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機械器具
 
【発明の名称】扉のロック装置
【特許権者】
【識別番号】301016344
【氏名又は名称】千田 哲生
【住所又は居所】東京都日野市西平山4ー4−6
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100063174
【氏名又は名称】佐々木 功
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100087099
【氏名又は名称】川村 恭子
【発明者】
【氏名】千田 哲生
【住所又は居所】東京都日野市西平山4−4−6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定大きさの収納ケースと、
該収納ケース内に設けられると共に、互いに噛合する一対の歯車と、
該歯車の回転に伴って突出又は後退する一対のロック棒と、
該ロック棒の先端部を嵌合するために設けられる受け部材と、
一方の歯車に連結するシャフトと、
該シャフトの先端部に取り付ける把手と、
を1ユニットとして構成され、
前記一対の歯車は、前記ロック棒の突出方向に回転するよう付勢手段が設けられていることを特徴とする扉のロック装置。
【請求項2】
前記付勢手段は、両方の歯車の側部に横架したバネ材であることを特徴とする請求項1に記載の扉のロック装置。
【請求項3】
前記ロック棒は、長さ調節手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の扉のロック装置。
【請求項4】
前記把手は、種々の形状又はデザインのものを適宜に選択して取り付けることができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の扉のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、食器戸棚等の扉が地震等の衝撃で不用意に開放しないようにロックする、扉のロック装置に関し、更に詳しくは、既製品の食器戸棚等に対しても後付けで設置することができる、ユニット式の扉のロック装置に関するものである。
【背景技術】
従来、この種の扉のロック装置としては、図8及び図9に示すような構成のものが知られている。このロック装置1は、扉枠2に設けられる開閉扉3と、この開閉扉3に取り付けられるベース4と、このベース4に保持されるロックアーム5、5と、このロックアーム5、5の先端部に設けたストライカー6、6が嵌り込むロック溝部材7、7と、ベース4に連結する操作摘み8と、この操作摘み8の操作に伴ってロックアーム5、5を突出及び後退させるリンク機構9とを備えている(特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平8−312226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
この従来例のロック装置においては、リンク機構及び種々の部材等を有することから、構造が複雑で部品点数が多く、製造コストが高くなり、重量が嵩み、さらには故障する可能性も高いという欠点を有している。
また、上述のようにロック装置の構造が複雑であるのために、一般のユーザーが既製品の食器戸棚等に対して後付けで設置することは実質的に不可能であるという欠点も有している。
従って、従来例におけるロック装置においては、構造をシンプルにして製造コストを低減し、重量を軽減することと、既製品の食器戸棚等に対しても一般のユーザーが後付けで設置できるようにすることとに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
前記従来例の課題を解決する具体的手段として本発明は、所定大きさの収納ケースと、該収納ケース内に設けられると共に、互いに噛合する一対の歯車と、該歯車の回転に伴って突出又は後退する一対のロック棒と、該ロック棒の先端部を嵌合するために設けられる受け部材と、一方の歯車に連結するシャフトと、該シャフトの先端部に取り付ける把手と、を1ユニットとして構成され、前記一対の歯車は、前記ロック棒の突出方向に回転するよう付勢手段が設けられていることを特徴とする扉のロック装置を提供するものである。
また、前記付勢手段は、両方の歯車の側部に横架したバネ材である構成としたものであり、そして、前記ロック棒は、長さ調節手段が設けられている構成としたものであり、更に、前記把手は、種々の形状又はデザインのものを適宜に選択して取り付けることができるように構成されていることとしたものである。
【発明の効果】
本発明に係る扉のロック装置は、所定大きさの収納ケースと、該収納ケース内に設けられると共に、互いに噛合する一対の歯車と、該歯車の回転に伴って突出又は後退する一対のロック棒と、該ロック棒の先端部を嵌合するために設けられる受け部材と、一方の歯車に連結するシャフトと、該シャフトの先端部に取り付ける把手と、を1ユニットとして構成され、前記一対の歯車は、前記ロック棒の突出方向に回転するよう付勢手段が設けられていることによって、従来例のロック装置と比較して構造がシンプルであり、製造コストが低減すると共に、重量を軽減することができ、さらには振動等により故障する可能性が低下する。
