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スポーツ・娯楽
 
【考案の名称】ゴルフボール取出装置
【実用新案権者】
【識別番号】594027638
【氏名又は名称】石河 征司
【住所又は居所】兵庫県神戸市須磨区東白川台4丁目1番9号
【代理人】
【識別番号】100091834
【弁理士】
【氏名又は名称】室田 力雄
【考案者】
【氏名】石河 征司
【住所又は居所】兵庫県神戸市須磨区東白川台4丁目1番9号
【要約】 (修正有)
【課題】ゴルフボールのカップからの取り出しがスムーズで、高齢者等の体力のない者でも楽な姿勢で且つ容易にゴルフボールの回収ができ、カップの上縁部の土を傷つけることなくゴルフボールを取り出すことが可能となるゴルフボール取出装置を提供する。
【解決手段】カップ本体10、その中央部に立設固定されて旗竿Fの差し入れを受ける旗竿受筒部20、その内部に下方からバネ付勢された状態で配置されると共に旗竿Fの差し入れ端を受け止める浮底部30、旗竿受筒部20に対して摺動自在に外嵌挿されてなる外筒部50、その上端部に設けられてゴルフボールBのカップ本体10内への落下を受けるゴルフボール受底部60とを備え、旗竿受筒部20に差し入れられている旗竿Fを更にバネ付勢に抗して下方に押し下げることで、浮底部30を下方に降下させると共に、それに伴って外筒部50をゴルフボール受底部60と共に上方に上昇させる構成としてある。
【選択図】図1
選択図
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
カップ本体と、該カップ本体の中央部に立設固定されて旗竿の差し入れを受ける旗竿受筒部と、該旗竿受筒部の内部に下方からバネ付勢された状態で配置されると共に前記旗竿の差し入れ端を受け止める浮底部と、前記旗竿受筒部に対して摺動自在に外嵌挿されてなる外筒部と、該外筒部の上端部に設けられてゴルフボールのカップ本体内への落下を受けるゴルフボール受底部とを備え、前記旗竿受筒部に差し入れられている旗竿を更に前記バネ付勢に抗して下方に押し下げることで、前記浮底部を下方に降下させると共に、それに伴って前記外筒部を前記ゴルフボール受底部と共に上方に上昇させる構成としてあることを特徴とするゴルフボール取出装置。
【請求項2】
旗竿受筒部の内部に配置される浮底部と旗竿受筒部に摺動自在に外嵌挿される外筒部とは、定滑車を介して連結紐で連結され、一方が降下すると他方が上昇する滑車機構に構成してあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール取出装置。
【請求項3】
旗竿受筒部とそれに外嵌挿される外筒部との間に滑車機構用の部材を配置するための配置空間を確保してあることを特徴とする請求項2に記載のゴルフボール取出装置。
【請求項4】
滑車機構用の部材として、旗竿受筒部にはその側面に配置空間内に突出して配置される滑車取付部を設け、浮底部にはその側面に前記配置空間内に突出して配置される紐取付部を設け、前記外筒部にはその下方の側面に配置空間内に突出して配置される紐取付部を設け、これにより滑車取付部に取り付けられる定滑車と、該定滑車を介して前記旗竿受筒部の紐取付部と前記外筒部の紐取付部との間に掛けられる連結紐とが全て前記旗竿受筒部とそれに外嵌挿される外筒部との間の前記配置空間内に収められる構成とし、更に前記浮底部の紐取付部を配置空間内に突出させたまま上下移動自在とするための縦方向のガイドスリットを前記旗竿受筒部に構成してあることを特徴とする請求項3に記載のゴルフボール取出装置。
【請求項5】
旗竿受筒部に設けた縦方向のガイドスリットの上端を浮底部の移動上端位置とすると共にガイドスリットの下端を浮底部の移動下端位置とし、且つ旗竿が無負荷で旗竿受筒部に差し入れられている状態では前記浮底部の位置が前記移動上端位置にあるようにバネ付勢してあることを特徴とする請求項4に記載のゴルフボール取出装置。
【請求項6】
