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【発明の名称】補聴機能付きヘッドレストおよびヘッドレストカバー
【特許権者】
【識別番号】392007876
【氏名又は名称】須賀 伸治
【住所又は居所】愛知県豊田市土橋町3丁目115番地
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100082500
【氏名又は名称】足立 勉
【発明者】
【氏名】須賀 伸治
【住所又は居所】愛知県豊田市土橋町3丁目115番地
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のシート上部に設けられるヘッドレストであって、
それぞれ外部の音声を入力可能な2つのマイクと、
該マイクから入力された電気信号を所望の音量に対応するレベルに増幅する増幅手段と、
該増幅手段によって増幅された電気信号をそれぞれ音声として出力可能な一組のイヤホンと、
前記増幅手段に電力を供給する電力供給手段と、を備えており、
前記2つのマイクは、当該ヘッドレスト本体の長手方向の端部において、それぞれ利用者の左右の耳に対応する方向の音声を入力可能となる位置に取り付けられており、
前記一組のイヤホンは、当該ヘッドレスト本体の前面において、利用者がシートに座った際に左右の耳に装着できる位置に取り付けられている
ことを特徴とする補聴機能付きヘッドレスト。
【請求項2】
自動車のシート上部に設けられるヘッドレストであって、
それぞれ外部の音声を入力可能な2つのマイクと、
該マイクから入力された電気信号を所望の音量に対応するレベルに増幅する増幅手段と、
該増幅手段によって増幅された電気信号をそれぞれ音声として出力可能な2つのスピーカーと、
前記増幅手段に電力を供給する電力供給手段と、を備えており、
前記2つのマイクは、当該ヘッドレスト本体の長手方向の端部において、それぞれ利用者の左右の耳に対応する方向の音声を入力可能となる位置に取り付けられており、
前記2つのスピーカーは、当該ヘッドレスト本体の前面において、それぞれ利用者の左右の耳に対応する位置に取り付けられており、該左右の耳付近から音声を出力する
ことを特徴とする補聴機能付きヘッドレスト。
【請求項3】
前記増幅手段は、前記2つのマイクから入力された音声を、それぞれ所望の音量に対応する別々のレベルに調整可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドレスト。
【請求項4】
前記電力供給手段が、自動車の備える車載電力供給手段からの電力供給によって充電される二次電池である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の補聴機能付きヘッドレスト。
【請求項5】
自動車のシート上部に設けられているヘッドレストに被せるヘッドレストカバーであって、
それぞれ外部の音声を入力可能な2つのマイクと、
該マイクから入力された電気信号を所望の音量に対応するレベルに増幅する増幅手段と、
該増幅手段によって増幅された電気信号をそれぞれ音声として出力可能な一組のイヤホンと、
前記増幅手段に電力を供給する電力供給手段と、を備えており、
前記2つのマイクは、当該ヘッドレスト本体の長手方向の端部において、それぞれ利用者の左右の耳に対応する方向の音声を入力可能となる位置に取り付けられており、
前記一組のイヤホンは、当該ヘッドレスト本体の前面において、利用者がシートに座った際に左右の耳に装着できる位置に取り付けられている
ことを特徴とする補聴機能付きヘッドレストカバー。
【請求項6】
自動車のシート上部に設けられているヘッドレストに被せるヘッドレストカバーであって、
それぞれ外部の音声を入力可能な2つのマイクと、
該マイクから入力された電気信号を所望の音量に対応するレベルに増幅する増幅手段と、
該増幅手段によって増幅された電気信号をそれぞれ音声として出力可能な2つのスピーカーと、
前記増幅手段に電力を供給する電力供給手段と、を備えており、
前記2つのマイクは、当該ヘッドレスト本体の長手方向の端部において、それぞれ利用者の左右の耳に対応する方向の音声を入力可能となる位置に取り付けられており、
前記2つのスピーカーは、当該ヘッドレスト本体の前面において、それぞれ利用者の左右の耳に対応する位置に取り付けられており、該左右の耳付近から音声を出力する
ことを特徴とする補聴機能付きヘッドレストカバー。