また、ロック装置がユニット化されているので、既製品の食器戸棚等に対しても一般のユーザーが後付けで設置できるという種々の優れた効果を奏する。
また、付勢手段は、両方の歯車の側部に横架したバネ材であることによって、歯車がロック棒の突出方向に常に付勢されるので、自動的にロック棒が突出して先端部が受け部材と嵌合することとなる。つまり、扉のロック状態が自動的に維持されるという優れた効果を奏する。
そして、ロック棒は、長さ調節手段が設けられていることによって、種々の大きさの食器戸棚等に対応できるという優れた効果を奏する。
更に、把手は、種々の形状又はデザインのものを適宜に選択して取り付けることができるように構成されていることによって、使用者の好みに応じた把手を設けることができると共に、インテリアとしての食器戸棚等のデザイン性を損なうことがないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1から図3において、符号11は扉のロック装置を示し、このロック装置11は、所定の大きさの収納ケース12と、この収納ケース12内に設けられる一対の歯車13、14と、この歯車13、14の回転に伴って突出又は後退する一対のロック棒15、16と、このロック棒15、16の先端部15a、16aを嵌合するために設けられる受け部材17、17と、一方の歯車14に連結するシャフト18と、このシャフト18の先端部に取り付ける把手19とを1ユニットとして構成される。
収納ケース12は、薄型の箱形状に形成されており、その一側面が戸棚等の扉20の内側に対して、ビス止め又は接着等の所定の手段で固定されるようになっている。なお、収納ケース12を扉20の内側にビス止めする場合には、収納ケース12の当該側面にビスを挿通させるための小孔を形成しておくことが望ましい(図示せず)。
また、収納ケース12の上部には、ロック棒15が挿通する所定大きさの挿通孔21が形成されている。同様に、収納ケース12の下部には、ロック棒16が挿通する所定大きさの挿通孔22が形成されている。
歯車13及び歯車14は、同型状の平歯車であり、互いに噛合した状態で配設されており、一方の歯車の回転が他方の歯車に伝達して回転するようになっている。そして、歯車13の中心位置に軸部23が設けられており、この軸部23の両端部がそれぞれ収納ケース12の内側で支持されて、歯車13が回転自在に形成されている。また、歯車14の中心位置に軸部24が設けられており、この軸部24の両端部がそれぞれ収納ケース12の内側で支持されて、歯車14が回転自在に形成されている。
また、歯車13と歯車14との側部には、バネ材(付勢手段)29が横架した状態で設けられている。つまり、バネ材29の一端部29aが歯車13の側部に固定され、他端部29bが歯車14の側部に固定されている。このようにバネ材29が配設されることによって、歯車13及び歯車14が、図1中の矢印A方向及びB方向に常に付勢されるようなっている。
一方のロック棒15は、所定の長さを有すると共に、基部側に歯車13と噛合する凹凸部25が形成されている。また、他方のロック棒16は、所定の長さを有すると共に、基部側に歯車14と噛合する凹凸部26が形成されている。つまり、一方のロック棒15は、凹凸部25が歯車13と噛合し、他方のロック棒16は、凹凸部26が歯車14と噛合しており、歯車13及び歯車14の回転が伝達されて両方のロック棒15及びロック棒16が同時に突出方向(矢印C又はD方向)又は後退方向(矢印C又はDと逆方向)に移動するようになっている。
また、ロック棒15の途中には、段部27aが形成されており、この段部27aが、収納ケース12の挿通孔21の縁部に当接して、ストッパーの役目を果たすようになっている。同様に、ロック棒16の途中には、段部27bが形成されており、この段部27bが、収納ケース12の挿通孔22の縁部に当接して、ストッパーの役目を果たすようになっている。
更に、ロック棒15は、挿通孔21を挿通して収納ケース12の外部に突出している。同様に、ロック棒16は、挿通孔22を挿通して収納ケース12の外部に突出している。この外部に突出した部位の、ロック棒15及びロック棒16は、角柱状又は多角柱状に形成されており、その途中には長さ調節手段28が設けられている。
この長さ調節手段28について説明する。図4に示すように、ロック棒15(又はロック棒16)の途中が切断されて、その一端側30には所定長さのネジ31がネジ込み自在に螺入されている。そして、このネジ31の基部には、ロック棒15(又はロック棒16)の他端側32が固着されている。更に、ロック棒15(又はロック棒16)の外周面に密接した状態で上下移動自在にストッパー部材33が設けられている。このストッパー部材33は、図6及び図7に示すように、両端が開口し断面が中空の角柱状又は多角柱状に形成されており、ロック棒15(又はロック棒16)の回転を規制する役目を果たすものである。
このように構成された長さ調節手段28は、他端側32のロック棒15(又はロック棒16)を適宜に回転させてネジ31を一端側30に螺入して、ロック棒15(又はロック棒16)の長さ合わせを行う。そして、最適長さの位置でストッパ部材33を移動させて、一端側30及び他端側32の外周面に密接させ、他端側32のロック棒15(又はロック棒16)の回転を規制する(図5参照)。このようにしてロック棒15(又はロック棒16)の長さ調節を行う。
