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スポーツ・娯楽
 
【発明の名称】釣り用ルアー
【出願人】
【識別番号】522119112
【氏名又は名称】松尾 龍成
【住所又は居所】神奈川県藤沢市宮原3642-5 トスカーナ201
【代理人】
【識別番号】100173989
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 友文
【発明者】
【氏名】松尾 龍成
【住所又は居所】神奈川県藤沢市宮原3642-5 トスカーナ201
【要約】
【課題】 ボディが釣魚により咥えられて釣り糸が引っ張られた状態で釣り針がボディの外部に突出する一方、ボディが釣魚により咥えられずに釣り糸が引っ張られて独自に水中を移動する状態で釣り針がボディの内部に収容される釣り用ルアーを提供すること。
【解決手段】 釣り用ルアーは、内部に釣り針を出没可能に収容するボディと、そのボディに出没可能に設けられ、そのボディ内で釣り針と連結される出没体と、その出没体に対してその没入方向に力を付与して出没体の突出移動を阻止する阻止手段と、その出没体に設けられ釣り糸を係着可能な係着部と、その係着部が阻止手段により付与される力を超える外力で出没体の突出方向へ引かれることによって出没体の突出移動に連動して突出される釣り針とを備えている。
【選択図】 図2
選択図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に釣り針を出没可能に収容するボディと、
そのボディに出没可能に設けられ、そのボディ内で前記釣り針と連結される出没体と、
その出没体に対してその没入方向に力を付与して当該出没体の突出移動を阻止する阻止手段と、
その出没体に設けられ釣り糸を係着可能な係着部と、
その係着部が前記阻止手段により付与される力を超える外力で前記出没体の突出方向へ引かれることによって当該出没体の突出移動に連動して突出される前記釣り針とを備えていることを特徴とする釣り用ルアー。
【請求項2】
前記出没体に対してその没入方向へ力を付与してその出没体を没入状態に復帰させる復帰手段と、
その復帰手段により付与される力によって没入移動する前記出没体に連動して没入されて前記ボディ内に収容される前記釣り針とを備えていることを特徴とする請求項1記載の釣り用ルアー。
【請求項3】
前記阻止手段及び復帰手段は、弾性変形に伴って弾性復元力を発生する共通の弾性体を備えており、
その弾性体の弾性復元力は、前記出没体をその没入方向へ付勢する力であって、前記出没体が没入状態から突出状態へ突出移動することを阻止する動力となり、かつ、その出没体を突入状態から没入状態へ没入移動させる動力となるものであることを特徴とする請求項2記載の釣り用ルアー。
【請求項4】
前記弾性体は、前記出没体の出没方向に交差して前記ボディ内に設けられる一面とその一面と離間対向して前記出没体に設けられる他面との間に配設される圧縮バネであって、前記出没体がその突出方向に移動することによって弾性的に圧縮変形するものであり、前記出没体は、前記一面を貫通して前記ボディの外部へ延出されるものであることを特徴とする請求項3記載の釣り用ルアー。
【請求項5】
前記阻止手段は、前記ボディ内において前記出没体に設けられる第1磁石と、その出没体の没入状態で前記第1磁石と離間対向した状態で前記ボディ内に設けられその第1磁石との間で引力を発生する第2磁石とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【請求項6】
前記釣り針のシャンクの基端側と前記出没体との連結部分であって前記釣り針を前記出没体に対して揺動可能に連結する揺動連結部と、
その揺動連結部を介して揺動する前記釣り針に対して、前記出没体から離反した傾倒姿勢から更なる離反方向へ向かって、弾性的な付勢力を付与する付勢手段とを備えており、
前記出没体が没入状態から突出状態へ移動する過程で、その付勢手段の付勢力を介して前記釣り針を前記傾倒姿勢から起立姿勢へと揺動させて前記ボディ内から外部へ突出させるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【請求項7】
前記ボディに開口形成され前記釣り針が突出される針出口と、
その針出口の後側縁部であって、前記揺動連結部を中心とした揺動に伴って前記ボディの外部へ突出して起立姿勢となった前記釣り針のシャンクの後面に当接して当該釣り針の更なる揺動を規制する揺動規制部とを備えていることを特徴とする請求項6記載の釣り用ルアー。
【請求項8】
前記ボディの外部に前記針出口から突出して起立状態となった前記釣り針は、その針先が前向き又は前方斜め下向きの姿勢となっていることを特徴とする請求項7記載の釣り用ルアー。
【請求項9】
前記ボディは、前記出没体の没入状態で前記釣り針を収容する針収容空間と、その針収容空間の隔壁であって前記釣り針を前記付勢手段の付勢力に抗して傾倒姿勢で押圧する制限隔壁とを備えており、
前記傾倒姿勢の前記釣り針は、前記出没体が没入状態から突出状態へ移行する過程で、前記制限隔壁の下側面を摺動して前記針出口へ向かって移動し、前記付勢手段の付勢力を用いて前記揺動連結部を介して揺動されて傾倒状態から起立状態への変化を伴って前記針出口から前記ボディの外部へと突出されるものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の釣り用ルアー。
【請求項10】
前記出没体が前記ボディの前側から突出する状態にあって、前記針出口は、前記ボディの前側上部に設けられており、前記制限隔壁における前記釣り針の摺動面は、前記ボディの後側下方から前記針出口の後端部へ向かって傾斜していることを特徴とする請求項9記載の釣り用ルアー。
【請求項11】