【請求項7】
前記増幅手段は、前記2つのマイクから入力された音声を、それぞれ所望の音量に対応する別々のレベルに調整可能に構成されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載のヘッドレスト。
【請求項8】
前記電力供給手段が、自動車の備える車載電力供給手段からの電力供給によって充電される二次電池である
ことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の補聴機能付きヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のシート上部に設けられる補聴機能付きヘッドレストおよびヘッドレストカバーに関する。
【従来の技術】
近年、自動車室内の静粛性は高まってきており、エンジン音やロードノイズなど雑音が室内へ侵入しにくくなっているため、快適に運転を行うことができる。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような静粛性の高い自動車においては、運転中に周囲の様々な音声(例えば、踏切遮断機の警告音や緊急車両のサイレンなど)の聞き取りが困難な場合もあった。特に、聴力が弱い運転者にとっては、踏切遮断機の警告音に気づかずに踏切に進入することによる事故の恐れや、救急車両の接近に気づかないことにより救助活動の妨げになる恐れがあった。
この解決法として、運転中の聴力を補うために補聴器を用いることも考えられるが、補聴器は、通常各利用者に合わせてつくられるため非常に高価である。また、補聴器は、内蔵電池が切れることにより、上記と同様に事故の恐れや、救助活動の妨げになる恐れがある。
本発明は、聴力の弱い運転者であっても、周囲の音声を聞き取りやすい補聴機能付きヘッドレストおよびヘッドレストカバーを提供すること、さらに、安価に補聴機能を実現し、運転中に電池が切れる恐れがない補聴機能付きヘッドレストおよびヘッドレストカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記問題を解決するため本発明の補聴機能付きヘッドレストは、マイクと、該マイクから入力された電気信号を所望の音量に対応するレベルに増幅する増幅手段と、該増幅手段によって増幅された電気信号を音声として出力可能な音声出力手段と、前記増幅手段に電力を供給する電力供給手段とを備えたことを特徴とする。
この補聴機能付きヘッドレストにおいて、マイクは、2つのマイクをヘッドレストの両端に設けて、利用者の耳に対応する方向の音声を入力可能に構成すればよい。
また、増幅手段は、マイクから入力された音声を所望の音量に対応するレベルに調整可能に構成すればよく、例えば、周知の増幅回路などを利用することができる。また、マイクが2つ設けられている本発明においては、それぞれのレベルを別々に調節できるようになっているとよい。
また、音声出力手段は、増幅された電気信号を音声として出力可能であって、イヤホン、ヘッドホン、スピーカーなどを利用することができる。また、音声出力手段として、ヘッドレスト前面に2つのスピーカーを設けて、利用者がシートに座った際に左右の耳付近から音声が出力されるように構成すればよい。また、ヘッドレスト前面に1組のイヤホンを設けて、利用者がシートに座った際、左右の耳に装着できるように構成してもよい。
また、電力供給手段としては、自動車に搭載された車載バッテリーやオルタネーターを利用すればよく、電池をヘッドレストに内蔵して利用してもよい。
このように構成された補聴機能付きヘッドレストによれば、周囲の音声が増幅手段によって増幅されるため、運転者は、周囲の音声を聞き取りやすくなる。また、各手段を上述のような周知の装置によって構成できるため、補聴器に比べて安価につくることができる。
なお、マイクおよび音声出力手段は、両者の取付位置が近い場合、音声出力手段から出力される音声がマイクに入力することにより発振現象(ハウリング)が起こる恐れがあるため、発振現象が起こらない程度の位置に設ければよい。また、指向性のあるマイクを利用することにより、発振現象を防止してもよい。