浮底部の紐取付部の位置は、浮底部が何れの移動位置にあっても旗竿受筒部の定滑車の位置よりも低く且つ外筒部の紐取付部の位置よりも高くなるように、ガイドスリットの上端と下端の各位置を決めてあることを特徴とする請求項5に記載のゴルフボール取出装置。
【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案はゴルフボール取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カップインしたゴルフボールをカップから取り出すことは決して難しいことではない。しかしシニアにとっては、グランド面よりも下にあるボールをカップから取り出すには、腰を曲げる等する必要があり、邪魔な面がある。
従って、カップインしたゴルフボールを楽な姿勢で簡単に取り出せる装置が期待されるところである。
またカップインしているゴルフボールを取り出す際に、カップ内に手を入れることで、ホール上縁の土を手で傷つけたりダレさせたりする問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2021−6245号公報
【考案の概要】
【考案が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、ピンホールに入ったゴルフボールを取り出すゴルフボール取出し装置が開示されている。
このゴルフボール取出し装置によれば、カップ10の中央に立設される旗竿3に対して、進退(上下動)自在に外嵌挿できるようにした操作体(グリップ部1、連結部2)を設け、この操作体の下端部に、カップ内に落下してきたゴルフボール14を受ける受け皿としての円盤部4を設けている。
カップ10内のゴルフボール14を取り出す場合は、前記旗竿3に外嵌挿する操作体を手で持って上方に引き上げることで、前記受け皿である円盤部4と共にカップ10内のゴルフボール11を上昇させ、カップ10からの取り出しを容易とする。
しかしながら特許文献1の考案では、手で操作体を上方に引き上げながら、その一方、体は下方に屈めてボールを掴む必要がある。即ち、下方から上方への手の動きと上方から下方への体の動きが逆となるためアンバランスな状態での動作を強いられる欠点があり、また力も入れ難く、必ずしもゴルフボールの取り出しが楽になると言うものではなかった。
【0005】
そこで本考案は上記従来技術の問題を解消し、ゴルフボールのカップからの取り出しがスムーズとなり、高齢者等の体力のない者にとっても、楽な姿勢で且つ容易にゴルフボールの回収ができ、またカップの上縁部の土を傷つけることなくゴルフボールを取り出すことが可能となるゴルフボール取出装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本考案のゴルフボール取出装置は、カップ本体と、該カップ本体の中央部に立設固定されて旗竿の差し入れを受ける旗竿受筒部と、該旗竿受筒部の内部に下方からバネ付勢された状態で配置されると共に前記旗竿の差し入れ端を受け止める浮底部と、前記旗竿受筒部に対して摺動自在に外嵌挿されてなる外筒部と、該外筒部の上端部に設けられてゴルフボールのカップ本体内への落下を受けるゴルフボール受底部とを備え、前記旗竿受筒部に差し入れられている旗竿を更に前記バネ付勢に抗して下方に押し下げることで、前記浮底部を下方に降下させると共に、それに伴って前記外筒部を前記ゴルフボール受底部と共に上方に上昇させる構成としてあることを第1の特徴としている。
また本考案のゴルフボール取出装置は、上記第1の特徴に加えて、旗竿受筒部の内部に配置される浮底部と旗竿受筒部に摺動自在に外嵌挿される外筒部とは、定滑車を介して連結紐で連結され、一方が降下すると他方が上昇する滑車機構に構成してあることを第2の特徴としている。
また本考案のゴルフボール取出装置は、上記第2の特徴に加えて、旗竿受筒部とそれに外嵌挿される外筒部との間に滑車機構用の部材を配置するための配置空間を確保してあることを第3の特徴としている。