前記ボディは、その外面の前後方向において平面視波形状に形成されたヒレ部を備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り糸が釣魚により引っ張られていない状態において釣り針をボディの内部に収容することができる釣り用ルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、釣り用ルアーは、主に、釣魚の餌となる小魚などの形態を模したボディと、そのボディに取着され釣魚に引っ掛かる釣り針と、釣り糸をボディに係着するための係着部とを備えている。このような釣り用ルアーによれば、その係着部に釣り糸が係着された状態で、海洋や河川の水中に投入されたうえで、釣り人が釣り糸を巻き上げることで、そのボディがあたかも釣魚の捕食対象である小魚等のように水中で動き回ることで、釣魚がボディを餌と間違える状況を作り出し、このボディを釣魚が餌と間違えて咥えた際に、その釣り針が釣魚の口内その他の体内に引っ掛かるような仕掛けとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実用新案登録第3236709号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の釣り用ルアーでは、そのボディが釣魚に咥えられずに水中を独自に移動する状況において、釣り針がボディの外部に露出した状態で取り付けられているため、釣り用ルアーのボディに係着されている釣り糸が一旦切れてしまうと、釣り針が露出したまま釣り用ルアーや釣り糸が水中に放置されて残存することとなり、このように放置残存された釣り用ルアーや釣り針や釣り糸が、魚その他の水中動物に誤って飲み込まれたり、魚その他の水中生物に絡まったりして、水中生物を傷つけたり海洋又は河川などの自然環境が破壊されるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ボディが釣魚により咥えられて釣り糸が引っ張られた状態で釣り針がボディの外部に突出する一方、ボディが釣魚により咥えられずに釣り糸が引っ張られて独自に水中を移動する状態で釣り針がボディの内部に収容される釣り用ルアーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、第1発明の釣り用ルアーは、内部に釣り針を出没可能に収容するボディと、そのボディに出没可能に設けられ、そのボディ内で前記釣り針と連結される出没体と、その出没体に対してその没入方向に力(以下「阻止力」ともいう。)を付与して当該出没体の突出移動を阻止する阻止手段と、その出没体に設けられ釣り糸を係着可能な係着部と、その係着部が前記阻止手段により付与される阻止力を超える外力で前記出没体の突出方向へ引かれることによって当該出没体の突出移動に連動して突出される前記釣り針とを備えている。
【0007】
ここで、ボディは、釣魚が咥える疑似餌として機能する本体部であって、人に釣られる対象となる魚(以下「釣魚」という。)の捕食対象となる餌(魚、虫その他の物)の外形の一部又は全体を模した外形(餌の外形をデフォルメした外形を含む。)有することが好ましい。また、釣り針は、このボディに設けられ当該ボディが釣魚に飲み込まれた際にその釣魚の体内に引っ掛けられる針であり、一般的に、シャンク、ベンド及び針先(ポイント)が連なって全体として略J字状の外形となっていることが好ましい。また、釣り針は、針先が一つあるシングルフックがより好ましいが、ダブルフックやトリプルフックなどの複数の針先を有するものであっても良い。
【0008】
また、「突出(する)」とは、ボディの内部からその外部へ突出(すること)をいう。「没入(する)」とは、ボディの外部からその内部に没入(すること)をいう。「突出状態」とは、ボディの外部へ突出した状態をいう。「没入状態」とは、ボディの内部に没入した状態をいう。「突出移動」とは、ボディの内部からその外部へ突出するためにする移動をいう。「没入移動」とは、ボディの外部からその内部へ没入するためにする移動をいう。「突出方向」とは、突出に伴って移動する方向をいう。「没入方向」とは、没入に伴って移動する方向をいう。「突出動作」とは、ボディの内部からその外部へ突出するためにする動作をいう。「没入動作」とは、ボディの外部からその内部へ没入するためにする動作をいう。
【0009】
この第1発明の釣り用ルアーによれば、釣り糸が係着部に係着され、かつ、釣り針がボディの内部に収容された状態で当初使用される。ボディは、係着部に係着された釣り糸を介して引っ張られることで水中を移動する。ここで、阻止手段により付与される阻止力は、ボディが釣魚に咥えられずに水中で自由に動き回る際の釣り糸による引っ張られる力、即ち、出没体がその突出方向に向かって引っ張られる力に比べて、大きく設定されている。
【0010】
このため、ボディを水中で操作するために釣り人が釣り糸を引っ張る程度の力では出没体がボディの外部へ突出することはなく、かかる出没体の突出に連動した釣り針のボディ外部への突出も阻止される。よって、ボディが釣魚に咥えられた状態となる以前において、釣り針がボディの外部に突出した状態となることが防止される。
【0011】
これに対し、釣魚がボディを咥えて水中を動き回ることで釣り糸が引っ張られる場合、即ち、その釣り糸を介して係着部及び出没体がその出没体の突出方向に向かって引っ張られる場合に、釣り糸を介して出没体が引っ張られる力が阻止手段により付与される阻止力を超えると、出没体がボディ内から外部へ突出し、この突出に連動して釣り針が突出して、この釣り針がボディを咥えた釣魚の体内に引っ掛かるようになっている。
【0012】
つまり、釣魚がボディを咥えて動き回るような状態となる前の状態、即ち、ボディが釣魚に咥えられずにそれ自体が水中を移動しているような状態では、釣り糸が阻止手段の阻止力を下回る力で引っ張られる程度でしかなく、出没体が没入状態となって、この出没体の出没動作に連動して動作する釣り針もボディの内部に収容された状態(以下「収容状態」という。)のままとなる。
【0013】
第2発明の釣り用ルアーは、第1発明の釣り用ルアーにおいて、前記出没体に対してその没入方向へ力(以下「復帰力」ともいう。)を付与してその出没体を没入状態に復帰させる復帰手段と、その復帰手段により付与される力によって没入移動する前記出没体に連動して没入されて前記ボディ内に収容される前記釣り針とを備えている。
【0014】
この第2発明の釣り用ルアーによれば、第1発明の釣り用ルアーと同様の作用及び効果を奏するうえ、釣魚がボディを咥えて動き回って釣り針がボディから突出した状態となった後でも、釣り糸が切れるなど何らかの原因で釣り糸を引っ張る力が弱まって、この釣り針により係着部及び出没体を引っ張る力が復帰手段により付与される復帰力を下回ると、かかる出没体が没入状態へと復帰することに連動して、釣り針が突出状態から収容状態へと復帰してボディ内に収容される。
【0015】
よって、釣り針が釣魚から外れて釣り糸を介した係着部及び出没体を引っ張る力がなくなったような状況において、ボディの内部に釣り針を再度収納してその外部に釣り針が露出することを防止できるので、例えば、従来の釣り用ルアーのようにボディの外部に露出したままとなった釣り針が海や河川の水中にある様々な物に引っ掛かって釣り糸が切れるなどすることを防止でき、釣り用ルアーや釣り糸が水中に残存したり放置されたりして自然環境が破壊されるなどの悪影響を及ぼすことが防止できる。
【0016】
第3発明の釣り用ルアーは、第2発明の釣り用ルアーにおいて、前記阻止手段及び復帰手段は、弾性変形に伴って弾性復元力を発生する共通の弾性体を備えており、その弾性体の弾性復元力は、前記出没体をその没入方向へ付勢する力であって、前記出没体が没入状態から突出状態へ突出移動することを阻止する動力(阻止力)となり、かつ、その出没体を突入状態から没入状態へ没入移動させる動力(復帰力)となるものである。
