適切に確保し、会話等により装着者が口を動かした際における衛生マスク10のずれを好適に防止できる。 【0043】 また、2か所の最大幅部分42a、44aの間の左右方向の間隔WDは、内側折り返し部40全体の左右方向の幅WAの5〜25%であることが好ましい。これにより、内側折り返し部40の最大幅部分42a、44aが装着者の鼻梁に対して好適に接触し、衛生マスク10の遮蔽性が高まるとともに、衛生マスク10の装着時のずれが好適に抑制される。 【0044】 布体20の材質としては特に限定されないが、ポリプロピレン製などの不織布、綿製などのガーゼその他の織布、ポリウレタン製等の発泡樹脂などが挙げられるが、特に限定されない。ただし、布体20の材質としては、主に樹脂製の不織布で構成されるものが、溶着などによりひだ部(横ひだ部36、縦ひだ部32、34)や中央固定部47を形成しやすく、生産性が良好であるため好ましい。 【0045】 また、布体20は、ノーズワイヤを有しないノーズワイヤレス構造であることが、衛生マスク10の布体上辺領域26の柔軟性を好適に確保できるとともに、衛生マスク10の布体上辺領域26が過度に重くなることを回避できる。また、布体20がノーズワイヤレス構造であることにより、このような衛生マスク10は、廃棄時において嵩張り難く、使い捨てで使用する場合でも、廃棄処理が容易である。 【0046】 図4は、図1及び図2に示す衛生マスク10の装着状態を示す使用状態図である。図4に示すように、衛生マスク10の内側折り返し部40は、中央固定部47が装着者の鼻梁の上に位置し、左折り部42および右折り部44が、それぞれ鼻梁から頬骨へのつながる出っ張りに接触する。 【0047】 図5は、図4に示す衛生マスク10の装着状態を、装着者の右斜め上方から観察した第2の使用状態図である。図5に示すように、衛生マスク10は、装着状態において内側折り返し部40を構成する左折り部42および右折り部44が、中央固定部47から両サイド22、24に向かってねじられながら跳ね上がる。これにより、衛生マスク10は、装着者の顔とマスクの間の隙間を好適に遮蔽し、衛生マスク10の装着者が眼鏡を掛けている場合であっても、眼鏡のくもりを好適に防止できる。このような内側折り返し部40に関する構造的特徴は、縫製を用いないマスクにも適用可能である。 【0048】 また、内側折り返し部40には、2カ所の最大幅部分42a、44a(図2参照)およびこれに挟まれるくぼみ部46が形成されており、衛生マスクの装着時において、装着者の鼻梁がくぼみ部46の凹みを通る。これにより、衛生マスク10は、特に布体上辺領域26において、好適なフィット感と遮蔽性を奏する。さらに、内側折り返し部40の折り幅は、最大幅部分42a、44aから両サイド22、24に向かって、および、最大幅部分42a、44aから中央固定部47に向かって徐々に狭くなる。これにより、内側折り返し部40が装着者の顔の曲面に追従して好適にフィットし、衛生マスク10のずれを防止するとともに、衛生マスク10に覆われた領域の遮蔽性を高めることができる。 【0049】 また、内側折り返し部40は、図3に示すように、布体20の上辺部分が内側に向かって折り返されて形成されるため、衛生マスク10の布体上辺領域26は、適度な腰の強さを奏するとともに、適度な柔軟性が保たれる。また、内側折り返し部40が中央固定部47でのみ主面部30に固定されることは、図5に示すように、装置着磁における内側折り返し部40の折り返し状態および主面部30に対する角度(内側折り返し部40の跳ね上がり状態)を、適切に保つことができる。さらに、布体20の上辺部分を内側に折り返して形成される内側折り返し部40は、適度な柔軟性を有するため、装着者の顔に対する当たりが強くなりすぎることを防止して長時間の装着でも痛みが生じることを防止する。また、衛生マスク10の布体上辺領域26が過度に重くなることを回避することで、衛生マスク10が下方にずれる問題を好適に防止できる。 【符号の説明】 【0050】 10…衛生マスク 20…布体 22…左サイド 24…右サイド 25…折り返し位置 26…布体上辺領域 22b…下辺左サイド 24b…下辺右サイド 28…布体下辺領域 29…下辺中央部 30…主面部 32…左縦ひだ部 33、35…縦ひだ谷折り線 34…右縦ひだ部 32a、34a…縦ひだ山折り線 36…横ひだ部 36a…横ひだ山折り線 37a…横ひだ谷折り線 40…内側折り返し部 40a…縁部 42…左折り部 42a…左最大幅部分 42b…左折り端部 44…右折り部 44a…右最大幅部分 44b…右折り端部 46…くぼみ部 47…中央固定部 W1…折り幅 WA、WB…幅 WC、WD…間隔 92…耳掛け紐 94…耳掛け紐 D1…左右方向 D2…上下方向 |
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【図3】![]() |
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【図5】![]() |
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