また本考案のゴルフボール取出装置は、上記第3の特徴に加えて、滑車機構用の部材として、旗竿受筒部にはその側面に配置空間内に突出して配置される滑車取付部を設け、浮底部にはその側面に前記配置空間内に突出して配置される紐取付部を設け、前記外筒部にはその下方の側面に配置空間内に突出して配置される紐取付部を設け、これにより前記滑車取付部に取り付けられる定滑車と、該定滑車を介して前記旗竿受筒部の紐取付部と前記外筒部の紐取付部との間に掛けられる連結紐とが全て前記旗竿受筒部とそれに外嵌挿される外筒部との間の前記配置空間内に収められる構成とし、更に前記浮底部の紐取付部を配置空間内に突出させたまま上下移動自在とするための縦方向のガイドスリットを前記旗竿受筒部に構成してあることを第4の特徴としている。
また本考案のゴルフボール取出装置は、上記第4の特徴に加えて、旗竿受筒部に設けた縦方向のガイドスリットの上端を浮底部の移動上端位置とすると共にガイドスリットの下端を浮底部の移動下端位置とし、且つ旗竿が無負荷で旗竿受筒部に差し入れられている状態では前記浮底部の位置が前記移動上端位置にあるようにバネ付勢してあることを第5の特徴としている。
また本考案のゴルフボール取出装置は、上記第5の特徴に加えて、浮底部の紐取付部の位置は、浮底部が何れの移動位置にあっても旗竿受筒部の定滑車の位置よりも低く且つ外筒部の紐取付部の位置よりも高くなるように、ガイドスリットの上端と下端の各位置を決めてあることを第6の特徴としている。
【考案の効果】
【0007】
請求項1に記載のゴルフボール取出装置によれば、カップ本体の中央部に旗竿受筒部が立設固定されている。該旗竿受筒部に旗竿が抜き差しされる。旗竿受筒部の内部には浮底部が配置されている。この浮底部は下方からバネ付勢されており、差し入れられた旗竿の差し入れ端を受け止める。前記旗竿受筒部には外筒部が摺動自在に外嵌挿されている。そして前記外筒部の上端部にゴルフボール受底部が設けられている。このゴルフボール受部はカップ本体内に落下してきたゴルフボールを受ける。
前記旗竿受筒部に差し入れられている旗竿が前記バネ付勢に抗して下方に押し下げられると、前記浮底部が下方に降下し、それに伴って前記外筒部が上方に上昇し、外筒部に設けられたゴルフボール受底部も上方に上昇するように構成されている。
よってカップ本体内に落下したゴルフボールをカップ本体から取り出そうする者は、カップ本体に差し込まれている旗竿を手で掴んで下方に押し下げることで、カップ本体内の底にあるゴルフボールを容易にウランド面上まで或いはグランド面近くまで移動、上昇させることができ、よってグランド面上に出てきた或いはグランド面上に現れてきたゴルフボールを容易に掴んで回収することができる。
即ち、ゴルフボールをカップ本体から取り出そうとする者にとって、旗竿を押し下げる動作とゴルフボールを掴みに行く動作とが、同方向の動作となるので、動作態勢に無理が生じない。このため、ゴルフボールをカップ本体から取り出そうとする者は、旗竿を押し下げながら、その動作の延長で、グランド面上に出てきたゴルフボールを楽な姿勢でスムーズに掴んで取り出すことができる。
従って年長者や女性等の体力等の劣る者にとっても、ゴルフボールのカップからの取り出しが原因で疲れてしまうようなことがなくなり、プレーをより楽しむことが可能となる。また老齢者等のプレー人口を増やすことにもつながる。
【0008】
請求項2に記載のゴルフボール取出装置によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、旗竿受筒部の内部に配置される浮底部と旗竿受筒部に摺動自在に外嵌挿される外筒部とは、定滑車を介して連結紐で連結され、一方が降下すると他方が上昇する滑車機構に構成されている。
従ってこの滑車機構によれば、旗竿が下方に押し下げられることで浮底部が下方に降下すると、それに伴って浮底部に連結された連結紐が下方に引っ張られ、これにより定滑車を介して外筒部に連結された連結紐が上方に引っ張られる。そして外筒部が上方に引っ張られて上昇されると、外筒部に設けられたゴルフボール受底部も上方に上昇する。
よってこの滑車機構により、旗竿の押し下げを行うことにより、ゴルフボール受底部を簡素な構造でスムーズに上方へ移動させることができる。