【0017】
第4発明の釣り用ルアーは、第3発明の釣り用ルアーにおいて、前記弾性体は、前記出没体の出没方向に交差して前記ボディ内に設けられる一面とその一面と離間対向して前記出没体に設けられる他面との間に配設される圧縮バネであって、前記出没体がその突出方向に移動することによって弾性的に圧縮変形するものであり、前記出没体は、前記一面を貫通して前記ボディの外部へ延出されるものである。
【0018】
この第3又は第4発明の釣り用ルアーによれば、第2発明の釣り用ルアーと同様の作用及び効果を奏するうえ、ボディが釣り糸により引っ張られて水中を独自に移動する場合、
即ち、ボディが釣魚に咥えられてない場合において、釣り糸により係着部及び出没体を引っ張る力が阻止手段の弾性体又は圧縮バネの弾性復元力を下回る状況では、この弾性復元力が動力となって出没体がその没入方向へ付勢され、この付勢によって出没体が突出状態となるための突出移動が阻止され、出没体の没入状態が維持され、かつ、釣り針の収容状態が維持されて、釣り針が突出状態になることが防止される。
【0019】
これに対し、ボディを咥えた釣魚が水中を動き回る場合において、釣り糸により係着部及び出没体を引っ張る力が阻止手段の弾性体又は圧縮バネの弾性復元力を超える状況では、この弾性復元力も作用し続けるが、釣り糸による引っ張り力によって出没体が没入状態から突出方向へ向かって突出移動し、この出没体の突出移動に連動して釣り針が突出移動され、出没体が突出状態になると、釣り針も突出状態となって、釣り針が釣魚の体内に引っ掛かるようになる。
【0020】
一方、釣魚がボディを咥えて動き回って釣り針がボディから突出した後でも、釣り糸が切れるなど何らかの原因で釣り糸を引っ張る力が弱まり、この釣り針により係着部及び出没体を引っ張る力が復帰手段の弾性体又は圧縮バネの弾性復元力を下回ると、この弾性復元力が動力となって出没体がその没入方向へ付勢され、この付勢によって出没体が突出状態から没入方向へ向かって没入移動し、この出没体の没入移動に連動して釣り針が没入移動され、出没体が没入状態になると、釣り針が没入状態へと復帰してボディ内に収容状態となって、釣り針が突出状態のままとなることが防止される。
【0021】
第5発明の釣り用ルアーは、第1から第4発明の釣り用ルアーにおいて、前記阻止手段は、前記ボディ内において前記出没体に設けられる第1磁石と、その出没体の没入状態で前記第1磁石と離間対向した状態で前記ボディ内に設けられその第1磁石との間で引力を発生する第2磁石とを備えている。
【0022】
この第5発明の釣り用ルアーによれば、第1から第4発明のいずれか一つの釣り用ルアーのいずれか一つと同様の作用及び効果を奏するうえ、ボディが釣り糸により引っ張られて水中を独自に移動する場合、即ち、ボディが釣魚に咥えられてない場合において、釣り糸により係着部及び出没体を引っ張る力が阻止手段の第1及び第2磁石間に生じる引力を下回る状況では、この引力によって出没体が突出状態となるための突出移動が阻止され、出没体の没入状態が維持され、かつ、釣り針の収容状態が維持されて釣り針が突出状態になることが防止される。
【0023】
これに対し、ボディを咥えた釣魚が水中を動き回る場合において、釣り糸により係着部及び出没体を引っ張る力が阻止手段の第1及び第2磁石間に生じる引力を超える状況では、釣り糸による引っ張り力によって出没体が没入状態から突出方向へ向かって突出移動し、この出没体の突出移動に連動して釣り針が突出移動され、出没体が突出状態になると、釣り針も突出状態となって釣魚の体内に引っ掛かるようになる。
【0024】
第6発明の釣り用ルアーは、第1から第4発明のいずれか一つの釣り用ルアーにおいて、前記釣り針のシャンクの基端側と前記出没体との連結部分であって前記釣り針を前記出没体に対して揺動可能に連結する揺動連結部と、その揺動連結部を介して揺動する前記釣り針に対して、前記出没体から離反した傾倒姿勢から更なる離反方向へ向かって、弾性的な付勢力を付与する付勢手段とを備えており、前記出没体が没入状態から突出状態へ移動する過程で、その付勢手段の付勢力を介して前記釣り針を前記傾倒姿勢から起立姿勢へと揺動させて前記ボディ内から外部へ突出させるものである。
【0025】
この第6発明の釣り用ルアーによれば、第1から第5発明の釣り用ルアーのいずれか一つと同様の作用及び効果を奏するうえ、釣り針は、そのシャンクの基端側が出没体に揺動連結部を介して連結されるため、出没体の出没動作に連動してボディから出没可能となる。また、釣り針は、付勢手段の弾性的な付勢力によって揺動連結部を介して出没体に対する離反方向へ付勢されているので、出没体のボディ外への突出に伴ってボディ内に収容された傾倒姿勢から起立姿勢へと自動的に変化してボディ外へと突出される。
【0026】
ここで、第6発明の釣り用ルアーにおいて、前記揺動連結部は、例えば、前記釣り針を前記出没体から離間した収容位置で前記傾倒姿勢で支持し、かつ、その収容位置から更なる離反方向へ向かって揺動可能な状態で、前記釣り針のシャンクの基端部を前記出没体の突出方向後端部に連結するものであっても良い。
【0027】
また、第6発明の釣り用ルアーにおいて、前記付勢手段は、例えば、弾性撓み変形可能に形成される前記釣り針であって、前記傾倒姿勢となったその釣り針を前記出没体に対する近接方向に弾性撓み変形させることによって、前記釣り針に対して前記傾倒姿勢から前記起立姿勢へと揺動させる弾性的な付勢力を付与するものであっても良い。
【0028】
さらに、第6発明の釣り用ルアーにおいて、前記付勢手段は、例えば、前記揺動連結部を中心として揺動する前記釣り針に対して、その釣り針が前記揺動連結部を中心に前記出没体に対して近接方向に向かって揺動することによって弾性変形する弾性体を備えており、その弾性体の弾性変形によって、前記釣り針を前記揺動連結部を中心として前記傾倒姿勢から前記起立姿勢へと揺動させる弾性的な付勢力を付与するものであっても良い。例えば、弾性体として、ねじりバネや、渦巻バネを揺動連結部の回りに取着すると良い。
【0029】
第7発明の釣り用ルアーは、第6発明の釣り用ルアーにおいて、前記ボディに開口形成され前記釣り針が突出される針出口と、その針出口の後側縁部であって、前記揺動連結部を中心とした揺動に伴って前記ボディの外部へ突出して起立姿勢となった前記釣り針のシャンクの後面に当接して当該釣り針の更なる揺動を規制する揺動規制部とを備えている。
【0030】
なお、第7発明の釣り用ルアー及びこれに従属する発明において、「後側」とは、前記出没体の突出方向における後側をいい、針出口の「後側縁部」とは、前記針出口の開口の縁部(端部)のうち前記出没体の突出方向後側にあるものをいう。
【0031】