なお、図4及び図5はロック棒15における長さ調節手段28を示したが、ロック棒16における長さ調節手段28は、図4及び図5に示すものと上下が対称の構成であり、他は同様であるので、詳細は省略する。
受け部材17は、基部34と凹部35とで形成されており、戸棚等の枠部36の所定位置にビス止め又は接着等の所定の手段で固定できるようになっている。そして、凹部35に、ロック棒15又はロック棒16の先端部15a又は先端部16aが嵌合できるように構成される。
シャフト18は、歯車14の軸部24に連結しており、戸棚等の扉20に設けた貫通孔37を貫通させて先端部18aを外側に位置させるようになっている。そして、シャフト18を回転させることによって、軸部24を回転させて、歯車14が回転できるようになっている。
把手19は、シャフト18の先端部18aに取り付けられる。また、把手19は、種々の形状又はデザインのものを適宜に選択して取り付けることができるように構成されている。
以上のような扉のロック装置11を食器戸棚等に取り付ける方法について説明する。
まず、収納ケース12を扉20の内側の所定位置にビス止め等の所定手段で固定すると共に、扉20に予め設けた貫通孔37にシャフト18を貫通させる。そして、シャフト18の先端部18aに把手19を取り付ける。
次に、上部及び下部の枠部36の所定位置に受け部材17を接着等の所定手段で固定する。
更に、ロック棒15及びロック棒16の長さを長さ調節手段28で調節して、先端部15a及び先端部16aが、受け部材17の凹部35に嵌合できるように長さ合せをする。
場合によっては、支持部材38を扉20の内側に取り付けて、ロック棒15及びロック棒16を上下移動自在に支持する。
このように、ロック装置11はユニット化されているので、既製品の食器戸棚等に対して簡単に後付けで設置できる。
次に、扉のロック装置11の動作について説明する。扉20が閉まっているときには、バネ材29の付勢力によって、歯車13及び歯車14が、図1中の矢印A方向及びB方向に常に付勢される。そして、歯車13及び歯車14の回転が伝達されて、ロック棒15及びロック棒16が同時に突出する(矢印C方向又はD方向)。
つまり、ロック棒15及びロック棒16が自動的に突出して先端部15a及び先端部16aが受け部材17の凹部35に嵌合するので、扉20のロック状態が自動的に維持されることとなる。
扉20を開けるときには、把手19を把持してシャフト18を回転することにより、軸部24を回転させて、歯車14を図1中の矢印Bと逆方向に回転させる。この歯車14の回転と同時に歯車13が矢印Aと逆方向に回転する。そして、歯車13及び歯車14の回転が伝達されて、ロック棒15及びロック棒16が同時に後退する(矢印C又はDと逆方向)。このときロック棒15の後端部15bとロック棒16の後端部16bとが当接してストッパーの役目を果たす。先端部15a及び先端部16aは、受け部材17の凹部35からそれぞれ抜けるので、扉20の開放が可能になる。
【産業上の利用可能性】
本発明の扉のロック装置11は、主に観音開きの扉を取付対象にするものであるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、片開きの扉、引き戸式の扉、あるいは引き出し、ロッカーの扉等の種々な開閉扉に適用させて取り付けてもよい。また、図1等に示すロック装置11は、主に右扉用のものを示すが、左扉用は、これと左右対称の構成にすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る扉のロック装置11の、一部を破断した正面図である。
【図2】本発明に係る扉のロック装置11を扉20に取り付けた状態の、一部を破断した側面図である。
【図3】本発明に係る扉のロック装置11の斜視図である。
【図4】長さ調節手段28を説明するロック棒15の正面図である。
【図5】長さ調節手段28を説明するロック棒15の正面図である。
【図6】図4のA−A線断面図である。
【図7】ストッパー部材33の斜視図である。
【図8】従来例に係るロック装置を取り付けた戸棚の斜視図である。
【図9】従来例に係るロック装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 ロック装置
2 扉枠
3 開閉扉
4 ベース
5 ロックアーム
6 ストライカー
7 ロック溝部材
8 操作摘み
9 リンク機構
11 扉のロック装置
12 収納ケース
13 歯車
14 歯車
15 ロック棒
15a先端部
15b後端部
16 ロック棒
16a先端部
16b後端部
17 受け部材
18 シャフト
18a先端部
19 把手
20 扉
21、22 挿通孔
23、24 軸部
25、26 凹凸部
27a、27b 段部
28 長さ調節手段
29 バネ材(付勢手段)
29a一端部
29b他端部
30 一端側
31 ネジ
32 他端側
33 ストッパー部材
34 基部
35 凹部
36 枠部
37 貫通孔
38 支持部材
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
【図6】
図6
【図7】
図7
【図8】
図8
【図9】
図9
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