【0009】
請求項3に記載のゴルフボール取出装置によれば、上記請求項2に記載の構成による作用効果に加えて、旗竿受筒部とそれに外嵌挿される外筒部との間に滑車機構用の部材を配置するための配置空間を確保してある。従って滑車機構用の部材は、何れも旗竿受筒部とその外側に外嵌挿された外筒部との間に確保される配置空間に配置されるため、滑車機構を非常にコンパクトに構成することができる。しかも滑車機構の主要部材である連結紐はその全長の全てが配置空間に確実に収納された状態となるので、連結紐による確実な動きが期待できる。
【0010】
請求項4に記載のゴルフボール取出装置によれば、上記請求項3に記載の構成による作用効果に加えて、滑車機構用の部材として、旗竿受筒部には滑車取付部と定滑車を設け、浮底部と外筒部とにはそれぞれ紐取付部を設け、そして前記一対の紐取付部を定滑車を介して連結する連結紐を設けることができる。そしてそれらの部材の全部を旗竿受筒部とそれに外嵌挿される外筒部との間の前記配置空間内に収めることができる。よって滑車機構が非常にコンパクトで且つ機能性に優れたものとなる。
更に旗竿受筒部には縦方向のガイドスリットを構成することで、浮底部の側面に突出させた紐取付部が前記ガイドスリットを介して旗竿受筒部と外筒部との間の配置空間内までスムーズに突出する状態とすることが可能となり、これによって配置空間内での連結紐との連結が可能となる。そしてまた旗竿受筒部の縦方向のガイドスリットを構成することで、紐取付部を備えた浮底部をガイドスリットに沿って上下方向に容易に確実に移動させることが可能となる。
【0011】
請求項5に記載のゴルフボール取出装置によれば、上記請求項4に記載の構成による作用効果に加えて、旗竿受筒部に設けた縦方向のガイドスリットの上端を浮底部の移動上端位置とすると共にガイドスリットの下端を浮底部の移動下端位置とし、且つ旗竿が無負荷で旗竿受筒部に差し入れられている状態では前記浮底部の位置が前記移動上端位置にあるようにバネ付勢してある。
従って浮底部は、バネ付勢により定常的な位置とされるガイドスリット上端から、人手による押し下げによって、ガイドスリット下端まで降下可能となり、それに伴って外筒部及びそれに設けられたゴルフボール受底部は同じ距離だけ上昇可能となる。よって、カップ本体内にあるゴルフボールの位置をグランド面上まで移動させることが可能となる。
そしてまた、連結紐の長さを調節することで、浮底部の上下位置に対応する外筒部の上下位置、更にはゴルフボール受底部のカップ本体内での上下位置を調節して定めることができる。
言い換えれば、連結紐の長さを調整することで、浮底部がその移動上端位置(即ち旗竿が無負荷状態で旗竿受筒部に差し入れられているときの浮底部の位置)にあるときのゴルフボール受底部のカップ本体内での深さ位置を容易に調節して決めることができる。また浮底部が移動下端位置、即ち旗竿が負荷をもって下端まで押し下げられたときのゴルフボール受底部のカップ本体内での深さ位置を、容易に調節して決めることができる。
またガイドスリットの上端から下端までの長さを調節することで、ゴルフボール受底部のカップ本体内での上昇距離を調節することができる。
【0012】
請求項6に記載のゴルフボール取出装置によれば、上記請求項5に記載の構成による作用効果に加えて、浮底部の紐取付部の位置は、浮底部が何れの移動位置にあっても旗竿受筒部の定滑車の位置よりも低く且つ外筒部の紐取付部の位置よりも高くなるように、ガイドスリットの上端と下端の各位置を決めてある。
よって旗竿受筒部の定滑車の両側に連結紐で掛け下げられた浮底部の紐取付分と外筒部の紐取付部とは、旗竿受筒部と外筒部との間の配置空間において、決して両者が上下方向に交差移動することがないようにすることができる。これにより、前記配置空間である旗竿受筒部と外筒部との隙間をある程度狭くしても、配置空間内で浮底部の紐取付部と外筒部の紐取付部とが絡んだりする不都合を防止することができ、コンパクトで安定した動作を行うゴルフボール取出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本考案の実施形態に係るゴルフボール取出装置の定常時における全体縦断面図である。