この第7発明の釣り用ルアーによれば、第6発明の釣り用ルアーと同様の作用及び効果を奏するうえ、出没体がボディの外部へ突出されると、釣り針が揺動連結部を介して揺動して針出口からボディの外部へ突出して起立姿勢となる。針出口の後側縁部は揺動規制部であって、付勢手段による付勢力により起立姿勢になった釣り針が揺動規制部に当接することによって更なる揺動が規制される。この結果、起立状態となった釣り針が針出口から後方に更に倒れることが防止され、釣り針が起立姿勢を保って釣魚の口内を含む体内から抜けに難くなる。
【0032】
第8発明の釣り用ルアーは、第7発明の釣り用ルアーにおいて、前記ボディの外部に前記針出口から突出して起立状態となった前記釣り針は、その針先が前向き又は前方斜め下向きの姿勢となっている。
【0033】
なお、第8発明の釣り用ルアー及びこれに従属する発明において、前記出没体は前記ボディの前側から出没可能となっており、釣り糸により引っ張られた前記ボディの移動方向及び出没体の突出方向は前側に向かう方向となり、前記針出口は前記ボディの上側部分にあり、及び、前記釣り針の起立姿勢が当該釣り針のシャンクを後方斜め上向きにした姿勢であることを前提(条件)とした場合に、「前向き」とは前側を向いた形態をいい、「前方斜め下向き」とは前方の斜め下方を向いた形態をいう。
【0034】
この第8発明の釣り用ルアーによれば、第7発明の釣り用ルアーと同様の作用及び効果を奏するうえ、釣り針の針先は、その釣り針がボディの外部に針出口から突出して起立状態となった場合、前向き又は前方斜め下向きの姿勢になるので、ボディが釣り糸により引っ張られてボディが釣魚の口内を含む体内から抜け出ようとする際に、その針先が体内に引っ掛かり易くなる。
【0035】
特に、この場合において、釣り針は、出没体がボディから完全に突出した起立状態において、ボディからシャンクが後方斜め上向きの姿勢で延出され、そのシャンクの延出方向先端側からベンドが前側へ向かって湾曲し、そのベンドの先端側にある針先が前向き又は前方斜め下向きの姿勢となることがより好ましい。
【0036】
第9発明の釣り用ルアーは、第7又は第8発明の釣り用ルアーにおいて、前記ボディは、前記出没体の没入状態で前記釣り針を収容する針収容空間と、その針収容空間の隔壁であって前記釣り針を前記付勢手段の付勢力に抗して傾倒姿勢で押圧する制限隔壁とを備えており、前記傾倒姿勢の前記釣り針は、前記出没体が没入状態から突出状態へ移行する過程で、前記制限隔壁の下側面を摺動して前記針出口へ向かって移動し、前記付勢手段の付勢力を用いて前記揺動連結部を介して揺動されて傾倒状態から起立状態への変化を伴って前記針出口から前記ボディの外部へと突出されるものである。
【0037】
この第9発明の釣り用ルアーによれば、第7又は第8発明の釣り用ルアーと同様の作用及び効果を奏するうえ、釣り針は、制限隔壁により押圧されることで、付勢手段による付勢力に抗して傾倒姿勢となって、ボディ内の針収容空間内に収容される。また、釣り針は、出没体の突出動作と連動して針出口まで移動することで、制限隔壁による押圧が解除されるので、付勢手段による付勢力を用いながら揺動連結部を介して揺動し、結果、傾倒姿勢から起立姿勢へ変化して針出口からボディの外へ突出される。
【0038】
第10発明の釣り用ルアーは、第9発明の釣り用ルアーにおいて、前記出没体が前記ボディの前側から突出する状態にあって、前記針出口は、前記ボディの前側上部に設けられており、前記制限隔壁における前記釣り針の摺動面は、前記ボディの後側下方から前記針出口の後端部へ向かって傾斜している。
【0039】
この第10発明の釣り用ルアーによれば、第9発明の釣り用ルアーと同様の作用及び効果を奏するうえ、制限隔壁は、釣り針の摺動面がボディの後側下方から針出口の後端部へ向かって傾斜するので、釣り針が制限隔壁を摺動してボディから出没し易くなる。
【0040】
第11発明の釣り用ルアーは、第1から第10発明の釣り用ルアーのいずれか一つにおいて、前記ボディは、その外面の前後方向において平面視波形状に形成されたヒレ部を備えている。
【0041】
この第11発明の釣り用ルアーは、第1から第10発明の釣り用ルアーのいずれか一つと同様の作用及び効果を奏するうえ、ボディが水中を釣り糸により牽引されて移動する際に、ヒレ部を介して左右に揺れ動く挙動を付与することができ、この挙動によって釣魚に狙われやすいより餌としての魚(特に弱った魚)を模した動きを再現できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の釣り用ルアーによれば、釣魚に咥えられずにボディ自体が水中を移動する状況において、ボディの外部に釣り針が露出することを防止できるので、例えば、従来の釣り用ルアーのようにボディの外部に露出したままとなった釣り針が海や河川の水中にある様々な物に引っ掛かって釣り糸が切れるなどすることを防止でき、釣り用ルアーや釣り糸が水中に残存したり放置されたりして自然環境が破壊されるなどの悪影響を及ぼすことが防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態である釣り用ルアーの右側面図であり、(b)は、そのルアーの平面図であり、(c)は、そのルアーの正面図であり、(d)は、そのルアーの背面図である。
【図2】第1実施形態のルアーの内部構造図であって、(a)は、図1(b)のA2−A2線における縦断面図であり、ボディの内部にある出没体の没入状態であって、ボディの内部にある釣り針の傾倒状態及び収容状態を図示しており、(b)は、図1(b)のA2−A2線における縦断面図であり、ボディの外部にある出没体の突出状態並びにボディの外部にある釣り針の突出状態及び起立状態を図示している。
【図3】第2実施形態のルアーの内部構造図であって、(a)は、図1(b)のA2−A2線と同じ位置における縦断面図であり、ボディの内部にある出没体の没入状態であって、ボディの内部にある釣り針の傾倒状態及び収容状態を図示しており、(b)は、図1(b)のA2−A2線と同じ位置における縦断面図であり、ボディの外部にある出没体の突出状態並びにボディの外部にある釣り針の突出状態及び起立状態を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
<第1実施形態>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例について説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態である釣り用ルアー(以下単に「ルアー」という。)1の右側面図(主投影図)であり、図1(b)は、そのルアー1の平面図(上面図)であり、図1(c)は、そのルアー1の正面図(前面図)であり、図1(d)は、そのルアー1の背面図(後面図)である。
【0045】