ところで、自動車室内において、車載バッテリーからの電力供給を受けるには、取り付けの利便性から、シガーライター用のソケットを経由することが通常行われている。但し、車種によっては、イグニッションキーをオフにしているとシガーライター用のソケットから電力が供給されない場合もある。このような車種においては、シガーライター用のソケットを経由して補聴機能付きヘッドレストに電力供給するように構成した場合、補聴機能を利用できなくなることがある。また、電力供給手段としてオルタネーターを利用した場合、自動車のエンジンが作動していないと補聴機能を利用できない。また、電力供給手段として電池を利用した場合、電池が切れることによって、同様に補聴機能を利用できなくなる恐れがある。そこで、前記電力供給手段が、自動車の備える車載電力供給手段からの電力供給によって充電される二次電池であるとよい。
この補聴機能付きヘッドレストにおける車載電力供給手段は、例えば、車載バッテリーやオルタネーターである。
このように構成された補聴機能付きヘッドレストによれば、電力供給手段として二次電池を利用しているため、自動車のイグニッションキーをオフにしていたり、エンジンが作動していなくても、二次電池が充分に充電されていれば補聴機能を利用することができる。また、二次電池が車載電力供給手段からの電力供給によって充電されるため、エンジンが作動中であれば電池切れになる恐れもない。
また、本発明の補聴機能付きヘッドレストカバーは、自動車のシート上部に設けられているヘッドレストに被せるヘッドレストカバーであって、マイクと、該マイクから入力された電気信号を所望の音量に対応するレベルに増幅する増幅手段と、該増幅手段によって増幅された電気信号を音声として出力可能な音声出力手段と、前記増幅手段に電力を供給する電力供給手段とを備えたことを特徴とする。
この補聴機能付きヘッドレストカバーにおける、マイク、増幅手段、音声出力手段および電力供給手段は、請求項1における補聴機能付きヘッドレストと同様のものである。
このように構成された補聴機能付きヘッドレストカバーによれば、周囲の音声が増幅手段によって増幅されるため、運転者は、周囲の音声を聞き取りやすい。また、各手段を上述のように周知の装置によって構成できるため、補聴器に比べて安価につくることができる。さらに、ヘッドレストに被せるヘッドレストカバーに補聴機能を持たせたものであるため、運転席、助手席を問わず、容易に既設のヘッドレストに補聴機能を付加することができる。
また、前記電力供給手段が、自動車の備える車載電力供給手段からの電力供給によって充電される二次電池であるとよい。このように構成された補聴機能付きヘッドレストによれば、電力供給手段として、二次電池を利用しているため、自動車のイグニッションキーをオフにしていたり、エンジンが作動していなくても、二次電池が充分に充電されていれば補聴機能を利用することができる。また、二次電池が車載電力供給手段からの電力供給によって充電されるため、エンジンが作動中であれば電池切れになる恐れもない。
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について一例を挙げて説明する。
[実施例1]
[全体構成]
補聴機能付きヘッドレスト1は、図1に示すように、増幅回路などの素子を実装した回路基板10、電池ボックス20、シガーライタープラグ22、電源スイッチ24、マイク(右)32、マイク(左)34、スピーカー(右)36、スピーカー(左)38、ボリューム(右)40、ボリューム(左)42などによって構成されている。
回路基板10は、各マイク32、34から入力された電気信号を増幅回路によって増幅して各スピーカー36、38に出力する。このとき、スピーカー(右)36への出力レベルは、ボリューム(右)40によって調節可能であり、スピーカー(左)38への出力レベルは、ボリューム(左)42によって調節可能である。
電池ボックス20は、シガーライタープラグ22に接続されており、シガーライタープラグ22から電力供給されることにより、電池ボックス20に収められる二次電池を充電可能である。また、この電池ボックス20は、回路基板10にも接続されており、上述の二次電池が充分に充電されていれば、回路基板10に電力を供給することができる。なお、二次電池としては、例えば、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムイオン電池などを利用することができる。
電源スイッチ24は、シガーライタープラグ22−電池ボックス20間と、電池ボックス20−回路基板10間を同時に接続または切断できるように構成されている。
なお、補聴機能付きヘッドレスト1における回路基板10は、本発明における増幅手段として機能するものである。
また、電池ボックス20は、本発明における電力供給手段として機能するものである。