【図2】本考案の実施形態に係るゴルフボール取出装置の部分拡大縦断面図である。
【図3】本考案の実施形態に係るゴルフボール取出装置の旗竿受筒部の平面図である。
【図4】本考案の実施形態に係るゴルフボール取出装置の浮底部の平面図である。
【図5】本考案の実施形態に係るゴルフボール取出装置の旗竿押し下げ時における全体縦断面図である。
【考案を実施するための形態】
【0014】
以下、本考案の実施形態に係るゴルフボール取出装置を説明し、本考案の理解に供する。しかし、以下の説明は本考案の実用新案登録請求の範囲に記載の範囲を限定するものではない。
【0015】
先ず図1、図2を参照して、本考案の実施形態を説明する。
ゴルフボール取出装置1は、カップ本体10、旗竿受筒部20、浮底部30、バネ40、外筒部50、ゴルフボール受底部60、連結紐70、配置空間80等を備えている。
【0016】
前記カップ本体10は、いわゆるホールカップを構成するもので、グランド面G上を転がってきたゴルフボールBがホールインすると、カップ本体10内に落下して内部に留まる。このカップ本体10は定められた所定の外観寸法にて構成されることになる。またカップ本体10はその上端がグランド面Gよりも少し低い位置となるように設置される。
【0017】
前記旗竿受筒部20は、旗竿Fをカップ本体10の中央部に抜き差し自在に立設するための部材である。
カップ本体10の底部に土台部11を固定配置し、この土台部11の中央に突出受座11aを設けている。前記旗竿受筒部20は、その筒部20の下部で前記土台部11の突出受座11aに嵌め合わされ、固定されている。
前記旗竿受筒部20の上端は、カップ本体10の上端位置よりも低くなるように構成して、プレーの邪魔にならないようにしている。
旗竿受筒部20には滑車取付部21、定滑車22、ガイドスリット23が設けられている。
【0018】
前記浮底部30は前記旗竿受筒部20の筒の内部に摺動自在に配置されている。浮底部30は旗竿受筒部20に差し入れられた旗竿Fの差し入れ端(下端)を受け止める。浮底部30は下方からバネ40によってバネ付勢されている。バネ40は旗竿受筒部20の筒内であって前記土台部11の突出受座11aと浮底部30の下面との間に施されている。
浮底部30には紐取付部31が設けられている。
【0019】
前記外筒部50は、前記旗竿受筒部20に対して摺動自在に外嵌挿された状態に構成されている。
外筒部50にはその下端に紐取付部51が設けられている。この紐取付部51は外筒体50に内向きに突出して設けられている。また外筒部50の上端にはゴルフボール受底部60を取り付けるための取付座52が設けられている。
【0020】
前記ゴルフボール受底部60は、カップ本体10内に落下してきたゴルフボールBを受け止める底板の役割を果たすもので、前記外筒部50の上端の取付座52に略水平方向の円板として取り付けられる。
ゴルフボール受底部60の中央部には貫通孔61が設けられ、前記旗竿受筒部20が貫通孔61を貫通する状態で立設されている。
【0021】
前記連結紐70は、前記浮底部30と外筒部50とを滑車機構を介して連結する紐であり、浮底部30と外筒部50とを相対移動をさせるためのものである。滑車機構により浮底部30が降下すると、外筒部50が上昇し、それに伴ってゴルフボール受底部60が上昇する。
前記滑車機構は、前記旗竿受筒部20の滑車取付部21及び定滑車22と、前記浮底部30の紐取付部31と、前記外筒部50の紐取付部51と、前記連結紐70とからなる。
連結紐70は定滑車22に掛けられ、その一端が浮底部30の紐取付部31に結ばれ、他端が外筒部50の紐取付部51に結ばれて構成される。定滑車22に掛けられた連結紐70によって浮底部30と外筒部50とが上下方向に相対移動する。
【0022】
前記配置空間80は、その空間内に前記滑車取付部21、定滑車22、紐取付部31、紐取付部51、連結紐70を含む滑車機構の部材を収納するために構成された空間である。