なお、図1において、ルアー1の底面図及び左側面図は省略するが、この左側面図は、右側面図と左右対称に表れるものである。
【0046】
図2(a)は、第1実施形態のルアー1の内部構造図であって、図1(b)のA2−A2線における縦断面図であり、ボディ2の内部にある出没体3の没入状態であって、ボディ2の内部にある釣り針6の傾倒状態及び収容状態を図示している。
【0047】
図2(b)は、第1実施形態のルアー1の内部構造図であって、図1(b)のA2−A2線における縦断面図であり、ボディ2の外部にある出没体3の突出状態並びにボディ2の外部にある釣り針6の突出状態及び起立状態を図示している。
【0048】
なお、図2(a)に示した状態は、出没体3が最も没入された没入状態であり、釣り針6が最も傾倒した状態で完全に収容された傾倒状態であって収容状態であり、図2(b)に示した状態は、出没体3が最も突出された突出状態であり、釣り針6が最も突出された突出状態である。
【0049】
また、本実施形態のルアー1に関し、その前後、上下及び左右とは、図1(a)、図1(b)及び図2の左側が「前(側)」を、図1(a)、図1(b)及び図2の右側が「後(側)」を、図1(a)、図1(c)及び図2の上側が「上(側)」を、図1(a)、図1(c)及び図2の下側が「下(側)」を、図1(b)の上側及び図1(c)の左側が「左(側)」を、図1(b)の下側及び図1(c)の右側が「右(側)」を、それぞれいうものとする。
【0050】
図1に示すように、本実施形態のルアー1は、主に、ボディ2と、出没体3と、係着部4と、阻止復帰手段5とを備えており、図2(a)に示すように、このルアー1にはボディ2から突出可能となっている釣り針6が没入状態で内蔵されている。
【0051】
<ボディ2>
図1(a)に示すように、ボディ2は、釣魚が咥える疑似餌として機能するルアー1の本体部分であって、人に釣られる対象となる魚(以下「釣魚」という。)の捕食対象となる餌(魚、虫その他の物)の外形の一部又は全体を模した外形(餌の外形をデフォルメした外形を含む。)を有している。このボディ2は、その内部に釣り針6を出没可能に収容するものでもある(図2(a)参照。)。
【0052】
例えば、このボディ2は、その外形、模様及び色彩が小魚などのそれらを模した形態に形成されている。このボディ2は、紡錘形状又はアーモンド豆状に形成された本体部7と、その本体部7の外面に一体的に形成されるヒレ部8とを備えている。このボディ2によれば、そのヒレ部8が水中で水流から受ける抵抗をより受け易くするため、その本体部7は紡錘形状又はアーモンド豆状に形成されて水中で水流から受ける抵抗が低減されるようになっている。
【0053】
図1(b)に示すように、ヒレ部8は、ボディ2の本体部7を平面視した場合、この本体部7の横幅(左右方向)中央部にあり、ボディ2の本体部7の前側から後端部から更に後方まで連続した平面視波板状に形成されている。例えば、このヒレ部8は、ボディ2の前後方向に向かって延びる平面視正弦波形状をしている。また、図1(c)に示すように、ヒレ部8はボディ2の本体部7の上部及び下部から垂直方向に立設されているので、このボディ2が水中で行う左右に揺れ動く動作を安定させることができる。
【0054】
このルアー1のボディ2によれば、このボディ2に係着部4を介して取り付けられた釣り糸(図示せず。以下同じ。)が前方(図1(a)左側方向)に引っ張られることで、水中を前方へ向かって移動することができる。しかも、このルアー1のボディ2は、釣り糸により引っ張られて水中を前方へ移動する場合に、水流がヒレ部8の横幅方向両側(図1(c)の左右両側)に分かれて相対的に通過することで、かかるボディ2が左右に揺れ動きながら水中を移動でき、釣魚を誘き寄せるために疑似餌として好ましい動きを作り出すことができる。
【0055】
図2(a)及び図2(b)に示すように、ボディ2には、その最前部(前端部)の外壁でもあるボディ前壁9が設けられている。また、ボディ2の内部には、このボディ前壁9の後方に固定空間10が設けられている。また、ボディ前壁9の後方には、この固定空間10を隔てて固定壁11が設けられている。さらに、この固定壁11の後方には、出没体3を前後方向に移動可能に収容する出没収容空間12が設けられている。この出没収容空間12はシリンダーとして機能し、出没体3のロッド後端部3cはシリンダー内に緩嵌されるピストンとして機能し、ロッド後端部3cが出没収容空間12内を前後方向に往復移動可能となっている。
【0056】
ボディ2の固定壁11は、弾性体13をボディ2内に固定するための部位であり、この固定壁11には、弾性体13の前端部を貫通させる小孔14が設けられており、固定空間10は、固定壁11の小孔14を貫通した弾性体13の前端部が収容されるようになっている。
【0057】
また、ボディ前壁9と固定壁11とには、出没体3のロッド部3aをボディ2の内部から外部へと突出させるための貫通孔である出没孔15,16がそれぞれ穿設されている。これらのボディ前壁9及び固定壁11の出没孔15,16は、どちらも前後方向に向かって延びる同一の直線が中心線となるように穿孔されており、出没体3は、そのロッド部3aがこれら前後一対の出没孔15,16の双方を貫通した状態で出没収容空間12に収容されている。
【0058】
さらに、ボディ2の内部には、出没収容空間12の上方に針収容空間17が併設されている。この針収容空間17は、出没体3が没入状態となった場合に、釣り針6を収容するための空間である。また、この針収容空間17の前側上部(上側部分の前側)には、ボディ2の外部に連通する針出口18が開口形成されている。この針出口18は、釣り針6をボディ2の外部へ突出させる開口である。
【0059】
図1(b)及び図1(c)に示すように、針出口18は、ボディ2を平面視及び正面視した場合に、前後方向に細長い矩形状に形成されている。この針出口18は、針収容空間17に連通されており、この針出口18の矩形状の開口縁のうち左右両側の縁部及び後側縁部の奥には針収容空間17の内周壁が連設されている。
【0060】
この針出口18及び針収容空間17の横幅(横幅方向(図1(b)及び図1(c)の左右方向)の幅)は、釣り針6の横幅に比べて若干程度大きく形成されており、ボディ2から出没する釣り針6が針収容空間17の左右両側の内壁面の間に緩く挟まれた状態で挟持されるようになっている。この針収容空間17の挟持によって釣り針6が起立状態となった場合に振れ動くことを防止できる。
【0061】
また、図2(b)に示すように、針出口18の開口縁部のうち後側縁部は、後述する揺動連結部19を中心とした揺動に伴ってボディ2の外部へ突出して起立姿勢となった釣り針6のシャンク6aの後面に当接して、この釣り針6がそれ以上後方に向けて揺動することを規制するための揺動規制部20となっている。なお、図1(b)に示すように、針出口18の開口縁部には面取りが施されており、釣り針6が針出口18に収納される際にスムーズに針収納空間17の内部へ没入され易くなっている。