また、スピーカー36、38は、本発明における音声出力手段として機能するものである。
[実施例1の効果]
このように構成された補聴機能付きヘッドレスト1によれば、周囲の音声が増幅手段によって増幅されるため、運転者は、周囲の音声を聞き取りやすくなる。また、各手段を上述のような周知の装置によって構成できるため、補聴器に比べて安価につくることができる。
また、ボリューム40、42によって、スピーカー36、38から出力される音声の出力レベルを調節できるように構成されているため、運転者の聴力に合わせた音声を出力することができる。また、運転者の左右の耳の聴力が異なっている場合であっても、出力レベルを個別に調節することができる。
また、電池ボックス20が充電可能な二次電池であるため、自動車のイグニッションキーをオフにしていたり、エンジンが作動していなくても、二次電池が充分に充電されていれば補聴機能を利用することができる。また、二次電池が車載バッテリーからの電力供給によって充電されるため、エンジンが作動中であれば電池切れになる恐れもない。
[実施例2]
[全体構成]
補聴機能付きヘッドレストカバー2は、図2に示すように、実施例1における補聴機能付きヘッドレスト1と同様の構成をヘッドレストカバーによって実現したものである。
この補聴機能付きヘッドレストカバー2は、図3に示すように、ヘッドレスト100に被せた後、ファスナー50で固定することによってヘッドレスト100に装着され、補聴機能が付加される。
[実施例2の効果]
このように構成された補聴機能付きヘッドレストカバー2によれば、実施例1と同様の効果があり、さらに、ヘッドレストに被せるヘッドレストカバーに補聴機能を持たせたものであるため、運転席、助手席を問わず、容易に既設のヘッドレストに補聴機能を付加することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施例1および実施例2においては、スピーカー36、38によって音声を出力するものを例示したが、音声を出力する手段は特に限定されず、図4に示すように、イヤホン(右)56およびイヤホン(左)58によって音声を出力するように構成してもよい。
また、上記実施例1および実施例2において、図5(a)に示すように、シガーライタープラグ50が、シガーライタープラグ差込口52を備えていてもよい。また、図5(b)に示すように、2つのヘッドレスト1が、1のシガーライタープラグ60によって接続されていてもよい。この場合、ヘッドレスト1またはヘッドレストカバー2を運転席および助手席両方に取り付けた場合でも、運転席および助手席両方の利用者が補聴機能を利用することができる。
また、上記実施形態においては、車載バッテリーから電力が供給されるものを例示したが、オルタネーターや太陽電池などから電力が供給されるように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、シガーライタープラグ22を経由して車載バッテリーに接続されるものを例示したが、シガーライタープラグ22を用いなくてもよく、例えば、車載バッテリーに直接接続してもよい。この場合、シガーライタープラグ22が抜けてしまうことによって電力供給が断たれる恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】補聴機能付きヘッドレストの実施形態を示す図である。
【図2】補聴機能付きヘッドレストカバーの実施形態を示す図である。
【図3】補聴機能付きヘッドレストカバーをヘッドレストに装着した状態の断面図である。
【図4】補聴機能付きヘッドレストの別の実施形態を示す図である。
【図5】補聴機能付きヘッドレストの別の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1、3・・・補聴機能付きヘッドレスト、2・・・補聴機能付きヘッドレストカバー、10・・・回路基板、20・・・電池ボックス、22・・・シガーライタープラグ、24・・・電源スイッチ、32・・・マイク(右)、34・・・マイク(左)、36・・・スピーカー(右)、38・・・スピーカー(左)、40・・・ボリューム(右)、42・・・ボリューム(左)。
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
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