配置空間80は旗竿受筒部20とその外側に嵌挿される外筒部50との間の隙間として構成される。
配置空間80の隙間寸法は、外筒部50の紐取付部51とゴルフボール受底部60とにおける、外筒部50からの内向きの突出寸法を調節することで定めることができる。
【0023】
前記滑車取付部21は旗竿受筒部20の側面からその側方にある配置空間80内に突出して設けている。そして滑車取付部21に定滑車22を軸支して設けている。
滑車取付部21は、一対を旗竿受筒部20の円周方向に180度の間隔で設けることができる。滑車取付部21は二対設けるようにしてもよい。この場合、二対目は、一対目と90度ずらした位置に設けられることになる。本実施形態の場合は、図3に示すように二対設けている。
【0024】
前記紐取付部31は浮底部30の側面からその側方にある配置空間80内に突出して設けられるようにしている。このために旗竿受筒部20にガイドスリット23を設け、前記紐取付部31がガイドスリット23を通り抜けて配置空間80に達することができるようにしている。本実施形態の場合は、図4に示すように、紐取付部31は滑車取付部21の位置に対応して二対設けられている。
また前記ガイドスリット23は、浮底部30に設けられる紐取付部31の位置に対応して、また紐取付部31の数に対応して設けられる。
また前記ガイドスリット23は、前記浮底部30が上下方向に移動できる範囲を規制するために設けられている。
即ち、旗竿受筒部20に設けた縦方向のガイドスリット23の上端23aを浮底部30の移動上端位置とすると共に、ガイドスリット23の下端23bを浮底部30の移動下端位置として、前記ガイドスリット23の上端23aと下端23bとを定めている。
そして旗竿Fが無負荷で旗竿受筒部20に差し入れられている状態における位置、即ち定常位置においては、浮底部30の位置がガイドスリット23の上端23aに位置するように調整している。
【0025】
前記ガイドスリット23の上端23a位置を定めることで、前記浮底部30の定常位置である移動上端位置が決まり、よって前記外筒部50の定常位置である移動下端位置が決まり、更にゴルフボール受底部60の定常位置である移動下端位置を決めることができる。
またガイドスリット23の下端23b位置を定めることで、前記浮底部30の移動下端位置が決まり、よって前記外筒部50の移動上端位置が決まり、更にゴルフボール受底部60の移動上端位置を決めることができる。このゴルフボール受底部60の移動上端位置をグランド面G上或いはそれに近い位置となるようにすることで、ゴルフボールBを容易に取り出すことができる。
また前記ガイドスリット23の上端23aと下端23bとの距離を調整することで、ゴルフボール受底部60のカップ本体10内での定常位置からの上昇距離を調節することができる。
【0026】
前記紐取付部51は外筒部50の内側面に内向きに突出して設けられている。
紐取付部51は、前記浮底部30の紐取付部31に対応した円周位置に設けることができる。また紐取付部51は、前記浮底部30の紐取付部31に対応して、一対若しくは二対を旗筒受筒部20の円周方向の180度の位置に設けている(本実施形態の場合は、二対)。
紐取付部51は外筒部50の下端に内向きに設けることで、外筒部50の旗竿受筒部20に対する安定した摺動を確保することができる。
また紐取付部51の内向きの突出寸法を決めることで、前記ゴルフボール受底部60の外筒部50に対する内向きの突出寸法と相まって、配置空間80の隙間寸法を決めることができる。隙間寸法を適度に決めることで、滑車機構を良好に且つコンパクトに収納することが可能となる。
【0027】
前記旗竿受筒部20の滑車取付部21や定滑車22と、浮底部30の紐取付部31及び前記外筒部50の紐取付部51との位置関係について更に述べる。
浮底部30の紐取付部31の位置は、浮底部30が何れの移動位置にあっても旗竿受筒部20の滑車取付部21や定滑車22の位置よりも低く且つ外筒部50の紐取付部51の位置よりも高くなるように、ガイドスリット23の上端23aと下端23bの各位置を決めるようにしている。