【0062】
また、ボディ2の針収容空間17の上側であって、針出口18の後側にはボディ2の外壁の一部である制限隔壁21が設けられている。この制限隔壁21は、針収容空間17の上側を閉塞する隔壁である。また、この制限隔壁21は、その下面が針収容空間17の内壁面であって、針出口18の後端部からボディ2の後側下方へ向かって下降傾斜した斜面(以下「下斜面」という。)22となっている。
【0063】
この制限隔壁21の下面であって斜面である下斜面22によれば、図2(a)に示すように釣り針6が傾倒状態となった状態で、この釣り針6に付与される付勢手段23の付勢力に抗して当該釣り針6を出没体3に対する近接方向(図2(a)左下側)へ向けて押圧することができる。
【0064】
<出没体3及び係着部4>
図2(a)及び図2(b)に示すように、出没体3は、ボディ2の前側に出没可能に設けられている。この出没体3は、ロッド部3aと、そのロッド部3aの前後両端にあるロッド前端部3b及びロッド後端部3cとを備えている。ロッド部3aは、その中心軸が前後方向を向いた棒状に形成sれており、このロッド部3aの前端(先端)にロッド前端部3bが、このロッド部3aの後端(基端)にロッド後端部3cが、それぞれ一体的に連結されている。
【0065】
ロッド部3aは、ボディ2の前端部にあるボディ前壁9及び固定壁11に穿設された前後一対の出没孔15,16を貫通して、ボディ2の外部まで延出されている。つまり、このロッド部3aは、前後一対の出没孔15,16を通じて、固定壁11の後面、固定壁11自体、固定壁11の前面、固定空間10、ボディ前壁9の後面、ボディ前壁9自体、及び、ボディ前壁9の前面(即ちボディ2の前面)を貫通して、ボディ2の内部にある出没収容空間12からボディ2の外部へと延出されている。
【0066】
ロッド部3aは、その先端がボディ2の外部にあるロッド前端部3bの後端に連結されており、前後一対の出没孔15,16内を前後方向に往復移動可能となっており、この往復移動によって出没体3がボディ2に対して出没される。
【0067】
ロッド前端部3bは、ボディ2の外部にあり、釣り糸が係着されるリング状の係着部4が設けられている。ロッド後端部3cは、ボディ2の内部に設けられており、出没体3と釣り針6とを連結するために後述する揺動連結部19となる一方のリング状部3d,6dが設けられている。
【0068】
また、ロッド前端部3bの後端面は、出没体3の没入状態(図2(a)に示す位置)において、ボディ2の前端面と当接するようになっており、かかる当接によって、その没入状態の位置よりも更に没入方向(後方)へ向かって出没体3(のロッド部3a)が移動することを制限している。
【0069】
さらに、ロッド前端部3b及びロッド後端部3cは、その外径が出没体3のロッド部3aの外径に比べて大きく形成されている。また、前後一対の出没孔15,16の内径は、出没体3のロッド部3aの外径に比べて大きく、かつ、ロッド前端部3b及びロッド後端部3cの外径に比べて小さく形成されている。よって、これら前後一対の出没孔15,16からロッド前端部3bがボディ2内に進入したり、これら前後一対の出没孔15,16からロッド後端部3cが抜脱することが防止される。
【0070】
このように、出没体3は、実際にはそのロッド部3aがボディ2において出没可能となっているものである。したがって、この出没体3によれば、そのロッド部3aが、ボディ2の前端面からボディ2の外部へと前方に向かって突出される一方、そのロッド部3aがそのボディ2の前端面からボディ2の内部へと後方に向かって没入されるものとなる。
【0071】
また、出没体3の後端部にあるロッド後端部3cは、釣り針6のシャンク6aの基端側と連結されている。この連結部分は、釣り針6を出没体3に対して揺動可能に連結する揺動連結部19となっている。この揺動連結部19は、ロッド後端部3cに設けられる一方のリング状部3dと、釣り針6のシャンク6aの基端部に設けられる他方のリング状部6dとを繋ぎ合わせたものであり、この一対のリング状部3d,6dを介して釣り針6が出没体3の出没に連動して揺動するようになっている。
【0072】
<阻止復帰手段5>
阻止復帰手段5は、阻止手段及び復帰手段の双方の機能を備えている。
【0073】
阻止復帰手段5に備わる阻止手段の機能は、出没体3の突出方向(前方向)とは反対方向(即ち没入方向(後方向))に向かう力である阻止力を出没体3に対して付与し、この出没体3の突出移動を阻止するものである。つまり、阻止手段は、出没体3を没入位置(図2(a)に示す位置)に停止させる機能である。
【0074】
阻止復帰手段5に備わる復帰手段の機能は、出没体3の突出方向(前方向)とは反対方向(即ち没入方向(後方向))に向かう力である復帰力を出没体3に対して付与して、この出没体3を没入状態に復帰させるものである。つまり、復帰手段は、出没体3を突出位置(図2(b)に示す位置)から没入位置へ復帰させる機能である。
【0075】
このように阻止復帰手段5は、出没体3の没入方向に向かって作用する力を阻止力及び復帰力として利用するものであり、具体的には、阻止力及び復帰力の双方を発生する動力源として、弾性変形に伴って弾性復元力を発生する弾性体13を備えている。
【0076】
この弾性体13の弾性復元力は、出没体3をその没入方向へ付勢する力であって、出没体3が没入状態から突出状態へ向かって突出移動することを阻止する動力となり、かつ、その出没体3を突入状態から没入状態へ向かって没入移動させる動力となるものである。
【0077】
ここで、弾性体13は、圧縮バネであって、具体的には、直円柱形コイル状の形態をした圧縮コイルバネ(例えばバネ鋼などの弾性線材を円柱螺旋(常螺旋又はつる巻き螺旋ともいい、直円柱の母線を一定の角度で着る空間曲線をいう。)状に成形したバネであってその円柱螺旋の母線方向に作用する圧縮変形に伴って当該母線方向に弾性復元力を生じるものをいう。以下同じ。)である。
【0078】
この弾性体13は、その直円柱形のコイル形態の母線方向が前後方向に向けられた姿勢で、ボディ2内に出没収容空間12内に収容されている。また、弾性体13は、出没体3のロッド部3aの外周に巻回された状態であって、この弾性体13の内周における前後方向にロッド部3aが貫入された状態となっている。
【0079】
この弾性体13である圧縮バネは、その前端部を形成している弾性線材がボディ2の固定壁11にある小孔14を貫通したうえで、この弾性体13である圧縮バネの前端部がボディ2の固定空間10内に収容された格好となるこで、この弾性体13である圧縮バネの前端部が固定壁11に係止された状態となってボディ2の内部に固定されている。
【0080】
また、この弾性体13は、出没体3の出没方向(前後方向)に垂直に交差してボディ2内に設けられる一面、ここでは固定壁11の後面と、その一面と離間対向して出没体3に設けられる他面、ここではロッド後端部3cの前面との間に配設されている。
【0081】
このように、弾性体13は、固定壁11と出没体3のロッド後端部3cとの間で挟まれた状態で、その出没体3と一緒に出没収容空間12に収容されており、この出没体3がその突出方向(前方向)に移動することによって、固定壁11と出没体3のロッド後端部3cとの距離が狭まって当該弾性体13が圧縮変形されることで、阻止力又は復帰力となる弾性復元力を発生するようになっている。なお、釣り糸により引っ張られた出没体3の突出方向は前側に向かう方向となる。
【0082】
<釣り針6>
釣り針6は、ボディ2に設けられており、このボディ2が釣魚に飲み込まれた際にその釣魚の体内に引っ掛かって、この釣魚を釣り上げるための針である。この釣り針6は、直線状のシャンク6a、湾曲状のベンド6b及び先端部である針先(ポイントともいう。)6cが順に連なって全体として略J字状の外形となっており、かかる針先6cが1つあるシングルフックである。
【0083】
なお、釣り針6の形態は、必ずしも針先6cが1つのシングルフックに限定されるものではなく、例えば、ダブルフックやトリプルフックなどの複数の針先6cを有するものであっても良い。
【0084】
釣り針6は、釣り糸を介して係着部4が出没体3の突出方向(前方向)へ向かって阻止復帰手段5の阻止力を超える外力で引かれることによって、その出没体3の突出移動に連動してボディ2の外部へ突出される。また、釣り針6は、阻止復帰手段5の復帰力によって没入移動する出没体3に連動してボディ2の内部に没入されて収容される。
【0085】
また、上記したように、釣り針6は、そのシャンク6aの基端側にリング状部6dが形成されており、このリング状部6dが出没体3のロッド後端部3cのリング状部3dと繋ぎ合わさった状態となることによって、出没体3に対して揺動可能となっている。そして、この出没体3及び釣り針6を連結する一対のリング状部3d,6dは、出没体3に対して釣り針6を揺動可能に連結する揺動連結部19となっている。
【0086】
この揺動連結部19は、釣り針6を出没体3から離間した収容位置(図2(a)に示す位置)で傾倒姿勢(図2(a)に示す姿勢)で支持し、かつ、その収容位置から更なる離反方向(図2の紙面上の時計方向)へ向かって揺動可能な状態で、釣り針6のシャンク6aの基端部を出没体3の後端部にあるロッド後端部3cに連結するものである。
【0087】
<付勢手段23>
付勢手段23は、上記した揺動連結部19を介して揺動可能である釣り針6を、出没体3から離反する方向(図2の紙面上の時計回り方向)へ向かって、弾性的な付勢力を用いて付勢するものである。この付勢手段23は、出没体3が没入状態(図2(a)に示す状態)から突出状態(図2(b)に示す状態)へ移動する過程で、その付勢手段23の付勢力を介して釣り針6を傾倒姿勢(図2(a)に示す姿勢)から起立姿勢(図2(b)に示す姿勢)へと揺動させてボディ2内から外部へ突出させるために、釣り針6を付勢するものである。
【0088】
この付勢手段23は、具体的には、釣り針6そのものである。この釣り針6は、例えば、炭素鋼やステンレス鋼(ニッケル−クロム鋼)などの弾性的に撓み変形可能な金属材料で形成されており、弾性的に撓み変形可能なものである。この釣り針6である付勢手段23は、その釣り針6が倒立姿勢から傾倒姿勢へと移行する場合に、出没体3に対する近接方向に向かって弾性撓み変形し、当該釣り針6に対して傾倒姿勢から起立姿勢へと揺動させる弾性的な付勢力を付与することとなる。
【0089】
図2(a)に示すように、釣り針6は、図2(a)に示した没入状態の出没体3が図2(b)に示した突出状態へ移行する過程で、図2(a)に示した傾倒姿勢の状態で制限隔壁21の下斜面22を摺動して針出口18へ向かって移動するようになっている。
【0090】
この制限隔壁21の下斜面22を摺動した釣り針6は、出没体3の突出移動に伴って、そのベンド6bが針出口18から突出し始め、針出口18からシャンク6aがボディ2の外部へ徐々に突出されるに従って、付勢手段23である弾性撓み変形したシャンク6aの付勢力を用いて、揺動連結部19を介して揺動されて図2(a)に示した傾倒状態から図2(b)に示した起立状態への変化して、針出口18からボディ2の外部へと突出される。
【0091】
なお、例えば、本実施例では、釣り針6の傾倒姿勢はそのシャンク6aが出没体3のロッド3aの中心軸に対して25°程度の角度を、釣り針6の起立姿勢はそのシャンク6aが出没体3のロッド3aの中心軸に対して120°程度の角度を、それぞれ成す姿勢となっている。
【0092】
そして、図2(b)に示すように、ボディ2の外部に針出口18から突出して起立状態となった釣り針6は、そのシャンク6aが上記した揺動制限部に当接した状態となると、釣り針6のシャンク6aが後方斜め上向きになった姿勢となり、その針先6cが前向き(前側(前方)を向いた形態)又は前方斜め下向き(前方の斜め下方を向いた形態)の姿勢となる。
【0093】
<第2実施形態>
次に、図3を参照して、第2実施形態のルアー30について説明する。
【0094】
図3(a)は、第2実施形態のルアー30の内部構造図であって、図1(b)のA2−A2線と同じ位置における縦断面図であり、ボディ2の内部にある出没体3の没入状態であって、ボディ2の内部にある釣り針6の傾倒状態及び収容状態を図示している。
【0095】
図3(b)は、第2実施形態のルアー30の内部構造図であって、図1(b)のA2−A2線と同じ位置における縦断面図であり、ボディ2の外部にある出没体3の突出状態並びにボディ2の外部にある釣り針6の突出状態及び起立状態を図示している。
【0096】
なお、図3(a)に示した状態は、出没体3が最も没入された没入状態であり、釣り針6が最も傾倒した状態で完全に収容された傾倒状態であって収容状態であり、図3(b)に示した状態は、出没体3が最も突出された突出状態であり、釣り針6が最も突出された突出状態である。
【0097】
また、本実施形態のルアー30に関し、その前後、上下及び左右とは、図2の左側が「前(側)」を、図3の右側が「後(側)」を、図3の上側が「上(側)」を、図3の下側が「下(側)」を、それぞれいうものとする。
【0098】
第2実施形態のルアー30は、第1実施形態のルアー30に対し、阻止復帰手段5の阻止力の動力源を、弾性体13の弾性復元力から磁石の引力に変更したものである。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態と同一の部分について同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分について異なる符号を付してその説明をする。