即ち、旗竿受筒部20の滑車取付部21や定滑車22の位置は、ガイドスリット23の上端23a位置より高い位置とし、これによって浮底部30がガイドスリッド23の上端23aまで上昇してきても紐取付部31が滑車取付部21や定滑車30に接触して、動作不良が生じないようにしている。
またガイドスリット23の上端23aから下端23bまでの距離が、定常状態における浮底部30の紐取付部31の位置と外筒部50の紐取付部51の位置との距離の1/2未満になるように、各距離や位置を決めるようにしている。このようにして浮底部30の紐取付部31と外筒部50の紐取付部51とが、決して交差移動することが無いようにすることができる。よって滑車機構を配置する配置空間80である旗竿受筒部20と外筒部50との隙間をある程度狭くしても、配置空間80内で浮底部30の紐取付部31と外筒部50の紐取付部51ちが絡んだりする不都合を防止することができ、コンパクトで安定した動作を行うゴルフボール取出装置を提供することができる。
【0028】
本装置を用いたゴルフボールの取り出し操作乃至動作について説明する。
本装置はグリーン上等のグランド面Gに開口するホールの位置に配設され、旗竿受筒部20に旗竿Fが差し込まれる。
旗竿Fが差し込まれたままで何の力も加えられていない無負荷の定常状態では、旗竿Fには人的な力が負荷されていないので、図1に示すように、浮底部30がバネ40によって最上位位置、即ちガイドスリット23の上端23aの位置にある。このとき滑車機構を介して外筒部50はその最下位位置まで下がった状態にある。即ち図1においては、外筒部50の下端がカップ本体10の底(土台部11)に着地した状態まで降下した状態となっている。よってゴルフボール受底部60もカップ本体10内で定常状態である最下位位置に位置している。
【0029】
次に旗竿受筒部20に差し込まれている旗竿Fが、ゴルフボールBをカップ本体10から取り出そうとする者等によって、バネ40に抗して押し下げられると、浮底部30が降下し、図5に示すように、最大でガイドスリット23の下端23b位置まで押し下げられる。このとき浮底部30の紐取付部31はガイドスリット23の隙間を介して配置空間80内まで突出した状態のまま降下する。浮底部30の最大降下位置(最下位位置)は前記紐取付部31がガイドスリット23の下端23bに達した位置となる。
【0030】
前記浮底部30が降下移動すると、滑車機構を構成する紐取付部31、滑車取付部21、定滑車22、紐取付部51、連結紐70を介して外筒部50が最下位位置から上昇移動する。そして前記浮底部30が最大降下位置(最下位位置)に達することで、外筒部50は最大上昇位置(最上位位置)まで上昇する。外筒部50の上昇に伴いゴルフボール受底部60がカップ本体10内で上昇し、ゴルフボールBをグランド面G若しくはグランド面Gに近い位置に押し上げる。
作業者は旗竿Fを持って押し下げながら、グランド面G若しくはグランド面Gに近い位置に上昇してきたゴルフボールBを容易に掴んで回収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本考案のゴルフボール取出装置は、ゴルフ関連産業上において大いに利用される技術として、産業上の利用可能性が大きい。
【符号の説明】
【0032】
1 ゴルフボール取出装置
10 カップ本体
11 土台部
11a 突出受座
20 旗竿受筒部
21 滑車取付部
22 定滑車
23 ガイドスリット
23a 上端
23b 下端
30 浮底部
31 紐取付部
40 バネ
50 外筒部
51 紐取付部
52 取付座
60 ゴルフボール受底部
61 貫通孔
70 連結紐
80 配置空間
B ゴルフボール
F 旗竿
G グランド面
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
【図4】
図4
【図5】
図5
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