【0099】
図3(a)に示すように、第2実施形態のルアー30の阻止復帰手段5は、出没体3のロッド後端部3cの後端面に設けられる第1磁石31と、この第1磁石31の対向位置であって出没収容空間12の後部に設けられる第2磁石32とを備えている。これら第1磁石31及び第2磁石32は、いずれもボディ2の内部に存在しており、いずれも永久磁石である。
【0100】
第1磁石31及び第2磁石32は、出没体3が没入状態となった状態で互いに離間しており、この離間状態で互いの間に磁気的引力を発生して、磁気的に吸着し合うようになっている。つまり、阻止復帰手段5は、この第1磁石31及び第2磁石32の磁気的引力を用いて、出没体3の突出移動を阻止するようになっている。
【0101】
また、この第1磁石31及び第2磁石32が互いに磁気的に吸着しあって直接接触して分離困難となることで出没体3の出没動作が阻害されることを防止するため、第1磁石31及び第2磁石32間には磁気遮壁33が設けられている。なお、磁気遮壁33の中央には第1磁石31及び第2磁石32間に貫通する通孔33aが穿設されている。
【0102】
この磁気遮壁33は、磁石間の磁気の強さが磁石間の距離の2乗に反比例することから、阻止手段の阻止力である磁気的引力を調節するため、第1磁石31と第2磁石32との間に一定の距離を確保するためのものであり、ボディ2の一部でもあることからボディ2と同じ素材、例えば、非磁性体の樹脂材料で形成されている。
【0103】
このように第2実施形態のルアー30では、阻止復帰手段5における阻止手段として第1磁石31及び第2磁石32の磁気的引力を用いる一方で、阻止復帰手段5における復帰手段としては弾性体34を併用している。なお、弾性体34は、その前後方向長さを除けば、第1実施形態の弾性体13と同様のものである。
【0104】
ただし、阻止復帰手段5としての弾性体34は、阻止手段として機能することは不要であるので、弾性体34である圧縮バネの前後方向長さは第1実施形態の弾性体13に比べて短く形成されており、図2(a)に示すように、出没体3が没入状態の場合には、弾性体34の後端部が出没体3のロッド後端部3cから離れた状態となって、弾性体34が弾性変形することがなく、結果、その弾性復元力も出没体3に作用しないようになっている。
【0105】
これに対し、図2(b)に示すように、出没体3が突出状態の場合には、弾性体34の後端部が出没体3のロッド後端部3cと当接するとともに、この弾性体34が固定壁とロッド後端部3cとの間で圧縮変形されるようになっており、結果、この弾性体34の弾性復元力が突出状態の出没体3に対してその没入方向へ向かって作用するようになっている。
【0106】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0107】
第1実施形態では、付勢手段23として釣り針6自体を用いたが、かかる付勢手段23の具体的態様は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、ねじりバネや渦巻きバネを付勢体として釣り針6の揺動連結部19の回りに取着し、釣り針6が揺動連結部19を中心にして出没体3に対する近接方向に向かって揺動することで、この付勢体が弾性変形するように構成し、釣り針6が揺動連結部19を中心として傾倒姿勢から起立姿勢へと揺動した場合に付勢体が弾性変形して釣り針6に弾性的な付勢力を付与するようにしても良い。
【0108】
第2実施形態では、ボディ2及びその一部である磁気遮壁33を非磁性体の合成樹脂材料で一体形成したが、かかるボディ2の素材は、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、木材、その他の合成樹脂材料、金属材料で形成されていても良い。さらに、かかる場合において、第1磁石31と第2磁石32との間に設けられる磁気遮壁33は、必ずしもボディ2の一部であってボディ2と同じ素材である必要はなく、非磁性体の磁気遮壁33をボディ2と別体に設け、これをボディ2の第1磁石31及び第2磁石32の間に埋め込むようにしても良い。
【0109】
また、第2実施形態では、阻止復帰手段5に関し、その阻止手段として第1磁石31及び第2磁石32のみを用いて、その復帰手段として弾性体13のみを用いるようにしたが、例えば、弾性体13である圧縮バネの長さを第1実施形態と同様にして、その阻止手段として弾性体13である圧縮バネ並びに第1磁石31及び第2磁石32の双方を併用するようにしても良い。かかる場合、釣り糸を介して出没体3を引っ張る力が弾性体13の弾性復元力及び第1磁石31及び第2磁石32間の磁気吸引力を超えた場合において出没体3が突出されるようになる。
【符号の説明】
【0110】
1,30 釣り用ルアー
2 ボディ
3 出没体
3a ロッド部
3b ロッド前端部
3c ロッド後端部
3d リング状部
4 係着部
5 阻止復帰手段
6 釣り針
6a シャンク
6b ベンド
6c 針先
6d リング状部
7 ボディの本体部
8 ボディのヒレ部
9 ボディ前壁
10 固定空間
11 固定壁
12 出没収容空間
13,34 弾性体
14 小孔
15,16 出没孔
17 針収容空間
18 針出口
19 揺動連結部
20 揺動規制部
21 制限隔壁
22 下斜面
23 付勢手段
31 第1磁石
32 第2磁石
33 磁気遮壁
メッセージ

 この開発に至った背景には釣り人に関する深刻なゴミ問題が関係しています。中でも自身の経験から危機感を抱いているルアーロストに着目しました。一般的なルアーは針が露出するようについているため魚を釣りやすい反面、海底の岩などの障害物に引っかかり、そのまま紛失してしまう事例が数多く見受けられます。紛失したルアーは残り続け魚や鳥が誤飲もしくは糸が絡まってしまいその後捕食活動が行えず死に至るなど、水環境のみならず生態系への悪影響も非常に大きいです。その上推定780万人とされる釣り人口の多さが拍車をかけています。
 そこで、ルアーロストの最大要因である「根がかり」にフォーカスし、釣ることよりも無くさないことを優先したこのルアーを開発することで水産資源の保全及び業界全体のSDGsへの意識向上を狙いとしています。
 最後にこの製品は『2022年度グッドデザイン・ニューホープ賞』も受賞し、評価も頂けておりますが、個人の力では開発能力に乏しく思うように”釣れるルアー”に仕上がっていないという現状にございます。そのため、この製品開発を共に進め製品化へのご協力を頂ける方がいらっしゃいましたらご連絡頂けますと幸いです。
 
【図1】
図1
【図2】
図2
【図3】
図3
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